アオミツバカズラ (Syngonium podophyllum, )



アオミツバカズラ(Syngonium podophyllum)は、メキシコからボリビアにかけてのラテンアメリカの広い地域を原産とする、サトイモ科の半着生つる植物です。若い株は矢じり形の単葉をつけますが、成熟してよじ登るようになると、いくつもの小葉に分かれた複葉を広げ、鉢植えの幼い姿とはまるで別の植物のようになります。
続きを読むシンゴニウム, Arrowhead vine, Nephthytis と American evergreen
葉に直射日光が当たらない、明るい場所に置きます。

世界の分布
Syngonium podophyllum の自生域はメキシコ南部からボリビアまで広がり、コスタリカ、パナマ、コロンビア、ブラジル、エクアドルでも個体群が記録されています。自生域の外では栽培株の逸出によって広く野生化し、熱帯や亜熱帯のいくつかの地域では侵略的な存在になっています。
- 原産7
- 移入3
- 侵略的1
- メキシコ
- グアテマラ
- コスタリカ
- パナマ
- コロンビア
- ブラジル
- ボリビア
- ハワイ
- シンガポール
- 南アフリカ
- アメリカ合衆国(フロリダ州)
六角形:資料に基づく地域。緑の点:原産分布域。分布状況の出典 POWO(キュー王立植物園).
基本情報
アオミツバカズラ(Syngonium podophyllum Schott, 1851)は、サトイモ科シンゴニウム属のつる性の多年草で、園芸店では属名のままシンゴニウムと呼ばれることが多い植物です。種小名 podophyllum はギリシャ語で「足の形の葉をもつ」という意味で、成葉の小葉が扇状に並ぶ様子を指しています。1 2
海外の園芸流通でいまも見かける nephthytis という呼び名は、古い園芸上の混同に由来します。この植物は長いあいだ、アフリカに分布する別の属の名前を借りて売られていました。英名の arrowhead vine や arrowhead plant は、よじ登る前の段階にしか見られない、矢じり形の幼葉を表したものです。3 4
見分け方
いちばんの特徴は、はっきりとした異形葉性です。幼葉は切れ込みのない矢じり形の単葉で、表は濃い緑、裏はやや淡く、長さは8〜20 cmです。株が成熟してよじ登るようになると、葉は5〜9枚の小葉に分かれた鳥足状になり、中央の小葉は長さ25 cmに達することもあります。切れ込みのない葉は異常ではなく、この種の若い段階にすぎません。4 5
鉢植えでは高さ1.5〜2.5 m、横幅50 cm〜1 mほどになるのが普通ですが、自生地で樹幹を支えにすると10 mまでよじ登ります。幼葉の葉柄だけで40 cmを超えることもあり、若い株でも葉身の実際の大きさに比べてかさばって見えます。細い気根で湿った樹幹や壁、岩に取りつき、乳白色の樹液は皮膚や目に触れると刺激になります。2 6 4
知っておきたい分類
シンゴニウム属には中南米の約30種が含まれ、分類の見直しが重なるなかで、いくつもの名前が S. podophyllum のシノニムや変種として整理されてきました。
- Syngonium vellozianum Schott
- Syngonium affine Schott
- Syngonium willdenowii Schott
- Syngonium riedelianum Schott
- Syngonium xanthophilum Schott
- Xanthosoma gracile Miq.
- Pothos auritus Willd.
