ルリゴクラクチョウカ (Strelitzia nicolai, )



ルリゴクラクチョウカ(Strelitzia nicolai)は、アフリカ南部の海岸地帯を原産とするゴクラクチョウカ科の木立ち性の多年草です。木質化した茎が幹のように立ち上がって扇形の葉を広げ、その上に、近縁のゴクラクチョウカ(Strelitzia reginae)よりはるかに大きな白と青黒色の花を咲かせます。
続きを読むストレリチア・ニコライ, Bird-of-paradise tree, Giant white bird of paradise と Wild banana
朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

世界の分布
Strelitzia nicolai の自生域は、アフリカ南部の海岸沿いに東ケープ州からクワズール・ナタール州まで広がり、モザンビーク、ボツワナ、ジンバブエでも個体群が記録されています。自生域の外ではメキシコ(ベラクルス州)とオーストラリア東部で野生化しており、そのほかの地域でも温暖な気候の屋外や室内で広く栽培されています。
基本情報
ルリゴクラクチョウカ(Strelitzia nicolai Regel & Körn., 1858)は、ゴクラクチョウカ科ストレリチア属の植物で、園芸店ではストレリチア・ニコライの名でもよく見かけます。記載はレーゲルとケルニッケによる1858年のものです。Strelitzia reginae が幹をつくらず高さ1〜2 mにとどまるのに対し、Strelitzia nicolai は6〜9 mの木質の幹を立ち上げます。現地でひと目で分かるのは、まずこの違いです。1 2
鳥にたとえた名前は花の形に由来します。青黒色の苞から白い萼片と青紫色の「舌」がのぞき、その輪郭は Strelitzia reginae と同じく、冠羽をもつ異国の鳥の頭を思わせます。英名のwild bananaはむしろ扇形の葉を指したもので、幹が現れる前の株は若いバショウ属と間違えられがちです。3 4
見分け方
株立ちの木のような姿で、直立する木質の茎が見かけ上の幹となり、高さ6〜9 mに達することがあります。株全体の広がりは2〜3.5 mほどです。灰緑色の葉は茎の先に扇状に並び、長さは1.8 mに及び、風を受けると簡単に裂けます。4 3
花序は、くちばし形をした青黒色の苞、白い萼片、青紫色の舌からなり、全体で高さ18 cm、長さ45 cmほどになることがあります。花は同じ苞から一輪ずつ順に開き、一輪の寿命は数日ですが、開花期は数週間にわたります。4 3
幹の育っていない若い株は、バナナや若い Strelitzia reginae と見分けがつきにくく、確実に判断できるのは数年の生長を経て花が咲いてからです。3
知っておきたい分類
POWO/WCVP での受理名は Strelitzia nicolai Regel & Körn. です。シノニムは少なく、次の2つを知っておけば足ります。
- Strelitzia alba subsp. nicolai (Regel & Körn.) Maire & Weiller
- Strelitzia quensonii Lem.
注意が要るのはalba subsp. nicolaiです。亜種に格下げしたこの扱いは一部のデータベースにまだ残っていますが、受理名に取って代わるものではありません。また、Strelitzia alba は独立した受理種で、白い花の大型ストレリチアという同じ通称を共有しているため、混同しないようにしてください。1 5
属のなかで大型の木立ち性の種は、Strelitzia nicolai、Strelitzia alba、Strelitzia caudata の3種です。いずれも木質の姿をしているため、園芸店ではしばしば取り違えられます。4
生育環境と分布
自生域は東ケープ州のグレートフィッシュ川流域からクワズール・ナタール州のリチャーズベイまでで、モザンビーク、ボツワナ、ジンバブエでも個体群が確認されています。アフリカ南部の常緑海岸林や海岸沿いの低木林に生えます。6 3
自生域の外では、メキシコのベラクルス州と、ニューサウスウェールズ州北部からクイーンズランド州南部にかけてのオーストラリア東部で野生化しています。フロリダ、カリフォルニアの沿岸部、地中海沿岸でも栽培されており、根づいてしまえばやせた土や潮風にも耐えます。4 3
生活環と繁殖
栽培下では春に咲き始め、アフリカ南部の自生地では6月から9月にかけて花を咲かせます。実生でも株分けでも、若い株は最初の花をつけるまでに5〜10年かけて幹をつくります。6 3
自生地では、タイヨウチョウなど蜜を吸う鳥が苞にとまって受粉を助けます。サルが花や種子を食べることもあり、茂った葉はカエルやカモの隠れ場所にもなっています。受粉後は褐色の三角形の蒴果ができ、橙色の仮種皮をかぶった黒い種子がこぼれます。3
栽培で早く花を見たいなら、株元から出る子株の株分けが向いています。実生の場合は種子をあらかじめ水に浸ける必要があり、初めて咲くまで何年も待つことになります。4 3
利用と注意点
