オリヅルラン (Chlorophytum comosum, (Thunb.) Jacques)

オリヅルラン(Chlorophytum comosum)は、熱帯アフリカから南部アフリカにかけてを原産とするキジカクシ科の多年草です。弓なりに曲がるリボン状の葉が密なロゼットをつくり、長いランナーの先に垂れ下がる子株をつけます。吊り鉢で育てられることが多く、観葉植物のなかでもとりわけ丈夫で、殖やしやすい種類として親しまれています。

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学名Chlorophytum comosum
属Chlorophytum
科Asparagaceae
目Asparagales

Spider plant と Ribbon plant

基本情報
毒性
ペットに対して無毒人(子どもを含む), 猫, 犬 と 馬
管理の難易度
低い
植物タイプ
宿根草 · ロゼット
葉の性質
常緑
寿命
多年草
原産国
南アフリカケニアエチオピアカメルーンタンザニアナイジェリア
自生環境
季節的に乾燥する熱帯域。林床や沿岸部の、半日陰になる場所に多い
季節性
開花期
夏
生育
生活環
多年草
休眠
休眠しない
生育速度
6/10
増やし方
ひこばえ分け, 株分け, 種子
気候と水やり
温度
耐寒性
湿度
40–60 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌pH
土壌タイプ
水はけのよい培養土, 水はけのよい土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

間接光の当たる場所か、日陰になる部屋に置きます。

光について
明るい間接光から半日陰
室内
リビング, オフィス, 明るい浴室
鉢
テラコッタ鉢, 底穴のあるプラスチック鉢
形態
高さ30–45 cm株張り30–60 cm
葉
緑白
花
白緑大きさ1 cm
樹形・草姿
オリヅルラン(Chlorophytum comosum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
樹皮
緑

世界の分布

Chlorophytum comosum の自生域は、西アフリカ・中部アフリカ(コートジボワール、カメルーン、ナイジェリア)から東アフリカ・南部アフリカ(エチオピア、ケニア、タンザニア、南アフリカ)にかけての、季節的に乾燥する熱帯のバイオームです。観葉植物として広く栽培され、西オーストラリアでは局地的に野生化しているため、自生域、栽培地域、導入された地域を区別して考える必要があります。

  • 原産6
  • 移入1
  • 南アフリカ
  • ケニア
  • エチオピア
  • カメルーン
  • タンザニア
  • ナイジェリア
  • 西オーストラリア

六角形:資料に基づく地域。緑の点:原産分布域。分布状況の出典 POWO(キュー王立植物園).

基本情報

オリヅルラン(Chlorophytum comosum (Thunb.) Jacques, 1862)は、キジカクシ科オリヅルラン属の多年草です。丈夫で殖やしやすいことから、観葉植物のなかでも特に広く出回っている種類のひとつです。1 2

細長いランナーの先に子株がぶら下がる姿は、糸を垂らした蜘蛛にたとえられてきました。フランス語圏の園芸では phalangère や herbe vaudoise という呼び名も使われ、後者は主にスイスのフランス語圏で聞かれます。3 属名 Chlorophytum はギリシャ語の chloros(黄緑、緑)と phyton(植物)を組み合わせたもので葉の色に由来し、種小名 comosum は房のように茂るロゼットの姿を表しています。4 5 ドイツ語では Grünlilie(緑のユリ)、英語では spider plant、airplane plant、ribbon plant などと呼ばれます。6

見分け方

Chlorophytum comosum は、細く弓なりに曲がるリボン状の葉を密なロゼット状に広げます。葉の長さは20〜45 cmで、品種によって鮮やかな緑一色のものと、白や黄色の斑が入るものがあります。7 8 鉢植えでは高さ30〜45 cm、横幅30〜60 cmほどになるのが普通で、吊り鉢からランナーが垂れるとさらに広がります。5 9

いちばんの目印はランナーです。細長い茎の先に、すでに葉と根の芽をそなえた小さな子株がつきます。湿った用土に触れると子株はすぐに根を下ろし、独立した株になります。8 5

花は直径1 cmほどの小さな白花で、かなり長く伸びることもある枝分かれした花茎に沿って咲きます。3 7 地下には水をたくわえる肉厚の塊根状の根が発達し、窮屈な鉢では鉢そのものを変形させてしまうほどです。5

知っておきたい分類

本種はまず Thunberg が記載し、1862年に Jacques が組み替えました。受理名は Chlorophytum comosum (Thunb.) Jacques です。1 学名そのものより、混乱を招きやすいのは園芸名と斑入り品種のほうです。押さえておきたい主な名前は次のとおりです。

  • Chlorophytum comosum (Thunb.) Jacques:受理名
  • Anthericum comosum Thunb.:歴史的な基礎異名
  • Chlorophytum comosum 'Vittatum':葉の中央に白い帯が入る品種
  • Chlorophytum comosum 'Variegatum':葉の縁が白い品種

オリヅルラン属はキジカクシ科のリュウゼツラン亜科に置かれています。「スパイダープラント」のような流通名は別の種を指すものではなく、確かな拠りどころは受理された学名です。1 2 基準となる染色体数は2n = 28です。10

記載の経緯にも興味深い話があります。1827年、まだ知られていなかったこの植物がワイマール近郊のベルヴェデーレ植物園に届きました。子株を譲り受けたゲーテが記載文をまとめ、1828年1月にプラハの植物学者カスパー・マリア・フォン・シュテルンベルクへ送ります。同じ年に最初の正式な学名 Anthericum comosum を発表したのはシュテルンベルクで、これが本種の基礎異名となりました。1

