シマムラサキツユクサ (Tradescantia zebrina, Bosse 1849)

シマムラサキツユクサ(Tradescantia zebrina)は、メキシコから中央アメリカにかけてを原産とするツユクサ科の多年草で、茎を這わせたり垂れ下げたりしながら広がります。葉の表は銀白色と緑の縞模様、裏は紫色で、室内では主に吊り鉢に仕立て、垂れ下がる姿を楽しみます。

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学名Tradescantia zebrina
属Tradescantia
科Commelinaceae
目Commelinales

ゼブリナ, Silver inch plant と Inch plant

基本情報
毒性
動物や子どもは接触と誤食に注意人(子どもを含む), 猫 と 犬
管理の難易度
低い
植物タイプ
室内植物 · 宿根草 · 草本性つる植物
葉の性質
常緑
寿命
多年草
原産国
メキシコグアテマラホンジュラスコロンビア
自生環境
熱帯から亜熱帯の湿った林床や林縁、日陰の土手や岩場
季節性
開花期
夏
生育
生活環
多年草
休眠
休眠しない
生育速度
9/10
成熟までの期間
ひと夏の生育期で、垂れ下がる密な株になる
増やし方
節挿し, 株分け
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
鉢植えでは風に弱いため、風の当たらない場所に置く
湿度
40–60 %
耐乾性
いいえ
用土
土壌pH
土壌タイプ
室内植物用培養土, 水はけのよい培養土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件
光について
明るい間接光
室内
リビング, 明るい部屋
窓からの距離
東向きまたは西向きの窓から約40 cm
屋外
日陰のパティオ, サンルーム
鉢
吊り鉢, 底穴のある鉢
形態
高さ15–30 cm株張り30–90 cm
葉
緑白紫
花
ピンク紫
樹形・草姿
シマムラサキツユクサ(Tradescantia zebrina):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
樹皮
紫緑

世界の分布

Tradescantia zebrina の自生域は、メキシコ南部から中央アメリカを経てコロンビアに及びます。広く栽培されてきたため、熱帯・亜熱帯の各地で野生化し、局地的に侵略的になっています。こうした導入地域は、本来の自生域とは分けて考える必要があります。

  • 原産4
  • 移入1
  • 侵略的2
  • メキシコ
  • グアテマラ
  • ホンジュラス
  • コロンビア
  • アメリカ合衆国(フロリダ州)
  • オーストラリア東部
  • 南アフリカ

六角形:資料に基づく地域。緑の点:原産分布域。分布状況の出典 POWO(キュー王立植物園).

基本情報

シマムラサキツユクサ(Tradescantia zebrina Bosse, 1849)は、ツユクサ科ムラサキツユクサ属の、茎を垂れ下げて育つ多年草です。園芸店では旧属名に由来するゼブリナの呼び名もよく使われます。種小名 zebrina は、葉の表を走る銀色と緑の縞をシマウマの模様に見立てたものです。1 2

丈夫な観葉植物として親しまれ、英語圏では silver inch plant や inch plant の名で売られています。多肉質の茎と、裏が紫色の葉をもつ垂れ下がる姿はひと目でそれとわかり、生長の速さと育てやすさで人気を集めています。3 4

見分け方

まず目を引くのは、地を這うか垂れ下がる多肉質の茎です。節が湿った用土に触れると、すぐにそこから根を出します。葉は先のとがった卵形で長さ3〜8 cm、表は緑の地に2本の銀色の縞が入り、裏ははっきりとした紫色です。4 5

同定の決め手になるのが節の形です。葉の基部が葉鞘となって茎を包んでおり、これはツユクサ科に共通する特徴です。節はほぼ2〜3 cmおきに並び、英名の inch plant もここから来ています。茎を折ると、透明でやや粘りのある樹液がにじみ出ます。2 3

花は小さく、ピンクから藤色の3枚の花弁をもつ一日花で、茎の先の2枚の苞のあいだに集まって咲きます。室内栽培では草丈15〜30 cmと低いままですが、吊り鉢から垂れる茎は60 cmを超えることもあります。4 6

知っておきたい分類

1849年、Bosse によって Tradescantia zebrina の名で記載されました。その後長く独立した Zebrina 属に置かれていましたが、現在はムラサキツユクサ属にまとめられています。いまも目にする古い学名には、次のようなものがあります。

  • Zebrina pendula Schnizl.
  • Cyanotis zebrina (Bosse) Nees
  • Commelina zebrina (Bosse) André
  • Tradescantia zebrina var. zebrina
  • Tradescantia zebrina var. flocculosa (G.Brückn.) D.R.Hunt

Purpusii や Quadricolor といった名札は園芸上の選抜系統を指すもので、独立した種や植物学上の変種ではありません。確かな拠りどころは受理名の Tradescantia zebrina です。シノニムの Zebrina pendula は、古い園芸書ではいまも頻繁に見かけます。1 2

生育環境と分布

原産地はメキシコ南部から中央アメリカ、コロンビアにかけての高温多湿な地域です。明るい林床や日陰の土手、岩場、道端に生え、這い広がる茎が地面を密に覆います。1 4

生長がきわめて速く、茎のわずかな断片からでも根づくため、原産地の外でも容易に野生化します。熱帯・亜熱帯のいくつかの地域、とくにオーストラリア東部や南アフリカでは局地的に侵略的となり、湿った林床の背の低い植物を覆い隠しています。5 2

