リンドウ (Gentiana scabra, )
リンドウ(Gentiana scabra)は、シベリア南東部、日本、中国北部・東部、朝鮮半島を原産とするリンドウ科の多年草です。標高400〜1,700 mの湿った草地、河岸、林縁に生えます。夏の終わりから秋に咲く青紫の花は観賞され、非常に苦い根は中国の伝統医療で竜胆草として利用されてきました。
続きを読むリンドウ, イヤミグサ, Rindō, Long dan cao, Japanese gentian と Korean gentian




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世界の分布
Gentiana scabraの自生域はシベリア南東部、日本、中国北部・東部、朝鮮半島にわたり、標高400〜1,700 mに生育します。園芸では原産地外でも広く栽培され、特にヨーロッパでは野外に帰化する種というより庭園植物として扱われています。
基本情報
リンドウ(Gentiana scabra Bunge, 1835)は、リンドウ科リンドウ属の多年草です。ラテン語の種小名scabraは「ざらつく」を意味し、萼や葉の縁の粗さを表します。肉眼で見るよりも、触れたときに分かりやすい特徴です。 1 5
日本で使われるリンドウという名は主に本種を指します。3つの花を3枚の笹の葉に配した笹竜胆の意匠は、平安時代に源氏の個人的な紋として用いられました。 9
見分け方
株元から立つ枝分かれしない茎は、上部に小さな突起があり、高さ30〜60 cmになります。十分に養分を得た園芸株では1 mに達することもあります。無柄の葉が対生し、披針形から卵状披針形で長さ2〜7 cm、盛り上がる3〜5本の平行脈をもちます。縁はわずかに巻き、触るとざらつきます。 5 3
青紫色の花は、ときに内側の喉部に黄緑色の斑点があります。花冠は長さ4〜5 cmの筒状の鐘形から漏斗形で、茎先や上部の葉腋に小さくまとまってつきます。夏の終わりから秋にかけての遅い開花は、多くの花壇の多年草が花を終えた後の見どころになります。 5 3
分類のポイント
学名Gentiana scabra BungeがPOWO/WCVPの受容名です。地域による複数の型が区別され、園芸でも次の名が用いられます。
- Gentiana scabra var. buergeri (Miq.) Maxim. ex Franch. & Sav.:萼が筒部より長い日本の変種で、リンドウとして販売される多くの株の由来です。
- Gentiana scabra subsp. australis M.Y.Liou:分布域南部の集団です。
- Gentiana fortunei Hook.f.:一部の目録に残る歴史的な異名です。
中国の生薬流通では、名前の似た薬用リンドウ類が混同されることがあります。本種Gentiana scabraは竜胆草(long dan cao)の原料で、Gentiana manshuricaとともに「関竜胆(guan long dan)」という商品名で採取されています。 1 7
生息地と分布
シベリア南東部から日本、中国北部・東部、朝鮮半島へと自生域が広がります。標高400〜1,700 mの河岸、湿った草地、道沿いの斜面、低木の茂みや林縁に生育します。 5 1
原産地外でも広く栽培され、特にヨーロッパでは、野外に帰化して広がる植物というより、適度な湿り気のあるロックガーデンや花壇の縁を飾る園芸植物です。 3
生活環と開花
発芽には0〜−5 °Cで5〜6週間の低温処理が必要です。その後の実生の生長もゆっくりで、初開花まで2〜7年かかります。それでも、約10年を要するゲンチアナよりは短い期間です。 4
開花期は集団によって5〜11月に及びますが、庭で栽培される多くの株は晩夏から秋に咲きます。この性質によって、日本ではキクと並び秋の花の組み合わせに使われてきました。受粉後は短い子房柄の上に、長さ2〜2.5 cmの細長い蒴果ができます。 5
栄養繁殖には、春の株元の芽の挿し木や3月の株分けがあります。種まきのように開花まで何年も待つ必要がなく、自然の変異を組み替える実生と違い、親株と同じ性質を保てます。 4
鉢植えでも露地でも、開花は株の成熟を示します。2〜3回の生育期を過ぎても咲かない株は、必ずしも栽培不良ではありません。花を咲かせられるだけの根の大きさにまだ達していない場合があります。 3
