ムラサキバレンギク (Echinacea purpurea, )
ムラサキバレンギク(Echinacea purpurea)は、アメリカ合衆国中部・東部に自生するキク科の多年草です。直立する粗い茎の先に頭花を1つつけ、橙色で刺のある円錐状の中心を、垂れ下がる紅紫色の舌状花が囲みます。蜜を求める昆虫が訪れ、根は薬用に採取されます。水はけのよい土では乾燥に耐え、こぼれ種でも増えます。
続きを読むムラサキバレンギク, エキナセア, エキナケア, Purple coneflower と Eastern purple coneflower






© 写真
Jason Swanson · cc0
Greg Ulreich · cc0
iNaturalist User · cc0
Taken Jul 14, 2020 by Annemarie Fiegener (cc-by-sa)
Taken Jun 23, 2022 by mohammad fazel dehkordi (cc-by-sa)
Taken Sep 11, 2021 by Modi Elnadi (cc-by-sa)
Taken Aug 14, 2022 by Elena Diaz (cc-by-sa)
Taken Sep 11, 2021 by Rico Mende (cc-by-sa)
© copyright of the Board of Trustees of the Royal Botanic Gardens, Kew.
世界の分布
WCVPではアメリカ合衆国中部・東部を自生域とし、北はオハイオ、ミシガン、アイオワ、南はルイジアナ、ジョージアに及びます。オザークとミシシッピ川・オハイオ川流域に特に多く見られます。ヨーロッパの温帯庭園では花壇植物として広く栽培され、侵略性を示す記録はありません。
名前と由来
刺の強い円錐状の中心が、ムラサキバレンギク(Echinacea purpurea (L.) Moench, 1794)を見分ける手がかりです。直径は最大5 cmで、庭で混同されるRudbeckiaより鋭く刺さります。キク科Echinacea属の多年草で、属名はギリシャ語でハリネズミやウニを指すekhinosに由来します。 3 1
コンラート・メンヒは1794年、この刺のある中心部を基準にEchinacea属をRudbeckia属から分離しました。この形態上の違いは現在も有効です。それ以前には、リンネが1753年に記載したRudbeckia purpurea L.の名で知られていました。 1
アメリカ合衆国中部・東部を故郷とし、今日では多くの温帯庭園で栽培されています。夏に蜜の多い花が送粉昆虫を集めることと、栽培2年目から根を薬用に収穫できることが、主な利用の背景です。 5 4
見分け方
硬い毛のあるざらついた茎は直立し、先端に頭花を1つつけます。草丈は普通60 cm〜1.5 m、株幅は30〜60 cmほどで、草原風の花壇でも縦方向の輪郭が目立ちます。 3 4
中心を囲む紅紫色の舌状花は下へ垂れ、平らに広がる一般的なヒナギクの花弁とは趣が異なります。橙色から褐色の円錐状の中心は直径5 cmに達し、刺が密生します。冬に株上で乾燥しても、触ると刺さる性質が残ります。 3 4
根生葉は幅広い卵形〜披針形で、表面が粗く、長い葉柄を持ちます。長さは8〜20 cmです。茎につく葉はより細く、葉柄がなく、上部ほど小さくなります。原産域では6〜8月に開花します。 4
分類と学名
1794年に発表されたEchinacea purpurea (L.) Moenchを、Plants of the World Onlineは受容名としています。かつてRudbeckia属に置かれていたため異名が多く、基礎異名はリンネが1753年に発表したRudbeckia purpurea L.です。 1
古い植物誌や目録には、Brauneria purpurea (L.) BrittonやEchinacea purpurea var. serotina (Nutt.) L.H.Baileyも現れます。後者は、花期が遅い型として区別されていた名称です。 1
同定の基準は受容名Echinacea purpureaです。北アメリカで認められる同属9種の1つで、Echinacea angustifoliaとEchinacea pallidaも薬用に使われますが、舌状花がより細く、葉の形にも違いがあります。 3
生育環境と分布
オザーク地域やミシシッピ川・オハイオ川流域では、野生の個体が特に多く見られます。WCVPが示す自生域はアメリカ合衆国中部・東部で、北側はオハイオ、ミシガンからアイオワへ、南側はルイジアナやジョージアまで広がります。 1 4
湿った草原から乾いた草原、明るい林の縁、開放的な痩せ地に生えます。アメリカの植物学でbarrensと呼ぶ場所は、土が浅く石が多いため、樹木との競争が抑えられる環境です。 3 4
自生域の外では主に園芸植物として栽培されます。フランス、イギリス、ドイツなどの庭に広く見られますが、侵略性を示す記録は確認されていません。 4 2
生活環と繁殖
発芽に光を必要とするため、春の種まきでは種子を土の表面にまきます。20〜25℃で10〜21日ほどで発芽し、最初の年は根生葉のロゼットを作るだけで、花をつけません。 5
