クロコスミア属 (Crocosmia, )
クロコスミア属(Crocosmia)は、南部アフリカ原産のアヤメ科の球茎植物です。夏に赤、橙、黄色の花をつけ、しなやかな花穂が花壇に動きを添えます。赤花のルシファーだけでなく、古くからモントブレチアと呼ばれる雑種や野生種も含む属です。
続きを読むクロコスミア属, ヒオウギズイセン属 と モントブレチア






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Taken Jul 25, 2021 by Michaël LAMBERT (cc-by-sa)
Taken Jul 9, 2022 by Dave Flack (cc-by-sa)
Taken Jul 12, 2022 by Gerrit Dorgelo (cc-by-sa)
© copyright of the Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew.
基本情報
クロコスミア属(Crocosmia Planch.)は南部アフリカ原産のアヤメ科の植物群です。地中に球茎をもち、POWO、WFO、IPNIはいずれも属として扱っています。赤花の特定品種だけを指す名称ではなく、複数の種や園芸雑種を含みます。 1 2 3
園芸ではモントブレチアという呼び名が今も使われ、特に古くからの雑種を指すことがあります。鮮やかな赤花のルシファー(Lucifer)は代表的な品種ですが、属全体には橙花や黄花のもの、野生種やさまざまな雑種も含まれます。 8 5
赤い花の印象だけでは、この仲間の多様性は捉えきれません。球茎からまとまって育つ性質、夏に揺れる花穂、年々密になる株を分けて管理する必要性が共通の手がかりです。ルシファーの特徴をすべてのクロコスミアに当てはめないことが大切です。 4 6
見分け方
扇状に立ち上がる帯状の葉は、アヤメやグラジオラスを思わせます。地中では球茎が連なるようにつくことがあり、養分を蓄えながら増えるため、年を経るにつれて株が密になります。花のない時期も、この葉と地下部が見分ける手がかりになります。 4 6
夏から、ときには初秋まで、弓なりの花茎に赤、橙、黄色の花を並べます。花は筒状から星形で、細い茎の曲線が植栽に軽やかな動きを生みます。特に赤花を集めた花壇では、丸く大きな花とは異なる線の美しさを添えられます。 8 5
ルシファーの赤は目を引きますが、花色だけで同定することはできません。細長い葉、しなやかな茎、花茎に沿って並ぶ花、地中の球茎を組み合わせて観察します。赤橙色という共通点だけで判断するよりも、植物全体のつくりを確かめるほうが確実です。 6 4
分類と名前
アヤメ、グラジオラス、クロッカスと同じアヤメ科に属しますが、Crocosmiaは独立した属です。園芸で使われるモントブレチアという名には複数の雑種が含まれることがあるため、Crocosmia spp.という表記は特定の一種や一品種を意味しません。 1 3
庭で育てられるものにはCrocosmia × crocosmiifloraや、ルシファーを含む多くの園芸品種があります。これらは花色、草丈、勢いなどを選抜してきた系統を区別する名前です。野生種の名前と園芸品種名は、同じ意味で置き換えることはできません。 5 4
増え方にも違いがあり、おとなしい品種もあれば、温暖な土地で球茎が速く広がるものもあります。まとめて植える前に、品種の性質と栽培地の気候を確かめると管理しやすくなります。赤い花穂の見た目が似ていても、株の広がり方まで同じとは限りません。 6 7
Crocosmiaという属の中に種や雑種、園芸品種を位置づけると、それぞれの違いが整理できます。同じ科だからといって、アヤメやグラジオラスと一括りにはできません。直立した列植に向くグラジオラスとは趣が異なり、本属はしなやかな花茎を楽しむ植栽によく合います。 1 8
生育環境と栽培
日当たりと水はけを好みますが、極端な乾燥に耐える植物ではありません。夏も土に適度な湿り気があるほうが、熱く乾ききった場所より花がよく育ちます。排水性とほどよい水分の両方がそろうと、長くしなやかな花茎の魅力を引き出せます。 6 5
球茎は土をよくほぐして植え、表面の乾燥や凍結を受けにくい深さに収めます。寒い地域では軽いマルチが役立つ場合がありますが、冬に株元へ水をためないことが重要です。特に冷たく水浸しの土は傷みの原因となるため、保温と排水を両立させます。 5 7
株が込み合うと中心部の花つきが悪くなります。3〜5年ごとの株分けは勢いを回復させ、よい球茎を選び直す機会にもなります。葉ばかりが茂って花が減ってきたときは、密度を見直し、分けた株をゆとりのある場所へ植え直します。 8 6
葉を早く切り取ると、球茎に蓄える養分が不足します。花後の葉は翌年に向けた蓄えをつくるため、そのまま残して自然に黄ばむまで待ちます。見た目を整えるために咲き終わった花茎を切ることと、まだ緑の葉を取り去ることは分けて考えます。 5 4
庭での利用
自然風の植栽では、イネ科の草花、エキナセア、ルドベキア、ヘレニウム、ダリアと組み合わせやすい植物です。弓なりの花茎が、赤や橙色の花壇を軽やかに見せます。丸い花が続く配置に細い曲線を添えると、色だけでなく姿の違いも楽しめます。 8 5
切り花では主役となる大きな花というより、色のある線として働きます。適期に切った茎は比較的よくもち、花束に生き生きした輪郭を添えます。花壇でも整然と列にするより、不規則なまとまりで植えたほうが、花穂の伸びやかな動きを生かしやすくなります。 6 4
晩夏の暖色のボーダーを形づくる役にも向きます。ただし、よく広がる品種を狭い場所へ植えると窮屈になりがちです。定期的に株を分ける作業は、健全な生育を保つだけでなく、周囲の植物との釣り合いや花壇の輪郭を整える意味もあります。 7 8
注意点と広がり
採用した資料では、スズラン、イヌサフラン、デルフィニウムに匹敵する重大な毒性は示されていません。ただし観賞植物として扱い、球茎を食用にはしません。動物がかじらないよう配慮し、株分けで取り出した地下部も食品を扱う場所には置かないようにします。 6 4
注意したいもう一つの面は、環境への広がりです。温暖な場所では長く残り、盛んに増えるものがあります。フランスで属全体を一律に侵略的とするものではありませんが、生育に適した庭や、球茎が移動しやすい法面では広がりを観察する必要があります。 5 7
赤花を選ぶ場合も、クロコスミア属という植物群と、その一品種であるルシファーを区別すると性質が理解しやすくなります。属を代表する赤花の例として楽しみながら、ほかの種や品種には色、草丈、勢いの違いがあることを踏まえて選びます。 8 1
橙や黄色の花を見かけても、クロコスミアの仲間であることに変わりはありません。赤い一株の姿だけを基準にせず、球茎、帯状の葉、弓なりの花穂という共通点から捉えると、属に含まれるさまざまな姿を無理なく見分けられます。 5 2
主な参考文献
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。


