ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium, L.f. 1782)

ベビーサンローズ(Mesembryanthemum cordifolium)は南アフリカ南東部原産のハマミズナ科の多肉質の多年草です。茎が地面をはって節から発根し、心形の葉をつけます。鮮やかな桃色から紫色の花は強い日差しで開きます。旧学名Aptenia cordifoliaでも広く知られています。

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学名Mesembryanthemum cordifolium
属Mesembryanthemum
目Caryophyllales

ベビーサンローズ, ハナツルソウ, アプテニア, Baby sun rose, Heartleaf iceplant と Red aptenia

基本情報
毒性
無毒 : 人(子どもを含む), 猫 と 犬 · 要確認 : 馬
管理の難易度
低い
植物タイプ
葉の性質
常緑
寿命
多年草
原産国
南アフリカ
自生環境
海岸の斜面や崖、沿岸の砂質土、攪乱された土地。海抜0〜800 mに生育します。
季節性
開花期
春夏秋
生育
休眠
休眠しない
生育速度
8/10
成熟までの期間
1生育期で地表を覆う株が育ちます。
増やし方
挿し木, 種子
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
強い。低く地をはうため、風を受けにくい性質です。
湿度
30–60 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
軽い砂質土, 水はけのよい土
塩類土壌
耐えられる
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なたを好み、明るい半日陰にも耐えます。
屋外
日なたの花壇, 霜の当たらないロックガーデン
鉢
底穴のある鉢, コンテナ
形態
高さ10–25 cm株張り40–60 cm
葉
緑
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 葉 1
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 葉 2
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 葉 3
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 葉 4
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 葉 5
花
ピンク紫大きさ1.5–2 cm
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 花 1
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 花 2
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 花 3
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 花 4
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 花 5
果実
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 果実 1
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 果実 2
樹形・草姿
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 樹皮 1
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 樹皮 2
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 樹皮 3
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 樹皮 4
ベビーサンローズ (Mesembryanthemum cordifolium):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

自生域は南アフリカ南東部の海岸側、主に東ケープ州とクワズール・ナタール州に限られます。挿し木が容易で世界中の観賞植物となり、自生域外でも局地的に帰化しています。カリフォルニアでは雑草として監視されています。

  • 原産1
  • 移入2
  • 侵略的1
  • 南アフリカ
  • オーストラリア
  • メキシコ
  • 米国

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

ベビーサンローズ(Mesembryanthemum cordifolium L.f., 1782)は、旧学名Aptenia cordifoliaでも知られるハマミズナ科の多肉質の多年草です。マツバギク類やCarpobrotusの仲間と同じ科に属します。属名はギリシャ語のmesembria(正午)とanthemon(花)からなり、正午ごろの強い日差しで花を開く性質にちなみます。 4 1

種小名cordifoliumは心形の葉を表します。フランス語でも心形の葉をもつ植物として呼ばれ、旧属名のApteniaに由来する呼び名もあります。長さ3 cmほどまでの心形葉は、円筒形の葉をもつDelosperma cooperiなどとの見分けに役立ちます。Aptenia属は2007年の大規模な系統分類の見直しによりMesembryanthemum属へ統合されました。 4 7 8

見分け方

四角形または丸い断面の茎が横に伸び、密な地表を覆う株をつくります。土に触れた節は自然に発根します。茎の長さは60 cmに達しますが、株の高さは通常10〜25 cmほどにとどまります。 4 3

対生する葉は厚く多肉質で、長さ約2.5〜3 cm、心形から卵形で光沢のある緑色です。表面の小さな袋状の細胞が日光で輝くのも特徴です。多くのハマミズナ科植物に共通し、野外での識別にも役立ちます。 4

葉腋に1つずつ咲く花は鮮やかな桃色から紫色で、中心は黄色、直径は約1.5〜2 cmです。強い日差しで開き、夜間や曇天には閉じます。果実は4室の蒴果で、湿り気に触れたときだけ開き、黒褐色の種子を放出します。 3 4

分類のポイント

長く使われてきたAptenia cordifolia (L.f.) Schwantesに対し、現在の受容名はMesembryanthemum cordifolium L.f.です。旧学名は現在も園芸分野や販売ラベルに広く残っています。 1 2

この異名関係は2007年の系統分類の改訂に由来します。Aptenia、Phyllobolus、Psilocaulon、南アフリカのカンナを含むSceletiumなど、11の小さな属がMesembryanthemum属へまとめられました。購入や同定では受容名を基準にでき、Apteniaのラベルも同じ植物を指します。 8 6

2024年に公表された葉緑体ゲノムの研究でも、本種とMesembryanthemum crystallinumの近縁関係が確認されました。この研究は、属内の種を区別するための分子情報を追加しています。 6

生息地と分布

南アフリカ南東部の海岸側、主に東ケープ州とクワズール・ナタール州に自生し、野生個体群は標高20〜800 mにみられます。夏に雨の多い気候の海岸斜面や崖に生え、沿岸の砂質土や攪乱された土地を好みます。 4

