オシロイバナ (Mirabilis jalapa, )
オシロイバナ(Mirabilis jalapa)はオシロイバナ科の塊根性多年草で、香るラッパ形の花を観賞するため世界各地で栽培されています。メキシコ南部からニカラグアが原産地です。花は夕方に開き翌朝に閉じます。種小名jalapaは、別科の薬用植物との歴史的な混同にも関わっています。
続きを読むオシロイバナ, Four o'clock flower, Marvel of Peru と Dondiego de noche






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Taken Aug 22, 2019 by Laure Brision (cc-by-sa)
Taken Feb 12, 2022 by Villena Rojas Marcelo (cc-by-sa)
Taken Sep 28, 2018 by Bar Szu (cc-by-sa)
Taken Nov 16, 2021 by Mallol Camprubí Albert (cc-by-sa)
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世界の分布
Kew/POWOによる厳密な自生域はメキシコ南部からニカラグアです。「ペルーの驚異」を意味する欧名から南米原産という園芸上の説明も広まりましたが、導入・帰化の記録はこの限定された自生域と区別する必要があります。
基本情報
オシロイバナ(Mirabilis jalapa L., 1753)はオシロイバナ科オシロイバナ属の塊根性多年草です。直径3~5 cmのラッパ形の花を夕方に開く性質が特徴です。種小名jalapaはメキシコの都市ハラパに由来しますが、薬用のヤラッパとは長く混同されました。 1 10
1753年の記載当初、リンネは本種が下剤ヤラッパの根を生じると考えました。1767年に薬用植物をConvolvulus jalapa、現在のIpomoea purgaとして記載し、誤りを訂正しています。フランス語の「偽のヤラッパ」という別名には、この経緯が残ります。 10
見分け方
株は直立して高さ40 cm~1.2 mになり、緑色の茎は節でふくらみ、折れやすい性質があります。中空の茎は支柱や風よけがないと風で折れたり、高さ80 cmを超える頃から倒れたりします。対生する葉は卵形から心形で、長さは数cmです。 4 3
先が5裂するラッパ形の花は直径3~5 cmで、午後遅くから夕方に開き、通常は翌日正午前にしおれます。曇天には早く開くこともあります。白、黄、ピンク、赤、淡紫の花色があり、一株、時には一輪に複数の色が現れます。 7 5
夕暮れに強まる甘い香りは夜行性のスズメガを引き寄せます。通常より早く開いた花には、ハチドリや昼行性のチョウが訪れることもあります。 3
地下にはダリアに似た暗色で細長い塊根ができます。熟した種子は黒くしわがあり、小さな手りゅう弾のような形です。 3
分類のポイント
分類上の受容名はMirabilis jalapa L.です。現在はMirabilis属に統合された旧Nyctago属の名など、次の歴史的異名があります。
- Nyctago mirabilis J.St.-Hil.(旧属名による異名)
- Nyctago jalapae (L.) DC.(旧属名による異名)
- Nyctago versicolor Salisb.(非合法名)
- Mirabilis jalapa var. lindheimeri Standl.(テキサスの型として区別されることがあります)
Mirabilis属は約60種からなります。フランス語の流通名belle-de-nuitはほぼ本種を指しますが、購入や同定では完全な学名を確認すると確実です。 1
生息地と分布
Kewが示す自生域は亜熱帯のメキシコ南部からニカラグアに限られます。「ペルーの驚異」を意味する欧名は、より広い南米原産のイメージを広めましたが、現在の分類資料はその広がりを厳密には支持しません。 1
ヨーロッパには16世紀末に導入され、その後原産地外で広く帰化しました。フランスでは地中海沿岸と南西部の標高0~600 mで逸出し、特別な保護対象ではありません。一方レユニオンでは問題となる雑草に位置づけられ、サトウキビ畑の相当部分に広がっています。 8
生活環と繁殖