生育環境と分布

自生域はかなり広範囲です。西側ではシエラレオネ、リベリア、コートジボワール、ブルキナファソ、ナイジェリア、カメルーン、赤道ギニア、東部と南部ではスーダン、エチオピア、ケニア、ウガンダ、タンザニア、マラウイ、モザンビーク、ザンビア、ジンバブエ、エスワティニ、南アフリカに分布します。1 1 生育するのは季節的に乾燥する熱帯のバイオームで、日陰の林床や一部の沿岸部に見られます。4 8

19世紀半ばごろヨーロッパに持ち込まれ、その後は世界中で観葉植物として定着しました。3 原産地の外ではほぼ例外なく栽培されていますが、温暖な気候の土地では局地的に野生化しており、西オーストラリアやバングラデシュがその例です。7 フランスでは栽培下でのみ知られる種として、フランス国立自然史博物館の目録に記録されています。11 アフリカの自生域、栽培されているだけの地域、導入された地域は分けて考える必要があります。

生活環と繁殖

室内で株が殖えるのは、主に栄養繁殖によります。ランナーの先に子株がつくのは、1日の明るい時間が12時間を切る短日と途切れのない長い夜が、少なくとも3週間続いたときです。9 5 夜まで照明の当たる部屋に置いた株がいつまでも「子ども」をつけないのは、この日長の条件が満たされないためです。

いちばん手軽なのは、子株を湿った用土の上に置いておく方法で、数日で根づきます。肉厚の根が離れやすい古い株を株分けしてもかまいません。8 2 蒴果からとった種子で実生もできますが、品種の斑はそのままには受け継がれません。8

肥料が多すぎると葉ばかり茂ってランナーが出にくくなります。子株を楽しみたいなら、施肥は控えめにするのが無難です。5

利用と注意点

主な用途は観賞で、垂れ下がるランナーを生かして吊り鉢で飾られることが多い植物です。霜の降りない気候なら、半日陰のグラウンドカバーとして使うこともできます。2 耐寒性の目安はUSDAゾーン9〜11で、関東の平野部の冬はその下限前後にあたるため、日本では室内で冬越しさせるのが一般的です。初心者向けの植物で、霜と直射日光さえ避ければ幅広い環境に順応します。2 5

安全面では、ASPCA によると Chlorophytum comosum は猫、犬、馬に対して無毒です。12 9 ペットのいる家でも勧めやすい数少ない観葉植物で、刺激性のあるサトイモ科の植物と比べたとき、この点が決め手になることもよくあります。

原産地では伝統的な利用もあり、塊根状の根は食べられるとされ、南アフリカのングニ系の人々は軽い緩下作用があると考えてきました。7 4

NASA のクリーンエア研究で、密閉容器内の特定の化合物を吸収できる種のひとつに挙げられて以来、オリヅルランはたびたび空気清浄に役立つ植物として紹介されてきました。7 とはいえ、実際の室内で測られた効果は小さく、評価も定まっていません。浄化の働きを期待するより、育てやすさを理由に選ぶほうが実情に合っています。7

品種・混同しやすい種・近縁の植物

店頭に多いのは斑入りの品種で、別の種ではありません。'Vittatum' は葉の中央に幅広い白い帯が入り、'Variegatum' はやや濃い緑の葉に白い縁取りが入ります。どちらも RHS のガーデン・メリット賞を受けています。7 2 'Bonnie' は葉が縮れるコンパクトな選抜品種です。

購入の際は、肉厚の根の状態、ロゼットの締まり、健全なランナーがあるかを見ておくと安心です。子株を目当てに買った株でも、若かったり長時間照明の下で育てられていたりすると、子株をつけていないことがあります。ロゼット状に葉を広げるほかの植物とは、弓なりのリボン状の葉、そして何よりランナーの先の子株で見分けられます。近くに並ぶ Sansevieria や Dracaena に、この性質はありません。9

主な参考文献

よくある質問

オリヅルランは猫や犬にとって有毒ですか?

いいえ。ASPCA は Chlorophytum comosum を猫、犬、馬に対して無毒と分類しています。ペットのいる家でも置きやすい、数少ない観葉植物のひとつです。

オリヅルランの葉先が茶色くなるのはなぜですか?

葉先の褐変は、空気の乾燥、用土の乾きすぎ、水道水に含まれるフッ素や塩素が原因であることがほとんどです。浄水や雨水を使い、湿り気を安定させると起こりにくくなります。

オリヅルランはどうやって殖やしますか?

いちばん簡単なのは、ランナーの先にできた子株を湿った用土の上に置く方法で、数日で根を下ろします。古い株を株分けしたり、種子をまいたりすることもできますが、実生では斑は受け継がれません。

子株ができないのはなぜですか?

子株は、日が短く、途切れのない長い夜が少なくとも3週間続いたときに主につきます。株が若すぎる場合や、肥料が多すぎる場合にも少なくなります。

オリヅルランには本当に空気をきれいにする効果がありますか?

NASA のクリーンエア研究では、密閉した容器の中で特定の化合物を吸収できる植物のひとつに挙げられました。ただし実際の室内環境で測られた効果は小さく、研究者のあいだでも議論が続いています。

オリヅルランの原産地はどこですか?

自生域は西アフリカ・中部アフリカから東アフリカ・南部アフリカにかけての、季節的に乾燥する熱帯の環境です。現在は観葉植物として世界中で栽培されています。

似ている植物

植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。