ムスカリ (Muscari, )
ムスカリ(Muscari)はキジカクシ科の小型球根植物の属です。早春に小さな釣り鐘形の花が円錐状に集まり、多くは青色で、属名のもとになったほのかなムスクの香りを放ちます。育てやすく帰化もしやすいため、花壇、ロックガーデン、芝生で群生させます。最も広く栽培されるのはMuscari armeniacumです。
続きを読むムスカリ と ブドウヒアシンス






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世界の分布
ムスカリ属はヨーロッパ、地中海沿岸、北アフリカ、南西アジアを原産とし、種によっては中央アジアまで分布します。この野生の自生域と、園芸用ムスカリが植栽・帰化している温帯地域とは区別が必要です。
基本情報
ムスカリ(Muscari Mill.)は、キジカクシ目キジカクシ科に属する小型の球根植物の属です。ブドウヒアシンスとも呼ばれ、早春に釣り鐘形の小花を円錐状に密につけます。花は多くが青色です。Philip Millerが1754年に記載した属で、数十種の野生種を含みます。 1 4
属名Muscariは、いくつかの種の花が放つほのかなムスクの香りにちなみます。園芸で特に普及するMuscari armeniacumは、花壇やロックガーデンに植えられるほか、芝生に帰化させると春に密な青い花のじゅうたんをつくります。 3 2
見分け方
一番の特徴は、釣り鐘形またはつぼ形の小花が密集する円錐状の花房です。6裂する花被は合着し、口がすぼまって、多くは縁に白い縁取りがあります。花色は濃青から淡青、紫、まれに白です。葉は線形で中央が溝状になり、中緑色で、秋から出ることもあります。 3 5
地下の貯蔵器官は、小さく丸い有皮の鱗茎です。クロッカスの球茎とは異なります。草丈は10~25 cmほどにとどまり、球根は毎年更新されながら周囲に小さな子球をつけるため、株が広がります。 1 3
種を見分ける特徴もあります。Muscari comosumは花房の上に紫色の不稔花がふさ状に広がり、下の稔性のある花とは姿が異なります。ほかの多くの種では花房が整い、各花が似た形をしています。 4 2
分類のポイント
Muscari属はPhilip Millerが1754年に設立し、現在はキジカクシ科ツルボ亜科に置かれています。かつてはユリ科、次いでヒアシンス科に分類されましたが、分子系統分類によってアスパラガスやヒアシンスと同じ科にまとまりました。 1 4
園芸でよく扱われる種には、次のものがあります。
- Muscari armeniacum、最も広く栽培される種。
- Muscari botryoides、鮮やかな青の小さな花房をつける種。
- Muscari comosum、先端に不稔花の房を持つ種。
- Muscari latifolium、幅広い葉と二色の花房を持つ種。
同定の基準になるのは受容属名Muscariです。園芸品種名は選抜された系統を示し、それぞれが別の植物学的な種というわけではありません。ヒアシンス属Hyacinthusとは近縁で、同じ亜科に属します。 1 3
生息地と分布
野生のムスカリはヨーロッパ、地中海沿岸、北アフリカ、南西アジアに自生し、種によっては中央アジアまで分布します。草原、芝地、低木地、林縁、水はけのよい岩場など、平地から山地まで生育します。 1 4
日なたから明るい半日陰、水はけのよい土を好み、季節の変化がはっきりした気候に適応しています。春の短い間に成長・開花し、その後は地下の球根で夏の休眠に入ります。この生活の仕方が、耐寒性と過湿な土への弱さにつながります。 5 3
原産地の外では、植栽された株や帰化した株が見られます。フランス、アメリカ合衆国、日本などでは秋に球根を植えて春の開花を楽しみ、その後は分球やこぼれ種で増え、条件の合う芝地を覆うことがあります。 2 5
生活環と繁殖
