アジサイ (Hydrangea macrophylla, )



アジサイ(Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser.)はアジサイ科の落葉低木で、POWOによれば日本が原産です。庭では、対生する大きな葉と、夏に咲く手まり咲きまたは額咲きの花房で見分けられます。花色は、土のpHと吸収できるアルミニウムの量に左右されることが多い植物です。
続きを読むBigleaf hydrangea, French hydrangea, Mophead hydrangea と Lacecap hydrangea
間接光の当たる場所か、日陰になる部屋に置きます。

世界の分布
POWOは厳密な自生域を、本州中南部から伊豆大島、火山列島にかけての日本としています。園芸資料に見られるより広い分布は、栽培の起源、導入、野生化が混ざっていることが多いものです。
基本情報
アジサイ(Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser.)は、アジサイ科アジサイ属の受理された種です。POWOはこの学名を、1830年にA. P. de Candolleの『Prodromus』でSeringeが発表したものとし、その基になった名前として Viburnum macrophyllum Thunb. を挙げています。1 2
「アジサイ」は庭づくりでは便利な呼び名ですが、この学名一つよりも広い範囲を指します。英語圏の bigleaf hydrangea、French hydrangea、mophead hydrangea、lacecap hydrangea といった名前も、主に園芸上の使われ方や花房の形を表したものです。2 3
種小名 macrophylla は「大きな葉の」という意味です。野外ではよい手がかりになりますが、それだけでは同定できません。大きな葉をもつアジサイの仲間はほかにもあり、手まり咲きや額咲きといった呼び名は花房の形を示すもので、別の種を指すわけではないからです。4 5
見分け方
丸くこんもりとした落葉低木で、株元から何本も枝を立ち上げることが多い植物です。公表されている大きさは気候や剪定、品種によって違い、NC StateとMissouri Botanical Gardenは高さ・幅ともに0.9〜1.8 mほど、RHSは最終的な高さと幅をおよそ1.5〜2.5 mとしています。3 4 5
葉は対生する単葉で葉柄があり、卵形から楕円形または倒卵形、縁には粗い鋸歯があって、色は中程度から濃い緑です。栽培資料では葉の長さを10〜20 cmほどとすることが多く、「大きな葉」という名の由来がうなずけます。3 5
いちばん目につく特徴は、枝先につく花房です。額咲きでは、小さな両性花が中央に集まり、そのまわりを大きく目立つ装飾花が囲みます。手まり咲きでは、花房のほとんどが目立つ装飾花で占められ、球状になります。園芸上の花色は白からピンク、青、紫、赤紫まであり、品種と土によって変わります。5 3
知っておきたい分類
拠りどころになるのは、受理名 Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser. です。分類リストには多くのシノニムや旧名が残っており、Hydrangea hortensia、Hydrangea hortensis、Hydrangea macrocephala、Hydrangea sieboldii、さらに Hortensia 属のもとでの組み合わせがいくつか含まれます。1 2
ヨーロッパで使われる hortensia という語は、一般名にも、古いラテン名にも、園芸グループの名前にもなります。そのため実際には、植物学上の種、売られている品種、花房の形を分けて考える必要があります。「青いアジサイ」とだけ書かれた株は、品種名か少なくとも種名がなければ、確かな分類群とはいえません。6 3
古い資料では、Hydrangea serrata との混同がよく見られます。山地に生える日本の型が、かつて H. macrophylla に近いものとして扱われたことがあるためです。ここでは両種を別のものとして扱います。甘茶のような日本での利用は別に確かめる必要があり、それを理由に庭植えのアジサイが食べられるとはいえません。7
生育環境と分布
POWOは厳密な自生域を、本州中南部から伊豆大島、火山列島にかけての日本とし、温帯域の低木と位置づけています。園芸資料の多くは栽培や導入、野生化を含めた広い分布を示しているため、原産地についてはPOWOを基準にしています。1 5 3
栽培で押さえておきたいのは、湿り気のある土を好む低木だという点です。有機物が多く、水はけがほどよく、水分が安定していて、強い日差しを避けられる場所が向いています。RHSは湿り気がありながら水はけのよい土での半日陰、または水分が確保できれば日なたを勧めており、Missouri Botanical Gardenも半日陰を好むという近い見解です。USDAゾーン6〜9という耐寒性の目安は関東の平野部も含む範囲で、日本では多くの地域で屋外の庭植えができます。梅雨どきの湿気はこの植物に合っていますが、真夏の強い西日と乾燥には注意が要ります。5 4
日本の外でも広く植えられ、逸出することがあります。たとえばフランス本土では侵略的な植物とはされていませんが、油断はできません。NZPCNはニュージーランドで Hydrangea macrophylla を環境雑草に分類しており、ほかの資料も海洋島での局地的な野生化や侵入を報告しています。8 1
花色と栽培
花色は、単純に品種だけで決まる性質ではありません。NC State、RHS、Missouri Botanical Gardenの見解は、ピンクや青の品種の多くが土のpHとアルミニウムの吸収しやすさに反応するという園芸上の原則で一致しています。酸性の土ではアルミニウムが吸収されやすくなって青に傾き、酸性が弱い土やアルカリ性の土ではピンクに傾き、その中間では紫がかった色合いになります。3 4
