テキーラーリュウゼツラン (Agave tequilana, )
テキーラーリュウゼツラン(Agave tequilana)はキジカクシ科の一回結実性の多肉植物で、メキシコのハリスコ州で大規模に栽培されています。硬い青灰色の葉をロゼット状に広げ、ピニャと呼ぶ中心部にイヌリンを蓄えます。これを加熱し、発酵・蒸留したものが、原産地呼称で保護されるテキーラの原料になります。
続きを読むテキーラーリュウゼツラン, Agave azul, Tequila agave と Weber's blue agave






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世界の分布
原産地はメキシコ西部と中部で、歴史的・商業的な栽培の中心はハリスコ州です。Agave americanaのように栽培地の外で広く帰化しているわけではなく、世界の他地域では主に多肉植物のコレクションとして見られます。
基本情報
テキーラーリュウゼツラン(Agave tequilana F.A.C.Weber, 1902)は、キジカクシ科リュウゼツラン属の一回結実性の多肉植物です。商業名にはAgave azul、Tequila agave、Weber's blue agaveがあります。原産地呼称のテキーラをつくるには、この種が必要です。種小名tequilanaも、メキシコの保護された蒸留酒の原料という用途に結びついています。 1 6
記載は1902年で、フランスの医師・植物学者Frédéric Albert Constantin Weberによります。メキシコのハリスコ州との結びつきが強く、同州では数万ヘクタールに及ぶ土地で集約的に栽培されています。 2 5
見分け方
青灰色の硬い披針形の葉が、直径1.2〜1.8mの密なロゼットをつくります。この色がブルーアガベという名の由来です。葉は長さ90〜120cm、幅8〜12cmで、縁には1〜2cm間隔で褐色の歯が並び、先端には長さ1〜2cmの褐色の棘があります。 7
葉の硬さと青灰色の色調は、葉がより広く長く緑の強いAgave americanaとの違いです。野外では色の対比が有効な手がかりになります。5〜8年で成熟した株は、高さ5〜6m、好条件では10m近くになる散形円錐状の花序を伸ばします。淡緑色の花は花被片の先が紫色を帯びます。 7 4
分類のポイント
採用される学名は、POWO/WCVPではAgave tequilana F.A.C.Weberです。より広い種の亜種としたAgave angustifolia subsp. tequilana (F.A.C.Weber) Valenz.-Zap. & Nabhanという扱いもあります。2004年に公表された同タイプ異名ですが、現在採用される分類で種名に置き換わるものではありません。 1 2
近縁のAgave angustifoliaとは、ロゼット状の姿とメキシコ西部で重なる分布を共有し、野外でも混同されます。比較の際は、テキーラーリュウゼツランの明瞭な青灰色と、より細い葉が手がかりです。 5
生息地と分布
メキシコ西部と中部が原産地で、歴史的な栽培の中心はハリスコ州にあります。標高はしばしば1500mを超え、水はけのよい火山性の砂質土に育ちます。半乾燥気候ですが、高度によって暑さが和らぐ環境です。 1 7
テキーラ規制評議会(CRT)が管理する原産地呼称の対象は、ハリスコ州に加えて周辺4州の指定自治体にも及びます。この生産体系の外では本種はまれです。Agave americanaとは異なり、他の緯度地域で広く帰化しているわけではありません。 6
生活環と繁殖
花を咲かせて結実したロゼットは、多くの一回結実性のアガベと同じく枯れます。商業栽培ではほぼ常に開花前に収穫します。収穫作業者のヒマドールが、土地と管理に応じて通常6〜12年で、花茎が伸びる前の中心部であるピニャを切り取ります。 7 4
収穫するピニャは通常40〜90kgあり、生長中に蓄えたイヌリンを含みます。この複合糖質は加熱によって発酵できる糖に変わります。蒸留後には、一株から約5Lのアルコールが得られます。 4 7
開花を迎えた株では、主に蜜を食べるハナナガコウモリの仲間が花粉を運び、昆虫やハチドリも関わります。一方、商業生産の増殖はほぼすべて根元の子株によるクローン繁殖です。この方法は畑の遺伝的多様性を大きく低下させます。 4
畑の遺伝的な均一性は、栽培管理にも影響します。植え直した子株が、数十年前の元株と同じ遺伝的性質を共有することもあります。畑全体が同じ病気や気象ストレスにほぼ同様に反応するため、衰弱が短期間で広がりやすくなります。 4
