カプシクム・キネンセ (Capsicum chinense, Jacq. 1777)

カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense)はアマゾン盆地原産のナス科の亜低木です。種小名に反して中国との植物学的なつながりはありません。世界でも特に辛いトウガラシを含む種の一つで、花は1個ずつではなく、節ごとに複数がまとまってつきます。

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学名Capsicum chinense
属Capsicum
目Solanales

カプシクム・キネンセ, ハバネロ, Habanero pepper, Scotch bonnet, Bondamanjak と Aji

基本情報
毒性
注意 : 人(子どもを含む) · 無毒 : 猫 と 犬
管理の難易度
中程度
植物タイプ
葉の性質
常緑
寿命
多年草
原産国
ガイアナスリナムブラジル
自生環境
湿潤な熱帯林の林床や林縁。一年を通して暖かい気候のもとで日なたで栽培されます
季節性
開花期
夏
収穫期
夏秋
生育
生育速度
7/10
成熟までの期間
種まきから120〜150日で収穫します
樹冠径
40–70 cm
増やし方
種子
気候と水やり
温度
耐風性
弱いため、強風を避けます
湿度
50–70 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌pH
土壌タイプ
肥沃な土, 暖かく水はけのよい土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

一日を通して強い直射日光が当たる場所に置きます。

日なたで、安定した暖かさが必要です
室内
保護環境での播種
屋外
菜園の畝, コンテナ, 加温温室
鉢
底穴のある鉢, 深鉢
形態
高さ50–150 cm
葉
緑
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 葉 1
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 葉 2
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 葉 3
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 葉 4
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 葉 5
花
白
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 花 1
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 花 2
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 花 3
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 花 4
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 花 5
果実
緑黄オレンジ赤
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 果実 1
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 果実 2
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 果実 3
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 果実 4
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 樹皮 1
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 樹皮 2
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 樹皮 3
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 樹皮 4
カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

Capsicum chinenseの自生域はアマゾン盆地にあり、ガイアナ南部からブラジル北部、スリナム南西部に及びます。栽培化と園芸的な普及、特にカリブ海地域やユカタン半島を経た広がりによって、栽培域はこの南米の原産地を大きく越えて拡大しました。

  • 原産3
  • 移入1
  • ガイアナ
  • スリナム
  • ブラジル北部
  • カリブ海地域

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

カプシクム・キネンセ(Capsicum chinense Jacq., 1777)はナス科トウガラシ属の亜低木で、ハバネロ、Habanero pepper、Scotch bonnet、Bondamanjak、Ajiなどの呼び名でも知られます。栽培化されたトウガラシ属5種の一つで、ほかにCapsicum annuum、Capsicum baccatum、Capsicum frutescens、Capsicum pubescensがあります。 1 7

「中国の」を意味する種小名chinenseは、今も産地について誤解を招くことがあります。植物学者Nikolaus Joseph von Jacquinは、中国人商人から標本を受け取って中国原産と思い込み、1777年にこの名を発表しました。実際にはアジアから何千kmも離れた南米の熱帯地域に由来します。 6 8

見分け方

1節に2〜5個の白い花がつくことが、カプシクム・キネンセをCapsicum annuumから見分ける最も確かな目印です。一般的なピーマンでは1節に1個の花がつきます。本種の小さな花冠は花弁5枚からなり、葉腋にまとまって咲きます。 6 9

葉も識別の助けになります。鮮やかな緑色の単葉で、葉身にしわや凹凸があることが多く、一般的なピーマンの滑らかな葉とは異なります。ハバネロの品種群は高さ約50 cmのコンパクトな茂みをつくりますが、暖かさの安定した熱帯では、旺盛な品種が1.5 mを超えることもあります。 6 8

果実の形と大きさには幅があり、直径6 mmの小さく滑らかな液果をつける品種から、長さ10 cmの細長くしわのある果実をつける品種まで見られます。この変異の大きさからも、果実の色だけで種を確定することはできません。 8

分類のポイント

Capsicum chinense Jacq.を受容名として採用するのがPOWOです。同じ種や非常に近い型には歴史的に複数の学名がつけられ、Philip Millerが1768年に記載した名も含まれます。そのため、次のように異名が多くあります。 1 2

  • Capsicum sinense Murray:歴史的な異名です。
  • Capsicum annuum var. chinense (Jacq.) Alef.:変種として扱った学名です。
  • Capsicum cerasiforme Mill.:歴史的な異名です。
  • Capsicum dichotomum Vell.:歴史的な異名です。
  • Capsicum luteum Lam.:歴史的な異名です。
  • Capsicum toxicarium Poepp.:歴史的な異名です。

