コショウ (Piper nigrum, L. 1753)

コショウ(Piper nigrum)は、インド南西部のマラバール海岸とスリランカを原産とする、コショウ科の木本性つる植物です。乾燥させた果実から黒胡椒、白胡椒、緑胡椒が得られます。いずれも同じ実を異なる熟度で収穫して加工したものです。

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学名Piper nigrum
属Piper
目Piperales

コショウ, Black pepper と Pimienta negra

基本情報
毒性
無毒 : 人(子どもを含む), 猫, 犬 と 動物 · 要確認 : 馬
管理の難易度
中程度
植物タイプ
葉の性質
常緑
寿命
多年草
原産国
インドスリランカ
自生環境
湿潤な熱帯の低地から標高500 mまでの低山の森林に生えるつる植物。幹や支柱に付着します。
季節性
開花期
夏
収穫期
冬
生育
休眠
休眠しない
生育速度
7/10
成熟までの期間
最初の実は3–4年後、収量の最盛期は約7年後です
増やし方
節挿し, 取り木
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
弱いため、丈夫な支柱と風を避けられる場所が必要です
湿度
60–85 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌pH
土壌タイプ
疎で肥沃な培養土, 水はけのよい土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

葉に直射日光が当たらない、明るい場所に置きます。

半日陰から明るい木漏れ日
室内
サンルーム, 明るい部屋
窓からの距離
明るい窓から約50 cm、直射日光を避けます
屋外
加温温室, 湿度の高いサンルーム
鉢
支柱付きの鉢, 底穴のある鉢
形態
高さ400–1000 cm株張り100–200 cm
葉
緑
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 葉 1
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 葉 2
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 葉 3
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 葉 4
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 葉 5
花
緑黄大きさ5–15 cm
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 花 1
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 花 2
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 花 3
果実
緑赤黒大きさ0.4–0.6 cm
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 果実 1
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 果実 2
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 果実 3
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 果実 4
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑茶
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 樹皮 1
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 樹皮 2
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 樹皮 3
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 樹皮 4
コショウ (Piper nigrum):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

Piper nigrumの自生域は、インド南西部の西ガーツ山脈とマラバール海岸、およびスリランカに限られます。商業栽培はその後、湿潤な熱帯の広い地域へ広まりましたが、これらの栽培地は原産地ではありません。

  • 原産2
  • インド
  • スリランカ

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

コショウ(Piper nigrum L., 1753)は、コショウ科コショウ属の木本性つる植物で、湿潤な熱帯の広い地域で果実を目的に栽培されています。欧州の多くの言語で使われる名は、もともとヒハツを指したサンスクリット語のpippaliに由来します。ギリシャ語、ラテン語のpiperへと伝わり、やがて主にこの種を指すようになりました。 1 9

同じPiper nigrumの実でも、収穫時期と処理法を変えることで、黒胡椒、白胡椒、緑胡椒になります。粒の色は3種類ありますが、いずれも同じ種から作られ、別々の植物ではありません。 7 8

見分け方

茎の伸び方を見ると、同じコショウの株に、立ち上がる主茎と、より水平に伸びる結実枝があります。節ごとの不定根が支柱や樹幹に付着します。熱帯ではつるが9–10 mを超えることもありますが、サンルームで支えに沿わせると、多くは4–6 mに収まります。 2 8

互生する葉は革質で光沢があり、卵形から心形、掌状脈をもちます。通常の長さは13–18 cmで、まだ柔らかい若い芽と成長したつるを見分ける目安になります。小さな緑がかった花は、垂れ下がる密な5–15 cmの穂に最大150個つきます。目立つ花弁がないことも、花弁をもつ種との識別点です。 2 8

実は直径4–6 mmの小さな丸い核果で、初めは緑色、完熟すると赤くなり、乾燥に伴って黒くしわが寄ります。この黒変は、皮にある無色の化合物が酵素によって酸化するためで、色素を加えたものではありません。 9 8

分類のポイント

POWOではPiper nigrum L.を受容名とし、コショウ目コショウ科に置いています。近縁の属にはPeperomia属があります。この種では次のような変種などの名が記載されてきましたが、受容名は変わりません。

  • Piper nigrum var. hirtellosum Asokan Nair & Ravindran(変種名)
  • Piper nigrum var. macrostachyum C.DC.(変種名)
  • Piper trioicum (Roxb.) C.DC.(分類史上の名称)

分類を確かめる基準は、完全な学名です。TellicherryやMalabarといった商業等級、SarawakやLampungといった産地名は、産地や粒の大きさだけを表し、独立した種を示すものではありません。 1 5

生息地と分布

原産地として認められるのは、インド南西部、とくに西ガーツ山脈とマラバール海岸、そしてスリランカに限られます。現地では標高約500 mまでの低地や低山の湿潤な熱帯林に生えます。 1 3

