ノゲイトウ (Celosia argentea, )



ノゲイトウ(Celosia argentea)はヒユ科の一年生草本で、原産地は熱帯アフリカとする説と南アジアとする説があり、まだ決着していません。乾いた密な花序が目印で、園芸上の系統によって穂状、羽毛状の円錐花序、肉厚のとさか状と姿を変えます。観賞用の花としてだけでなく、西アフリカでは葉野菜として、また伝統的な薬用植物としても利用されてきました。
続きを読むケイトウ, Plumed cockscomb と Lagos spinach
一日を通して強い直射日光が当たる場所に置きます。

世界の分布
Celosia argentea の原産地については議論が続いています。Plants of the World Online は熱帯アフリカとしていますが、米国の参照データベース NPGS は不確かとしたうえで、むしろインドを有力視しています。アジアでは古くから広く栽培され、その後は熱帯・亜熱帯のほぼ全域に帰化し、ところによっては畑の雑草としてふるまいます。
基本情報
ノゲイトウ(Celosia argentea L., 1753)は、ヒユ科ケイトウ属の一年生草本です。栽培される姿によってはケイトウやプルモサ系ケイトウとも呼ばれます。属名は「焼けた」を意味するギリシャ語 kêlos に由来し、赤や橙の円錐花序が炎のように見えることを表しています。種小名 argentea は、最初に記載された花色の淡い銀白色の型にちなんだものです。1 2
呼び名は園芸上の姿で変わります。帯化した花序をもつ型はとさか状、直立する円錐花序の型は羽毛状、西アフリカで葉野菜として作られる型はラゴスホウレンソウです。どれも植物学的にはひとつの種にまとまります。3 4
見分け方
草姿は直立して枝分かれし、矮性品種では高さ30 cmほど、畑で育つ大型のものでは1.5 mを超えます。茎はなめらかで赤や紫を帯びることが多く、単葉が互生します。葉は披針形から卵形で長さ7〜15 cm、淡緑から濃緑色で、花茎の上ではやや暗い色になることもあります。3 5
ごく小さな両性花が、乾いて紙のような質感の花序に密に集まります。花序の長さは10〜25 cmで、系統によって穂状、羽毛状の円錐花序、肉厚のとさか状になります。花色は赤や橙から黄、ピンク、紫まで幅があります。乾燥させても数週間は色があせにくく、この点で花壇の草花の多くと区別できます。6 3
受粉を終えた花には、ふたが外れて開く小さな乾いた胞果ができ、レンズ形の黒く光沢のある種子を出します。この果実は枯れた花茎に残っていることが多く、色が抜けた季節の終わりでも株を見分ける手がかりになります。5
知っておきたい分類
栽培型には長らく別々の学名が与えられていましたが、のちに Celosia argentea のシノニムとしてまとめられました。とさか状や羽毛状の栽培型に付けられた名を中心に、主なシノニムを挙げます。
- Celosia argentea var. cristata (L.) Kuntze
- Celosia argentea f. cristata (L.) Schinz
- Celosia argentea var. plumosa (Barr & Sugden) Bakh.f.
- Celosia argentea var. vera Kuntze
- Celosia linearis E.Vilm.
