Phalaenopsis amabilis (Phalaenopsis amabilis, (L.) Blume 1825)

Phalaenopsis amabilis((L.) Blume, 1825)は、マレシア地域からオーストラリア北東部にかけての熱帯湿潤林に自生する、着生性のラン科植物です。肉厚の葉が重なるロゼット、銀白色の気根、弓なりの花茎に長く咲き続ける大きな白い花が見分けの手がかりになります。

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学名Phalaenopsis amabilis
属Phalaenopsis
科Orchidaceae
目Asparagales

コチョウラン, Moon orchid, Moth orchid, East Indian butterfly plant と Anggrek bulan

基本情報
毒性
ASPCA によれば猫・犬・馬に対して無毒注意 : 人(子どもを含む) · 無毒 : 猫, 犬 と 馬
管理の難易度
中程度
植物タイプ
つる性ラン · 着生性 · 室内植物
葉の性質
常緑
寿命
多年草
原産国
ビスマーク諸島ボルネオ島ジャワ島小スンダ列島モルッカ諸島ニューギニア島フィリピンクイーンズランドスラウェシ島スマトラ島
自生環境
熱帯の湿潤林。主に樹上に着生するランで、栽培では通気のよい鉢か、高温の温室で着生材に付けて育てる
季節性
開花期
秋冬春
生育
生活環
多年草
休眠
休眠しない
生育速度
4/10
成熟までの期間
根がしっかり張ったロゼットから開花し、同じ花茎や新しい花茎で再び咲くこともある
増やし方
挿し木, 種子
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
弱いため、冷たいすきま風の当たらない場所に置く
湿度
50–80 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌タイプ
ラン用土, 水はけのよい着生植物用土, 通気性のよい有機質の支持材
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

間接光の当たる場所か、日陰になる部屋に置きます。

光について
レース越しの明るい光、または明るい半日陰
室内
明るい部屋, オフィス, 明るい浴室
屋外
サンルーム, 温室, 日陰のパティオ
鉢
底穴のある鉢, コンテナ
形態
高さ0.5–1 m株張り0.1–0.5 m
葉
緑
花
白黄赤
樹形・草姿
Phalaenopsis amabilis:原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
樹皮
緑

世界の分布

POWO/WCVP は、マレシア地域からオーストラリア北東部までを自生域としています。ここに挙げた地域は POWO と Trefle の分布単位に基づくもので、フランス本土は導入地や侵入地ではなく、栽培地域として扱っています。

  • 原産10
  • ビスマーク諸島
  • ボルネオ島
  • ジャワ島
  • 小スンダ列島
  • モルッカ諸島
  • ニューギニア島
  • フィリピン
  • クイーンズランド
  • スラウェシ島
  • スマトラ島

六角形:資料に基づく地域。緑の点:原産分布域。分布状況の出典 POWO(キュー王立植物園).

基本情報

Phalaenopsis amabilis (L.) Blume は、ラン科の受理された種です。POWO/WCVP によれば、この組み合わせは1825年に Bijdragen tot de flora van Nederlandsch Indië で発表されたもので、それより古いリンネの Epidendrum amabile が基礎異名にあたります。1 2

園芸店でコチョウランと呼ばれるのは、たいていコチョウラン属全体、あるいはその交配種です。Phalaenopsis amabilis はそのなかの白花の一種で、栽培に広く使われてきたうえ、AOS によれば属の基準種でもあります。3 4

moon orchid、moth orchid、East Indian butterfly plant、インドネシア語の anggrek bulan といった呼び名は、英語圏やインドネシアの資料を探すときに役立ちます。とはいえ、ぶれない名前は学名のほうです。5 6 4

見分け方

茎はごく短く、ほとんど目立ちません。幅広で肉厚、つやのある葉が数枚、ロゼット状に重なります。園芸資料では葉の数を3〜5枚とするのが一般的で、コチョウラン属全体の特徴としては、偽球茎をもたないこと、気根を伸ばすこと、葉の付け根から房状に花をつけることが挙げられています。4 7

花茎は弓なりに伸びるか枝分かれし、長もちする白い花をつけます。原種では香りのあることも少なくありません。RHS は花の直径を最大10 cmとし、唇弁は白と黄色で喉の部分が赤いと記しています。AOS も白い萼片と花弁、赤い斑点の入った黄色い三裂の唇弁を挙げ、花の大きさを8〜10 cmほどとしています。4 3

そのため、量販店に並ぶコチョウランが P. amabilis だとは限りません。多くは交配種です。確かな手がかりになるのは、学名の入ったラベル、典型的な白い花、偽球茎のないロゼット、そして明るい間接光を好む着生植物らしい姿がそろっているかどうかです。4 7

知っておきたい分類

POWO は Phalaenopsis amabilis (L.) Blume を受理名とし、種のランクで3つの同基準異名を挙げています。Epidendrum amabile L.、Cymbidium amabile (L.) Roxb.、Synadena amabilis (L.) Raf. です。1

同じ資料は、種内分類群として P. amabilis subsp. amabilis、subsp. moluccana、subsp. rosenstromii の3つを認めています。これらは分類上のランクであり、観賞用の園芸品種ではないので、根拠なく「店頭の品種」として扱わないよう注意が必要です。1 2

判断が分かれるのは Phalaenopsis aphrodite の扱いです。RHS は園芸上のシノニムに含めていますが、POWO/WCVP と AOS は、かつて P. amabilis と混同されてきた別種として扱っています。ここでは POWO/WCVP の分類に従い、二つの名前をまとめずに混同があることを示しています。4 1 3