樹幹をよじ登っても、宿主の木に寄生することはありません。不定根は付着だけに使われ、樹液を吸い取らないためです。現在は原産地以外でも湿潤な熱帯の広い範囲で栽培され、ベトナムが世界最大の生産・輸出国となり、インド、インドネシア、ブラジル、マレーシアを上回ります。 4 6

生活環と繁殖

野生のコショウは雌雄異株で、雄株と雌株が分かれています。一方、栽培品種は両性花をつけるため、商業生産に適しています。また、同じ花で雌の部分が雄の部分より先に成熟する雌性先熟でもあります。 8

受粉したコショウの実は、約8–9か月で成熟します。粒の色を決めるのは収穫時期であり、品種の違いではありません。緑のうちに摘んで天日乾燥すると黒胡椒になり、赤く完熟させた後、水に浸して皮を除くと白胡椒になります。ごく若いうちに摘み、生のまま、または塩水漬けで保存したものは緑胡椒です。 7 9

栽培での繁殖は、ほぼ常に節を含む茎の挿し木によります。3–4節の茎片は、暖かく湿った用土で3–4週間ほどで発根します。挿し木苗は3–4年で結実し、約7年で収量が最盛期に達します。最初から表面の粗い支柱がないと栄養成長にとどまり、花をつけることはありません。 3 2

利用と注意点

主な用途は香辛料です。コショウの乾燥した粒は、辛味を生むアルカロイドのピペリンを約5 %、モノテルペンに富む精油を約3 %含みます。古代ローマでも食され、中世には交換手段となり、コショウの粒で名目的な地代を払う慣行もありました。価格を支配していた地中海の商業独占は、1498年のヴァスコ・ダ・ガマの航路開拓で大きく変わりました。 9 6

安全性について、人にもペットにも危険は記録されておらず、参考資料の危険性欄にも「既知のものなし」と明記されています。ただし実を大量に食べると、ピペリンにより消化管に軽い刺激が生じる場合があります。これは、明確な毒性とは程度が大きく異なります。 3

品種・類似種・近縁種

「ペッパー」の名で売られる香辛料にも、コショウ属ではないものがあります。ピンクペッパーはウルシ科のSchinus属に由来し、ピペリンを含まず、カシューナッツに過敏な方ではアレルギー反応を起こす場合があります。四川花椒はミカン科のZanthoxylum属に由来し、柑橘類と同じく、コショウとは遠い科の植物です。 7 9

コショウ属内の近縁種では、ヒハツ(Piper longum)が、欧州でコショウを指す語のもともとの由来となった植物です。その語はのちにPiper nigrumへ移りました。一方、観賞用トウガラシ(Capsicum annuum)はナス科です。英語でpepperと呼ばれることから生じる混同は、言葉の問題で、植物分類上の近さではありません。 9 1

TellicherryやMalabarという商業等級、SarawakやLampungという地域名によって、植物の分類が変わることはありません。Piper nigrumであるかを確かめるには、産地や粒の大きさしか示さない等級名・地域名よりも、ラベルに記された完全な学名が頼りになります。

主な参考文献

よくある質問

黒胡椒、白胡椒、緑胡椒は同じ植物から採れるのですか?

はい。どれもPiper nigrumの同じ実から作られます。黒胡椒は緑色の実を乾燥させ、白胡椒は熟した実の皮を取り除きます。緑胡椒はごく若い実を収穫し、生のまま、または塩水漬けで保存します。

ピンクペッパーも本物のコショウですか?

いいえ。ピンクペッパーはウルシ科のSchinus属に由来し、Piper nigrumと植物学的なつながりはありません。ピペリンを含まず、カシューナッツに過敏な方ではアレルギー反応を起こす場合があります。

コショウは収穫まで何年かかりますか?

挿し木から育てたつるは3–4年後に最初の実をつけ、約7年で収量の最盛期に達します。ただし、最初から丈夫な支柱があることが条件です。

コショウは猫や犬に有毒ですか?

いいえ。ペットへの危険は記録されていません。ただし、実を大量に食べると、ピペリンによって消化管に軽い刺激が生じる場合があります。

室内のコショウが花をつけないのはなぜですか?

開花には長さ数mに達した成株、安定した支柱、一定の暖かさが必要です。室内の鉢植えではこれらがそろわず、葉や茎を伸ばす段階にとどまることがよくあります。

コショウの原産地はどこですか?

自生域は、マラバール海岸を中心とするインド南西部とスリランカに限られます。現在、世界最大の生産・輸出国はベトナムで、歴史的産地のインドを大きく上回ります。

ピペリンとは何ですか?

コショウの辛味を生むアルカロイドで、乾燥した粒に約5 %含まれます。他の活性成分の吸収に及ぼす影響についても研究されています。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。