ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus, L. 1753)

ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus) は、三角形の茎と小さな甘い塊茎が特徴のカヤツリグサ科の多年草です。旧世界の温帯・熱帯に由来し、現在はほぼ全大陸に分布します。スペインではチュファとして食用栽培される一方、庭や畑では除去しにくい雑草にもなります。

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学名Cyperus esculentus
属Cyperus
目Poales

ショクヨウガヤツリ, キハマスゲ, チュファ, タイガーナッツ, Chufa と Yellow nutsedge

基本情報
毒性
無毒 : 人(子どもを含む), 猫, 犬 と 馬
管理の難易度
低い
植物タイプ
宿根草 · 根茎性多年草
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
フランスエジプトインドマダガスカル
自生環境
日当たりのよい湿地。水田、灌漑草地、溝の縁、畑、水やりされる芝生などに生育します。
季節性
開花期
夏
収穫期
秋
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
9/10
成熟までの期間
植え付けから6〜8か月後の秋に成熟した塊茎を収穫します
増やし方
株分け, 種子
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
弱いですが、背が低いため風にさらされにくい植物です
湿度
70–100 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
砂質土, 湿潤土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

十分な直射日光が必要です
屋外
水路脇, 菜園の畝
鉢
コンテナ
形態
高さ25–90 cm株張り20–60 cm
葉
緑黄
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 葉 1
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 葉 2
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 葉 3
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 葉 4
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 葉 5
花
黄
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 花 1
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 花 2
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 花 3
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 花 4
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 花 5
果実
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 果実 1
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 果実 2
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 果実 3
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 果実 4
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 樹皮 1
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 樹皮 2
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 樹皮 3
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 樹皮 4
ショクヨウガヤツリ (Cyperus esculentus):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

原産域は地中海沿岸、アフリカ、マダガスカル、中東、インド亜大陸を含む旧世界の温帯・熱帯です。栽培や偶発的な移入によってほぼ全大陸に広がり、アメリカの複数の州では有害雑草、ヨーロッパの一部では侵略的外来植物として扱われています。

  • 原産4
  • 移入1
  • 侵略的4
  • フランス本土
  • エジプト
  • インド
  • マダガスカル
  • ガーナ
  • スイス
  • アメリカ合衆国カリフォルニア州
  • メキシコ
  • オーストラリア

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

ショクヨウガヤツリ(Cyperus esculentus L., 1753)は、三角形の茎で見分けるカヤツリグサ科カヤツリグサ属の小型の多年草です。イネ科の草とはこの茎の形が異なります。スペインで甘い塊茎を得るために栽培される一方、ほかの土地では庭や中耕される畑にしつこく残る雑草でもあります。 2 3

呼び名には利用や栽培の違いが表れます。キハマスゲとも呼ばれ、食用の塊茎はタイガーナッツ、スペインの栽培型はチュファ(Chufa)として知られます。英語にはYellow nutsedgeという名もあります。フランス語のsouchet tubéreuxやsouchet sucréは塊茎や甘さに着目した名です。ドイツ語のErdmandelは古いErdnussという語に由来しますが、マメ科の落花生とは別の植物です。 4

見分け方

茎を観察すると、直立した三角形の断面が目につきます。これはイネ科との違いを示すカヤツリグサ科の特徴です。幅5〜10 mmの細い葉は明るい緑色でつやがあり、株元からまとまって伸びます。茎の高さは気候と土の肥沃さによって25〜90 cmになります。 2 3

頂部の散形花序には小さな黄色い小穂が集まり、葉状の苞が互いに直角方向へ広がります。地下茎の先には0.3〜2.5 cmの卵形の塊茎がつき、表面には鱗片が見られます。色は成熟に伴い黄褐色から黒っぽく変わります。1株が1生育期で数百、時には数千もの塊茎をつくります。 3 6

分類のポイント

本種を記載したのは1753年のリンネです。発表されたSpecies Plantarumは、現代の植物命名法の出発点とされています。カヤツリグサ科のCyperus属には世界に数百種があり、かつて独立した名で扱われた次の変種や型は、現在では本種の異名に含められます。

  • Cyperus aureus K.Richt.(異名)
  • Cyperus phymatodes (Muhl.) Kük.(異名)
  • Cyperus sativus Boeckeler(異名)
  • Cyperus macrostachyus Boeckeler(異名)
  • Cyperus leptostachyus Boeckeler(異名)

異名を整理する際の基準は受容名Cyperus esculentusです。熱帯農業でさらに厄介な雑草とされる近縁種、ハマスゲ(Cyperus rotundus)とは区別します。 1 3

生息地と分布

地中海沿岸からアフリカ、マダガスカル、中東、インド亜大陸に至る旧世界の温帯・熱帯が原産域です。日当たりのよい湿った土を好み、水の張られた水田から、定期的に灌漑される芝生や中耕される畑まで生育します。 3 2

