イトシャジン (Campanula rotundifolia, L. 1753)

イトシャジン(Campanula rotundifolia)は、北半球温帯の乾いた草地や岩場に広く分布するキキョウ科の多年草です。英名はharebellです。丸い根生葉は開花前に枯れることが多く、細い茎と細長い茎葉が目立つようになり、夏から秋に青紫の鐘形花を咲かせます。

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学名Campanula rotundifolia
属Campanula
目Asterales

イトシャジン, Harebell, Scottish bluebell, Grasklokje, Rundblättrige Glockenblume と Campanula soldanella

基本情報
毒性
無毒 : 人(子どもを含む), 猫, 犬 と 動物 · 要確認 : 馬
管理の難易度
低い
植物タイプ
宿根草 · 野草
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
フランスイギリスアイスランドスイスロシア中国スウェーデンアメリカ合衆国
自生環境
乾いたやせ地の草原、ヒース、固定砂丘、崖、古い石垣。水はけのよい石灰質から中性の土に生えます。
環境への効果
ハナバチが蜜を求めて花に訪れます。やせ地に定着し、土を疲弊させません。
季節性
開花期
夏秋
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
5/10
成熟までの期間
1〜2シーズンで株が定着し、初年度に咲くこともあります。
増やし方
種子, 株分け, 基部挿し
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
良好。茎は細いものの草丈が低く、風を受けにくい姿です。
湿度
35–65 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
水はけのよい土, 石灰質土, やせ地
塩類土壌
耐えられる
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なたから明るい半日陰。日なたでより密に咲きます。
屋外
ロックガーデン, 野草の草原, 乾燥したボーダー
鉢
テラコッタ鉢, 底穴のある鉢
形態
高さ10–45 cm株張り15–40 cm
葉
緑
花
青紫大きさ1.2–3 cm
樹形・草姿
イトシャジン (Campanula rotundifolia):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1

世界の分布

Plants of the World Onlineが示す自生域は、アイスランドから南はスペイン、東はヨーロッパと温帯アジアを経てロシアの太平洋岸、中国北東部まで続きます。ミズーリ植物園はミズーリ州オザークの隔離個体群も自生としていますが、この点は資料間で一致していません。

  • 原産8
  • フランス
  • イギリス
  • アイスランド
  • スイス
  • ロシア
  • 中国
  • スウェーデン
  • アメリカ合衆国

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

イトシャジン(Campanula rotundifolia L., 1753)は、キキョウ科ホタルブクロ属の受容種で、英語ではHarebellと呼ばれます。Carl von Linnéが1753年に記載し、Plants of the World Onlineでも同じ二名法の学名が採用されています。 1 6

種小名rotundifoliaは「丸い葉の」を意味しますが、最初に作るロゼットの根生葉だけを表します。花茎につく葉は細い線形になるため、開花時の姿は学名の意味から思い浮かべる姿と異なります。 6

スコットランドではイトシャジンをbluebellと呼びます。一方、イギリスの他の地域では、春に総状花序をつけるキジカクシ科のHyacinthoides non-scriptaを同じ名で呼びます。通称だけでなく学名を確認することが、確かな区別につながります。 6 7

見分け方

丸形から心形で長い葉柄をもつ根生葉は、花が開く前にしおれることがよくあります。満開の株に丸い葉が見当たらなくても不自然ではなく、学名が表すのは、それより前の生育段階の葉です。 6 5

花茎は細く直立し、ときに垂れ、通常は10〜45 cmになります。茎につく葉は細い線形で葉柄がなく、最初のロゼット葉とははっきり異なります。 2 5

花はうつむく青紫色の鐘形で、長さ1.2〜3 cm、先端の5つの三角形の裂片が外へ反り、5枚の尖った萼片を伴います。茎が折れると白い乳液が出ます。多くのキキョウ科に共通する性質で、他の特徴と併せて同定の手がかりになります。 2 6

分類のポイント

数百種を含むホタルブクロ属の中で、イトシャジンの名は長く、標高や地域によって大きく変異する多様な個体群に広く当てられてきました。Plants of the World Onlineは、次のような地域的な分類群の名を異名としてこの種に含めています。

  • Campanula rotundifolia subsp. willkommii (Witasek) Blanca:亜種として記載された名
  • Campanula rotundifolia subsp. macrorhiza (J.Gay ex A.DC.) Bonnier & Layens:亜種として記載された名
  • Campanula rotundifolia var. lanceolata Wimm. & Grab.:変種として記載された名
  • Campanula linifolia Scop.:別の種名として記載された異名

