マロニエ (Aesculus hippocastanum, L. 1753)

マロニエ(Aesculus hippocastanum)は、バルカン半島の限られた山地に自生するムクロジ科の大型落葉樹です。5〜7小葉からなる掌状複葉、春に直立した花序に集まる白い花、ペットに有毒な種子を包む棘のある蒴果が特徴です。

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学名Aesculus hippocastanum
属Aesculus
目Sapindales

マロニエ, セイヨウトチノキ と Horse chestnut

基本情報
毒性
エスクリンとサポニンにより、猫、犬、馬に有毒です。
管理の難易度
低い
植物タイプ
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
ブルガリアアルバニアギリシャ北マケドニア
自生環境
自生地はバルカン半島の湿った谷や山地林。自生域外では公園や都市の街路に広く植栽されます。
季節性
開花期
春
収穫期
秋
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
6/10
成熟までの期間
初開花は15〜20年ごろで、40年を過ぎると成木の樹形になります。
増やし方
種子, 接ぎ木
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
耐風性は良好で、広い枝張りを持ちますが材にはしなやかさがあります。
湿度
40–70 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌pH
土壌タイプ
粘土、シルトまたは砂, 石灰質土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

日なたから明るい半日陰に適します。
屋外
花壇, 地植え
形態
高さ2000–3000 cm株張り1000–2000 cm
葉
緑黄茶
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 葉 1
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 葉 2
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 葉 3
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 葉 4
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 葉 5
花
白黄赤大きさ1.5–2.5 cm
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 花 1
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 花 2
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 花 3
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 花 4
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 花 5
果実
緑茶大きさ4–6 cm
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 果実 1
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 果実 2
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 果実 3
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 果実 4
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
茶
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 樹皮 1
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 樹皮 2
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 樹皮 3
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 樹皮 4
マロニエ (Aesculus hippocastanum):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

本来の自生域はブルガリア、アルバニア、ギリシア北部、北マケドニアのバルカン山地の一部に限られ、小さく点在する個体群が残ります。ルネサンス期に中央ヨーロッパへ導入され、現在は自生域をはるかに越えて栽培されています。自然分布と植栽による分布を区別する必要があります。

  • 原産4
  • 移入2
  • ブルガリア
  • アルバニア
  • ギリシア
  • 北マケドニア
  • オーストリア
  • アメリカ合衆国

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

マロニエ(Aesculus hippocastanum L., 1753)は、セイヨウトチノキとも呼ばれるトチノキ属の大型落葉樹です。現在はムクロジ科に属し、かつてのトチノキ科やカエデ科もこの科に統合されています。フランス語名marronnier d’Indeにある「インド」は本当の原産地を示さず、ヨーロッパでまだ珍しく分布がよく分からなかった時代の誤認に由来します。 1 5

種小名hippocastanumと英名Horse chestnutは「馬の栗」を意味し、砕いた種子を馬の咳や息切れに用いた歴史を伝えます。フランス語のmarronnierも、種子がヨーロッパグリ(Castanea sativa)に似ることにちなみます。ただし前者はムクロジ科、後者はブナ科で、近縁ではありません。マロニエの種子はエスクリンを含むため人も生食できず、焼いて食べるクリとは区別が必要です。 7 6

見分け方

大きく丸い樹冠が広がり、通常の樹高は20〜30 m、特に大きな個体では39 mほどの記録もあります。葉は5〜7枚の小葉が放射状に集まる掌状複葉で、小葉には柄がありません。単葉で縁に鋸歯のあるクリと違い、この葉の形だけでも離れた場所から見分けやすい木です。 2 3

冬にも確認できるのは、表面に光沢があり粘り気の強い芽です。春には白い花が直立する花序に集まり、黄色い斑点が花の老化とともに赤色へ変わります。日当たりのよい成木では、花序の高さが20〜30 cmを超えることもあり、葉の上によく目立ちます。 2 7

果実は4〜6 cmの緑色で棘のある蒴果です。熟すと3つに裂け、光沢のある褐色の種子を1〜3個放出します。老木の灰褐色の樹皮は、不規則な板状にはがれます。 3

分類のポイント

学名Aesculus hippocastanumは、植物命名法の基礎となるリンネの『Species Plantarum』で1753年に発表されました。トチノキ属は長くトチノキ科に置かれていましたが、現在はムクロジ科トチノキ亜科に分類されます。 1 5

文献に現れる歴史的な名や園芸上の名は、受容されている種名と分けて扱います。以下には異名、変種名、品種に関係する名が含まれます。

  • Hippocastanum vulgare Gaertn.(歴史的名称)
  • Pawia hippocastanum (L.) Kuntze(歴史的名称)
  • Aesculus procera Salisb.(歴史的名称)
  • Aesculus asplenifolia Loudon(歴史的名称)
  • Aesculus hippocastanum var. umbraculifera H.Jaeger(園芸形に関わる名称)
  • Aesculus hippocastanum f. baumannii C.K.Schneid.(園芸形に関わる名称)

照合の基準は受容名Aesculus hippocastanumです。BaumanniiやUmbraculiferaは接ぎ木で維持される同じ種の園芸選抜で、独立した別種ではありません。 1 2

