シロアミメグサ (Fittonia albivenis, )



シロアミメグサ(Fittonia albivenis)は、南アメリカの湿潤な森林を原産とするキツネノマゴ科の小さな匍匐性の多年草で、日本ではフィットニアの名でも親しまれています。暗い緑の葉に銀白色や鮮やかなピンクの葉脈が細かく走るのが特徴で、観葉植物やテラリウムの素材として人気があります。
続きを読むフィットニア, アミメグサ, Nerve plant と Mosaic plant

世界の分布
Fittonia albivenis は南アメリカの熱帯湿潤林が原産で、日陰の林床に生えます。自生域はコロンビア、ペルー、ボリビア、エクアドル、ブラジル北部にわたり、それ以外の地域では観葉植物やテラリウム植物として栽培されているだけです。
基本情報
シロアミメグサ(Fittonia albivenis (Lindl. ex Veitch) Brummitt)は、キツネノマゴ科フィットニア属の小さな匍匐性の多年草で、園芸店では属名そのままのフィットニアの名で並ぶことも多い植物です。和名の「白網目草」は、葉の上を明るい葉脈が網のように区切る姿から来ており、この模様がそのまま種の目印になります。1 2
ヨーロッパでも日本でも、この種はもっぱら観葉植物やテラリウムの植物として知られ、暗い緑の葉に銀白色やピンクの葉脈が入る点が好まれて流通しています。背丈は低く横に広がる性質で、高い空中湿度とやわらかな光を必要とします。3 4
見分け方
まず目を向けたいのは葉です。葉身は卵形で暗緑色、つやがなくわずかに凹凸があり、長さは7〜10 cm、その上をよく目立つ葉脈がびっしりと網目状に走ります。葉脈の色は品種によって銀白色か、ピンクから鮮やかな赤になります。2 5
株は低く地面を這う形を保ちます。横に伸びた茎は節から根を下ろして密なマット状になり、高さはわずか10〜20 cmです。この地被状の姿は、フィカスやフィロデンドロンのように直立する大型の観葉植物とはっきり異なります。4 3
植物学的な観察より先に正体を教えてくれるのが、用土が乾いたとたんの劇的なしおれと、水やり後のすばやい回復です。花穂は目立たず、緑の苞の間に白や淡黄色の小花をつけますが、室内で見かけることはまれです。5 2
知っておきたい分類
現在の学名 Fittonia albivenis (Lindl. ex Veitch) Brummitt は、より古い基礎異名をもとに1979年に組み替えられたものです。属は小さいものの、園芸の歴史のなかで名前が増えてきました。とくに種小名 verschaffeltii は属を替えながら何度も使われており、下の一覧にも4回登場します。
- Fittonia argyroneura Coem.
- Fittonia verschaffeltii (Lem.) Van Houtte
- Fittonia verschaffeltii var. argyroneura (Coem.) Nicolson
- Eranthemum verschaffeltii (Lem.) Voss
- Gymnostachyum verschaffeltii Lem.
