タチジャコウソウ (Thymus vulgaris, )
タチジャコウソウ(Thymus vulgaris)は、コモンタイムやタイムの名でも親しまれる地中海原産のシソ科植物です。茎の基部が木質化する小さな低木で、日当たりのよい場所で料理用のハーブとして育てられます。水はけ、肥沃すぎない土、花後の軽い剪定が、元気に保つポイントです。
続きを読むタチジャコウソウ, タイム, コモンタイム, キダチヒャクリコウ と Common thyme






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Taken Apr 12, 2016 by miguel angel del viejo (cc-by-sa)
Taken Feb 25, 2016 by Tela Botanica − jean-marie PAGNIER (cc-by-sa)
Taken Jan 16, 2021 by pi frederic (cc-by-sa)
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Taken Jul 21, 2019 by Bogdan Sidorenko (cc-by-sa)
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基本情報
タチジャコウソウ(Thymus vulgaris L.)は、シソ科の地中海性の小低木です。料理に使うタイムの代表種で、コモンタイム、キダチヒャクリコウ、英語のCommon thymeの名もあります。乾燥気味で明るく、水はけのよい場所を好み、フランスの2月の植栽案内でも、寒さに耐えるハーブとして紹介されています。 2 8
POWO、WFO、IPNI、Wikidataはいずれも、Thymus vulgaris L.をシソ科(Lamiaceae)の種として扱っています。料理の香りづけにとどまらず、乾いた環境に適応した小さな亜低木として捉えると、育て方も理解しやすくなります。 2 3 4 1
冷たさに湿気が重なる環境は苦手です。とくに締まった土では、乾いた寒さよりも水が停滞する状態が問題になります。冬の植え付け案内でも、この冷湿な状態への注意が示されています。 8
栽培の基本は日当たり・排水・控えめな肥沃度です。香りのよさも含め、株の姿や状態はこの三つに大きく左右されます。 6
見分け方
細い茎は基部が木質化し、ごく小さな芳香のある葉が向かい合ってつきます。葉色は環境によって灰緑色から濃緑色になり、晩春から初夏には小さな花を咲かせます。 6 7
香りは見分ける手がかりですが、それだけでは確定できません。タイム類や近縁のハーブには似たものがあり、レモンの香るタイムやほふく性の種類と、購入時に混同されやすいためです。 8
成熟した株は、低く密に枝分かれした姿を保つのが本来です。間延びして枝が開き、中心が空く場合は、日陰、肥料過多、軽い剪定の不足などが考えられます。 5
育ち方そのものも状態を見極める目安です。適した場所なら強い日差しややせた土に耐え、手入れを多く求めません。冷たい土で軟弱に育っている姿を、本来の樹形とは考えないようにします。 8
分類のポイント
タチジャコウソウの受容名はThymus vulgaris L.です。この種を対象とするため、タイム類全体を同じ植物として扱わず、学名を確かめることが大切です。 2 8
学名を確認すれば、ほふく性のタイム、レモンの香る種類、観賞用の選抜品種との混同を避けられます。似た栽培条件を好んでも、姿、香り、使い方がいつも一致するとは限りません。 5
南フランスの呼び名farigouleよりも、学名の方が地域を越えて使える確かな目印です。苗のカタログ、植物学の資料、料理用ハーブの選択でも、Thymus vulgarisという表記が役立ちます。 4
実用的なハーブガーデンでは、Thymus vulgarisは基本となる香草の一つです。多くの地面を覆うタイム類より立ち上がり、料理に使いやすく、湿り気のある土を好むハーブほど水を必要としません。 7
栽培
育てる場所には十分な日当たりと確かな排水性が必要です。寒い時期は、冷たく重く湿った土に急いで植えるより、先に土の状態を整える方がよい場合があります。フランスの2月の植栽案内も、この準備を勧めています。 8
