クマコケモモ (Arctostaphylos uva-ursi, )
クマコケモモ(Arctostaphylos uva-ursi)はツツジ科の匍匐性の小低木です。アイスランドからシベリア、ロッキー山脈、アパラチア山脈まで北半球を取り巻くように分布します。革質の常緑葉が密なマットをつくり、春に白からピンクの釣鐘形の花、秋に鮮紅色の果実をつけます。葉は伝統的に薬用に採取されてきました。
続きを読むクマコケモモ, Kinnikinnick と Bearberry





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Taken Jun 9, 2015 by Tela Botanica − George FOWLER (cc-by-sa)
Taken Aug 27, 2015 by Tela Botanica − Liliane ROUBAUDI (cc-by-sa)
Taken May 26, 2021 by NordicPlant (cc-by-sa)
Taken Dec 12, 2021 by chester (cc-by-sa)
Taken May 27, 2021 by Alain Bigou (cc-by-sa)
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世界の分布
北方周極域に分布し、北ヨーロッパ、シベリア、北アメリカ、グリーンランドに広がります。南へはアルプス、ピレネー、コーカサス、ヒマラヤ、ロッキー、アパラチアなどの山脈の高山・亜高山帯に限られます。北アメリカ以外にも分布するクマコケモモ属唯一の種です。
基本情報
クマコケモモ(Arctostaphylos uva-ursi (L.) Spreng., 1825)はツツジ科イチゴノキ亜科の匍匐性の小低木です。クマコケモモ属のタイプ種でもあります。リンネが1753年にArbutus uva-ursiとして記載し、1825年に植物学者クルト・シュプレンゲルが現在の属へ移しました。 1 6
学名の属名と種小名は、同じ意味を重ねています。Arctostaphylosはギリシャ語のarktos(熊)とstaphyle(房)、uva-ursiはラテン語で「熊の果実」を意味します。熊がこの実を好んで食べることを、二つの言語で表しています。 6 4
フランス語の「busserole」は、革質で常緑の葉がツゲに似ることから生まれた名で、「偽のツゲ」と呼ばれることもあります。英語のBearberryや、伝統的な呼び名のKinnikinnickも本種を指します。 6
見分け方
地を這う茎は長さ50 cm〜2 mになり、垂れ下がることもあります。土に長く触れた部分から根を出し、高さ5〜30 cmの密なクッション状に広がります。薄い樹皮ははがれ、淡緑色から、やがて滑らかな赤褐色に変わります。 6 4
厚く革質の常緑葉は長さ1〜3 cmです。葉縁は鋸歯のない全縁で少し反り返り、表は光沢のある濃緑色、裏は淡い色になります。冬の銅色への変化は自然な季節変化で、病気ではありません。春には再び緑になります。 6
春には5〜12個の花が垂れ下がる総状花序につきます。白またはピンクの釣鐘形の花冠は先が浅く5裂し、内部に10本の雄しべがあります。後にできる球形の核果は6〜13 mmで、熟すと鮮紅色になります。食べられますが、粉っぽく、見た目ほど味わいは豊かではありません。 6 3
完全に地を這い、途中から発根する姿は、場所による変化が大きい花や葉の形よりも確かな識別点です。健康な株は高さ最大30 cmの連続したマットになり、根元だけが地面に接する直立茎にはなりません。 6
分類のポイント
本種についてPOWOが採用する受容分類群はArctostaphylos uva-ursi (L.) Spreng.です。基礎異名はArbutus uva-ursi L.で、同じタイプに基づく異名にはMairrania uva-ursi (L.) Desv.、Uva-Ursi uva-ursi (L.) Britt.があります。 1 2
北アメリカでは歴史的に最大14亜種が記載され、カリフォルニア固有の矮性型も含まれていました。現在のPOWOはそれらをすべて本種には含めていません。かつてsubsp. cratericolaと呼ばれたグアテマラの隔離個体群など、いくつかは単なる変種ではなく、同属の別種に結びつけられています。 1 7
分類の変遷があるため、とくに北アメリカの古い流通ラベルは確認が必要です。北方周極域に広がる典型的な本種を確かめるには、Arctostaphylos uva-ursiという二名法の学名が安定した目印になります。 7
生息地と分布
北半球を取り巻く北方周極分布が特徴です。アイスランドとノルウェー北部からシベリア、コーカサス、ヒマラヤへ広がり、南では山地の高山・亜高山帯に限られます。北アメリカ以外にも分布する同属唯一の種で、属の多くは分布の狭いカリフォルニアの植物です。 7 1
北アメリカではアラスカとグリーンランドから、ロッキー山脈のニューメキシコ、アパラチア山脈のバージニアまで分布し、ジョージアにもまれな隔離個体群があります。フランスではジュラ、アルプス、中央山塊、ピレネーに見られ、南アルプスの標高1,000〜1,800 mのヨーロッパアカマツ林に豊富です。最南部のサント・ヴィクトワール山では、標高約850 mに少数の株が残ります。 6 5