生息地と分布

本来の自生域はバルカン半島の限られた山地にあり、ブルガリア、アルバニア、ギリシア北部、北マケドニアにまたがります。自然の個体群は小さく点在し、湿った森林の谷などに生育します。 8 7

ルネサンス期に中央ヨーロッパへ持ち込まれた後、観賞用の植栽によって大きく広まりました。この分布は自然な拡大によるものではありません。粘土質、壌土、砂質の幅広い土に適応し、石灰質の土も許容するため、自生地とは異なる都市の環境にも植えられます。 2 3

自生域での保全区分は危急種(VU)です。ギリシア、アルバニア、北マケドニアの野生個体群は分断され、一部では成熟個体が数百本ほどしか残っていません。主に植栽される自生域外の木と、これらの野生個体群の保全状況は区別して捉えます。 8

生活環と繁殖

春の開花は、気候に応じて4〜5月ごろに見られます。個々の花は1.5〜2.5 cmにすぎませんが、直立する大きな花序を作るため遠くからでも目立ちます。花には多くの送粉昆虫が訪れます。 7 6

秋に成熟した種子は、棘のある蒴果とともに落ち、果皮が3つに裂けます。園芸では冬の低温湿潤処理を経た種子から基本種を育てますが、実生は一重咲きで結実します。八重咲き品種Baumanniiは不稔のため、種子では増やせず、花の特徴を保つには接ぎ木を用います。 6 2

ジュネーヴのトレイユ遊歩道に植えられたマロニエは、1818年から公式の季節観測木として扱われています。州議会事務局が毎年、最初の葉が開く日を記録し、街では伝統的に春の始まりを知らせる目安とされています。 9

利用と注意点

豊かな木陰と目立つ春の花を生かし、独立樹、並木、公園樹として植えるのが主な利用です。また、アエスシンに富む種子抽出物は、静脈不全や脚の重さに対して伝統的に用いられてきました。薬用の抽出物と生の種子は区別が必要です。 6 7

生の種子、若芽、樹皮にはエスクリンとサポニンが含まれ、犬、猫、馬が食べると消化器症状を起こします。ヨーロッパグリのクリと異なり、マロニエの種子は人も生のまま食べられません。 4 6

都市部での葉の早い褐変には、ハモグリガのCameraria ohridellaが関わります。幼虫が葉の内部を食べ、夏の半ばから褐変させますが、通常それだけで木は枯れません。Pseudomonas属の細菌による胴枯れ性の病気は、すでに弱った木をさらに衰弱させるため、両者のうちではより深刻な脅威です。 2 3

品種・類似種・近縁種

八重咲きのBaumanniiは不稔で蒴果を作らず、街路で落果の清掃を減らす目的に適します。Umbraculiferaは矮性で球形の樹冠を作り、Memmingeriは不規則な白い斑のある葉が特徴です。品種ごとの違いは、植える場所に応じた選択につながります。 2

取り違えやすいヨーロッパグリ(Castanea sativa)はブナ科です。マロニエの掌状複葉と、クリの単葉で鋸歯のある葉を比べると、遠くからでも違いが分かります。果実にも差があり、マロニエの4〜6 cmの蒴果は短くまばらな棘を持つ一方、クリのいがは長く密な棘に覆われます。近縁の園芸樹Aesculus × carneaは北米産の種との交雑に由来し、桃色から赤色の花で見分けられます。 3 5

主な参考文献

よくある質問

マロニエはクリの仲間ですか?

マロニエはムクロジ科、ヨーロッパグリ(Castanea sativa)はブナ科で、同じ仲間ではありません。種子は似ていますが、掌状複葉と、単葉で鋸歯のあるクリの葉は明確に異なります。

マロニエの種子には毒がありますか?

はい。犬、猫、馬に有毒です。生の種子にはエスクリンやサポニンがあり、食べると消化器症状を起こします。クリと異なり、人も生のまま食べられません。

夏から葉が褐色になるのはなぜですか?

よくある原因はハモグリガのCameraria ohridellaです。幼虫が葉の内部を食べ、早く褐変しますが、通常それだけで木は枯れません。締まった土での夏の乾燥でも似た症状が出ます。

薬用のマロニエ抽出物は何に使われますか?

アエスシンに富む種子抽出物は、静脈不全や脚の重い感じに対して伝統的に使われます。対象は成分を標準化した抽出物で、生の種子をそのまま食べることではありません。

マロニエの本当の原産地はどこですか?

自生域はバルカン半島の限られた山地です。ルネサンス期に中央ヨーロッパへ導入され、現在の広い分布は自然な拡大ではなく、大規模な観賞用植栽によるものです。

実がならないマロニエがあるのはなぜですか?

Baumanniiなどの八重咲き品種は不稔で、棘のある蒴果を作りません。街路で落果の清掃を避けるために選ばれた園芸形質です。

マロニエは絶滅が心配されているのですか?

バルカン半島の自生域では危急種に区分され、野生の個体群は小さく分断されています。主に植栽される自生域外の木には、この保全区分を同じようには当てはめられません。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。