この法則には大きな限界が二つあります。一つは、すべての品種が変わるわけではないことで、白花の品種はこうした操作にほとんど、あるいはまったく反応しません。もう一つは、土を変えるには時間と加減が必要なことです。園芸資料は、開花よりかなり前に手を打ち、改良材を急に入れるのではなく健全な土を保つよう勧めています。4
花が咲かない原因の多くは剪定にあります。従来の品種は主に前年に伸びた枝に花をつけるので、春に強く切るとつぼみを落としてしまいます。ただしNC Stateによれば、繰り返し咲く品種の一部は新しい枝にもあとから花をつけるため、実際の品種ラベルに合わせて剪定の仕方を変えるべきです。3 4
生活環、利用と注意点
Hydrangea macrophylla は、落葉性の木本の多年生植物です。園芸では、品種の性質を保つために主に挿し木や取り木で殖やします。実生も可能ですが、同じ花色、花形、返り咲きの性質が受け継がれるとは限りません。5 3
主な用途は観賞で、半日陰の花壇、建物の足元、低い生け垣、屋外の鉢植え、切り花、ドライフラワーに使われます。NC Stateは、中空の枯れ茎を残しておけば茎に巣をつくるハチの役に立つという、庭の生態系にとっての利点も挙げています。とはいえ、装飾花ばかりの手まり咲きは、何よりも見た目のために育てられるものです。3 4
毒性については正確に述べておく必要があります。ASPCAはアジサイを犬、猫、馬に有毒と分類しており、青酸配糖体を含み、症状は主に消化器に出るとしています。Pet Poison Helplineは犬と猫での中毒をおおむね軽度とし、元気消失、嘔吐、下痢が起こりうると説明しています。9 10
人については、NC Stateが Hydrangea macrophylla の毒性を重症度の低いものとしており、とくに多量を口にした場合に吐き気、腹痛、嘔吐、発汗が出るとしています。歴史的・民族植物学的な記述はあるものの分類群ごとに確認が必要で、庭植えのアジサイを食用や薬用にすることは勧められません。3 1
園芸品種と混同しやすい種
園芸品種は数多く、名前は花色や花形、返り咲きの性質を表していることがよくあります。NC Stateは 'Nikko Blue'、'Ayesha'、'Mariesii Perfecta'、'Fuji Waterfall'、'Lady in Red'、'Lemon Daddy'、'Penny Mac'、'TwistNShout'、そしてEndless Summerシリーズなどを挙げています。どれも別の種ではありません。3
手まり咲きと額咲きの違いは、主に花房の見た目に表れます。手まり咲きは華やかな球になり、額咲きは中央の小さな両性花がよく見えます。送粉昆虫にとっては、花房の大きさよりも、目に見える両性花があるかどうかのほうが大切です。5 3
取り違えに気をつけたいのは、よりコンパクトなことが多く、一部の分類体系で長く H. macrophylla に近いとされてきた Hydrangea serrata、それにほかの庭植えアジサイの仲間である H. paniculata、H. arborescens、H. quercifolia、H. anomala です。購入前には、学名、品種名、古い枝と新しい枝のどちらに花をつけるか、そしてお住まいの地域での耐寒性を確かめておくと安心です。7 3
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser.
- GBIF Backbone Taxonomy, Hydrangea macrophylla (Thunb.) Ser.
- Royal Horticultural Society, Hydrangea macrophylla (H)
- NC State Extension Gardener Plant Toolbox, Hydrangea macrophylla
- Missouri Botanical Garden Plant Finder, Hydrangea macrophylla
- ASPCA、アジサイの毒性情報
- Pet Poison Helpline, Hydrangea
- New Zealand Plant Conservation Network, Hydrangea macrophylla
よくある質問
Hydrangea macrophylla は庭で見るアジサイそのものですか?
はい。とくに手まり咲きと額咲きの品種では、庭植えアジサイの代表的な種です。ただし「アジサイ」という呼び名は、いくつかの種や園芸グループを指すこともあります。
アジサイの花色が変わるのはなぜですか?
ピンクや青の品種の多くでは、土の酸性度と吸収できるアルミニウムの量によって花色が変わります。白花の品種や一部の品種は、こうした操作にほとんど、あるいはまったく反応しません。
Hydrangea macrophylla はいつ剪定すればよいですか?
従来の品種は主に前年に伸びた枝に花をつけるため、春に強く切ると花が咲かなくなることがあります。繰り返し咲く品種は、それぞれの説明書きに従って扱ってください。
アジサイに毒性はありますか?
ASPCAによれば動物には有毒で、人も注意が必要です。報告されている危険は主に、多量を口にしたあとの消化器症状で、青酸配糖体が関わっています。
Hydrangea macrophylla は侵略的な植物ですか?
フランス本土では侵略的とはされていません。一方で、ニュージーランドやマカロネシアなど一部の地域では、環境雑草または侵略的な植物として報告されています。
アジサイは食べられますか?
いいえ。食用や薬用に関する記述は、庭植えの Hydrangea macrophylla を口にすることを勧められるほど確かなものではありません。
似ている植物
植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。




