トウガラシ (Capsicum annuum, )



トウガラシ(Capsicum annuum)は、甘いピーマンやパプリカから辛い唐辛子までを含むナス科の種で、1753年にリンネが記載しました。花のつくりは比較的そろっている一方、果実の形や色、辛さは驚くほど多様です。
続きを読むピーマン, パプリカ, Capsicum annuum, Bell pepper と Chili pepper
一日を通して強い直射日光が当たる場所に置きます。

世界の分布
POWO/WCVP では、Capsicum annuum の自生域をアメリカ合衆国南部からブラジル、カリブ海地域までとしています。栽培化されて世界中で広く育てられているため、栽培地域と自生域は分けて考えます。
基本情報
トウガラシ(Capsicum annuum)には、甘いピーマンやパプリカ、そして数多くの辛い唐辛子が含まれます。種小名の annuum は「一年生の」という意味ですが、霜のない環境では多年生として生き続けることもあります。それでも温帯では、暖かい季節に育てる一年生の作物として扱うのが実際的です。1 2
扱いを難しくしているのは、菜園の食材であると同時に、色鮮やかな観賞植物でもあるという二面性です。赤や紫の実を見ただけでは、甘いのか辛いのか、食べられるのか飾り用なのかは判断できません。3 4
見分け方
葉は単葉で、花は白から紫がかった色をしており、実は中が空洞の液果です。その形は品種によって大きく異なります。つまりトウガラシとピーマンは、果実の見た目よりも花のつくりのほうがよく共通しているのです。5 6
辛さを決めるのは、主に果実の内側の組織に集まるカプサイシノイドで、色だけでは決まりません。観賞用の園芸品種でも、小さくつややかな実が強い刺激をもつことがあります。4 6
知っておきたい分類
POWO では Capsicum annuum をこの種の受理名としています。Grossum 群や Longum 群などの園芸上の呼び名は、用途や果形の違いを表すもので、必ずしも独立した種を意味しません。1 7
- Capsicum grossum L.
- Capsicum longum DC.
英名の ornamental pepper には注意が必要です。ASPCA ではこの名前が Solanum pseudocapsicum を指しており、Capsicum annuum のことではありません。1
生育環境と分布
この種はアメリカ大陸の出身で、古い時代から栽培化されてきた歴史をもちます。庭で育てる際には、その熱帯由来の性質が、暖かさ、日当たり、肥えた土、霜のない環境を求める形で表れます。1 5
うまく育たない原因の多くは、寒い時期に始めてしまうことや、根を傷めることにあります。暖かい場所で種をまき、霜の心配がなくなってから植えつけ、水やりを安定させるほうが、弱った株に肥料を足すよりも効果的です。6 4
生活環と繁殖
温帯での一生は一年生植物と同じで、種まき、生長、開花、結実、そして寒くなるまでの収穫という流れをたどります。霜が降りなければ茎がいくらか木質化することもありますが、一般の栽培者にとって役に立つ育て方とはいえません。5 6
殖やし方は主に種まきです。F1品種や、近くに別の唐辛子を植えていた株から採った種では、翌年に同じ実がなるとは限りません。6
利用と注意点
甘いピーマンから辛い唐辛子まで、生のまま、乾燥、燻製、あるいはパプリカのような粉末にして使われます。熟すにつれて色や甘み、香りはよく変わりますが、辛さが期待どおりに変わるとは限りません。4 6
注意すべき点は、C. annuum に確立した動物への直接の毒性というより、主に刺激性にあります。辛い実は口や目、皮膚を刺激します。また、緑の茎葉を葉野菜と同じように扱うべきではありません。8
品種・混同しやすい種・近縁の植物
ベル型のピーマン、カイエン、ハラペーニョ、パプリカ、Black Pearl などは、形や辛さ、色の目安となる呼び名です。購入するときは、辛さの程度と料理での使い道をまず確かめておくと安心です。6 5
混同されやすい種は次のとおりです。
- Capsicum frutescens:低木状の唐辛子で、枝がより立ち上がることが多い
- Capsicum chinense:ハバネロなどを含み、果実のような強い香りをもつ
- Solanum lycopersicum:同じナス科の野菜だが、葉と花の形が異なる
もっとも注意したいのは、ほかの観賞用ナス科植物との取り違えです。口にする前に、学名、花、実を確かめる必要があります。2
確認のポイント
種や苗を選ぶ際は、ラベルで混ざりがちな三つの情報、つまり果実のタイプ、辛さの程度、料理での使い道を分けて見ることが大切です。四角いピーマンもハラペーニョもカイエンも Capsicum annuum に含まれることがありますが、調理法も扱い方も同じではありません。色が示すのは主に熟度や品種の違いで、それだけでは辛さを予測できません。5 6
- 種まきの時期:暖かい環境で始め、根鉢を崩さずに植えつけ、夜温が安定するのを待ちます。初期に生育が止まった株は、開花が遅れがちです。
- 開花の時期:水分を安定させます。乾燥と過湿、夜の冷え込み、急な暑さが繰り返されると花が落ちやすくなります。梅雨どきの長雨や梅雨明けの猛暑も、こうした変動の原因になります。遅い追肥よりも、マルチングのほうが役に立ちます。
- 実がついてから:直射日光による日焼けを防げるだけの葉を残しつつ、風通しを保ってアブラムシ、コナジラミ、ハダニを抑えます。尻腐れは、主に水やりのむらとカルシウムの吸収不良のしるしです。6
利用上の注意は、まず辛い実に向けられます。手や目、粘膜はカプサイシノイドにすぐ反応します。家庭の台所では、品種名を明記し、とても辛い唐辛子を分けておけば、観賞用の収穫物と甘いピーマンを取り違えずに済みます。8
菜園では、株全体が赤くなるのを待たずに最初の実を摘み取ると、収穫期間が長く続きます。いくつかの実を完熟まで残せば香りが深まり種も採れますが、すでに実を多くつけた株では、新しい実のつきが鈍ることもあります。6
主な参考文献
よくある質問
ピーマンとトウガラシは同じ種ですか?
多くの場合はそうです。甘いピーマンも、多くの辛い唐辛子も Capsicum annuum に含まれます。
花が落ちてしまうのはなぜですか?
低温や高すぎる気温、不規則な水やりによって、実がつかずに花が落ちることがよくあります。
ASPCA の「観賞用トウガラシ」はこの種のことですか?
いいえ。ASPCA で ornamental pepper とされている項目は Solanum pseudocapsicum を指しており、Capsicum annuum ではありません。
似ている植物
植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。

