ハイビスカス (Hibiscus × rosa-sinensis, L. 1753)

ハイビスカス(Hibiscus × rosa-sinensis L.、Hibiscus rosa-sinensis と表記されることも多い)は、アオイ科の常緑性熱帯花木です。赤、ピンク、黄、オレンジ、白などの大きく短命な花を目当てに、暖地の生け垣や夏の鉢植え、霜の当たらない温室やサンルームで育てられています。

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学名Hibiscus × rosa-sinensis
属Hibiscus
科Malvaceae
目Malvales

ブッソウゲ, Chinese hibiscus, Tropical hibiscus と Shoe flower

Hibiscus rosa-sinensis

基本情報
毒性
リスクは低い。動物には注意、花は条件を満たせば食用注意 : 人(子どもを含む) と 犬 · 要確認 : 猫 と 馬
管理の難易度
中程度
植物タイプ
低木 · 観葉植物 · 鉢植え植物
葉の性質
常緑
寿命
多年草
原産国
バヌアツ
自生環境
熱帯・亜熱帯の庭園、生け垣、鉢植え、温室。栽培条件により季節的に乾燥する気候から湿潤な気候まで
季節性
開花期
春夏秋
収穫期
夏秋
生育
生活環
多年草
休眠
休眠しない
生育速度
6/10
成熟までの期間
暖かい季節に伸びた新しい枝に花をつける
増やし方
緑枝挿し, 半熟枝挿し, 取り木
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
弱い。冷たい風と霜から守る
湿度
50–80 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌pH
土壌タイプ
肥沃な培養土, 水はけのよい培養土, 弱酸性土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

光について
慣らした株なら直射日光、またはごく明るい光
室内
サンルーム, 温室, 明るい部屋
屋外
風よけのあるバルコニー, コンテナガーデン, 日なたの花壇
鉢
コンテナ, 底穴のある鉢, 大鉢
形態
高さ1.2–4.7 m株張り3 m
葉
緑白ピンク
花
赤ピンク黄オレンジ白大きさ8–20 cm
果実
茶
樹形・草姿
ハイビスカス(Hibiscus × rosa-sinensis):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
樹皮
緑茶

世界の分布

POWO/WCVP はハイビスカスを南太平洋に由来する雑種の栽培起源植物として扱っていますが、園芸資料の多くは熱帯アジアや中国を原産としています。そのため、園芸上の起源、栽培地域、導入地域を分けて考える必要があり、特定の国での侵略的な扱いを示すものではありません。

  • 原産1
  • 移入3
  • バヌアツ
  • フロリダ
  • カリフォルニア
  • 西インド諸島

六角形:資料に基づく地域。緑の点:原産分布域。分布状況の出典 POWO(キュー王立植物園).

基本情報

ハイビスカスといえば、夏の鉢植えや温室、暖地の庭を彩るこの熱帯性の花木を指すのが普通です。POWO/WCVP が受理している学名は Hibiscus × rosa-sinensis L. ですが、園芸書や栽培データベース、流通の現場では Hibiscus rosa-sinensis という表記がいまも広く使われています。1 2

アオイ科フヨウ属の植物で、和名はブッソウゲです。英名の Chinese hibiscus、tropical hibiscus、shoe flower も同じ栽培群を指しており、バラ属の植物ではありません。種小名 rosa-sinensis は直訳すると「中国のバラ」で、名前をめぐる混乱の一因になっています。3 4

気をつけたいのは、アジアの野生種と単純に言い切れない点です。POWO/WCVP は南太平洋に由来する雑種の栽培起源植物として扱い、一方で園芸資料の多くはアジアや中国を原産地としています。後者の説明は、ハイビスカスが非常に長い栽培の歴史をもつことに由来します。1 5

見分け方

園芸上の Hibiscus rosa-sinensis は常緑の低木で、小高木仕立てや生け垣、スタンダード仕立て、大鉢でも育てられます。葉は互生する単葉で、濃い緑色に光沢があり、卵形から楕円形、縁には鋸歯があります。斑入り葉の品種も知られています。6 4