用途の中心は観賞です。温暖な地域では、扇形のシルエットが日当たりのよい植え込みやパティオ、プールサイドの景観を引き締めます。室内では、吹き抜けやごく明るい部屋に置く大型の植物になります。自生地の周辺では、乾かした茎が縄づくりに使われることもあります。3 耐寒性の目安はUSDAゾーン10〜11で、関東の冬はこれより寒くなるため、日本では明るい室内やサンルームで冬を越させる大型の鉢植えとして扱うのが現実的です。
樹液に触れると皮膚が刺激されます。果実、種子、葉を口にすると、猫、犬、馬では吐き気、嘔吐、眠気が起こり、人でも腹痛や下痢を起こすことがあります。3
Strelitzia nicolai は、動物ではヘモグロビンが分解されてできる色素として知られるビリルビンの存在が、化学分析で確かめられた数少ない植物のひとつです。7 4
品種・混同しやすい種・近縁の植物
広く流通して性質の安定した園芸品種はありません。園芸店で見られる違いは、主に生育の勢いや、栽培される気候による幹立ちの早さです。3
よく取り違えられるのは、次の植物です。
- Strelitzia alba:白い花をつける別の大型木立ち性ストレリチアで、同じ商品名で売られることが多い
- Strelitzia caudata:属内3番目の大型木立ち性種で、個体群はより限られる
- Ravenala madagascariensis:扇形の葉はほとんど同じだが、科が異なる
- バショウ属 Musa の若い株:幹のできていない Strelitzia nicolai と若葉がよく似る
- Strelitzia reginae:ずっと小さく、幹のない草本で、橙色と青の花をつける
花や十分に育った幹がないうちは、葉だけでこれらを確実に見分けるのは難しいままです。
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Strelitzia nicolai Regel & Körn.
- International Plant Names Index, Strelitzia nicolai Regel & Körn.
- GBIF Backbone Taxonomy, Strelitzia nicolai
- NC State Extension Gardener Plant Toolbox, Strelitzia nicolai
- Wikipedia(英語版)、Strelitzia nicolai
- Wikipedia(フランス語版)、Strelitzia nicolai
- INPN / MNHN、Strelitzia nicolai(Oiseau du paradis blanc)
- PubMed / NCBI、Strelitzia nicolai におけるビリルビン色素の同定(PMID 19206232)
よくある質問
ルリゴクラクチョウカはバナナの仲間ですか?
いいえ。Strelitzia nicolai はゴクラクチョウカ科に属し、バナナのバショウ科(Musaceae)とは別の科です。ただし、若い株の扇形の葉は若いバショウ属の株によく似ています。
ルリゴクラクチョウカとゴクラクチョウカ(Strelitzia reginae)はどう違いますか?
Strelitzia nicolai ははるかに大きくなる木立ち性の植物で、木質の幹をもち、白と青黒色の花を咲かせます。Strelitzia reginae は幹をつくらない背の低い草本の株立ちで、橙色と青の花が特徴です。
ルリゴクラクチョウカは猫や犬に有毒ですか?
はい。ただし毒性は軽度です。果実、種子、樹液によって、猫、犬、馬に吐き気、嘔吐、眠気が出ることがあり、触れると皮膚が刺激されることもあります。
ルリゴクラクチョウカがいつまでも咲かないのはなぜですか?
最初の開花までには、数年かけて幹をつくる必要があり、そのためには直射日光がしっかり当たることが欠かせません。株が若すぎる、日当たりが足りない、植え替えたばかりといった条件では、開花がかなり遅れることがあります。
Strelitzia nicolai、Strelitzia alba、Strelitzia caudata の違いは何ですか?
3種はいずれもこの属の大型で木立ち性のストレリチアで、よく似た木質の姿をしています。園芸店ではしばしば取り違えられ、確実に見分けるには花を植物学的に細かく観察するしかありません。
ルリゴクラクチョウカは霜に耐えますか?
-2 °C 前後までの軽く短い霜には耐えますが、それより強い寒さや長く続く低温では葉が大きく傷み、株元まで枯れることがあります。
この植物にビリルビンが含まれているというのは本当ですか?
はい。Strelitzia nicolai は、ふつうは動物に関連づけられる色素であるビリルビンの存在が化学分析で確かめられた、数少ない植物のひとつです。
似ている植物
植物学上の情報は、RHS、Kew Gardens、POWOなどの信頼できる資料を基にまとめています。本ページは参考情報です。毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。