異名が多くても、種の基準になるのは受容されている二名法の学名です。ハバネロ、Scotch bonnet、アヒ・ドゥルセといった園芸上の品種群名は、用途や果実の姿を表し、独立した分類群ではありません。 3 4

生息地と分布

アマゾン盆地のガイアナ南部からブラジル北部、スリナム南西部が、POWOによる本種の自生域です。湿潤な林床や林縁に生えるため、栽培でも安定した熱帯の気候を必要とします。 1

栽培化と園芸的な普及により、南米の原産地を越え、特にカリブ海地域やユカタン半島へ広がって重要な食用作物になりました。ハバネロの名は、ヨーロッパ向けの交易の中継地だったハバナに由来します。植物自体がキューバ原産という意味ではありません。 6 5

生活環と繁殖

一年中暖かい熱帯では、カプシクム・キネンセは多年生の亜低木になり、数年育つと基部が木質化することもあります。冬の暖かさが足りない温帯では、一年草として育てるか、霜の当たらない場所で越冬させます。 8 9

種まきから初収穫までの期間は通常120〜150日で、Capsicum annuumより長くなります。涼しい気候では、保護された場所で早めに種をまく必要があります。繁殖はほぼ種まきで行い、交雑系統の品種から採った種子では、翌年に同じ果実ができるとは限りません。 8

利用と注意点

カリブ海地域、ユカタン、南米のいくつかの国では、果実を生食の調味料やソース、マリネに使います。Pepper Xなどは測定された中でも特に辛いトウガラシで、2023年に269万スコヴィル値を記録しました。一方、アヒ・ドゥルセのように、果実のような香りを保ちながら辛味のない品種もあります。 6

獣医学的な意味では、カプシクム・キネンセは猫や犬に有毒とはされていません。注意するのは、辛い果実に集中するカプサイシノイドです。接触によって口・目・皮膚を刺激し、子どもが大量に摂取すると消化器症状を起こします。 9

カプサイシノイドは果肉自体よりも、種子を囲む内部の隔壁や胎座に多く集まっています。調理前にこれらの組織を取り除くと、残した場合に比べ、風味を変えずに辛味を大きく減らせます。 9 8

品種・類似種・近縁種

強い辛味を目指して選抜された代表的な品種には、Habanero、Scotch bonnet、bhut jolokia(ゴーストペッパー)、Carolina Reaper、Pepper Xがあります。これに対し、カリブ海地域のアヒ・ドゥルセは、よく似た香りを持ちながら辛味が穏やかです。 6

辛さの世界記録は同じ種の品種間で繰り返し更新されてきました。bhut jolokiaからサウスカロライナ州のCarolina Reaperへ、さらに2023年には269万スコヴィル値を測定したPepper Xへ移りました。この経緯は、株の地理的な出自よりも品種選抜のほうが辛味を大きく変えることを示しています。 6

特に混同しやすい近縁種は次のとおりです。

  • Capsicum annuum:主な違いは1節につく花が1個であることです。
  • Capsicum frutescens:上向きの草姿で、小さな果実も上を向くことが多い種です。
  • Capsicum baccatum:花冠の斑点で見分けられる南米のアヒです。

選ぶ際は果実の色や形だけに頼らず、正確な栽培品種名を確認するとよいでしょう。どちらも変異が大きく、種を確定するには不十分です。1節の花の数は、カプシクム・キネンセで2〜5個、Capsicum annuumで1個であり、果実の色より明確な手がかりになります。市場が変わっても共通の基準となるのは、学名と栽培品種名の組み合わせです。 8 3

主な参考文献

よくある質問

カプシクム・キネンセはカイエンペッパーと同じ種ですか?

異なります。カイエンペッパーは通常Capsicum annuumに属します。一方、ハバネロ、Scotch bonnet、非常に辛いトウガラシの多くはカプシクム・キネンセに属します。

Capsicum chinenseに「中国の」という学名がついたのはなぜですか?

Jacquinは中国人商人から標本を受け取った後、中国原産と誤解して1777年に命名しました。実際の原産地は南米のアマゾン盆地です。

カプシクム・キネンセは猫や犬に有毒ですか?

獣医学的な意味での有毒植物とはされていません。辛い果実は口や消化管を刺激することがありますが、動物に中毒を起こすものとはされていません。

カプシクム・キネンセとCapsicum annuumはどう見分けますか?

最も確かな目印は1節につく花の数です。カプシクム・キネンセでは2〜5個、Capsicum annuumでは1個です。

カプシクム・キネンセに辛くない品種はありますか?

あります。よく知られる例はアヒ・ドゥルセで、ハバネロと同じ果実のような香りがありながら、強い辛味を持ちません。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。