オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile, (Boreau) H.Ohba 1977)

オオベンケイソウ(Hylotelephium spectabile (Boreau) H.Ohba、1977)は東アジア原産のベンケイソウ科の多肉性多年草です。直立して枝分かれしない茎に肉厚の葉が対生します。晩夏には桃色から紫色の星形の小花が幅広い平たい散房花序を作り、季節の終わりの訪花昆虫に好まれます。

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学名Hylotelephium spectabile
属Hylotelephium
目Saxifragales

オオベンケイソウ, Showy stonecrop, Ice plant と Live-forever

基本情報
毒性
資料により無毒から低毒性とされ、確定していません
管理の難易度
低い
植物タイプ
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
ロシア中国韓国
自生環境
低山の林縁や岩の多い斜面
季節性
開花期
夏秋
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
5/10
成熟までの期間
2〜3年で十分な株になり、1〜2年目から開花します
増やし方
株分け, 茎挿し, 種子
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
日なたでは強め。肥沃すぎる土や日陰では茎が倒れやすくなります
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
非常に水はけのよい土, 岩礫質土, 砂質土
塩類土壌
耐えられる
光と置き場所
日照条件

日なた

一日を通して強い直射日光が当たる場所に置きます。

日なたを好み、軽い半日陰にも耐えます
屋外
ロックガーデン, 砂利庭園, 日なたの花壇, 送粉者を呼ぶ庭
鉢
テラコッタ鉢, 底穴のある鉢
形態
高さ30–70 cm株張り30–60 cm
葉
緑青
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 葉 1
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 葉 2
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 葉 3
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 葉 4
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 葉 5
花
ピンク紫赤大きさ7–15 cm
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 花 1
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 花 2
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 花 3
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 花 4
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 花 5
果実
茶
樹形・草姿
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 樹皮 1
オオベンケイソウ (Hylotelephium spectabile):原産地と利用法 — 樹皮 2

世界の分布

Plants of the World Onlineはロシア沿海地方南西部から中国北部・中東部、朝鮮半島を自生域としています。フランスには1860年代に導入され、現在は温帯の庭で広く栽培されます。ポーランドでまれな一時的逸出が記録されるほか、侵略的とする記録はありません。

  • 原産3
  • 移入2
  • ロシア極東部
  • 中国
  • 朝鮮半島
  • 米国
  • ポーランド

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

オオベンケイソウ(Hylotelephium spectabile (Boreau) H.Ohba、1977)はベンケイソウ科の多肉性多年草です。葉が茎に対生することが、葉を1枚ずつ互生するHylotelephium telephiumとの見分けどころです。最初はSedum spectabile Boreauと呼ばれ、日本の植物学者、大場秀章が1977年に新属Hylotelephiumへ移しました。 1 8

種小名spectabileはラテン語で「目を引く」「見事な」を意味し、セダムの仲間としては大きな散房花序を表します。フランスには1860年代に導入され、その後、欧州と北米の温帯の庭に広まりました。 8 7

見分け方

塊状の地下部から枝分かれしない茎が立ち上がり、高さ30〜70 cmの株になります。冬は地上部が完全に枯れます。青みを帯びた灰緑色の肉厚の葉は長さ2.5〜10 cmで、2枚ずつ対生、または3枚ずつつきます。対してHylotelephium telephiumの葉は互生し、向かい合いません。 3 8

晩夏には茎の先に、幅7〜15 cmの密で平たい散房花序をつけます。小花は5枚の花弁をもつ星形で、桃色から紫色、葯も紫色です。古くなると銅褐色になり、乾いた茎に残る花序は冬も観賞できます。 4 8

分類のポイント

大場秀章は1977年の分類改訂でHylotelephiumをSedumから分けました。塊状の地下部、幅広く薄い葉、密な散房花序、特有の花の形など、残りのSedumとは異なる特徴を備える群です。 5 1

重要な異名はSedum spectabile Boreauです。古い植物誌だけでなく園芸カタログや、学名を更新していない苗木のラベルにも今なお使われます。Anacampseros spectabilis (Boreau) Jord. & Fourr.の名も、より少数ながら見られます。 1

Hylotelephium spectabileという現在の受容名で確認すると、BoreauやJordanとFourreauに由来する異名を整理しやすくなります。また、同じラベルで販売されることもある、葉が互生するHylotelephium telephiumとの混同も避けやすくなります。 1