いちばんの手がかりは花です。大きな漏斗形の花を単生し、径は8〜15 cmほどが多く、品種によってはさらに大きくなります。花弁は一重と八重があり、色は赤、ピンク、黄、オレンジ、サーモン、白とさまざまです。花の中心から突き出る雄しべ筒には雄しべと花柱がまとまっており、フヨウ属を見分けるうえで役立つ特徴です。3 6

一輪の寿命は短く、たいてい1〜2日で終わります。それでも生育中の株は、暖かい季節のあいだ次々とつぼみをつけます。花が咲かない場合、種の取り違えよりも、光不足、低温、剪定の時期の誤り、水やりのストレスが原因であることのほうが多いものです。7 8

知っておきたい分類

一般の園芸用語では Hibiscus rosa-sinensis の表記が目につきやすく、POWO/WCVP の受理名は Hibiscus × rosa-sinensis L. です。本稿では両方を併記し、植物を見分けるための慣用名と、分類上の受理名をそれぞれ示しています。1 2

雑種記号は飾りではありません。Flora of North America は、局所的な野生化や多数の雑種・選抜品種を含む、複雑な栽培の歴史を記しています。NTBG も同じ見方で、確実な野生の個体はもう知られておらず、栽培型は交配によって大きく変化してきたとしています。9 4

名前の似た植物には注意が必要です。ムクゲ(Hibiscus syriacus、英名 rose of Sharon)はより耐寒性が高い落葉樹で、その情報をそのまま熱帯性ハイビスカスの食用性や毒性の判断に当てはめることはできません。H. rosa-sinensis の園芸品種も、市場によって顔ぶれが大きく変わります。5 10

生育環境と分布

分類データベースを見るかぎり、起源は一つの国よりも熱帯の栽培起源植物として捉えるほうが確かです。POWO/WCVP は、南太平洋の人工雑種に由来する栽培起源植物で、季節的に乾燥する熱帯のバイオームに生える低木としています。Trefle はバヌアツを自生地とし、そのほか多くの地域を導入地域に挙げています。1 11

Flora of North America によれば、熱帯と亜熱帯で広く栽培され、栽培地域の中でまばらに野生化しているものの、確実な自生の記録はありません。NTBG も、歴史的な起源が不明であることと、熱帯地域での古い栽培の歴史を強調しています。9 4

耐寒性の目安はUSDAゾーン9〜11で、関東を含め霜の降りる地域では、鉢やコンテナ、温室、夏のテラスで楽しむ植物と考えるのが現実的です。冬越しを前提に地植えにする一般的な庭木ではありません。参照した資料に侵略的とする根拠はなく、熱帯での導入例も局地的な存在として扱われています。5 9

生活環と栽培

花は新しく伸びた枝につきます。RHS は、冬の終わりから春のごく初めに剪定して株をコンパクトに保ち、花をつける新しい枝を促すよう勧めています。UMN も暖かい室内で育てる場合について同じ考え方で、冬の終わりの剪定、十分な光、温度差を避けることを挙げています。5 7

鉢植えで大切なのは、温度、光、水のバランスです。花を咲かせるにはごく明るい光が必要で、根鉢は常に適度に湿らせつつ過湿を避け、肥沃で水はけのよい用土を使います。屋外の日なたに出すときは、少しずつ慣らしてください。暖かい場所から寒い場所へ、乾燥から水浸しへ、強い光から暗い室内へと急に環境が変わると、つぼみが落ちやすくなります。梅雨どきの長雨や、冬に室内へ取り込む時期は、とくにこうした急変が起こりやすい場面です。7 8

園芸品種を確実に殖やすには挿し木を使います。RHS は、晩春から初夏に軟らかい枝や半熟枝を挿し、底面を温めて湿度を高く保つ方法を紹介しています。UMN も長さ8〜13 cmほどの挿し穂が数週間で発根すると述べています。種まきもできますが、選抜された花色や花形はそのまま受け継がれません。5 7

