サフラン (Crocus sativus, L. 1753)

サフラン(Crocus sativus)はアヤメ科の球茎植物で、野生では知られていない栽培起源の植物です。古代ギリシャでCrocus cartwrightianusから選抜された可能性があります。秋に紫の花を咲かせ、3本の赤い柱頭から香辛料を採り、夏は球茎の状態で完全に休眠します。

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学名Crocus sativus
目Asparagales

サフラン, Saffron crocus と Azafrán

基本情報
毒性
注意 : 人 · 無毒 : 猫 と 犬 · 要確認 : 馬
管理の難易度
低い
植物タイプ
葉の性質
落葉
寿命
多年草
自生環境
野生の生育地はありません。日当たりがよく、石灰質、砂質、礫質で十分に排水できる土壌で栽培されます。
季節性
開花期
秋
収穫期
秋
生育
休眠
夏季休眠
生育速度
4/10
成熟までの期間
2年目から開花することがあり、球茎は3〜5年生産した後に分けます
増やし方
ひこばえ分け
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
良好。草丈が低く風にさらされにくいです
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
石灰質土, 水はけのよい土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

一日を通して強い直射日光が当たる場所に置きます。

日当たりのよい場所
屋外
霜の当たらないロックガーデン, 日なたの花壇, コンテナ
鉢
底穴のある鉢, テラコッタ鉢
形態
高さ10–15 cm株張り8–10 cm
葉
緑
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 葉 1
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 葉 2
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 葉 3
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 葉 4
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 葉 5
花
紫
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 花 1
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 花 2
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 花 3
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 花 4
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 花 5
果実
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 果実 1
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 果実 2
樹形・草姿
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
サフラン (Crocus sativus):原産地と利用法 — 樹皮 1

世界の分布

野生では生育しないため、厳密な意味で自然分布域はありません。栽培は東地中海からイラン、スペイン、カシミール、モロッコ、ヨーロッパ各地に広がりました。フランスではガティネやケルシーに長い生産の歴史があります。

  • 栽培7
  • ギリシャ
  • イラン
  • スペイン
  • インド(カシミール)
  • モロッコ
  • イタリア
  • フランス

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

サフラン(Crocus sativus L., 1753)はアヤメ科の球茎植物です。属の多くの野生種とは異なり、自然状態では知られていない栽培起源の植物で、ギリシャで古くにCrocus cartwrightianusから選抜された可能性があります。野生の植物をそのまま利用したものとは区別されます。 1 7

種小名sativusは「栽培された」という意味で、その来歴を表しています。1輪にある赤い柱頭は3本だけで、手で摘んで乾燥させたものが香辛料になります。収穫と調製に多くの手間がかかるため、重量当たりでは世界で最も高価な香辛料とされています。 8

見分け方

紫から淡紫色の杯形の花が、目立つ茎を伸ばさず地面近くに開きます。花被には濃い紫色の脈が入ることもあります。3本の黄色い雄しべの中央に1本の花柱があり、その先が赤橙色の3本の柱頭に分かれて、花被片より長く伸びます。 2 3

濃緑色の細い線形の葉は、中央に淡色の筋が通ります。花と同時か、その直後に現れ、翌春まで残ります。植物全体の高さはおよそ10〜15 cmにとどまります。秋の花だけでなく、冬を越して残る葉も、球茎を養う生活環の一部です。 5 3

地下には、やや平たい褐色の球茎があり、繊維質の皮で包まれています。鱗片が重なった球根ではありません。親球茎の周りに小さな子球茎がつくられ、それを分ける方法が、この種を確実に増やす手段となっています。 4

分類と起源

染色体は3組、合計24本で、減数分裂の際に正常に対合できない不稔の三倍体です。そのため発芽可能な種子ができず、何千年も続く栽培の中で球茎を分けて維持されてきました。種まきではなく、栄養繁殖に依存していることが栽培上の重要な特徴です。 7

属の分類の見直しに伴う名前として、次のものが使われてきました。

  • Crocus sativus subsp. cartwrightianus (Herb.) K.Richt.:分類上の旧名です。
  • Crocus sativus var. cashmerianus Royle:分類上の旧名です。
  • Crocus sativus var. officinalis L.:分類上の旧名です。
  • Crocus sativus subsp. pallasii (Maw) K.Richt.:分類上の旧名です。

由来として最もよく裏づけられているのは、クレタ島やギリシャ本土に自生するCrocus cartwrightianusとの関係です。ただし、栽培サフランの受容名は現在もCrocus sativus L.です。原種と考えられる植物の名前と、栽培される本種の学名は分けて扱います。 1 7

生育環境と栽培

自生していないため、厳密な自然分布域を示すことはできません。栽培は東地中海からイラン、スペイン、カシミール、モロッコ、ヨーロッパ各地へ広がりました。フランスでもガティネとケルシーには長い生産の歴史があります。これらは栽培地であり、野生の原産地一覧ではありません。 8 7

