ヘンナ (Lawsonia inermis, )
ヘンナ(Lawsonia inermis L.)はヘンナ属で唯一の種で、アフリカ北東部の熱帯域からアラビア半島、インド亜大陸にかけて原産するミソハギ科の低木です。葉の橙色の色素を得るため数千年にわたり栽培されてきました。対生する小さな楕円形の葉、芳香のある花の円錐花序、褐色で球形の蒴果が特徴です。
続きを読むヘンナ, ヘナ, シコウカ, ツマクレナイノキ, Henna と Mehndi

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Taken May 8, 2014 by Tela Botanica − Sénégal ENGOUEMENT (cc-by-sa)
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世界の分布
Lawsonia inermisの原産地はアフリカ北東部の熱帯域からアラビア半島を経て、パキスタン南部とインドに及びます。古代からの栽培により、北アフリカやオーストラリア北部など原産域外にも帰化しました。原産地、栽培地域、帰化集団を区別する必要があります。
基本情報
ヘンナ(Lawsonia inermis L., 1753)はミソハギ科の低木で、ヘンナ属Lawsoniaで唯一認められる種です。ヘナ、シコウカ、ツマクレナイノキとも呼ばれ、国際的にはHennaやMehndiという名でも知られます。 1 6
属名Lawsoniaは、リンネの『Systema Naturae』の刊行資金を援助したスコットランド人軍医Isaac Lawsonにちなみます。一方、種小名inermisは「とげがない」という意味で、野生で見られるとげのある枝に対し、栽培型の滑らかな枝を表しています。 2
アラビア語のhinna'はフランス語のhennéや英語のhennaの語源です。雅歌にもcamphireという古名で登場し、数千年前から染色に使われてきたことを伝えています。乾燥させてすりつぶした葉は、皮膚、髪、爪、一部の織物を染めるために利用されてきました。 7
見分け方
枝分かれの多い低木で、仕立て方によっては小高木にもなります。通常の高さは2~6 mですが、気候条件のよい場所で長年育った株では7 mに達したという記録もあります。 3 2
若い枝は緑色で角ばり、年を経ると灰色になります。先端に短いとげをつけることもあり、かつてはこの特徴をもとに有刺型と無刺型が分けられていました。対生する葉は楕円形から披針形で、縁に鋸歯がなく、表面にも毛がありません。長さは1.5~5 cmと小さく、葉の大きな周囲の低木と見分ける手がかりになります。 5 3
花色は集団によって白、桃色、赤と変わります。直径は約1 cmにすぎませんが、枝先の大きな円錐花序に数百個集まり、強い芳香を放ちます。花後には直径4~8 mmの褐色の球形蒴果ができ、熟すと四つに裂けて、角ばった多数の種子を放出します。 5
分類のポイント
ヘンナ属は単型属で、認められる種はLawsonia inermisのみです。植物の分類上の照合は比較的単純ですが、実際には野生植物同士よりも流通商品の呼称が混同の原因になります。主な歴史的な異名は次の二つです。
- Lawsonia spinosa L.:野生の有刺型を記載した名で、現在はL. inermisに含まれます。
- Lawsonia alba Lam.:雅歌のcamphireを扱う古い聖書翻訳にも残る旧名です。
POWOで認められる学名はLawsonia inermis L.です。この名を基準にすれば、「ニュートラルヘナ」や「ブラックヘナ」といった商品名を、植物学的に認められた変種と取り違えずにすみます。 1 6
生息地と分布
自生域の中心はアフリカ北東部の熱帯域からアラビア半島にかけてで、さらにパキスタン南部とインドまで広がっています。 1
日当たりのよい乾燥サバンナや海岸の低木林、季節河川に沿った場所に生育します。やせた砂質土や石灰質土への適応力があり、多くの観賞用低木よりもこうした条件によく耐えます。 2 3
古代からの栽培を通じ、北アフリカやオーストラリア北部など原産域を大きく越えた土地にも帰化し、栽培区画の外で集団を維持しています。ラージャスターン州のSojat(ソジャット)はインドの主要な産地で、葉のローソン含量と結びついた地理的表示の保護を受けています。 2
生活環と繁殖
繁殖には主に種まきを用い、用土を25~30 °Cに保ちます。暖かい季節には半木質化した枝の挿し木も可能です。発芽まで2~4週間かかり、1年目の生育はゆっくりしています。 3