拠りどころになるのは受理名の Fittonia albivenis です。かつての argyroneura と verschaffeltii は、いまでは別種ではなく、この種の中の園芸品種群を指す名前として使われています。1 6
生育環境と分布
原産地は南アメリカの熱帯湿潤林で、コロンビア、ペルー、ボリビア、エクアドル、ブラジル北部にまたがります。林冠を通したほの暗い光の下、落ち葉の積もった日陰の林床に生えています。1 2
栽培で求められる条件も、この環境から説明がつきます。高い湿度、安定した暖かさ、やわらかな光です。気温が10 °Cを下回る地域では屋外で冬を越せないため、室内かテラリウムで育てることになります。日本の多くの地域でも冬は室内管理が前提です。夏は湿度こそ好みに合うものの、30 °Cを超える暑さや強い日差しは避ける必要があります。4 5
自生域の外では、ほぼ観賞用の栽培に限られます。温帯で野生化したり侵略的になったりしたという報告はなく、寒さのために室内や温室の外へは広がりません。3 2
生活環と繁殖
条件がそろうと、小さな花穂を直立させます。緑の苞が重なり、その間から白や淡黄色の花がのぞきます。ただし室内では開花は控えめで回数も少なく、もっぱら葉を楽しむ植物として育てられています。2 5
伸び方は上よりも横です。這う茎が伸び、湿った用土に触れた節から次々に根を出します。この性質のおかげで、数本の茎からでもひと夏の生育期のうちに、こんもりと地面を覆う株になります。4 3
栽培下での殖やし方は、主に節のついた茎挿しと、植え替え時の株分けです。挿し木では節を少なくとも一つ含む茎を切り取り、水か湿った用土で発根させると、2〜3週間で最初の根が出てきます。株分けは、込み合った株をすでに根のある小株に分ける方法で、暖かく湿った環境ならどれもすぐに根づきます。5 2
利用と注意点
使いみちは観賞に尽きます。室内の鉢植え、テラリウムやボトルガーデンの主役、そして熱帯の湿潤な気候では日陰の地被として用いられます。小柄で閉じた空気を好むことから、テラリウムでもっとも広く使われる種の一つになっています。4 6
安全面では安心して置ける植物です。ASPCA は猫、犬、馬に対して毒性なしと分類しており、中毒症状の報告もありません。ペットと同じ部屋に置いても特別な心配がない点で、多くの熱帯性観葉植物とは異なります。7 4
品種・混同しやすい種・近縁の植物
売られているさまざまな葉色は、別々の種ではなく、二つの園芸品種群に整理されます。アルギロネウラ・グループは銀白色の葉脈、フェルシャフェルティー・グループはピンクから赤の葉脈をもつものです。どちらも RHS のアワード・オブ・ガーデン・メリットを受けており、White Anne や Red Anne といった流通名もこれらに属します。6 3
よく取り違えられるのは、次の植物です。
- Hypoestes phyllostachya:緑の葉にピンクの斑点が入るが、葉脈の網目はつながらない
- 一部のPilea:葉に明るい帯状の模様が入る
- 葉に斑の入るほかのキツネノマゴ科の観賞植物
暗い緑の地に明るい葉脈が途切れず細かく走ること、そして背が低く這うように広がることの二つがそろえば、フィットニアとして売られている株が Fittonia albivenis だと確かめられます。2 1
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Fittonia albivenis (Lindl. ex Veitch) Brummitt
- Royal Horticultural Society, Fittonia albivenis Verschaffeltii Group
- Royal Horticultural Society, Fittonia albivenis Argyroneura Group
- Missouri Botanical Garden, Fittonia albivenis
- Plants For A Future, Fittonia albivenis
- NC State Extension, Fittonia albivenis
- ASPCA、Nerve plant(Fittonia albivenis)の毒性情報
よくある質問
シロアミメグサは猫や犬に有毒ですか?
いいえ。ASPCA はシロアミメグサ(nerve plant)を猫、犬、馬に対して毒性なしと分類しています。中毒の報告もなく、ペットのいる家でも安心して置ける観葉植物です。
シロアミメグサがすぐにしおれてしまうのはなぜですか?
薄い葉から水分が失われやすいためです。用土が乾くと株全体がぐったりと倒れますが、たっぷり水を与えれば数時間ほどで持ち直すのが普通です。用土を適度に湿った状態に保てば、こうしたしおれは起こりにくくなります。
シロアミメグサはテラリウムに向いていますか?
はい。小さな体、地面を這う性質、高い湿度を好むことから、テラリウムの定番植物になっています。閉じた容器の湿った空気は、原産地の林床によく似た環境です。
シロアミメグサにはどのくらいの光が必要ですか?
明るい間接光か半日陰で、もっとも美しい葉になります。直射日光に当たると葉が色あせて焼け、反対に暗すぎると茎が間延びします。
シロアミメグサと間違えやすい植物はありますか?
多いのは、ピンクの斑点が入るヒポエステスや、模様の目立つ一部のピレアです。暗い緑の地に明るい葉脈が細かく網目状に走るかどうかが、もっとも確かな見分けどころです。
白い葉脈とピンクの葉脈は別の種ですか?
いいえ。銀白色の葉脈をもつものはアルギロネウラ・グループ、ピンクや赤の葉脈をもつものはフェルシャフェルティー・グループに属します。どちらも同じ種 Fittonia albivenis の中の園芸品種群です。
似ている植物
植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。





