スナジグミ (Hippophae rhamnoides, L. 1753)

スナジグミ(Hippophae rhamnoides)は、フランス沿岸を含むヨーロッパ温帯からシベリア南部、中国中南部に自生するグミ科の有刺低木です。雌雄異株で、根に共生するFrankia属の細菌によって貧栄養な土にも定着します。銀色を帯びた葉と、受粉した雌株につくビタミンCの豊富な鮮橙色の果実が特徴です。

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学名Hippophae rhamnoides
属Hippophae
目Rosales

スナジグミ, Sea buckthorn, Seaberry と Sanddorn

基本情報
毒性
毒性は知られず果実は食用。妊娠中の大量摂取には注意します。
管理の難易度
低い
植物タイプ
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
フランスドイツポーランドロシア中国インド
自生環境
海岸の安定した砂丘、砂礫質の河岸、山地の崖錐や岩礫斜面。海抜付近から標高約1,900 mまで。
季節性
開花期
春
収穫期
秋
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
6/10
成熟までの期間
4〜6年で成株の姿になり、受粉した雌株だけが結実します。
増やし方
挿し木, ひこばえ分け, 種子
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
非常に強く、潮風や強風に耐え、海岸の防風垣に使われます。
湿度
30–60 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
軽い砂質土, 水はけのよい土
塩類土壌
耐えられる
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

十分な直射日光が必要です。
屋外
日なたの花壇, 地植え
鉢
大型コンテナ
形態
高さ200–600 cm株張り200–400 cm
葉
緑白
花
緑黄
果実
オレンジ
樹皮
茶

世界の分布

ヨーロッパ温帯からシベリア南部、中国中南部に自生し、ヒマラヤとコーカサスにも分布します。フランスでは英仏海峡とガスコーニュ沿岸の砂丘、ローヌ川・ライン川の沖積谷、アルプスの丘陵帯から亜高山帯に見られます。砂丘固定のために移入された地域では、局所的に侵略的に広がることがあります。

  • 原産6
  • 移入1
  • 侵略的3
  • フランス
  • ドイツ
  • ポーランド
  • ロシア
  • 中国
  • インド
  • アメリカ合衆国
  • イギリス
  • アイルランド
  • カナダ

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

スナジグミ(Hippophae rhamnoides L.、1753)は、グミ科ヒッポファエ属の低木です。英語名Sea buckthornはクロウメモドキ属の植物を連想させますが、本種はRhamnus属ではありません。種小名rhamnoidesは、刺のある茂った姿を指して「クロウメモドキに似た」という意味です。 1 6

属名Hippophaeは、古代ギリシャ語のhippos(馬)とphaos(輝き)に由来します。古代の著述には、馬の毛づやをよくすると考えられた葉の飼料利用が記されています。果実の豊富なビタミンCにちなみ、ドイツ語では「北のレモン」とも呼ばれます。 4

見分け方

枝を観察すると、灰褐色の小枝に短く硬い刺があることが分かります。スナジグミは雌雄異株で刺が多く、剪定や収穫には手間がかかります。仕立て方や気候で差がありますが、高さは通常2〜6 mで、日当たりのよい場所で自由に育った株はさらに高くなることがあります。 2 3

細い線形から披針形の葉は、微細な鱗片によって表が灰緑色、裏が銀色に見えます。緑一色の葉をもつRhamnus catharticaとは、この二色の葉で区別できます。海岸で見分ける際にも役立つ特徴です。 3 4

芽吹き前の春、前年枝の葉腋に小さな黄緑色の花が密集して咲きます。花弁はありません。受粉した雌株には6〜8 mmの卵形の核果ができ、緑色から夏の終わりに鮮やかな橙色へ熟します。 2 3

分類のポイント

POWO/WCVPではHippophae rhamnoides L.が受容名で、同属でアジア以外にも広く分布するのは本種です。属内にはヒマラヤの限られた地域に育つHippophae salicifolia D.DonやHippophae tibetana Schltdl.もあります。栽培例はあるものの、自生域外で見かける機会は多くありません。 1

野生株の産地を理解するうえでは、地理的に分かれた次の亜種が参考になります。庭植えの株を選ぶときとは、分類上の区別の役割が異なります。

  • Hippophae rhamnoides subsp. rhamnoides:ヨーロッパに分布する基準亜種
  • Hippophae rhamnoides subsp. carpatica Rousi:中央・南東ヨーロッパ
  • Hippophae rhamnoides subsp. caucasica Rousi:ブルガリアからイラン北西部
  • Hippophae rhamnoides subsp. mongolica Rousi:シベリア南部からモンゴル
  • Hippophae rhamnoides subsp. turkestanica Rousi:アフガニスタンからヒマラヤ西部
  • Hippophae rhamnoides subsp. yunnanensis Rousi:チベット南東部と中国西部

園芸では亜種の違い以上に、株の性別が重要です。品種の説明には通常、受粉専用の雄株か、果実生産用の雌株かが明記されています。 1

生息地と分布

ヨーロッパ温帯からシベリア南部、中国中南部にかけての自生域に加え、ヒマラヤやコーカサスにも生育します。不安定な土地に定着する先駆植物で、海岸砂丘、砂礫の河岸、崖錐、標高約1,900 mまでの岩礫斜面に見られます。 6 4

