ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex, C.Wright)

ヤナギバルイラソウ(Ruellia simplex)は、メキシコ、アンティル諸島、南アメリカ原産のキツネノマゴ科の多年草で、茎の基部が木質化します。紫青色の漏斗形の花は一日でしぼみますが、春から秋に次々と咲きます。細い葉と豊かな花のため広く植えられ、帰化した一部の温暖な地域では侵略的外来種とされています。

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学名Ruellia simplex
属Ruellia
目Lamiales

ヤナギバルイラソウ, Mexican petunia, Mexican bluebell と Britton's wild petunia

基本情報
毒性
猫、犬、馬には非毒性とされ、原因となる活性成分の記録はありません。
管理の難易度
低い
植物タイプ
葉の性質
常緑
寿命
多年草
原産国
メキシコキューバボリビアブラジルパラグアイウルグアイアルゼンチン
自生環境
湿った溝、池や沼の縁。根付くと、より乾いた土にも耐えます。
季節性
開花期
春夏秋
生育
休眠
休眠しない
生育速度
8/10
成熟までの期間
最初の季節から開花し、約1年で株が十分に根付きます。
増やし方
挿し木, 株分け, 種子
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
株が根付くと風によく耐えます。
湿度
40–90 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
肥沃な土, 適度に湿った土から湿潤な土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なたから明るい半日陰。
室内
サンルーム, 明るい部屋
窓からの距離
屋外栽培向き。鉢では非常に明るい大きな窓から30 cm以内に置きます。
屋外
花壇, 日なたの花壇, 日陰のパティオ
鉢
テラコッタ鉢, 底穴のある鉢
形態
高さ60–120 cm株張り45–90 cm
葉
緑紫
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 葉 1
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 葉 2
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 葉 3
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 葉 4
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 葉 5
花
青紫ピンク白大きさ3–5 cm
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 花 1
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 花 2
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 花 3
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 花 4
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 花 5
果実
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 果実 1
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 果実 2
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 果実 3
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 果実 4
樹形・草姿
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑紫
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 樹皮 1
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 樹皮 2
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 樹皮 3
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 樹皮 4
ヤナギバルイラソウ (Ruellia simplex):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

自生域はメキシコ、アンティル諸島、ボリビア西部、ブラジル南西部、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン北東部に及びます。観賞用に導入されて原産地外で広く帰化し、温暖な複数の地域では侵略的外来種とされるまでになっています。

  • 原産7
  • 侵略的3
  • メキシコ
  • キューバ
  • ボリビア
  • ブラジル
  • パラグアイ
  • ウルグアイ
  • アルゼンチン
  • 米国(フロリダ)
  • オーストラリア(クイーンズランド)
  • 日本(沖縄)

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

ヤナギバルイラソウ(Ruellia simplex C.Wright, 1870)は、キツネノマゴ科ルイラソウ属の多年草で、茎の基部が木質化します。英語ではMexican petuniaなどと呼ばれます。花は似ていても、ナス科のPetunia属ではなく、別の科であるキツネノマゴ科の植物です。 1 6 3

属名Ruelliaは、フランスの植物学者で医師のJean Ruelにちなみます。種小名simplexは、複葉ではない単葉を表し、葉がより細かく分かれるほかのルイラソウ類と比べる際の目印になります。 1

見分け方

株は直立し、基部が木質化する茎には紫色を帯びるものが多く見られます。好条件の気候で地植えすると高さ90 cm–1.2 mに達し、一般的な庭では60–90 cmほどになります。 2 3

対生する葉はヤナギの葉のように細い披針形で、長さ15–30 cm、幅は約1.5–2 cmです。縁に鋸歯はなく、毛もありません。 2

先が5つに裂けた漏斗形の花は、直径約4 cmです。金属光沢のある青から紫まであり、園芸品種にはピンクや白もあります。一つの花は一日だけ開きますが、南部では5–11月に次々と咲き、北寄りでは花期がやや短くなります。 3

細長い果実は蒴果で、熟すと急にはじけ、親株から離れた場所まで種子を飛ばします。この仕組みが、急速に生育地を広げる大きな理由の一つです。 3

分類のポイント

受容名Ruellia simplexは、Charles Wrightが1870年にSauvalleのキューバ植物誌で発表しました。植物命名法では最も古い発表が優先されるため、後に付けられた異名に対してこの名が基準となります。一方、園芸の流通では後発の異名が長く好まれ、今も多くのラベルに残っています。 6 7

  • Ruellia brittoniana Leonard(異名)
  • Ruellia tweediana Griseb.(異名)
  • Ruellia coerulea Morong(異名)
  • Ruellia angustifolia (Nees) Lindau(異名)
  • Cryphiacanthus angustifolius Nees(異名)