温暖なUSDA耐寒性ゾーン9~11では塊根が数年間生き続ける多年草です。温帯では冬の霜で葉が枯れるため、ダリアのように塊根を掘り上げて乾燥保管するか、改めて種をまきます。 4 3
花色が一株や一輪の中で変わる性質から、本種は植物遺伝学の歴史的な研究材料になりました。メンデルは単一花粉粒による受精実験に用い、ダーウィンの主張と異なり、胚珠の受精には花粉1粒で足りることを示そうとしました。 9
利用と注意点
夕方に香る花を楽しむ夏花壇や鉢植えが主な用途です。アブラムシやナメクジは主に若芽を食害しますが、定着した株を枯らすほどではありません。一部地域では若葉を補助食に、砕いた種子をコショウ代わりにした記録がありますが、毒性の懸念に比べ限定的な利用です。根は伝統医療で利尿剤や下剤にも用いられましたが、専門家の管理なしにまねるべきではありません。 6
根と種子には刺激性成分が集中し、食べると腹痛、吐き気、嘔吐を起こします。根に触れると敏感な人では接触皮膚炎を起こすこともあります。人への毒性は低い区分ですが、子どもや、落ちた種子をかじるペットには注意が必要です。 4 6
品種・類似種・近縁種
正式に登録された園芸品種は多くありません。白花のAlbaは英国王立園芸協会に掲載され、Limelightは黄緑色の葉と鮮やかなピンクの花で知られます。混合種子で売られる絞り咲きの型は、安定した品種ではなく未選抜の実生によるものです。 2
歴史的な取り違えの相手はヒルガオ科のIpomoea purgaで、ヤラッパの名を共有していても別科の植物です。同属のMirabilis longifloraはさらに長い白花を夜に開き、強く香るため、野外で紛らわしいことがあります。 10
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Mirabilis jalapa L.
- Royal Horticultural Society, Mirabilis jalapa
- University of Wisconsin Extension, オシロイバナ
- NC State Extension Gardener Plant Toolbox, オシロイバナ
- Missouri Botanical Garden, Plant Finder, オシロイバナ
- Plants For A Future, Mirabilis jalapa
- Encyclopaedia Britannica, オシロイバナ
- INPN/MNHN, Mirabilis jalapa L., 1753
- PMC, Mirabilis jalapaを用いたメンデルの単一花粉粒による受精実験
- Tela Botanica, Mirabilis jalapaとIpomoea purgaの語源と混同
よくある質問
花が夕方に開くのはなぜですか?
花は午後遅くから夕方に開き、一晩香ってスズメガなど夜行性の送粉者を引き寄せます。通常は翌日の正午前にしおれますが、曇天には早く開くこともあります。
オシロイバナに毒性はありますか?
根と種子の刺激性成分は、食べると消化器症状を、触れると皮膚炎を起こすことがあります。毒性の程度は低いとされますが、子どもやペットには注意が必要です。
一株に複数の色の花が咲くのはなぜですか?
一株、時には一輪の中で花色が変化する性質がよく知られており、植物遺伝学の歴史的な研究に利用されました。
多年草ですか、それとも一年草ですか?
USDA耐寒性ゾーン9~11の温暖地では塊根を持つ多年草です。温帯では霜で葉が枯れるため、塊根を掘り上げて冬に保管するか、毎年種をまいて一年草として育てます。
欧名「Marvel of Peru」はどこから来たのですか?
ペルーを指す名ですが、Kewが認める厳密な原産地はメキシコ南部からニカラグアで、ペルーを含みません。園芸の伝承が原産地のイメージを広げた例です。
薬用のヤラッパと同じ植物ですか?
別の植物です。種小名jalapaはメキシコの都市名に由来し、別科のIpomoea purgaの根から得る下剤ヤラッパとの古い混同を招きました。
オシロイバナは侵略的に広がりますか?
発芽しやすい稔性種子を多くつくるため、庭でこぼれ種から増えすぎることがあります。一部の熱帯地域では問題となる農耕地雑草とされています。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。