フランスでの分布は、英仏海峡とガスコーニュ沿岸の砂丘、ローヌ川・ライン川の沖積谷、アルプスの丘陵帯から亜高山帯という三つの地域に分かれます。INPNのフランス版レッドリストでは低懸念に分類され、砂丘の群落はNatura 2000の保護対象となる生息地に含まれます。 5

砂丘を固定する目的で自生域外に導入すると、局所的に侵略的な広がりを見せることがあります。窒素固定によって本来は貧栄養な砂地が肥沃になり、密な茂みが在来の砂丘植物を覆います。19世紀末に植栽されたイギリスやアイルランドの沿岸では、その後に除去の対象となった例が記録されています。 7 8

生活環と繁殖

花の性は株ごとに分かれ、雄花と雌花が一株に混在することはありません。果実をつけるのは近くの雄株から受粉した雌株だけです。果樹園では一般に、15 m未満の距離で雌株6〜8株に雄株1株を配置します。 2 3

地下の根には、マメ科の一部の根粒と同様に大気中の窒素を固定できるFrankia属の細菌が共生します。窒素の少ない砂や砂礫では多くの低木が定着しにくい一方、スナジグミはこの共生によって窒素を得られます。そのため、ほかの木本が育ちにくい土地にも長く根づけます。 4

株の性別を確実に引き継ぐには、主に休眠枝の挿し木か、すでに発根したひこばえの株分けで増やします。実生も可能ですが時間がかかり、最初に開花するまで雌雄は分かりません。 4

利用と注意点

熟果は食用で、温帯の低木の果実のなかでもビタミンCが非常に豊富です。酸味が強いため生食されることは少なく、加熱や冷凍の後にジュース、ジャム、シロップに加工します。人やペットへの毒性は報告されていませんが、妊娠中の大量摂取は念のため控えます。 4

海岸の庭では、塩分、風、潮風への耐性を生かした防風垣や、斜面・砂丘の固定に用いられます。銀色の葉と橙色の果実も観賞価値があり、果実は冬のかなりの期間まで枝に残ります。 2 3

庭で特に注意したいのはひこばえによる拡大です。根から多数の芽が出て、植えた株から遠くまで広がります。狭い庭ほど地下茎用の遮断板や外周の定期的な刈り込みが役立ちます。 3

品種・類似種・近縁種

品種を選ぶ基準は、まず雌雄と栽培目的です。ドイツの選抜品種Leikoraは大きな橙色の果実をつける雌品種、Pollmixは受粉専用の雄品種で、よく組み合わされます。比較的新しいSandoraは自家結実性があり、近くに別の雄株がなくても実をつけるため、小さな庭にも向きます。 2

似た姿の低木とは、次の特徴を比べて区別できます。

  • Rhamnus cathartica:葉は銀色を帯びず緑一色で、果実は黒色です。
  • Elaeagnus angustifolia:葉は同じく銀色ですが、果実は橙色ではなく黄褐色の長い形です。
  • Prunus spinosa:海岸の生け垣では似た有刺低木の姿になりますが、果実は粉白を帯びた青黒色です。

野外では、表が緑色で裏が銀色という葉の二色性をまず確認すると便利です。Rhamnus cathartica、Elaeagnus angustifolia、Prunus spinosaとの比較でも、スナジグミを素早く見分ける手がかりになります。

主な参考文献

よくある質問

実を収穫するには雄株と雌株が必要ですか?

はい。スナジグミは雌雄異株で、近くの雄株から受粉した雌株だけが実をつけます。単独の株は開花しても結実しないことがあります。通常は雌株6〜8株に雄株1株を組み合わせます。

スナジグミの実は食べられますか?

熟した果実は食用で、ビタミンCが豊富です。ただし酸味が強いため生食は少なく、加熱や冷凍を経てジュース、ジャム、シロップなどに加工されます。

猫や犬に有毒ですか?

人やペットへの毒性は報告されていません。ただし妊娠中は、念のため果実を大量に摂取しないようにします。

砂丘でも育つのはなぜですか?

根には大気中の窒素を固定するFrankia属の細菌が共生しています。この働きによって、ほかの低木が定着しにくい貧栄養で不安定な砂地にも生育できます。

Rhamnus catharticaとはどう見分けますか?

Rhamnus catharticaは銀色を帯びない緑一色の葉と黒い果実をもちます。スナジグミは葉裏が銀色で、枝に沿って鮮やかな橙色の果実が密生します。

侵略的外来植物とされる地域があるのはなぜですか?

砂丘固定のため自生域外に植えられ、在来植物を覆う密な茂みを作ることがあるためです。イギリスやアイルランドの沿岸では特に問題となり、栽培規制のある地域もあります。一方、フランスの大西洋沿岸では在来種です。

庭でひこばえが広がる心配はありますか?

根から多数のひこばえを出し、植えた場所よりかなり広く増えることがあります。地下茎用の遮断板や株の周囲の定期的な刈り込みで、拡大を抑えられます。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。