2023年の新世界産Ruellia類の系統分類の見直しでも、Ruellia brittonianaはRuellia simplexの異名と確認されています。それでも園芸店ではこの流通名が広く残り、受容名の株とまったく同じ植物にも使われています。 9

生息地と分布

自然分布は、メキシコ、アンティル諸島、ボリビア西部、ブラジル南西部、パラグアイ、ウルグアイ、アルゼンチン北東部に及びます。もともとは溝や池、沼の縁などの湿地に育ちますが、十分に根付くと、より乾いた土にも耐えます。 6 4

観賞用に持ち込まれた結果、原産地外でも広く帰化しました。フロリダでは1933年より前に植えられたとされ、オーストラリアやアジアにも広がりました。沖縄への導入は1970年代にさかのぼります。 5

フロリダではカテゴリー1の侵略的外来種に挙げられ、湿地に密な群落を形成し、在来の植生を押しのけています。 4

生活環と繁殖

暖かな気候での開花は5–11月に続き、耐寒範囲の北側では少し短くなります。熟した蒴果ははじけて種子を放出し、親株から数メートルの範囲へ散布します。 3

種子に加えて、横へ伸びる地下茎でも増えます。そのため、根付いた一株から短期間に密な群落を作ります。 3

栽培でよく使う増やし方は、茎の挿し木と株分けです。種まきもできますが、すでに侵略的とされる地域では避けるほうがよいでしょう。Purple Showersなど一部の品種は不稔で、こぼれ種で増えません。 4

利用と注意点

主な使い道は観賞で、日なたの花壇、湿った縁取り、温帯での鉢植えなどに用いられます。長い期間チョウやハチドリを引き寄せ、シカによる食害にもよく耐えます。 3

USDA耐寒性ゾーン8–10に適し、0 °Cを下回ると葉を失いますが、凍結が穏やかで短ければ株元から再生することがあります。この温度を下回る状態が長く続くと、地上部は長く失われます。 2 8

参照した北米の園芸資料では、ペットや馬に対する毒性の記録は示されていません。ただし、いずれも毒性を詳しく扱った資料ではありません。 3

鉢植えには非常に明るい場所と、定期的に水を与えても通気性を保つ用土が必要です。庭土、砂、肥料分のある培養土を等量混ぜたものが適し、冬は水を停滞させないようにします。 8

すでに本種が定着している場所では、毒性が否定されていることよりも、花壇や湿地へ急速に広がる力が実際の問題になります。果実が開く前に摘み、不稔品種を選ぶことで、拡散を具体的に抑えられます。 4

品種・類似種・近縁種

品種によって、広がり方や花色を選べます。「Purple Showers」は不稔で、侵略性の低い代替として推奨されます。「Alba」は白、「Bonita」はピンクの花をつけます。「Katie」などの名で売られる矮性型は、高さが30 cmを超えることはまれです。 4

見分ける際には、次の植物や名前との混同に注意します。

  • Ruellia squarrosaは、茎と葉の両面に毛が目立ち、毛のないR. simplexと異なります。
  • Petunia属は別の科に属しますが、園芸上の呼び名から混同されます。
  • Ruellia brittonianaは、同じ種に使われる流通上の異名です。

学名をRuellia simplexと確かめれば、こうした混同を整理できます。園芸店で「ペチュニア」と呼ばれることがあっても、キツネノマゴ科であり、ナス科ではありません。 1 7

主な参考文献

よくある質問

ヤナギバルイラソウはペチュニアの仲間ですか?

いいえ。Ruellia simplexはキツネノマゴ科で、本来のペチュニアはナス科ペチュニア属です。英名Mexican petuniaは、漏斗形の花が似ていることに由来します。

ヤナギバルイラソウは侵略的な植物ですか?

温暖な複数の地域ではそうです。フロリダではカテゴリー1の侵略的外来種とされ、在来植生を押しのける密な群落を作ることがあります。

花はなぜ一日で終わるのですか?

一つ一つの花は一日でしぼみますが、春から秋に新しいつぼみが次々と開くため、途切れず咲き続けているように見えます。

猫や犬に毒がありますか?

参照した北米の園芸資料には、ペットや馬に対する毒性の記録は示されていません。ただし、いずれの資料も毒性を詳しく扱ってはいません。

庭で広がりすぎるのを抑えるには?

果実が開く前に取り除き、こぼれ種を防ぎ、Purple Showersのような不稔品種を選ぶと、広がる危険を大きく減らせます。

Ruellia simplexとRuellia brittonianaはどう違いますか?

植物学上の違いはありません。Ruellia brittonianaは後から付けられた異名で、1870年に発表された、より古い受容名Ruellia simplexに含まれます。

霜には耐えますか?

葉は0 °Cで傷んで枯れますが、とくにUSDAゾーン8–10では、寒さが穏やかで短ければ株元から再生することがよくあります。より厳しい、または長引く凍結では、地上部が長く失われます。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。