生息地と分布

自生域についてPlants of the World Onlineは、ロシア沿海地方南西部から中国北部・中東部と朝鮮半島までとしています。低山の林縁や岩の多い斜面に自生します。 1 4

原産地以外では主に庭の多年草として栽培され、フランス、英国、米国でも灰緑色の葉と遅い開花が、季節の終わりの花壇を彩ります。ポーランドでは一時的で定着しない逸出が報告されていますが、侵略的な植物とする記録はありません。 7 3

生活環と繁殖

開花は晩夏から初霜まで続きます。自家結実が可能で、昆虫が受粉を担います。庭の蜜源が少なくなる時期に、散房花序へハチ、チョウ、ハナアブが集まります。 8

春に3〜4年ごとに株分けすると、親株と同じクローンを得られます。実生ではBrilliantやIcebergなどの品種の特徴がそのまま残る保証はありません。初夏の茎の挿し木も容易で、湿った用土に置いた1枚の葉からロゼット全体が再生することもあります。 3 6

利用と注意点

観賞用には、ロックガーデン、砂利の庭、乾いた花壇の縁、鉢、日なたの花壇で使います。乾いた花序を切らずに残せば冬も楽しめ、ドライフラワーにも利用できます。 4 3

若葉を生や加熱して食べた例があり、粘りと穏やかな味をもちます。伝統薬としての利用は限定的です。安全性については毒性は不確かで低いとされます。NC State Extensionは摂取後の消化器症状の可能性を挙げていますが、裏づけは乏しく、他の園芸資料は大きな危険はないとしています。 6 4

研究では希少糖セドヘプツロースの合成を調べるモデル植物にもなっています。また、土壌中の一部の重金属を吸収する能力から、植物を利用した環境修復の研究対象とされています。 8

品種・類似種・近縁種

園芸品種には樹形や色による違いがあります。RHSのAward of Garden Meritを受賞したBrilliantはコンパクトで鮮桃色、Icebergは明るい灰緑色の葉と白花、Neonは晩夏に鮮やかな濃桃色の花をつけます。Autumn Joyとして売られるHerbstfreudeはHylotelephium spectabileとHylotelephium telephiumの交雑品種です。原種と異なり蜜を作らず、チョウを引き寄せません。 2 5

最も混同しやすい近縁種はHylotelephium telephiumです。互生する葉がオオベンケイソウの対生葉との違いです。英語のIce plantは、系統的に離れたハマミズナ科のDelospermaやMesembryanthemumにも使われるため、この名だけで植物を判断しないようにします。 8 6

主な参考文献

よくある質問

オオベンケイソウは犬や猫に有毒ですか?

毒性は不確かで、低いとされています。NC State Extensionは葉や茎の摂取後に消化器症状が起こる可能性を挙げていますが、記録は十分ではありません。他の園芸資料ではペットに大きな危険はないとされています。

なぜ学名がSedumからHylotelephiumに変わったのですか?

日本の植物学者、大場秀章が1977年に、塊状の地下部、幅広い葉、密な散房花序など、他のSedumに共通しない特徴をもとに、この仲間を別属に分けました。

Hylotelephium telephiumとの違いは何ですか?

最も頼りになるのは葉のつき方です。オオベンケイソウは対生、または3枚ずつつくのに対し、Hylotelephium telephiumは茎に沿って葉が互生します。

Herbstfreude(Autumn Joy)はどのような品種ですか?

オオベンケイソウとHylotelephium telephiumの園芸交雑品種で、広く流通しています。原種と異なり蜜を作らないため、チョウを引き寄せません。

季節の終わりに花が茶色くなるのはなぜですか?

銅褐色になるのは開花後の自然な老化です。乾いた花序も観賞でき、株を傷めることなく冬の間も残せます。

オオベンケイソウはどう増やしますか?

最も簡単なのは春の株分けで、3〜4年ごとに行います。茎の挿し木も容易で、湿った用土に置いた1枚の葉から新しい株が再生することもあります。

庭ではどこに植えるとよいですか?

やせて水はけのよい日なたが適しています。ロックガーデン、砂利の庭、乾いた花壇の縁では腐敗を避けながら、遅い時期の散房花序を楽しめます。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。