イングリッシュ・ブルーベル (Hyacinthoides non-scripta, )
イングリッシュ・ブルーベル(Hyacinthoides non-scripta)は、大西洋沿岸のヨーロッパの林床に自生するキジカクシ科の球根植物です。春に青い花のじゅうたんを作り、自然な群落づくりに利用されます。スパニッシュ・ブルーベルと区別が必要で、Kewが有毒な配糖体を報告しているため、球根などの扱いには注意します。
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(c) Ian Hayhurst, some rights reserved (CC BY-NC-SA) · cc-by-nc-sa
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Taken Apr 18, 2022 by Dave Flack (cc-by-sa)
Taken Apr 9, 2020 by Jean-Pierre Bartkowiak (cc-by-sa)
Taken May 25, 2021 by Werner Köster (cc-by-sa)
Taken May 5, 2021 by Gerrit van der Horst (cc-by-sa)
Taken Apr 16, 2022 by Lucile Hubas (cc-by-sa)
© copyright of the Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew.
基本情報
イングリッシュ・ブルーベル(Hyacinthoides non-scripta (L.) Chouard ex Rothm.)は、English bluebellとも呼ばれるキジカクシ科の球根植物です。Wikidata、POWO、WFO、IPNIで種を確認でき、ヒアシンスやムスカリとは別の植物です。 1 2 3
半日陰や林床に青い花を添える球根植物です。落葉樹の葉が茂って地面を覆う前に、林床へ届く春の光を利用して一面に花を咲かせます。 8 5
Kewによれば、フランスを含む大西洋沿岸のヨーロッパが自生域です。乾いた日なたのロックガーデンよりも、湿り気のある林床、生け垣、腐植の多い土に向く性質は、この生育地に結びついています。 5 6
群生する花は、数週間で林床の印象を変えます。地面が青く染まると光まで涼しく感じられ、その景色は夏前にはほとんど姿を消します。 8 5
見分け方
地中の球根から、細長い根出葉を出します。花茎は片側へ曲がり、多くの場合はその一方の側に、香りのある青紫色の釣り鐘形の花をつけます。 5 6
うつむく花茎は、見分けるうえで大切な特徴です。スパニッシュ・ブルーベルのHyacinthoides hispanicaは一般に花茎がより直立し、香りが弱く、花が茎の周りにつきます。ただし交雑個体では特徴が混ざります。 5 6
基本の花色は青紫色ですが、白花や桃色の形もあります。自然な林床の群落には、うつむく青花が本来の雰囲気を伝えます。園芸的な花色の株も、近くの野生集団を脅かさない場所に植える必要があります。 7 8
香りも識別の助けになります。典型的なイングリッシュ・ブルーベルには穏やかな芳香があり、スパニッシュ・ブルーベルは弱いことが多いとされます。香りだけでは断定できませんが、曲がる花茎や片側につく花と併せて観察できます。 5 6
分類のポイント
本種の受容名はHyacinthoides non-scriptaです。古い文献やカタログにはEndymion non-scriptusやScilla non-scriptaが残っていますが、現在の種を調べる際は受容名を基準にすると混乱を防げます。 4 6
特に区別したいのは、Hyacinthoides hispanicaと交雑種Hyacinthoides × massartianaです。青い球根花をひとまとめにせず、イングリッシュ・ブルーベルという種の特徴を確認することが大切です。 8 5
自然環境に近い庭では、由来の確かな球根を選び、正体の分からない混合球根を避けると安心です。生物多様性を意図した植栽でも、交雑種を林床へ導入すると、地域の野生集団の特徴を損なうおそれがあります。 5 7
青い林を再現したいという思いがあっても、種、園芸品種、交雑種を無造作に混ぜない配慮が必要です。人気のある花だからこそ、名前と由来を確かめた植栽が役立ちます。 5 8
栽培
生育に向くのは明るい日陰から半日陰と、春に湿り気を保つ、水はけのよい腐植質の土です。冬の終わりの光を受けて春に咲き、葉が球根へ養分を戻した後、夏の休眠に入ります。 5 8
花後の管理では、葉を早く切らないことが要点です。見栄えが落ちても葉は球根を養っています。早く刈り込むと、群落が広がる代わりに株が衰えることがあります。 8 5
秋に落葉樹の下や明るい生け垣、湿り気のある林縁へ、不規則なまとまりにして植えます。球根を離して点々と植えるだけでは乏しく見えます。一面の群落になるには時間と自然な分球が必要で、枯れ葉の整理も遅めに行います。 8 6
毎年掘り返す花壇より、落ち葉の層と軽い腐植があり、競合が強すぎない土のほうが林床を再現できます。長く続く乾燥にも、球根を繰り返し動かすことにも向きません。 5 8
利用
主な用途は林床での自然な群落づくりです。青い花のなかでも、鉢花や整えた花壇とは異なる、林全体の雰囲気を生み出します。多くの花、斜めに差す光、覆われた地面がその効果を支えます。 8 5
スノードロップ、野生のスイセン、落葉性のシダ、プルモナリア、林縁の多年草と組み合わせられます。春は光が届き、その後に葉が自然に消えるまで早く覆われすぎないことが、隣り合う植物を選ぶ条件です。 5 8
鉢でも咲きますが、群落が繰り返される林の景色という持ち味は弱まります。テラスの単独の鉢で青い花を楽しむ目的なら、ムスカリや園芸用ヒアシンスのほうが向く場合があります。 8
毒性と保護
Kewは、有毒な配糖体と、接触皮膚炎を起こす可能性のある樹液を挙げ、この毒性から現代医療では使われないと説明しています。食用や、かじっても安全な植物として扱うべきではありません。 5
実際に注意するのは球根、とりわけ誤食です。球根は子どもや動物の手が届かない場所で保管し、食用の球根と混同しないようにします。球根植物の樹液に肌が反応する方は、手袋を着用すると安心です。 5 6
野生株の保護制度は地域によって異なります。Kewはイギリスにおける野生球根の採集・取引の保護規定を挙げ、フランスの資料には地域単位の保護も記されています。栽培された球根を購入し、森から採らないことが共通の配慮になります。 5 7
球根による健康面の危険と、野生集団への生態的な影響の両方に気を配ります。野生株を採らず、不要な交雑を避けながら、ゆっくり群落を作らせる育て方がこの植物に合っています。 5 8
主な参考文献
- Wikidata, Hyacinthoides non-scripta
- Plants of the World Online / Kew, Hyacinthoides non-scripta
- World Flora Online, Hyacinthoides non-scripta
- International Plant Names Index, Hyacinthoides non-scripta
- Royal Botanic Gardens, Kew, ブルーベル
- Wikipedia EN, Hyacinthoides non-scripta
- Wikipedia FR, Hyacinthoides non-scripta
- Floralens, 青い花の選集
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。