混乱のもとになりやすいのがcristataです。植物学上はシノニムとして扱われる名前でありながら、いまも同じ名で売られている園芸上の系統、つまりとさか状のケイトウを指しているためです。揺るがない基準は、受理名の Celosia argentea です。1 2
生育環境と分布
どこで生まれた植物なのか、見解は分かれています。Plants of the World Online は熱帯アフリカを原産地としていますが、米国の参照データベース GRIN は不確かとしたうえで、むしろインドを有力視しています。アジアで古くから広く栽培され、その後は熱帯・亜熱帯のほぼ全域に帰化しました。1 4
荒れ地や畑の縁など攪乱された土地に入り込み、ネパールでは標高1600 mまで見られます。インドや中国の一部の畑では厄介な雑草とされ、ハワイなど太平洋の島々にも帰化しています。風で散る種子と、土の中で何シーズンも発芽力を保つ埋土種子のおかげで、密な群落をつくります。5 7
生活環と繁殖
生育の速い一年草で、種まきから8〜10週間で咲き始めます。暖かければ種子は5〜7日で発芽します。遅霜の心配がなくなってから直まきするか、その6〜8週間前から室内やフレームで育苗を始めます。日本の多くの地域では、梅雨が明けて気温が上がる夏から本格的に咲きそろいます。開花は夏に始まって初霜まで続き、ひとつの花序が最長8週間ほど色を保ちます。5 3
花がしおれたあとには乾いた果実ができ、黒く光る細かな種子をこぼします。たくさんの種子をつくり、その埋土種子が何シーズンも生き続けることが、庭でのこぼれ種の出やすさと、熱帯の一部地域で見られる雑草化の両方を説明しています。7 4
利用と注意点
いちばんの用途は観賞で、花壇、切り花、そしてとくにドライフラワーに向きます。切り取ったあとも数週間は色を保つためです。西アフリカではラゴスホウレンソウと呼ばれる葉の多い型がふだんの野菜として作られています。若い葉や芽はスープや付け合わせとして加熱して食べ、ホウレンソウに近い味がします。種子からは食用油もとれます。3 5
伝統的な薬草療法では、種子や乾燥させた花が収れん・止血の目的で下痢や一部の目の不調に用いられてきました。種子の抽出物には瞳孔を広げる作用があるため、緑内障のある人には禁忌とされています。家庭での安全面では、猫、犬、馬に対して毒性なしと分類されています。5 3
西アフリカでの葉野菜としての Celosia argentea の栽培は、観賞用の選抜系統とは別の、れっきとした野菜生産です。花茎が伸びる前に、何回かに分けて葉を摘み取って収穫します。8 5
品種・混同しやすい種・近縁の植物
市場に出回るのは三つの園芸群です。直立する羽毛状の円錐花序をもつプルモサ群(New Look、Century、Fresh Look など。いくつかは RHS の受賞歴あり)、細くとがった穂が Flamingo Feather の名で売られるスピカータ群、そして肉厚で帯化した花序がとさかに見えるクリスタータ群です。9 3
取り違えが多いのは、花序がゆるく垂れ下がるヒユ属(Amaranthus)の仲間と、乾いた頭花が同じように紙質で長もちするセンニチコウ(Gomphrena globosa)です。直立する草姿、赤みを帯びやすい茎、花序の細かな形が、この二つの属と Celosia argentea を見分けるいちばんの手がかりです。6
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Celosia argentea L.
- Integrated Taxonomic Information System, Celosia argentea L.
- NC State Extension, Celosia argentea (Cockscomb)
- Missouri Botanical Garden Plant Finder, Celosia argentea
- Plants For A Future, Celosia argentea
- Purdue University Center for New Crops、野菜としての Celosia argentea に関する報告
- USDA GRIN Taxonomy, Celosia argentea L.
- Pacific Island Ecosystems at Risk (PIER), Celosia argentea
- Royal Horticultural Society, Celosia argentea var. cristata
よくある質問
ノゲイトウは猫や犬にとって有毒ですか?
いいえ。Celosia argentea に危険な有効成分があるとする毒性学的データはなく、獣医学系のデータベースでも猫、犬、馬に対して毒性なしと分類されています。
とさか状、羽毛状、穂状のケイトウはどう違うのですか?
いずれも同じ種の園芸上の系統です。クリスタータ群(とさか状)は肉厚で帯化した花序、プルモサ群は直立する羽毛状の円錐花序、スピカータ群は色づいた麦の穂を思わせる細い穂をつけます。
ノゲイトウの葉は食べられますか?
はい。西アフリカでラゴスホウレンソウと呼ばれる var. argentea の形で食べられています。若い葉や芽はスープや付け合わせとして加熱して食べ、味はホウレンソウに近いとされます。
ケイトウの株元が腐ってしまうのはなぜですか?
水はけの悪い土や株の込みすぎで地際が湿ったままになると、根腐れや茎の立ち枯れが起こりやすくなります。水はけのよい土と十分な株間が、その予防になります。
ノゲイトウは侵略的な雑草ですか?
インドや中国の一部の畑では厄介な雑草とされ、ハワイなど太平洋の島々にも帰化しています。一方、フランスでは花壇用の一年草として扱われ、侵略的なふるまいは見られません。
ノゲイトウにはたくさん水をやる必要がありますか?
根づいてしまえば乾燥にはよく耐えます。ただ、開花中に与えすぎない程度の水やりを続けると、数週間色を保つ花序が長もちします。
自分の株からとった種をまき直せますか?
はい。乾いた果実からは発芽力のある黒い種子がこぼれます。ただし園芸選抜による品種では、市販の種子に比べて子の代の姿がそろわないことがよくあります。
似ている植物
植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。