利用と注意点
乾燥した根と根茎は、中国の伝統生薬竜胆草の原料です。2,000年以上前から、肝臓や胆のうのための苦味薬として、食欲不振、消化の不調、一部の炎症に使われてきました。これは伝統的な利用の記録です。 7 6
苦味のもととなるのはゲンチオピクロシドなどのセコイリドイドです。植物界で特に苦い物質の1つで、実験室では苦味を感じる閾値を測る基準にも使われます。人やペットに対する毒性は記録されておらず、強烈な味が、問題になるほどの偶発的な摂取を妨げます。 8 4
庭では、適度な湿り気を好む多年草とともに、花壇の縁、日陰のロックガーデン、コンテナで観賞されます。土を乾かしきらないことが共通の条件です。日本では秋の贈り物となる花鉢にも使われ、ヨーロッパのキクに近い役割を担います。 3
品種・類似種・近縁種
日本の変種buergeriに由来する園芸選抜には、濃青色の花をつける 'Scarborough Blue' や、葉と花冠に淡い縞が入る 'Royal Stripes' があります。これらの品種名によって、種の学名や栽培上の基本条件が変わるわけではありません。 3
混同されやすい相手の1つは、中国の近縁種Gentiana manshuricaとGentiana trifloraです。花がよく似て、薬用に一緒に採取されます。確実に区別するには、萼の細部を調べる必要があります。 7
もう1つは、晩夏の姿が似るキキョウ(Platycodon grandiflorus、キキョウ科)です。近い仲間ではなく、開花前にふくらむつぼみと互生葉をもちます。筒状の花冠と対生葉をもつリンドウとは、その2点で明確に区別できます。 5
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Gentiana scabra Bunge
- International Plant Names Index, Gentiana scabra Bunge
- Royal Horticultural Society, Gentiana scabra(英名coarse gentian)
- Plants For A Future, Gentiana scabra
- Flora of China / Missouri Botanical Garden, Gentiana scabra Bunge
- PMC / NCBI, Gentiana scabra Bungeの試験管内繁殖
- PMC / NCBI, 中国の伝統生薬Long-Danの総説
- PubChem / NCBI, ゲンチオピクロシド化合物概要
- Vegder's Blog, 笹竜胆と源氏の紋
よくある質問
リンドウはネコやイヌに有毒ですか?
毒性は記録されていません。根は既知の物質の中でも特に苦いゲンチオピクロシドを含み、その強い味が問題になるほどの摂取を妨げます。
リンドウがまだ咲かないのはなぜですか?
Gentiana scabraは通常、実生から初開花まで2〜7年かかります。若い株に花がないのは異常ではなく、育て方の問題とは限りません。
キキョウとはどう見分けますか?
キキョウ(Platycodon grandiflorus)は別のキキョウ科に属します。開花前にふくらむつぼみと互生する葉が、筒状の花冠と対生葉をもつリンドウとの明確な違いです。
リンドウの根は伝統医療で何に使われますか?
乾燥した根は中国の生薬、竜胆草の原料です。2,000年以上にわたり、肝臓や胆のうのための苦味薬として、食欲不振や消化の不調に利用されてきました。
種小名scabraの意味は何ですか?
ラテン語でざらつくという意味です。萼や葉の縁の軽いざらつきを表し、目で見るより触れると分かりやすい特徴です。
リンドウは鉢植えにできますか?
できます。2〜3年ごとに株分けと植え替えをし、適度に湿り気を保つ水はけのよい土を使います。夏には鉢土を完全に乾かさないことが大切です。
リンドウと笹竜胆の紋にはどんな関係がありますか?
笹竜胆は、笹の葉にリンドウの花を配した意匠です。平安時代には源氏の個人的な紋として用いられました。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。