冷涼で日当たりがよく、珪質で乾燥から適湿の、酸性または中性の土を好みます。滞水には弱い一方、水はけがよければ−40 °Cに耐えます。この耐寒性が、他の地被性ツツジ科植物の少ないアイスランドやカナダ北極圏にも生育する理由です。フランスとヨーロッパでの保全評価は低懸念ですが、アメリカ中西部の一部の州では希少または絶滅の危険があります。 6 5
生活環と繁殖
再生の中心は栄養繁殖です。2年目以降、匍匐茎の節から不定根が腐植層へ伸びます。7〜8年たつと、埋もれた茎に沿って休眠芽ができ、損傷や火災がきっかけになることもあります。地上部が焼けても、この地下の蓄えから数週間で再生できます。10年を超える茎では、地下の木質の塊の周囲に約100個の芽ができることもあります。 6
種子繁殖の役割は比較的小さいものです。核果は冬の間も株に残り、動物や重力によって散布されます。硬い種皮をもつ種子は、休眠を解くために種皮を傷つける処理と層積処理が必要です。実生の最初の3年間の成長が遅い理由にもなります。 6 7
受粉は主にハナバチが担いますが、特定のアザミウマ(Ceratothrips ericae、Haplothrips setiger)も関わります。蜜を吸うハチドリが訪れる場合もあり、自家受粉も可能です。 6
利用と注意点
乾燥葉はuvae ursi foliumと呼ばれ、ヨーロッパ薬局方とドイツのコミッションEのモノグラフに収載された伝統的な生薬です。軽度の尿路障害である膀胱炎や尿道炎に利用されてきました。主成分のアルブチンは資料により5〜17%で、アルカリ性の尿中でヒドロキノンに変化します。この物質により、大腸菌(Escherichia coli)に対する殺菌作用が説明されています。 6 7
薬用としての伝統利用には制限があります。腎不全や妊娠中、2〜3週間を超える使用は勧められません。ヒドロキノンの大量摂取は吐き気、耳鳴り、けいれんの原因になり得ます。一方、この伝統的な利用の有効性を裏づける確かな臨床データはありません。 8 6
猫や犬については、本種の毒性は報告されていません。乾燥葉は北アメリカ先住民の喫煙用混合物kinnikinnickにも使われ、北欧では枝が長く皮なめしに利用されてきました。 4 6
品種・類似種・近縁種
地被用の観賞品種として、鮮緑色でコンパクトなVancouver Jade、葉のさび病への抵抗性で知られるMassachusetts、大きな葉と果実のBig Bearなどがあります。耐塩性と耐乾性を生かし、ロックガーデン、斜面、海岸の庭で土を覆うために植えられます。 4 3
最も間違えやすいのは、同じく酸性の林床に生えるツツジ科のコケモモ(Vaccinium vitis-idaea)です。コケモモは茎が立ち、葉縁に細かい鋸歯があります。クマコケモモは完全に地を這い、全縁の葉をもち、高さ30 cmを超えません。かつて本種の亜種とされたカリフォルニアの矮性型が別種に再分類されたことも、北アメリカのロックガーデンでの混同につながります。 7
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Arctostaphylos uva-ursi (L.) Spreng.
- International Plant Names Index, Arctostaphylos uva-ursi (L.) Spreng.
- Royal Horticultural Society, Arctostaphylos uva-ursi(クマコケモモ)
- NC State Extension, Arctostaphylos uva-ursi(クマコケモモ)
- INPN, クマコケモモ, Arctostaphylos uva-ursi
- Wikipedia フランス語版, Arctostaphylos uva-ursi
- Wikipedia 英語版, Arctostaphylos uva-ursi
- De Arribaほか、2013年、Arctostaphylos uva-ursiの葉由来の遊離ヒドロキノンのリスク評価、International Journal of Toxicology
よくある質問
クマコケモモは猫や犬に有毒ですか?
本種について猫、犬などのペットへの毒性は報告されていません。馬については安全性が確認されているのではなく、情報が不足しています。
クマコケモモは安心して飲食できますか?
葉は尿路のための茶に伝統利用されます。ただしアルブチンから生じるヒドロキノンのため、2〜3週間を超える使用や妊娠中の摂取は勧められません。
コケモモとの違いは何ですか?
どちらも酸性土壌の林床に生える低いツツジ科植物です。クマコケモモは葉縁が全縁で完全に地を這いますが、Vaccinium vitis-idaeaは葉縁に細かい鋸歯があり、茎がより直立します。
庭で増やすにはどうしますか?
節から発根した匍匐茎の挿し木や、地面での取り木が最も確実です。種まきもできますが、種皮を傷つける処理が必要で、成長は遅くなります。
フランスにも自生していますか?
はい。ジュラ、アルプス、中央山塊、ピレネーなどに自生します。南部のブーシュ=デュ=ローヌ県、サント・ヴィクトワール山には隔離した個体群があります。
冬に葉が褐色になるのはなぜですか?
寒さによる自然な銅色への変化で、常緑の本種に見られる性質です。病気の兆候ではなく、暖かくなると緑に戻ります。
火災後も再生する植物ですか?
密なマットは火の進行を抑え、古い茎に沿って地中にある休眠芽から火災後すばやく再生できます。この性質は主に北アメリカとスコットランドで記録されています。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。