生育環境と分布

POWO によれば、P. amabilis の自生域はマレシア地域からオーストラリア北東部に及びます。自生の記録があるのは、ビスマーク諸島、ボルネオ島、ジャワ島、小スンダ列島、モルッカ諸島、ニューギニア島、フィリピン、クイーンズランド、スラウェシ島、スマトラ島です。Trefle のデータも同じ地域を挙げています。1 6

主に樹上に着生し、熱帯湿潤域のバイオームに属します。栽培で求められる条件も、この生態から説明できます。通気性の高い植え込み材、呼吸できる根、湿り気がありながら動いている空気、やわらかな光、そして株元に水がたまらないことです。1 8

温帯の地域では、室内やサンルーム、高温の温室で育てる栽培植物として考えるのが妥当です。参照した資料には、侵略的とする記録も、温帯で野生化したという記録もありません。1 9

生活環・栽培・手入れ

家庭での生育の様子は、主に根と花茎に表れます。銀白色の根は水を吸うと緑色に変わります。葉にもある程度水を蓄えますが、AOS は、コチョウラン属を長いあいだ完全に乾かしてはいけないと注意しています。水やりは、たっぷり与えてよく水を切り、植え込み材がほぼ乾くまで待つのが基本です。8 4

光は明るく、しかし直射を避けたものが向いています。AOS は直射日光がほとんど、あるいはまったく入らない明るい窓辺を勧め、RHS は半日陰で、雨風を避け、水はけのよい植え込み材で育てるとしています。寒さには明確に弱く、RHS の耐寒区分は H1A、つまり一年を通してガラス越しの環境が必要です。AOS は、夜間もおおむね16 °Cを上回る暖かい室温を勧めています。耐寒性の目安である USDA ゾーン10〜12 は関東の冬より暖かい条件にあたるため、日本では冬のあいだ暖房の効いた部屋に置くことが前提になります。8 4

もう一度咲かせるには、根が十分に張っていること、光が足りていること、そして秋に夜温がやや下がることが条件になります。花茎が緑色のままなら、下のほうの節の上で切り戻すと、続けて花が咲くことがあります。黄色くなったり枯れたりした花茎は取り除きます。4 8

植え替えは主に花のあと、バークが分解してきたときや、根が鉢いっぱいになったときに行います。根は肉厚で傷みやすいため、不要な植え替え、目の詰まった用土、水のたまった鉢カバーは避けてください。8 4

利用と注意点

用途はもっぱら観賞です。室内の鉢花として、また高温の温室や明るいサンルーム、コレクションとしてのラン栽培に用いられます。RHS は P. amabilis に AGM を与えており、AOS は現代の白花交配種の土台として重要な役割を果たしてきたと述べています。4 3

動物への毒性については、ASPCA が Phalaenopsis sp. を犬、猫、馬に対して無毒と分類しており、参照した CSV データも同じ三つの判定を示しています。そのため猫、犬、馬には安全とされていますが、人については慎重に扱います。食用にしてよいとする資料はないためです。5 10

栽培で実際に問題になるのは、主に園芸上のトラブルです。ロゼットに水が残ったときの株元の腐れ、傷んだ植え込み材の中で黒くなる根、カイガラムシ、アブラムシ、アザミウマ、ハダニ、そして湿った空気がよどむと花に出る灰色かび病(Botrytis)が挙げられます。4 7

変異・混同しやすい種・近縁の植物

POWO が認める亜種は、一般の流通品で見分けられるとは限りません。「白いコチョウラン」として売られている株の多くはコチョウラン属の交配種で、純粋な原種ではありません。P. amabilis の名は、正しくラベル付けされた株に限って使うのが慎重な扱いといえます。1 3

取り違えやすいのは、次のようなものです。

  • Phalaenopsis aphrodite:近縁の種で、長く P. amabilis と混同されてきた
  • 園芸店に並ぶ白花の交配種:信頼できる種名がついていないことが多い
  • Doritaenopsis と Doritis:一部の栽培資料に見られる旧名や園芸上のグループ
  • Cattleya、Cymbidium、Dendrobium など、ほかの室内向けのラン:コチョウラン属にはない偽球茎や棒状の茎をもつことが多い

大切なのは、ラベルを最後まで読むことです。「Moth orchid」や「コチョウラン」は属全体や交配種を指すこともあります。Phalaenopsis amabilis と呼ぶには、分類の資料と矛盾しない学名がはっきり示されている必要があります。7 4

主な参考文献

よくある質問

Phalaenopsis amabilis は猫にとって有毒ですか?

ASPCA は Phalaenopsis sp. を猫、犬、馬に対して無毒と分類しています。ただし食べてよい植物という意味ではないため、普段と違う量を口にした場合は様子を見てください。

このランは食べられますか?

食用としての利用は確認されていません。参照した資料が記録しているのは主に観賞用途と動物への安全性で、人の食用についての情報ではありません。

温帯の地域で野生化するおそれはありますか?

参照した資料には、侵略的とする記録はありません。たとえばフランス本土では、P. amabilis は室内やサンルーム、高温の温室で育てる植物として扱われています。

根が銀色に見えるのはなぜですか?

コチョウラン属の根は吸水性の組織に覆われており、乾くと銀白色に、水を吸うと緑色に見えます。水分状態のよい目安で、病気ではありません。

Phalaenopsis amabilis と Phalaenopsis aphrodite は同じ植物ですか?

ここで採用している POWO/WCVP の分類では別の種です。古い園芸資料には両者を混同したものもありますが、AOS と WCVP は別種として扱っています。

花が終わったら花茎は根元から切るべきですか?

必ずしもそうではありません。花茎が緑色のままなら、下のほうの節の上で切ると再び咲くことがあります。黄色くなって枯れてきたら取り除いてかまいません。

似ている植物

植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。