十分に直根が発達した2年目から開花します。秋に掘り上げるこの根が、多くの薬用製剤の原料となります。花の生育と地下部の充実が結びつく生活環です。 5
園芸品種の性質を保つには、春か秋に3〜4年ごとの株分けを行います。園芸用の混合種子をまいた場合には、子株の花色は一定にならず、親と同じとは限りません。 4 5
花後には、残った円錐状の中心で痩果が熟します。そのまま冬まで残すとゴシキヒワ類の餌になります。中空の茎には単独性のハナバチが春まで潜むため、枯れた姿にも生態的な役割があります。 4
利用と注意点
草原風の花壇や日なたの縁取り、切り花、ドライフラワーとしての観賞利用が中心です。夏の満開期にはハナバチやチョウが多数訪れ、送粉昆虫のための庭でも役立ちます。 4 3
根と地上部は、古くからハーブティーやチンキに使われてきました。2015年発表の無作為化試験のメタ解析では、エキナセア抽出物による呼吸器感染の再発リスク低下が示され、虚弱な人やストレスのある人で効果が大きい傾向でした。ただし製剤や用量によって結果は異なります。ハーブティー以外の一般的な料理用途は記録されていません。 9 5
安全性について、ASPCAは本種を猫・犬・馬に対して無毒と分類しています。中心部の刺は接触時に注意が必要ですが、これは化学的な毒性とは別の問題です。 7
品種と似た植物
選抜や種間交雑から生まれた品種が多く流通しています。Magnusは舌状花が水平に広がり、White Swanは白花です。両者は古くからある安定した品種です。Ruby Giant、Hot Papaya、Cheyenne Spiritの混合系統では、赤、橙、黄へと花色の幅が広がっています。 6 4
よく混同されるRudbeckia hirtaも、北米原産で頭花を単生するキク科植物ですが、通常は黄色です。本種は中心部の刺が強く色も濃いことが多く、紅紫色の舌状花と組み合わせて見ると区別しやすくなります。 8
Echinacea angustifoliaやEchinacea pallidaは全体の姿や薬用利用が似ていますが、舌状花が細く、自生域はグレートプレーンズ西部寄りのより限られた範囲です。草原風の花壇では、Rudbeckia hirta、Monarda didyma、Solidago canadensisとも組み合わせられます。水はけのよい土と日なたを好み、夏の初めから終わりへ花をつないでくれます。
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Echinacea purpurea (L.) Moench
- INPN / MNHN, Echinacea purpurea (L.) Moench, 1794
- Missouri Botanical Garden Plant Finder, Echinacea purpurea
- NC State Extension Plant Toolbox, Echinacea purpurea
- Plants For A Future, Echinacea purpurea
- Royal Horticultural Society, Echinacea purpurea 'Ruby Giant'
- ASPCA, Echinacea toxicity entry
- USDA PLANTS Database, Echinacea purpurea plant profile (ECPU)
- Schapowal et al. 2015, Echinacea and recurrent respiratory tract infections, meta-analysis
よくある質問
猫や犬に毒性がありますか?
ASPCAは猫・犬・馬に無毒と分類しています。中心の円錐状の部分は触ると刺さりますが、化学的な毒性とは別の問題です。
Echinaceaという名の由来は何ですか?
ギリシャ語でハリネズミやウニを意味するekhinosに由来し、刺のある中心部を表します。メンヒは1794年、この形態を基にRudbeckiaから属を分けました。
種まきから何年で咲きますか?
春まきでは初年に根生葉のロゼットを作り、通常は花をつけません。直根が発達した2年目から開花します。
アラゲハンゴンソウとの違いは何ですか?
ムラサキバレンギクは中心部の刺がより強く、しばしば色も濃くなります。舌状花は紅紫色で、多くのアラゲハンゴンソウの黄色い舌状花と区別できます。
秋に枯れた茎を切るべきですか?
冬の間は残すほうがよいでしょう。種子はゴシキヒワ類の餌となり、中空の茎には単独性のハナバチが潜みます。刈り取りは冬の終わりに行います。
風邪に効果がありますか?
無作為化試験のメタ解析では、抽出物による呼吸器感染の再発リスク低下が示され、虚弱な対象者ほど効果が大きい傾向でした。ただし結果は製剤と用量によって異なります。
株分けはどのように行いますか?
株の中心が薄くなったら、3〜4年ごとに春か秋に分けます。それぞれの分割株に直根の一部を残すと活着しやすくなります。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。