挿し木の容易さから、現在はほとんどの大陸で栽培される観賞植物になりました。カリフォルニア、フロリダ、オレゴン、南ヨーロッパの地中海沿岸、メキシコ中部などでは帰化しています。カリフォルニアでは、水分の多い場所で周囲の植生を覆うため、Cal-IPCが野生化雑草のレッドアラート対象としています。 5

広がりを左右する条件の一つは霜です。フランス本土では主に庭や鉢で栽培され、特に地中海沿岸でみられます。−5℃で凍害を受ける耐寒性の低さから、より温暖なカリフォルニアやオーストラリアの地中海性気候の地域に比べ、現在のところ帰化が限られています。 9

生活環と繁殖

北半球では晩春から初秋、自生地の南半球では冬の終わりから春にかけて開花します。1つの花が咲くのは1日だけで、強い日光で開き、光が弱まると閉じます。そのため、ハチやチョウの訪花は暖かな時間帯に集中します。 4

受精後の4室の蒴果は、乾いている間は閉じたままで、雨や湿り気に触れると開きます。ハマミズナ科に広くみられる吸湿開裂という仕組みで、種子の散布を雨の降る時期に限る働きがあります。 3

栽培では種まきよりも、茎が自ら根を出す自然な挿し木繁殖が中心です。湿った土に触れた節は1〜2週間で発根します。このため、1株だけでも区画全体に広がり、意図して栽培していない場所にも入り込めます。1本の挿し穂が広がりの起点になることもあります。 5 4

利用と注意点

斜面やロックガーデンのグラウンドカバー、吊り鉢などの観賞用として利用されます。節から素早く発根する性質は、砂質斜面の土を安定させるのにも役立ちます。潮風にも耐えるため海辺の庭でよく使われます。若い葉を生食する例もあり、スベリヒユに似た風味とされますが、観賞利用に比べると限定的です。 3 9

南アフリカのズールーの伝統では、樹液やつぶした葉を炎症に対する湿布にし、儀礼的な接種後の手当てや乳児の浣腸に用いた例があります。これらは伝統知として記録された利用であり、医療上の助言に代わるものではありません。 4

ネコ、イヌ、ヒトで毒性は報告されていませんが、ウマについては個別の資料がなく不明です。本種で主に問題となるのは生態系への影響です。水分の多い地中海性気候では、管理されない株が隣接する低い植物を覆い、除去が難しくなる場合があり、カリフォルニアで記録されています。 5

品種・類似種・近縁種

園芸では主に2つの型が区別されます。Variegataは葉縁がクリーム白色になり、Red Appleは花の赤色が強く、より旺盛に育ちます。Red Appleが選抜系統か雑種かという正確な由来は、販売する苗圃により扱いが異なります。 2

似た名前で呼ばれるハマミズナ科の地被植物には、次のような紛らわしい仲間があります。

  • Delosperma cooperiは円筒形の葉をもち、心形ではありません。
  • Lampranthus spectabilisは花がはるかに大きく、葉の断面が三角形です。
  • Carpobrotus edulisは厚く爪のような葉をもち、心形の葉ではありません。

地をはう姿、はっきりした心形葉、直径1.5〜2 cmの単生花を合わせて確認すれば、ルーペや検索表を使わなくても、これら3種とMesembryanthemum cordifoliumを見分ける手掛かりになります。 4

主な参考文献

よくある質問

Mesembryanthemum cordifoliumとAptenia cordifoliaは同じ植物ですか?

はい。Aptenia cordifoliaは2007年の系統分類の見直し以前に使われた旧学名です。この改訂でAptenia属はMesembryanthemum属へ統合されました。現在の受容名はMesembryanthemum cordifoliumです。

午後や曇天に花が閉じるのはなぜですか?

正午ごろの強い光で開き、光が弱まると閉じる性質に由来して属名が付けられました。正常な性質で、病気の兆候ではありません。

ベビーサンローズはネコやイヌに有毒ですか?

本種についてネコ、イヌ、ヒトで毒性の報告はありません。ウマに関しては種別の公表資料がなく、不明です。

ほかの地面を覆うハマミズナ科植物とどう見分けますか?

はっきりした心形の葉が特徴です。Delosperma cooperiは円筒形の葉、Lampranthus spectabilisは断面が三角形の葉とより大きな花をもちます。Carpobrotus edulisは厚く細長い葉で、心形の切れ込みがありません。

カリフォルニアで侵略的とされるのはなぜですか?

湿った土に触れた茎の節から発根し、水分の多い場所では周囲の植物を急速に覆うためです。Cal-IPCはこの性質を理由に野生化雑草のレッドアラート対象としています。

ベビーサンローズの葉は食べられますか?

若い葉を生で食べる例があり、スベリヒユに似た風味とされますが、利用は局地的で多くはありません。野外で採った植物の同定に不安がある場合、こうした利用例だけで安全と判断しないでください。

挿し木で増やすにはどうしますか?

少なくとも1つ節のある茎を切り、湿らせた砂質の用土の上に置きます。茎全体を埋める必要はありません。通常1〜2週間で発根し、発根促進剤は必要ありません。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。