食用のチュファの栽培に加え、農機具に付着した塊茎の偶発的な移動によって、分布はほぼ全大陸へ広がりました。カリフォルニアを含むアメリカの複数の州では有害雑草に指定されています。ヨーロッパの一部、特にスイスでも侵略的に広がり、野菜畑、庭、芝生に入り込みます。 6 2

定着の強さを支えるのは、地下茎と多数の塊茎をつなぐ地下の構造です。塊茎は時に深さ50 cm以上に達します。手で抜くと根が簡単に切れ、残った塊茎1個から株が再生します。定着した群落は1年で1 m以上広がることがあります。 2 7

生活環と繁殖

毎年の芽生えを主に支えるのは種子ではなく、地下に残る塊茎です。開花には十分な日光と夏の暖かさが必要です。日陰や低温は開花を妨げるため、長年葉だけを出し、小穂をつくらない株もあります。 3 5

塊茎から芽が出ると地下茎の網が伸び、その先に新たな塊茎が次々と形成されます。この栄養繁殖が有性生殖を大きく上回り、風を介した種子の繁殖以上に、急速な広がりを説明します。 2 3

スペインなどの食用栽培では、畝を立てた土に4〜5月に植え、6〜8か月後の11〜12月に収穫します。収穫した塊茎は数週間天日で乾燥させてから食用や販売に回します。この暦はその栽培地での例です。 3

利用と注意点

人との食用の関わりは非常に古く、エジプトのワディ・クバニヤ遺跡からは紀元前約1万6,000年の野生の塊茎が見つかっています。先王朝時代の墓にも煮た、または焼いた塊茎がありました。スペインでは13世紀から、バレンシアのチュファで甘く乳状の飲み物オルチャータ・デ・チュファをつくっています。 3 2

塊茎は生、加熱、焙煎のほか、粉にしても利用されます。得られる油はオリーブ油に似ており、バイオディーゼル向けの油料作物としても検討されています。甘くほのかにナッツのような味は、苦いCyperus rotundusとの違いです。人やペットに対する毒性は記録されていません。 5 6

問題となるのは毒性よりも農地への広がりです。マルチやシートを突き抜け、多くの非選択性除草剤にも耐えるため、防除の難しい雑草に数えられます。若い芽を早期に取り除き、生育期を通じて繰り返すと、1回だけ薬剤を使うよりも広がりを抑えやすくなります。 7 6

品種・類似種・近縁種

観賞用の栽培品種はなく、注目される栽培型は大きく甘い塊茎をつけるバレンシアのチュファです。原産地呼称によって保護される食用選抜系統で、流通上のほかの多様性は、主に現在異名とされる古い植物分類上の変種に由来します。 1

見間違えやすいハマスゲ(Cyperus rotundus)は、紫色の小穂と鎖状につながる塊茎をもち、農地ではさらに強く広がります。草姿はイネ科にも似ますが、三角形の茎が見分ける手がかりです。地下を確認すると、ショクヨウガヤツリの卵形の塊茎は0.3〜2.5 cmで地下茎の先に1個ずつつき、ハマスゲの鎖状の塊茎と区別できます。 3 6

主な参考文献

よくある質問

ショクヨウガヤツリには毒性がありますか?

人やペットへの毒性は記録されていません。塊茎は古代から食用にされ、タイガーナッツやオルチャータ・デ・チュファとして利用されています。

ショクヨウガヤツリはなぜ除去しにくいのですか?

地下茎が地中深くの多数の塊茎をつなぎます。引き抜くと根が切れやすく、塊茎が1個でも残ると株全体が再生するためです。

ショクヨウガヤツリとハマスゲはどう見分けますか?

ショクヨウガヤツリは黄色い小穂をつけ、地下茎の先に独立した塊茎ができ、甘くナッツに似た味がします。ハマスゲ(Cyperus rotundus)は紫色の小穂と鎖状の塊茎をもち、味は苦いとされます。

バレンシアのチュファとは何ですか?

スペインで栽培されるCyperus esculentusの食用型です。13世紀から知られ、塊茎を伝統的な甘い飲み物オルチャータ・デ・チュファに加工します。

ショクヨウガヤツリは鉢で育てられますか?

地下茎が外へ出ない容器を使えば育てられます。地植えでは日当たりのよい湿った土に急速に広がります。

ショクヨウガヤツリはフランスにもありますか?

あります。地中海沿岸は原産域の一部で、フランス南部のほか、水やりされる庭や中耕される畑でも雑草として見られます。

花がないときはどう見分けますか?

小穂や塊茎が見えなくても、直立した茎の断面が三角形であることが手がかりになります。これはカヤツリグサ科の特徴です。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。