オオベニウチワ (Anthurium andraeanum, Linden ex André 1877)

オオベニウチワ(Anthurium andraeanum Linden ex André, 1877)は、日本では花屋のアンスリウムとしてなじみ深いサトイモ科の熱帯植物で、コロンビアとエクアドルが原産です。赤や桃色、白に色づいて花のように見える部分はろう質の仏炎苞で、本当の花は中央の肉穂花序に並んでいます。

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学名Anthurium andraeanum
属Anthurium
科Araceae
目Alismatales

アンスリウム, Anthurium, Flamingo flower, Flamingo lily, Laceleaf と Painter's palette

基本情報
毒性
シュウ酸塩による刺激あり。猫、犬、子ども、人の誤食に注意注意 : 人(子どもを含む) · 有毒 : 猫 と 犬 · 要確認 : 馬
管理の難易度
中程度
植物タイプ
草本性 · 着生性 · 室内植物
葉の性質
常緑
寿命
多年草
原産国
コロンビアエクアドル
自生環境
熱帯の湿潤なバイオーム。温暖な気候の林床や着生の足場
季節性
開花期
春夏秋冬
生育
生活環
多年草
休眠
休眠しない
生育速度
5/10
成熟までの期間
環境の安定した場所で株が充実すると仏炎苞をつける
増やし方
株分け, 節挿し, 種子
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
弱い。寒さと乾いた風から守る
湿度
60–80 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌タイプ
肥沃な培養土, 水はけのよい着生植物用土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

葉に直射日光が当たらない、明るい場所に置きます。

光について
やわらげた明るい光、または明るい半日陰
室内
明るい部屋, オフィス, 明るい浴室
屋外
日陰のパティオ, サンルーム
鉢
底穴のあるプラスチック鉢, 底穴のある鉢, コンテナ
形態
高さ0.3–0.9 m株張り0.5–0.9 m
葉
緑
花
赤ピンク白オレンジ緑
樹形・草姿
オオベニウチワ(Anthurium andraeanum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
樹皮
緑

世界の分布

POWO/WCVP と Trefle は、Anthurium andraeanum の自生域をコロンビアとエクアドルとしています。Trefle ではベネズエラ沖のアンティル諸島、トリニダード・トバゴ、ウィンドワード諸島が導入地域として挙げられていますが、全般的に、あるいはフランスで侵略的とする根拠は参照資料には見当たりません。

  • 原産2
  • 移入3
  • コロンビア
  • エクアドル
  • トリニダード・トバゴ
  • ベネズエラ沖のアンティル諸島
  • ウィンドワード諸島

六角形:資料に基づく地域。緑の点:原産分布域。分布状況の出典 POWO(キュー王立植物園).

基本情報

Anthurium andraeanum Linden ex André は、サトイモ科アンスリウム属の受理された種です。参照した分類データベースは、この学名の発表を1877年とし、自生域をコロンビアとエクアドルとしています。1 2

和名のオオベニウチワよりも、店頭ではアンスリウムの名のほうがよく通っています。英名の flamingo flower や laceleaf も含め、これらはおもに観賞植物としての姿を指す呼び名です。植物学的な構造は別に押さえておく必要があります。色づいた部分は花弁の集まりではなく仏炎苞で、本当の花は肉穂花序に密に並ぶ小さな花です。3 4

この区別が役に立つのは、本種が花鉢や切り花として流通することが多いためです。そこで「花」と呼ばれているのは長もちする花序の見た目であって、ハイビスカスやバラのような大きな一輪の花ではありません。

見分け方

WCVP は Anthurium andraeanum を、熱帯の湿潤な気候に育つ着生の亜低木としています。栽培下では、長い葉柄の先に光沢のある心形から矢じり形の常緑の葉をつけ、まとまった株立ちになります。鉢物ではおおむね30〜60 cmにとどまり、熱帯の庭植えでは90 cm近くになることもあります。1 3 5

いちばん目につく手がかりは花序です。仏炎苞はろう細工のようなつやがあり、平らか、わずかに波打ちます。昔ながらの型では赤が多いものの、品種によって桃色、白、橙、緑、二色のものもあります。中央の肉穂花序はまっすぐか、ゆるく弓なりに曲がり、小さな花をつけます。受粉すれば液果ができることもありますが、室内で観賞するうえでは副次的な点です。4 3

緑の仏炎苞だからといって、別の種とは限りません。園芸品種であることも、花序が古くなっただけのこともあります。見分けるときは、心形の葉身、仏炎苞のろう質の質感、中央の肉穂花序、そして完全な学名をあわせて確かめます。

知っておきたい分類

よりどころになるのは Anthurium andraeanum Linden ex André という学名です。WCVP はこれを受理名とし、Anthurium venustum Sodiro のほか、いくつかの歴史的な変種をシノニムまたは関連名として扱っています。A. andraeanum var. album、var. roseum、var. divergens、var. salmoneus、var. sanguineum、var. amoenum、var. louisae、さらに正式な階級をもたない名前がいくつかあります。1 2

こうした名前を現代の園芸品種と混同しないよう注意が必要です。album や roseum のような古い名前は、昔のリストでは色を表していた場合があります。これに対し、いま 'Midori' や 'Acropolis'、あるいは「Andraeanum Group」として売られている株は、選抜品種や交配種、販売シリーズといった園芸上の呼び名に属します。3 4

厄介なのは、英名の「flamingo flower」や「flamingo lily」が Anthurium scherzerianum を指すこともある点です。同じ属の近い仲間ですが、A. scherzerianum は肉穂花序がらせん状にねじれることが多く、花屋で見る大きく平らな仏炎苞の代表は A. andraeanum のほうです。

