コショウボク (Schinus molle, )
コショウボク(Schinus molle)はウルシ科の枝垂れる常緑樹で、ペルーからチリ北部、アルゼンチン北東部に至るアンデスの乾燥地帯が原産です。ピンクペッパーとして売られる小さな桃色の核果は、コショウ(Piper nigrum)とは植物学的なつながりがなく、侵略性のある近縁種サンショウモドキの果実とよく混同されます。
続きを読むコショウボク, Molle, Aguaribay と Peruvian peppertree






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Taken Feb 22, 2015 by Tela Botanica − Liliane Roubaudi (cc-by-sa)
Taken Mar 1, 2020 by Andrea Soler (cc-by-sa)
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世界の分布
Schinus molle の自生域はペルーからチリ北部の乾燥したアンデス地域と、ブラジル南部からアルゼンチン北東部の別の分布域です。観賞樹として非常に広く導入され、原産地外で帰化し、ときに侵略的に広がっています。
基本情報
コショウボク(Schinus molle L., 1753)はウルシ科の樹木です。枝垂れる樹形が特徴で、高温で乾燥した気候では高さ8–15 mになります。種小名はケチュア語の mulli に由来し、1753年に Carl von Linné が記載するずっと前からアンデスの人々がこの木に用いていた言葉です。 1 6
揉んだ葉や果実にはコショウに似た香りがありますが、コショウ科のコショウ(Piper nigrum)とは植物学的なつながりがありません。乾燥した核果はピンクペッパーとして売られ、Schinus terebinthifolia の果実と種の区別が明示されないまま混ぜて流通します。 8 4
見分け方
細い枝が若木のころから垂れ下がる、常緑の樹木です。条件に恵まれた高温乾燥地では高さ8–15 mに達しますが、生育に不向きな気候で栽培すると8 mを超えることはまれです。灰色の樹皮は老木になると裂け、芳香のある樹脂がにじむこともよくあります。 5 4
羽状複葉は全体で長さ8–25 cmあり、細い小葉が多数、互生してつきます。揉むと強いコショウ様の香りを放ちます。春には枝先にクリーム白色の小花が軽やかな房をつくります。雌雄異株で、その後に実をつけるのは雌株だけです。 5 6
丸い核果は直径5–7 mmで、密な房をつくります。緑から赤を経て熟すと桃色になり、ほぼ一年中木に残ることがあります。 5
分類のポイント
Schinus 属には南米産の約30種が含まれ、次の近い学名の植物がコショウボクとよく混同されます。
- Schinus areira L.、アルゼンチンでは同じ俗名で呼ばれることが多いものの、POWO/WCVPでは別種です。
- Schinus polygama (Cav.) Cabrera、チリの低木または小高木で、幼木が混同されることがあります。
- Schinus terebinthifolia Raddi、サンショウモドキ。ピンクペッパーの流通で S. molle と最もよく混ざる種です。
本種には二つの植物学上の変種があります。基本変種の var. molle は広く分布し、var. rusbyi はペルー南部とチリ北部の砂漠気候に限られます。完全な学名なら区別できますが、molle などの俗名は地域によって同属の複数種を指します。 1 2 3
生息地と分布
コショウボクの原産地は、ペルーからチリ北部にかけてのアンデス乾燥地帯と、ブラジル南部からアルゼンチン北東部にかけての別の分布域です。海岸から標高約3,200 mまで、やせて水はけのよい土に生育します。 1 6
地中海性気候の地域へ観賞用に広く導入され、カリフォルニア、スペイン、アフリカ南部、オーストラリアで帰化しました。南アフリカとオーストラリアでは、園芸上の管理が及ばない荒地や道端に広がるため、現在は侵略的な植物に分類されています。 5
生活環と繁殖
春に枝先へクリーム色の小花の房をつけます。雌雄異株なので結実するのは雌株だけで、単独の雄株は成木になっても核果をつけません。 5
鳥の消化管を通ると硬い種皮が弱まり、種子は発芽しやすくなります。春に新鮮な種子をまくとゆっくり芽生え、その後は適温の15–30 °Cで生育がはっきり速まります。切り株からの萌芽や、半木質化した枝の挿し木でもふえ、伐採後に勢いよく再生する性質につながっています。 4 6
利用と注意点
アンデスの人々は先コロンブス期から本種を利用してきました。インカ以前のワリ国家ですでに核果を発酵させてチチャをつくり、樹脂はインカ王族のミイラの防腐処理に使われました。生葉は現在も布の染色や、感染症に対する伝統的な薬用に利用されます。 5 6
熟果を乾燥させたピンクペッパーには、米国FDAのGRASの認定はありません。未熟果、葉、樹皮には刺激性成分があり、幼児の嘔吐や下痢、家禽、豚、牛の消化器症状を起こすことがあります。カリフォルニアでは、近くの柑橘類を害するクロカタカイガラムシの寄主になるため、19世紀に造園家からの人気も失いました。 5 8
品種・類似種・近縁種
認められている var. molle と var. rusbyi は、専門家でなければ外見で区別しにくい変種です。識別には小葉の細かな形質と、砂漠気候のペルー南部・チリ北部に限られる var. rusbyi の狭い分布域が手がかりになります。 1
特に取り違えやすいのは次の植物です。
- Schinus terebinthifolia、より直立した樹形で、小葉は幅広く鋸歯があり、熱帯でははるかに侵略性が強いとされます。
- Schinus areira、アルゼンチンでは同じ俗名で呼ばれがちですが、POWOでは別種です。
- Schinus polygama、チリの低木で、幼木の姿が似ています。
完全な学名なら、これらの種を明確に区別できます。果実が単に「ピンクペッパー」とだけ表示されて売られる場合、俗名では正確な種を判断できません。 3 2
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Schinus molle L.
- Plants of the World Online / Kew, Schinus areira L.
- Plants of the World Online / Kew, Schinus terebinthifolia Raddi
- Plants For A Future, Schinus molle
- Wikipedia英語版, Schinus molle
- Wikipediaフランス語版, コショウボク
- GBIF Backbone Taxonomy, Schinus molle L.
- Encyclopaedia Britannica, pepper tree
よくある質問
市販のピンクペッパーはコショウボクの実ですか?
一部はそうです。乾燥した核果はコショウボクと近縁のサンショウモドキから採れ、流通では二種が明確に区別されずに混ざることがよくあります。
コショウボクはコショウの仲間ですか?
いいえ。コショウボクはウルシ科、コショウ(Piper nigrum)はコショウ科です。コショウ様の風味は、それぞれの植物に固有の精油に由来します。
コショウボクは侵略的に広がりますか?
フランス本土地域(コルシカ島を含む)では、侵略的という公認の位置づけはなく栽培されています。一方、導入先の一部、特に南アフリカとオーストラリアでは侵略的な植物に分類されています。
サンショウモドキとどう見分けますか?
コショウボクは明瞭に枝垂れ、小葉は細く全縁です。ブラジルの偽コショウとも呼ばれるサンショウモドキは、より直立し、小葉は幅広く軽い鋸歯があります。
コショウボクの果実には毒性がありますか?
未熟果、葉、樹皮には刺激性成分があり、食べると家禽、豚、牛に、ときには幼児にも消化器症状を起こすことがあります。
実が一度もならない木があるのはなぜですか?
雌雄異株で、雄花と雌花は別々の株につきます。単独の雄株は何歳になっても核果をつけません。
コショウボクは霜に耐えますか?
一定の低温を超えると耐えにくくなります。葉は−5 °Cから傷み、−8 °C未満に長くさらされると地上部が枯れることがあるため、地植えは温暖な気候に限られます。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。