こうした形態の変異により、地域の植物誌では亜種や変種に細分されてきましたが、Plants of the World Onlineでは1つの受容種にまとめられています。古い苗のラベルに地域的な名が残っていても、Campanula rotundifoliaという受容名が基準になります。 1

生息地と分布

アイスランドから南はスペイン、東はヨーロッパと温帯アジアを経てロシアの太平洋岸、中国北東部までが、Plants of the World Onlineの示す自生域です。フランスでは乾いた草原に普通に見られ、特に希少な種とはされていません。 1 6

ミズーリ植物園は、ミズーリ州オザーク地方のシャノン郡に隔離個体群があり、これも自生としています。北アメリカでの位置づけは資料間で一致せず、Plants of the World Onlineはユーラシアの分布だけを自生域としています。 3

典型的な生息地は、やせて水はけのよい場所です。乾いた草地、ヒース、固定砂丘、崖、古い石垣などに生えます。肥沃な土を必要とせず、舗装の隙間から安定した海岸砂丘まで定着します。 4 5

生活環と開花

スイスでの開花期は5〜9月で、イギリスでは11月まで続くことがあります。花にはハナバチが訪れますが、訪花昆虫がいないときには自家受粉も可能です。 5 6

受精後に作る3〜4 mmの蒴果は、一般的な多くの蒴果とは違って、上端ではなく基部の孔から種子を放出します。低い位置から種子が散ることで、親株の周りに密な実生が生じやすくなります。 6

繁殖には種まき、株分け、春に株元の芽を使う挿し木も利用できます。年数を経た株は、そのままにすると、定期的に株分けして更新した株よりも弱りやすくなります。 2 4

利用と注意点

Kew、ミズーリ植物園、Plants For A Futureなどの主要資料には、イトシャジンの有毒成分の報告はありません。葉と花は少量なら生食可能とされ、味は穏やかなレタスにたとえられています。 4 3

主な用途は観賞で、ロックガーデン、石垣、草花の草地、乾いた花壇の縁などに向きます。根を噛んだり浸出させたりして喉や耳の痛みに使う民間療法の記録もありますが、これは伝統的利用の記録であり、臨床的に確認された効果ではありません。 4 2

栽培上の主な問題は、肥沃すぎる土や過湿です。茎が軟弱になって花が減り、株元の腐敗も起こりやすくなります。 2

品種・類似種・近縁種

この野生種には、安定した園芸名で扱われる品種は多くありません。Olympicaはワシントン州の個体群に由来し、原種より大きく濃い青色の花が特徴です。Albaはその名で苗が販売される白花の型です。 6

混同の大きな原因はbluebellという名です。スコットランドではイトシャジン、イギリスの他の地域ではHyacinthoides non-scripta、北アメリカでは一般にMertensia属を指します。春咲きならH. non-scripta、夏から秋に細い茎と線形葉を伴って咲くならイトシャジン、という季節と姿の違いが手がかりになります。 6 8

オトメギキョウ(Campanula portenschlagiana)なども、水はけのよい土や石垣を好みます。ただし、低く横に広がるクッション状になり、イトシャジンのように細い茎が立つ株とは姿が異なります。 7

主な参考文献

よくある質問

見える葉は細いのに、学名が「丸い葉」を意味するのはなぜですか?

rotundifoliaは丸形から心形の根生葉だけを表します。この葉は開花前にしおれることが多く、その後は細い線形の茎葉が目立つため、種小名の印象とは異なります。

ブルーベルやイングリッシュ・ブルーベルと同じ植物ですか?

同じではありません。スコットランドではbluebellがキキョウ科のイトシャジンを指しますが、イギリスの他の地域では、春に総状花序をつけるキジカクシ科のHyacinthoides non-scriptaを指します。

猫や犬に毒性はありますか?

主要な参考資料には、イトシャジンの有毒成分の報告はありません。葉と花は少量なら生食できるとされますが、一般的な食材ではありません。

肥沃な土が必要ですか?

むしろ、やせて水はけのよい石灰質から中性の土が向いています。肥沃で湿った土では茎が軟弱になり、株元が腐りやすくなるため、やせた土の方が小さくまとまり、よく咲きます。

どのように増やしますか?

種まき、春の株分け、株元の芽を使う挿し木で増やします。株分けは年数とともに弱った古株の更新にもなります。

フランスではどこに生えますか?

国土の大部分にある乾いた草地、岩場、固定砂丘、古い石垣に生えます。フランス本土では特に希少な種とはされていません。

オトメギキョウとの違いは何ですか?

バルカン半島原産のオトメギキョウは、石垣などで低く横に広がるクッション状になります。イトシャジンは細い茎が立つ株を作り、自生域はヨーロッパと温帯アジアに広がっています。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。