生育環境と分布

自生域については、POWO/WCVP と Trefle がともにコロンビアとエクアドルとしています。Trefle はさらに、ベネズエラ沖のアンティル諸島、トリニダード・トバゴ、ウィンドワード諸島への導入も挙げています。そのため、自生域、熱帯での導入地、そして世界中での鉢物や切り花としての栽培は、分けて考える必要があります。1 2

生態としては、熱帯の湿潤なバイオームに属する植物です。「着生」は寄生という意味ではありません。足場と通気のよい有機質の環境を利用しますが、寄生植物のように樹木から養分を奪うことはありません。革質の葉、酸欠に弱い根、安定した暖かさとやわらかな光を好む性質は、栽培の手順よりもこの出自からよく理解できます。1 5

参照資料のなかに、Anthurium andraeanum を温帯の地域で侵略的とみなす根拠は見当たりません。カリブ海での導入は生物地理上の記録として扱うもので、広く侵略性があることの証拠ではありません。2 6

生活環と繁殖

オオベニウチワは熱帯性の多年草です。室内では、株が充実すると新しい葉と根を出しながら、花序を次々につけていきます。園芸資料は仏炎苞が長もちすることを挙げており、生産の場や適した気候のもとでは、鉢物や切り花としての経済的な価値もまさにこの日もちの良さにあります。4 5

花序はサトイモ科の基本形どおり、肉穂花序と仏炎苞からなります。本当の花はごく小さく、肉穂花序の上についています。受粉後に液果ができることはありますが、食用になるわけではありません。参照資料は本種を食用不可としており、安全性の資料もおもに、かんだときの刺激の危険を説明しています。3 2 6

家庭で殖やすなら、株の構造からみて株分けか、節と根のついた茎の挿し木が理にかなっています。葉を一枚だけ切り取っても、どれほど元気で緑が濃くても、それだけで一株を再生するのに必要な栄養器官はそろっていません。

利用と注意点

おもな用途は観賞で、室内の鉢物、温室、霜の当たらないサンルーム、日陰の熱帯風の植え込み、切り花として使われます。価値は仏炎苞の日もちと色にあり、食用としての利用はありません。Trefle と Perenual も A. andraeanum の食用を支持していません。耐寒性の目安はUSDAゾーン11〜12で、関東の冬はこれを大きく下回るため、日本では室内の鉢植えとして扱うのが現実的です。4 5 2

毒性は正確にとらえておきたい点です。NC State は Anthurium andraeanum を毒性の重さが低い植物に分類し、刺激の原因としてシュウ酸カルシウムの結晶を挙げています。クイーンズランド中毒情報センターも、アンスリウム類は口にすると口や唇、のどを刺激するとしています。3 7

動物については、Pet Poison Helpline が不溶性シュウ酸塩を理由にアンスリウムを犬と猫に有毒としており、口内の刺激、よだれ、嘔吐、飲み込みにくさが起こりうるとしています。参照した ASPCA のリストで「flamingo flower」の名が挙がっているのは Anthurium scherzerianum で、A. andraeanum ではありません。そのため猫と犬には注意を要する扱いとし、馬への影響は本種については判断が定まっていません。8

品種・購入時の確認・混同しやすい種

園芸店に並ぶアンスリウムが、純粋な野生種とは限りません。RHS は Andraeanum Group という名を用い、NC State は Acropolis、Baron、Cheers、Florida、Midori、Rosee Choco など、いくつかの品種名や園芸上のラベルを挙げています。これらは仏炎苞の色や大きさ、草姿を選抜した品種を表す名前で、種に相当する分類階級ではありません。4 3

購入の際に確かめたいことは単純です。学名は Anthurium andraeanum か、Andraeanum Group の交配種か、それとも A. scherzerianum のような別種か。心形の葉が健全で、仏炎苞に張りがあり、肉穂花序が傷んでおらず、根が腐っていないか。色の名前だけでは、同定の決め手になりません。

見た目で取り違えやすいのは、おもに Spathiphyllum、Zantedeschia、Anthurium scherzerianum、ときに Philodendron や Dieffenbachia のような葉を楽しむサトイモ科です。どれも熱帯らしい雰囲気をもちますが、平らでろう質の仏炎苞、よく見える肉穂花序、光沢のある心形の葉、そして完全な学名のラベルを組み合わせて見るのが、もっとも確かな手がかりです。

主な参考文献

よくある質問

オオベニウチワの赤い部分は花ですか?

いいえ。赤、桃色、白、緑に色づく部分は仏炎苞です。本当の花は小さく、中央の肉穂花序にまとまってついています。

Anthurium andraeanum の原産地はどこですか?

参照した分類資料では、自生域はコロンビアとエクアドルとされています。カリブ海地域の記録は導入として扱われています。

Anthurium andraeanum には毒性がありますか?

シュウ酸カルシウムの結晶による刺激性のある植物として扱うのが適切です。人、子ども、猫、犬には注意が必要です。馬については、この種に特化した参照資料では判断が定まっていません。

アンスリウムは食べられますか?

いいえ。参照した資料には信頼できる食用の記録がなく、組織をかむと刺激があります。

色の名前で売られているのはなぜですか?

鉢物や切り花のアンスリウムの多くは、園芸品種や交配種です。色の名前はたいてい仏炎苞の色を表すもので、分類上の階級ではありません。

もっとも混同しやすいのはどの植物ですか?

注意したいのは、Anthurium andraeanum、Anthurium scherzerianum、スパティフィラム、オランダカイウ(Zantedeschia)の取り違えです。どれも仏炎苞のある花序をもちますが、見た目は異なり、安全性に関する資料も同じとは限りません。

似ている植物

植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。