斜面、ロックガーデン、砂利を使う縁取り、底穴のある容器などに向き、やせた土から中程度の肥沃度の土を好みます。肥料を多くすると、柔らかな葉ばかり増えて香りが弱まりやすくなります。 6
剪定は花後や収穫後に軽く行います。葉のない古い木質部まで強く切ると、すぐには芽が戻りません。軽い剪定を続けることで株を締め、中心が空く老化を抑えます。 5
冬の過湿が栽培の大きな落とし穴です。穴のない鉢、受け皿に残る水、締まった粘土質の土は、ほどほどの寒さ以上に株を傷めます。覆いをかけることより、水はけの改善が有効です。 8
水の抜け方を確認すると、植え場所の適否を判断できます。水やり後、表面が長く光っていたり、べたついたままだったりするなら改善が必要です。表面に砂利を敷くだけでは足りず、根のまわりの土を水はけよくするか、高植えにします。 8
株の老化は自然な変化です。年数とともに中心が空き、木質化が進んで密度が落ちることがあります。葉のない古枝を強く切って若返らせようとするより、元気な枝先を定期的に挿して、次の株を育てる方が確実です。 5
利用
料理用の香草としての利用が中心で、乾いた菜園の縁取り、台所近くの鉢、地中海風の庭、花を訪れる昆虫のためのロックガーデンにも使えます。多年にわたって収穫できる丈夫さも魅力です。 8
花は花粉を運ぶ昆虫を引き寄せます。一部の枝を咲かせておくと昆虫の蜜源になり、ほかの枝からの収穫も続けられます。花後には形を保つための剪定を行います。 6
ベランダでは、バジルやパセリと一緒に頻繁に水を与えるプランターより、深さがあり底穴のある鉢に向きます。料理での用途だけでまとめず、実際の水分要求が近い植物を組み合わせることが大切です。 8
一緒に育てやすい植物は、ラベンダー、ローズマリー、セージ、サントリナ、乾いた土を好む小型のイネ科植物などです。湿り気を好むミントやチャイブとは、水やりのペースが異なります。 5
収穫は少量ずつ定期的に行うのが適しています。香りのよい若枝を少しずつ摘むと枝分かれが促されますが、寒くなる前に株の半分を丸裸にすると、傷がふさがりにくくなります。葉物野菜よりも小さな低木として扱います。 6
注意点
料理に使うタチジャコウソウは、基準となる植物データでは毒性なしとされ、犬・猫・馬も安全区分に入っています。ただし精油や濃縮製品は、生の小枝と同じ扱いにはできません。 1
子ども、動物、成分に敏感な方には、過量の摂取を避けます。食用のハーブであっても芳香成分には作用があり、とくに濃縮した調製品では注意が必要です。 7
栽培中には、毒性よりも過保護な管理が問題になりがちです。冷たい土が湿っているのに心配して水を足したり、多肥にしたり、湿ったマルチで株元を埋めたりしないようにします。 8
購入時のラベル確認も大切です。「タイム」には、ほふく性、レモンの香り、斑入り、観賞用などさまざまな種類があります。一般的な地中海料理用のハーブを求めるなら、Thymus vulgarisの表記が目印です。 8
日当たりのよい、やせた土で、水が速やかに抜けるようにし、軽く剪定することがタチジャコウソウの栽培につながります。地中海の乾いた環境に合うこの性質を、冬の植え付けや日々の管理にも生かします。 8 2
主な参考文献
- Wikidata, Thymus vulgaris(植物情報)
- Plants of the World Online / Kew, Thymus vulgaris(植物情報)
- World Flora Online, Thymus vulgaris(植物情報)
- International Plant Names Index, Thymus vulgaris(植物情報)
- Royal Horticultural Society, Thymus vulgaris 検索結果
- NC State Extension, Thymus vulgaris(植物情報)
- Wikipedia英語版, Thymus vulgaris
- Floralens, 2月に植える植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。


