キツネノテブクロ (Digitalis purpurea, L. 1753)

キツネノテブクロ(Digitalis purpurea)は、ヨーロッパ西部・南部からモロッコ北部に原産するオオバコ科の二年草です。1年目は柔らかな毛のある葉をロゼット状に広げ、2年目に紫色の釣り鐘形の花が並ぶ高い花茎を伸ばします。通常は実を結んだ後に枯れます。

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学名Digitalis purpurea
属Digitalis
目Lamiales

キツネノテブクロ, Foxglove と Fingerhut

基本情報
毒性
人にも動物にも有毒
管理の難易度
低い
植物タイプ
二年草 · ロゼット植物 · 有毒植物 · 観賞植物
葉の性質
落葉
寿命
二年草
原産国
フランスイギリススペインモロッコ
自生環境
森林の空き地や林縁、土手、かく乱された酸性土壌。伐採や火災の後に先駆的に生育
季節性
開花期
春夏
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
5/10
成熟までの期間
1年目はロゼット、2年目に開花して枯れます
増やし方
種子
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
支柱のない花茎は風に弱いため、強風を避けます
湿度
50–75 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌pH
土壌タイプ
酸性土, 肥沃な土, 水はけのよい土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

葉に直射日光が当たらない、明るい場所に置きます。

気候に応じて半日陰〜穏やかな日なた
室内
明るい部屋
屋外
林縁, 花壇, 生け垣列
鉢
テラコッタ鉢, 大型コンテナ
形態
高さ60–200 cm株張り30–60 cm
葉
緑
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 葉 1
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 葉 2
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 葉 3
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 葉 4
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 葉 5
花
紫ピンク白クリーム大きさ3–6 cm
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 花 1
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 花 2
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 花 3
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 花 4
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 花 5
果実
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 果実 1
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 果実 2
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 果実 3
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 果実 4
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 樹皮 1
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 樹皮 2
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 樹皮 3
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 樹皮 4
キツネノテブクロ (Digitalis purpurea):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

ヨーロッパ西部・南部からモロッコ北部が原産で、林縁や森林の空き地に生えます。観賞用として広く導入され、北アメリカやニュージーランドなど複数の温帯地域で帰化しています。原産域外の一部では侵略的と見なされることがあります。

  • 原産4
  • 移入1
  • 侵略的2
  • フランス
  • イギリス
  • スペイン
  • モロッコ
  • カナダ
  • アメリカ合衆国(太平洋岸北西部)
  • ニュージーランド

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

キツネノテブクロ(Digitalis purpurea L., 1753)は、オオバコ科の二年草です。長くゴマノハグサ科に含められましたが、分子系統学に基づいて分類が変わりました。属名は「指」を意味するラテン語digitusに由来します。1542年にLeonhart Fuchsが花の形を表すために用いたドイツ語Fingerhut(指ぬき)を、ラテン語に置き換えた名です。 1

花茎に沿って並ぶ釣り鐘形の花は、さまざまな名前の由来となりました。フランス語のdigitale pourprée、gant de Notre-Dame、doigt de la Viergeも、その輪郭に結びつく呼称です。種小名purpureaは、主な花色である紫を意味します。ただし栽培型では白花も見られ、名が示す色がすべての個体に当てはまるわけではありません。 2

見分け方

生育の1年目に見られるのは、卵形で柔らかな毛があり、表面にしわのある葉のロゼットです。この段階では花茎を出しません。2年目になると1本の花茎が高く伸び、通常は1〜2 mに達します。植え付け後すぐに咲く多年草とは異なり、葉だけの時期と花の時期が明瞭に分かれます。 2 3

下向きの筒状花は長さ3〜6 cmで、花茎の片側に並びます。晩春から夏にかけ、下から上へと数週間にわたり咲き進みます。花の喉部には白く縁取られた濃い紫色の斑点があり、筒の奥にある蜜へ訪花昆虫を導きます。花の向きと内側の斑点は、開花株を見分ける際の目安です。 3 5

開花前のロゼットは、柔らかく葉脈の目立つ葉がコンフリーに似ています。コンフリーの葉はよりざらつき、硬い毛の感触が強いのに対し、キツネノテブクロの毛は細かく柔らかいという違いがあります。触感は区別の手がかりになりますが、花のない食用候補を扱う際には、学名まで確認する慎重さが必要です。

分類のポイント

属DigitalisはDigitaleae連を構成し、現在はオオバコ科に置かれます。歴史的にはゴマノハグサ科に含められていましたが、2000年前後の分子系統学による分類再編で位置づけが変わりました。古い文献と新しい資料で科名が異なっても、直ちに別の植物を指すわけではありません。 1

種内には、次のような変種や型の名が記載されています。これらは同じ種の内部の変異を扱う学名です。

  • Digitalis purpurea var. tomentosa (Hoffmanns. & Link) Samp.(分類上の名称)
  • Digitalis purpurea subsp. toletana (Font Quer) Hinz(分類上の名称)
  • Digitalis purpurea var. alba Alef.(分類上の名称)
  • Digitalis purpurea proles dubia (J.J.Rodr.) Font Quer(分類上の名称)

種内変異があっても、受容される種名はDigitalis purpureaで安定しています。通常の野生型や園芸型を総称する際には、変種を特定せず、この種名を用いることができます。花色などの違いだけで、別の種であると判断する必要はありません。 1