利用と注意点
経済的に最も重要なのは、原産地呼称のテキーラの生産です。Agave tequilanaだけに認められる用途で、CRTが1994年から国際的にもその名称を保護してきました。他のアガベから同じ製法で蒸留しても、テキーラとは名乗れません。 6
集約的なクローン栽培には病害の問題もあります。遺伝的多様性が低いため、TMAと呼ばれるアガベの衰弱・枯死症候群が広がりやすくなります。Fusarium属の菌類、Erwinia属の細菌、アガベを加害するゾウムシが関わります。 4
生の樹液や葉には、シュウ酸カルシウムやサポニンなどの刺激成分があります。接触すると皮膚炎を、生で食べると口や消化管の炎症を起こします。ピニャは加熱と発酵によってこの刺激性を失います。取り扱いで注意するのは未加工の植物です。 3
品種・類似種・近縁種
流通名のagave azulやWeber Azulは、別に登録された栽培品種を示すのではなく、Agave tequilanaとして採用される野生型の工業的栽培株を指します。ハリスコ州の一部には、より小型で葉幅が広いChatoというクローンもありますが、栽培者や苗業者によって品種としての位置づけは一定しません。 7
比較で特に紛らわしいのは、長く亜種として関連づけられてきたAgave angustifoliaと、メスカル用や観賞用の青い葉を持つアガベ類です。明瞭な青灰色と細く硬い葉は、より緑の強い観賞種を除く手がかりになります。ハリスコ州の整列した畑で栽培された来歴も同定を助けます。 5 1
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Agave tequilana F.A.C.Weber(テキーラーリュウゼツラン)
- International Plant Names Index, Agave tequilana F.A.C.Weber(テキーラーリュウゼツラン)
- Plants For A Future, Agave tequilana(テキーラーリュウゼツラン)
- Encyclopaedia Britannica, ブルーアガベ(テキーラーリュウゼツラン)
- USDA ARS GRIN Global Taxonomy, Agave tequilana(テキーラーリュウゼツラン)
- Consejo Regulador del Tequila (CRT), テキーラの原産地呼称(テキーラーリュウゼツラン)
- LLIFLE Encyclopedia of Succulents, Agave tequilana(テキーラーリュウゼツラン)
- GBIF Backbone Taxonomy, Agave tequilana F.A.C.Weber(テキーラーリュウゼツラン)
よくある質問
テキーラに使えるアガベはこの種だけですか?
はい。1994年からテキーラ規制評議会が管理する原産地呼称では、指定地域で栽培されたAgave tequilanaを原料とする飲料に名称を限定しています。他のアガベからつくるメスカルは別の区分です。
開花前に収穫するのはなぜですか?
開花ではピニャに蓄えたイヌリンが、花茎や花をつくるために使われます。その前に収穫することで、テキーラづくりに必要な発酵可能な糖を多く得られる中心部を確保します。
猫や犬に有毒ですか?
多くのアガベと同じく、樹液や生葉には刺激性のシュウ酸カルシウムやサポニンが含まれます。接触で皮膚炎を起こし、生で食べると動物も人も口や消化管に刺激を受けます。
ピニャを収穫するまで何年かかりますか?
土地や栽培管理によって、通常は6〜12年です。多くの一年生作物よりもはるかに長い期間が必要で、それが収穫株一つひとつの価値にもつながっています。
アオノリュウゼツランとの違いは何ですか?
テキーラーリュウゼツランは葉が細く、青灰色が明瞭で、ハリスコ州ではほぼテキーラ原料として栽培されます。Agave americanaはより大型で世界に広く帰化しており、主に観賞用です。
メキシコ以外でもテキーラを生産できますか?
いいえ。原産地呼称が保護する生産地域は、主にハリスコ州と周辺の州の指定自治体に限られます。その範囲外で生産したものは、テキーラの名称を使用できません。
Chatoは別の種ですか?
いいえ。AzulやChatoは葉の形や色に関連した園芸上・栽培上の名前で、Agave tequilanaとは別の種や植物学的変種を表すものではありません。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。