栽培には水はけのよい石灰質や砂質の土と十分な日照が必要で、粘土質や水浸しの土地は避けます。肥沃すぎる土も生産に向くとは限らず、やせた礫の多い土でよい収穫が得られます。日当たりと土の排水性を合わせて確認することが大切です。 4 2

秋の生育再開に先立ち、夏の終わりに深さ10 cm、間隔10 cmで球茎を植えます。1つの球茎は3〜5年生産を続けた後に分けます。花を採る栽培でも、球茎を更新しながら維持することが基本となります。 7 2

生活環と収穫

夏の間は地下の球茎で休眠し、秋の初めの雨をきっかけに活動を再開します。花と葉がほぼ同時に出て、開花は9〜10月の約2週間という短い期間に集中することがあります。この時期に収穫の作業も集中します。 3 5

1輪の花が開いているのは1日から数日だけです。柱頭がしおれる前に、毎朝手で摘み取らなければなりません。労力に対する収量はごく少なく、乾燥サフラン約450 gを得るには、50,000〜75,000輪の花が必要になります。 7 5

花が終わっても葉は残り、球茎に養分を送り続けます。その葉が翌春に黄ばみ、姿を消すと、夏の休眠に入る合図になります。開花が終わった時点で生育も終わるわけではなく、その後の葉の働きが球茎の維持を支えます。 3

摘んだ柱頭は速やかに乾燥させ、密閉容器に入れて光を避けて保存します。香りと色を保つ保存期間の目安は約12か月です。収穫したまま長く置かず、乾燥と遮光を続けて行うことが、香辛料の品質を保つうえで大切です。 4

利用と注意点

乾燥した柱頭は、米料理、パエリア、ブイヤベースなどに色と香りを添え、リボフラビンも含みます。歴史的には伝統的な薬用にも使われてきましたが、現在はその多くが近代的な医薬品に置き換えられています。食材としての利用と昔の薬用の記録は区別して理解できます。 4

生の球茎は食用にするものではありません。通常の庭での利用では猫や犬に有毒とは分類されませんが、乾燥サフラン自体を大量に摂取すると危険です。5〜10 gで重い障害が起こり得るとされ、これは通常の料理に使う量とは大きく異なります。 4

取り違えで最も危険なのは、同じく秋に咲くイヌサフラン(Colchicum autumnale)です。強毒のコルヒチンを含み、秋咲きクロッカスとも呼ばれます。サフランは雄しべ3本と花柱1本、イヌサフランは雄しべ6本と花柱3本という違いが、花での識別点です。 7 6

産地名と似た植物

長年にわたり株分けで増やしてきた不稔のクローンで、厳密な園芸上の意味で登録された品種はありません。ギリシャのKrokos Kozanis、スペインのAzafrán de la Mancha、カシミールの地域系統などの呼び名は、独立した植物学上の変種ではなく、主に生産地の違いを示します。 8

秋咲きクロッカスという総称で売られる観賞用の種のすべてから、実用になるサフランが採れるわけではありません。香辛料を採る本種との区別が必要です。特にイヌサフランの毒性は、ほかの秋咲きの地下貯蔵器官をもつ植物と同程度に考えることはできません。 7

同じ花壇にはIris reticulata、Galanthus nivalis、Narcissus pseudonarcissusなどの小型の球根植物が植えられることもあります。これらは開花期が異なり、サフランやイヌサフランとの取り違えを招く植物ではありません。似た栽培場所を共有することと、花の姿が紛らわしいことは別です。 8

主な参考文献

よくある質問

猫や犬に有毒ですか?

通常の庭での利用では、猫や犬に有毒とは分類されていません。報告される危険は乾燥した香辛料自体を極端に大量摂取した場合で、庭にある植物の量とは性質が異なります。

秋咲きのイヌサフランと間違えますか?

同じ季節に咲くため、最も危険な取り違えです。強毒のイヌサフランは雄しべが6本、花柱が3本あります。サフランは雄しべ3本と花柱1本で区別します。

なぜ香辛料の値段が高いのですか?

1花に柱頭が3本しかなく、約2週間の開花期に毎朝一つずつ手摘みするためです。乾燥サフラン約450 gを得るには、50,000〜75,000輪もの花が必要です。

球茎はどのように植え、分けますか?

夏の終わりに、日当たりと水はけのよい土へ、深さ10 cm、間隔10 cmで植えます。球茎は3〜5年生産した後、夏の休眠期に分けます。

種はできますか?

通常はできません。不稔の三倍体で、発芽可能な種子をつくれないため、親球茎の周囲に生じる子球茎を分けて増やします。

柱頭はいつ収穫しますか?

秋の短い開花期に毎朝、花がしおれる前に摘みます。3本の赤い柱頭を取り分け、香りと色を保つため速やかに乾燥させます。

地植えで冬を越せますか?

排水のよい土では、球茎はおよそ−15〜−20 °Cまで耐えます。冬の寒さよりも、夏の過湿が球茎を傷める主な原因になりやすい植物です。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。