この7つの名前は、いずれも分類の改訂によって使われなくなったシノニムです。同じ植物が園芸店で複数のラベルのまま売られていることがあるのは、そのためです。確かな拠りどころは、POWO が受理名としている Syngonium podophyllum Schott です。1
生育環境と分布
自生域はメキシコ南部からボリビアまで広がり、コスタリカ、パナマ、コロンビア、ブラジル、エクアドルでも個体群が記録されています。熱帯湿潤林の日陰になった林床に生え、海抜0 mから中標高まで見られます。樹幹を伝ってよじ登り、やわらいだ光の届く高さを目指します。4 7
原産地の外では、観賞用の栽培株が逸出して広く野生化しています。フロリダ州では1966年にブレバード郡で初めて野生の株が記録され、現在は Florida Invasive Species Council によってカテゴリー1に分類されています。地面を密に覆い、一部の希少なシダ類を含む在来の植生を覆い隠してしまいます。6 7
同じような侵略的な個体群は、太平洋の島々、オーストラリア、南アフリカ、シンガポールでも報告されています。その多くは自然な分散ではなく、捨てられた観葉植物から広がったものです。7
生活環と繁殖
室内で咲くことはまれですが、条件のよい気候でよじ登って育った成株なら、主に夏に花を咲かせます。花序は長さ約8 cmの白い肉穂花序と仏炎苞からなります。仏炎苞の下部は閉じて膨らみ、果実が熟すと緑から赤に変わります。上部は開いて短命で、クリーム色のままです。つぼみは緑から赤みを帯び、開くと白くなります。4
果実は長さ約5 cmの卵形の集合果で、白い果肉の中に8 mmほどの卵形の種子がいくつも埋まっています。栽培下ではこの段階はほとんど問題になりません。殖やすときはほぼ節のついた茎挿しで、水か湿った用土に挿せば2〜3週間で発根が始まります。よく茂った株の株分けでも殖やせます。4 3
利用と注意点
主な用途は観賞です。熱帯では湿った壁や岩を覆うグラウンドカバーやよじ登る植物として、温帯では支柱の有無を問わず室内の鉢植えとして育てられます。耐寒性の目安はUSDAゾーン10〜12で、関東のように冬の気温がこれを下回る地域では、室内で冬越しさせるのが現実的です。支柱を立てると、本来のよじ登るつる植物としての性質に近づきます。支えがなければ低い株立ちのままで、単葉の幼葉をつけ続け、成熟した鳥足状の小葉を出すことはありません。2 3
株のすべての部分に、針状結晶の形で不溶性のシュウ酸カルシウムが含まれています。ASPCA は Syngonium podophyllum を猫、犬、馬に対して有毒と分類しており、口にすると口内の刺激、過剰なよだれ、飲み込みにくさが起こります。樹液に触れると皮膚や目が刺激されることもあるため、剪定や植え替えのときは手袋をしておくと安心です。8 3
品種・混同しやすい種・近縁の植物
園芸店に並ぶ品種名は、主に斑の入り方や葉色を表しています。White Butterfly は葉の中央に広い銀白色の斑が入り、Pink Allusion と Neon Robusta はピンクからオレンジがかった葉色で、光が弱いと色が薄れます。Mini Pixie は節間の詰まった矮性のタイプです。いずれも独立した種を指す名前ではありません。2
よく取り違えられるのは、次の植物です。
- Philodendron hederaceum:若い心形の葉が、シンゴニウムの矢じり形の幼葉に似ている
- 一部の Xanthosoma:若い段階ではやはり矢じり形の葉をつける
- Epipremnum aureum:室内でよく育てられるつる植物で、花や果実がないと区別がつきにくい
決め手になるのは葉の成熟度です。矢じり形の幼葉だけでは3つの属のどれとも決めにくいのですが、鳥足状の小葉が5〜9枚に分かれていれば、当てはまるのは Syngonium podophyllum だけです。
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Syngonium podophyllum Schott
- Royal Horticultural Society, Syngonium podophyllum details
- Missouri Botanical Garden, Syngonium podophyllum plant finder
- NC State Extension Gardener Plant Toolbox, Syngonium podophyllum
- ASPCA、Arrow-Head Vine の毒性情報
- IUCN Global Invasive Species Database, Syngonium podophyllum
- USDA PLANTS Database, Syngonium podophyllum profile (SYPO)
- University of Florida IFAS Assessment, Syngonium podophyllum
- Monaco Nature Encyclopedia, Syngonium podophyllum
よくある質問
アオミツバカズラはフィロデンドロンの仲間ですか?
いいえ。Syngonium podophyllum はフィロデンドロンと同じサトイモ科に属しますが、独立したシンゴニウム属に置かれています。混同されやすいのは、主に両者の若い矢じり形の葉がよく似ているためです。
シンゴニウムの葉に切れ込みがないのはなぜですか?
矢じり形の単葉は、若い株ではごく普通の姿です。分かれた小葉は成熟してから現れ、多くの場合、よじ登るための支柱がある株で見られます。
アオミツバカズラは猫や犬にとって有毒ですか?
はい。株のすべての部分に不溶性のシュウ酸カルシウムが含まれ、ASPCA は猫、犬、馬に対して有毒と分類しています。口にすると口内の刺激やよだれが起こります。
フロリダでシンゴニウムが侵略的とされるのはなぜですか?
観賞用の栽培から逸出した株が地面を密に覆い、湿った土地では樹木にもよじ登ります。FLEPPC はカテゴリー1に分類しており、野生での最初の記録は1966年のブレバード郡です。
斑入りの品種はどう見分ければよいですか?
White Butterfly、Pink Allusion、Albo-Variegatum は、特定の斑に結びついた園芸上の呼び名で、別の種ではありません。斑は光が弱いと薄れることがよくあります。
シンゴニウムは室内で花を咲かせますか?
鉢植えで咲くことはまれですが、条件のよい気候でよじ登って育った成株なら開花することがあります。花序は長さ約8 cmの白い肉穂花序と、緑色からクリーム色に変わる仏炎苞からなります。
似ている植物
植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。