利用・食用性・毒性

おもな用途は観賞で、暖地の生け垣や単植、テラスの鉢、サンルームの植物、花の目隠し、スタンダード仕立てなどに使われます。IFAS はUSDAゾーン9〜11でよく花をつける景観用の低木としており、RHS は寒冷な気候では温室や明るい室内で育てる非耐寒性植物として扱っています。6 5

食用性は条件つきで考える必要があります。NC State は花を食用価値ありとしており、UMN Extension も穏やかな酸味と、お茶の色づけに使えることから Hibiscus rosa-sinensis を食用花に挙げています。とはいえ株全体が食べられるわけではありません。正しく同定され、農薬などで処理されておらず、食用として用意された花だけが対象です。3 12

もっとも判断を誤りやすいのが動物への毒性です。ASPCA の「Hibiscus」の項目は実際には Hibiscus syriacus を対象としており、犬、猫、馬に無毒と分類しています。したがって、これだけで H. rosa-sinensis を無毒とは言えません。逆に IVIS は獣医向けの資料でフヨウ属全体を扱い、植物を噛んだり食べたりした犬の消化器症状をおもに挙げていますが、特定された毒素はありません。10 13

慎重な立場をまとめると、犬は消化器症状に注意、猫と馬はこの種について結論が出ていない、そしてどの動物にも食べさせないこと、の三点です。少量を口にした程度で全身的な緊急事態になるとは考えられていませんが、よだれ、嘔吐、下痢、元気の低下が見られた場合や、多量に食べた場合は、植物の名前を確かめたうえで獣医師に相談してください。13 14

品種と混同しやすい種

RHS は、観葉植物として流通する品種の顔ぶれが大きく入れ替わると注意を促しています。'Cooperi' はよい目安になる名前で、RHS によればコンパクトな斑入り品種で、緑と白、ときにピンクを帯びた大理石模様の葉に赤い花をつけます。そのほかの流通名は、実物を見て確かめる必要があります。5

Perenual のデータには Hibiscus rosa-sinensis とともに 'Persimmon' という品種も載っていますが、こうした園芸上の情報は補助的なものです。大きさや鉢での使い方、日当たり、耐寒性の目安にはなっても、分類の資料や公式の品種登録の代わりにはなりません。14 2

もっとも重要な混同の相手は Hibiscus syriacus です。フランス語では「althéa」がふつう H. syriacus を指す一方、「Althéa de Chine」が熱帯性ハイビスカスに使われることもあります。栽培面での違いははっきりしていて、H. syriacus ははるかに冬に強く、ハイビスカスは霜に当てられません。安全面でもこの違いは重要で、参照した ASPCA の情報は同じ分類群を対象としていないのです。10 5

主な参考文献

よくある質問

Hibiscus × rosa-sinensis と書かれることがあるのはなぜですか?

POWO/WCVP はこの分類群を雑種として受理しています。ただし園芸や流通、研究の場では、雑種記号を付けない表記もいまも広く使われています。

ハイビスカスは日本の屋外で冬を越せますか?

耐寒性の目安はUSDAゾーン9〜11で、霜が降りる地域の屋外では越冬が難しくなります。関東などでは鉢植えにして、冬は霜の当たらない明るい室内や温室に取り込むのが基本です。

花は食べられますか?

Hibiscus rosa-sinensis の花を食用として挙げる園芸資料があり、ハーブティーや色づけに使われます。ただし、正しく同定され、農薬などで処理されておらず、食用として用意された花に限った話です。

株全体が食べられるのですか?

いいえ。葉、茎、根、あるいは処理済みの花屋の花を食用にすることは勧められていません。

犬や猫に有毒ですか?

資料によって扱いが分かれ、ハイビスカスと呼ばれる種の違いも混乱の原因になっています。犬については消化器症状への注意が必要で、猫と馬については H. rosa-sinensis での結論が出ていません。症状が見られたら獣医師に相談してください。

つぼみが落ちるのはなぜですか?

よくある原因は、低温、空気の乾燥、不規則な水やり、光不足、急な置き場所の変更です。

どうやって殖やしますか?

園芸品種の性質をそのまま残すには、種まきではなく挿し木がもっとも確実です。

似ている植物

植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。