こうした導入地域は、アメリカ大陸の自生域とは区別して扱う必要があります。耐寒性の目安はUSDAゾーン9〜11で、関東をはじめ冬に冷え込む地域では屋外での越冬が難しく、室内か、寒さを防げる場所での栽培が基本になります。3 4

生活環と繁殖

ツユクサ科の多くと同じく、3枚の花弁をもつ小さな一日花を咲かせます。花は朝に開き、その日のうちにしぼむことが多いものです。開花は目立たず、栽培の目的にもなりません。室内では咲いたり咲かなかったりします。4 6

この植物の本領は栄養繁殖にあります。折れた茎が湿った地面に落ちると、節から根を出して新しい株になります。鉢植えでの旺盛さも、愛好家のあいだで一気に広まったことも、この性質で説明がつきます。5 3

そのため栽培下では、節のついた茎挿しか、込み合った株の株分けで殖やすのが一般的です。節のすぐ下で切った挿し穂を水か湿った用土に挿し、暖かく明るい間接光の当たる場所に置けば、1〜3週間で最初の根が出ます。株分けは、よく茂った根鉢をすでに根のついたいくつかの株に分ける方法で、分けた株はすぐに生長を再開します。3 4

利用と注意点

現在の用途はほぼ観賞に限られます。室内では吊り鉢から垂らして楽しみ、温暖な気候ではグラウンドカバーや寄せ植えの縁取りにも使われます。育てやすさの源である旺盛さは、一部の熱帯地域で侵略的にふるまう原因でもあります。2 5

樹液には軽い刺激性があります。敏感な肌に触れると赤みやかゆみを起こすことがあり、動物でも人でも皮膚炎の例が知られています。口にした場合は、軽い消化器症状が出ることがあります。ASPCA は Tradescantia 属を猫と犬に皮膚炎を起こしうる植物としているため、動物や小さな子どもの手の届かない場所に置き、切り戻しの際には手袋をしておくと安心です。7 6

品種・混同しやすい種・近縁の植物

流通している姿の違いは、別の種によるものではありません。Purpusii はほぼ全体が紫色で銀色の斑が少ない型、Quadricolor は緑、銀、ピンク、紫の4色が入る型です。Burgundy と Silver Plus は葉色を売りにした園芸上の名札です。購入の際は、茎の状態、葉の張り、株元が枯れ上がっていないかを確かめておくとよいでしょう。3

よく取り違えられるのは、次の植物です。

  • Tradescantia fluminensis:ノハカタカラクサ。葉は緑色で銀色の縞がない
  • Tradescantia pallida:ムラサキゴテン。株全体が紫色になる
  • Tradescantia spathacea:ロゼット状にまとまり、葉裏が紫色

緑の地に入る2本の銀色の縞、はっきりと紫色の葉裏、節ごとの葉鞘。この三つがそろえば、店頭の株が Tradescantia zebrina であると判断できます。4 1

主な参考文献

よくある質問

シマムラサキツユクサに毒性はありますか?

樹液には軽い刺激性があり、敏感な肌に触れると赤みやかゆみが出ることがあります。ASPCA は Tradescantia 属を猫と犬に皮膚炎を起こしうる植物としています。動物や小さな子どもの手の届かない場所に置くと安心です。

シマムラサキツユクサの株元がすかすかになるのはなぜですか?

茎は古くなったり光が足りなかったりすると、下のほうから葉が落ちていきます。先端をこまめに摘むと株が密になり、若い挿し穂を植え直せば、まとまりのよい株に戻せます。

Tradescantia zebrina の葉色があせてくるのはなぜですか?

銀色の縞と紫色の葉裏は、日陰では薄れていきます。明るい間接光に、やわらかい日差しが少し当たる程度が、色のコントラストをよみがえらせます。一方、真昼の強い日差しは葉をくすませます。

シマムラサキツユクサの挿し木はどうすればよいですか?

節が少なくとも一つついた茎を切り取り、水か湿った用土に挿します。根は1〜3週間ほどで出てきます。これほど簡単に殖やせることが、愛好家のあいだで広まった理由です。

Tradescantia zebrina と間違えやすい植物はどれですか?

取り違えが多いのは、ノハカタカラクサ(Tradescantia fluminensis)とムラサキゴテン(Tradescantia pallida)です。緑の地に入る銀色の縞と紫色の葉裏が、よい目印になります。

シマムラサキツユクサは侵略的な植物ですか?

冬の寒い地域では、主に室内で育てる植物です。ただし熱帯・亜熱帯のいくつかの地域では、生長の速さと、ちぎれた茎がそのまま根づく性質のために、局地的に侵略的な種となっています。

Tradescantia zebrina にはどのくらいの光が必要ですか?

明るい間接光のもとで、もっとも美しい葉になります。朝のやわらかい日差しが少し当たると、色がいっそう濃くなります。日陰では茎が間延びし、銀色の縞も失われます。

似ている植物

植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。