条件がよければ葉は1年目から収穫できますが、十分に枝分かれして本格的な生産量になるまでには2~3年を要します。切り取った葉を陰干しして緑色の粉末にし、酸性の液体を混ぜるとヘンナのペーストになります。 7
温帯で施設栽培した場合は主に夏の終わりに開花します。一年を通じて暖かい熱帯気候では、年に何度か花を咲かせることもあります。 3
利用と注意点
利用の中心は皮膚と髪の染色で、皮膚の軽い消毒や織物の染色よりも広く行われています。色素のローソン(2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)が皮膚、髪、爪のケラチンと結合し、処理部位によって1~3週間持続する赤褐色を生みます。 7
健康な皮膚に使う純粋なヘンナは、人や家庭動物に対して無毒と考えられています。記録された危険は、濃く速く染まる一時的なタトゥー用のブラックヘナに由来します。これにはパラフェニレンジアミン(PPD)が添加されており、強いアレルゲンとして、ときには重い接触皮膚炎を起こします。初回の接触から1~2週間後に症状が現れます。 8
染色以外にも、皮膚の軽い消毒を目的とする伝統的な使用があり、羊毛、絹、皮革を染める色材にも使われてきました。こうした利用は古代エジプトからインド亜大陸の伝統まで認められます。 7
品種・類似種・近縁種
広く認められた安定した園芸品種はなく、商品の違いは主として産地とローソン含量に由来します。色素の多さで知られるソジャット産や、濃い色合いをうたうイエメン産も、別個の分類群ではなく産地に基づく呼称です。 2
商品で混同しやすいのは、生きた株よりも「ニュートラルヘナ」として売られる粉末です。通常これはローソンを含まず、まったく別の属の植物から作られますが、ヘンナの名を広く当てはめて流通しています。 7
植物学的には単型属であるため、同属の別の野生種との混同はありません。同じミソハギ科にはサルスベリやミソハギなども含まれますが、姿や花つきは大きく異なります。生きた植物と商品名で販売される化粧品を区別する基準になるのは、受容される学名Lawsonia inermisです。 6
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Lawsonia inermis L.
- Missouri Botanical Garden, Plant Finder — Lawsonia inermis
- Plants For A Future (PFAF), Lawsonia inermis
- INPN / MNHN, Lawsonia inermis L., 1753
- USDA ARS GRIN Global, Lawsonia inermis - 分類情報
- ITIS, Lawsonia inermis L. (TSN 503345)
- Wikipedia, ローソン(2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン)
- DermNet NZ, ブラックヘナタトゥーへの反応
よくある質問
ヘンナは動物に有毒ですか?
Lawsonia inermisは猫、犬、人に対して無毒と考えられています。記録されている危険は未加工の葉ではなく、化学物質を加えたブラックヘナに関するものです。
ブラックヘナは危険ですか?
一時的なタトゥー用のブラックヘナには、強いアレルゲンであるパラフェニレンジアミン(PPD)が含まれることが多く、塗布から1~2週間後に重い接触皮膚炎を起こすことがあります。
フランス本土でヘンナを育てられますか?
多くの地域では鉢植えか無加温温室で育てます。5 °Cを下回る寒さに弱く、よく育って開花するには十分な日光と暖かさが必要です。
ヘンナという呼び名の由来は何ですか?
アラビア語のhinna'に由来し、フランス語のhennéや英語のhennaにつながります。雅歌にもcamphireという古い名で登場します。
ヘンナには複数の植物学的な変種がありますか?
ヘンナ属は単型属で、唯一の種がLawsonia inermisです。ソジャット産やイエメン産という呼称は地理的な産地を表し、別の植物学的変種を意味しません。
ヘンナはどのように色をつけますか?
乾燥して粉末にした葉のローソンが、皮膚、髪、爪のケラチンと結合します。赤褐色の発色は、処理した部分によって1~3週間続きます。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。

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