耐寒性のある球根性多年草で、短い好適な季節に合わせて生活します。秋植えの球根は根を伸ばし、多くは秋や冬から葉を出して早春に開花します。その後、葉が養分を蓄えてから黄変し、次の季節まで夏季休眠に入ります。 5 3
増やす最も簡単な方法は、球根の周りにできる子球の分球です。株が混んで花が少なくなったら分けると、その後もよく咲く株を保てます。葉は完全に黄色くなるまで残してから取り除くことが、翌年の生育のために大切です。 2 5
こぼれ種でも容易に増えるため、帰化が進み、小さな庭では広がりすぎる場合があります。種ができる前に咲き終わった花茎を切ると抑えられます。一方、種から意図的に育てる場合は時間がかかり、開花まで数年を要します。 3 2
利用と注意点
花壇、ロックガーデン、縁取り、鉢で楽しむほか、芝生や落葉樹の下に青い群落をつくるのが主な観賞用途です。春の早い時期に密な彩りを添えます。Muscari comosumには古くから食用の記録もあり、苦い球根はlampascioniと呼ばれ、イタリアやギリシャで野菜として食べられています。 2 4
安全性の面では、ASPCAがブドウヒアシンスを猫、犬、馬に対する無毒の植物に分類しています。ただし、球根にはサポニンが含まれ、大量に食べると嘔吐や下痢などの軽い消化器症状を起こすことがあります。重大な毒性とはされていませんが、球根は動物や幼児の手の届かない場所に置くのが無難です。 6 5
品種・類似種・近縁種
流通するムスカリは、種や園芸品種を区別して選べます。植栽の中心はMuscari armeniacumで、Muscari botryoidesには人気の白花があります。Muscari comosumは不稔花の房、Muscari latifoliumは二色の花房が特徴です。 3 2
春咲きの球根植物のうち、混同されやすいものは次のとおりです。
- Hyacinthus orientalis、ヒアシンスはずっと大きく、強く香る星形の花をつけます。
- Bellevaliaは似た花房を持つ近縁属で、ムスカリの名で販売されることがあります。
- Scillaは同じ亜科に属する、青い花を咲かせる別の小型球根植物です。
密な円錐状の花房、口のすぼまった小さな釣り鐘形の花、低い草姿が、ヒアシンスやScillaと区別する際の頼れる特徴です。 4 5
主な参考文献
よくある質問
ムスカリは猫や犬に有毒ですか?
毒性は低いとされます。ASPCAはムスカリを猫、犬、馬に対して無毒の植物に分類していますが、球根を大量に食べれば軽い消化器症状を起こすことがあります。念のため、届かない場所で管理します。
ムスカリはいつ植えますか?
秋に、水はけのよい土へ深さ8~10 cmでまとめて植えます。翌年の早春から咲き、その後も毎年花を楽しめます。
ムスカリは毎年咲きますか?
はい。耐寒性のある球根性多年草で、毎年芽を出し、分球やこぼれ種で増えます。条件の合う芝地では帰化し、敷き詰めたような群落になることもあります。
ムスカリの葉ばかり伸びて花が少ないのはなぜですか?
窒素の多すぎる土、混み合った株、未成熟の球根がよくある原因です。施肥を控え、必要に応じて分球します。
ムスカリは増えすぎますか?
分球やこぼれ種ですぐに広がり、小さな庭では増えすぎることがあります。種ができる前に花茎を切り、定期的に分球すると抑えられます。
ムスカリとヒアシンスは何が違いますか?
同じキジカクシ科ですが、ムスカリはずっと小さく、釣り鐘形の小花が円錐状に集まります。ヒアシンスは太い花茎に大きな星形の花をつけ、香りも強くなります。
ムスカリの葉が秋から出るのは正常ですか?
はい。多くの種は秋に葉を出して冬を越し、春に開花します。属に見られる通常の生活環であり、特別な処置は必要ありません。
ムスカリは鉢で育てられますか?
はい。排水穴のある鉢と、砂を含む水はけのよい用土を使い、秋に球根を密に植えます。冬の低温は花を咲かせる助けになりますが、寒冷地では鉢が凍らない場所に置きます。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。