生息地と分布

ヨーロッパ西部・南部からモロッコ北部までが原産域です。森林の空き地、林縁、土手、新しい伐採跡など、とくにかく乱された酸性土壌に入り込みます。原産地では品種により氷点下20 °Cまでの冬に耐えるとされ、自然に定着する土手や林縁の冷涼な冬に対応する性質をもちます。 1 2

観賞用として広く運ばれた結果、北アメリカやニュージーランドなど、原産域外の温帯地域で帰化しています。アメリカ太平洋岸北西部とニュージーランドの一部の自然公園では、道沿いやかく乱地で局地的に侵略的と見なされます。これは地域ごとの評価であり、栽培されるすべての場所に一律に当てはまるわけではありません。 4 3

生活環と繁殖

一生に一度の開花・結実で終わる一回結実性が、基本的な生活環です。種子から育つと1年目は根元のロゼットとなり、冬の十分な低温による春化を経て、翌春に花茎を伸ばします。葉だけの株も、この段階を過ごしている場合があります。 2

微細な種子の発芽には2〜3週間ほどかかります。発芽に光が必要なため、深く埋めるよりも表面にまくほうが適します。蒴果からこぼれた種子は親株の周囲に多く芽生え、庭や林縁で自然に更新する集団をつくります。親株が枯れても、実生の若い株が残ることがあります。 2 3

受粉の中心は、筒の奥の蜜に届く長い舌をもつマルハナバチ類です。種子ができる前に花茎を切ると、結実に伴う消耗を避けることで、株の寿命が延びる場合があります。ただし、本来は一度の開花後に枯れる生活環をもつ植物です。

利用と注意点

医療史では、イギリスの医師William Witheringの記録が知られます。1785年の著書『An Account of the Foxglove and Some of Its Medical Uses』は、心臓由来の浮腫をもつ患者に対する10年間の臨床観察をもとに、医療利用を記したものです。 7

ジゴキシンなどの強心配糖体は、現在も処方される心臓の薬につながっています。ただし治療に使える量と中毒を起こす量の幅が狭いため、厳格な医療管理が必要です。生の植物では、葉、茎、花、種子を含むすべての部分に毒性があります。薬の歴史をもつことは、植物を自己判断で摂取してよい理由にはなりません。 3

人、犬、猫、馬が摂取すると、不整脈、嘔吐、下痢、脱力を起こし、多量では生命に関わります。記録された誤食中毒には、料理用のコンフリーやボリジを採る際、花のないロゼットを取り違えた例があります。若葉の見た目だけで採集しないことが大切です。 6 8

品種・類似種・近縁種

園芸系統では、花色と花の並び方に違いがあります。Excelsior Hybridsは花茎の片側だけでなく周囲に花をつけます。Foxyは小型で、実生の1年目から咲けるため、一年草として扱う花壇に利用されます。f. albifloraは、通常の紫斑がない白花をつける型です。 2

交雑種Digitalis × mertonensisは、Digitalis grandifloraとの交配に由来します。花はより大きく、銅色を帯びたピンクで、厳密な二年草よりも短命な多年草に近い生育を示すことが多くあります。原種の基本的な生活環と、交雑種の性質は分けて考えます。

混同の相手には4つの植物が挙げられます。コンフリー(Symphytum officinale)の若葉は姿が似ますが、毛が硬く、キツネノテブクロの細かな毛とは異なります。ボリジも料理やハーブティー用に採る若い段階で、ロゼットと取り違えられることがあります。Digitalis luteaとDigitalis grandifloraは似た穂状の花序をもちますが、花が小さく淡黄色で、紫色ではありません。

ロゼット同士の類似は、開花前の植物を葉物として採る危険につながります。花のない株は特に慎重に扱い、採集の前に学名まで確かめます。生殖器官のないロゼットに慣れていない人ほど、葉の外観だけを根拠に食用植物と判断しないことが重要です。

主な参考文献

よくある質問

一年草ですか、多年草ですか?

厳密にはどちらでもなく、二年草で一回結実性です。1年目にロゼットをつくり、2年目に開花し、結実後に枯れます。一部の品種や交雑種は短命な多年草のように生育します。

1年目に花が咲かないのはなぜですか?

花茎をつくる前に冬の低温を経験する春化が必要です。十分な低温がない間はロゼットの段階にとどまり、翌シーズンに開花します。

ペットや家畜には危険ですか?

はい。全草に強心配糖体が含まれ、犬、猫、馬、人に有毒です。摂取すると重い不整脈を起こすおそれがあります。 <Cite id="aspca-foxglove" />

心臓の薬と関係があるのはなぜですか?

William Witheringは1785年、心臓由来の浮腫に対する伝統的な利用を記録しました。ジゴキシンなどの配糖体は、現在も医療管理下で使われる心臓の薬につながっています。 <Cite id="gutenberg-withering-foxglove" />

ロゼット期には何と間違えやすいですか?

主にコンフリー(Symphytum officinale)やボリジです。これらの若い葉を料理やハーブティー用に採る際、花のない株を取り違えた中毒例が報告されています。 <Cite id="pmc-foxglove-borage" />

扱うときは手袋が必要ですか?

使用が勧められます。樹液や長時間の葉との接触は敏感な皮膚を刺激する場合があります。幼児やペットによる誤食にも注意が必要です。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。