ゼニバアオイ (Malva neglecta, Wallr. 1824)

ゼニバアオイ(Malva neglecta)はアオイ科の一年草または二年草で、ウスベニアオイに近い植物です。ヨーロッパ温帯、北アフリカ、西アジアに広く分布し、窒素の多い道端、農家の庭、堆肥の周囲に生えます。白から淡いライラック色の小花と、縁の丸い円盤状の果実が見分ける手掛かりです。

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学名Malva neglecta
属Malva
目Malvales

ゼニバアオイ, Common mallow と Cheeseweed

基本情報
毒性
無毒 : 人(子どもを含む), 猫, 犬 と 動物 · 要確認 : 馬
管理の難易度
低い
植物タイプ
一年生草本 · 食用植物 · 薬用 · 雑草 · 送粉者を呼ぶ植物
葉の性質
落葉
寿命
一年草
原産国
フランスモロッコスペインイギリスドイツ
自生環境
窒素の多い荒地や攪乱地、道端、土手、農家の庭、堆肥や厩肥の周辺
季節性
開花期
春夏
収穫期
夏秋
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
7/10
成熟までの期間
発芽時期に応じ、翌春または翌夏に開花します
増やし方
種子
気候と水やり
温度
耐寒性
湿度
40–70 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
肥沃な土, 撹乱された土壌, 水はけのよい土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なたから明るい半日陰
屋外
道端, 未利用地, 法面
形態
高さ15–60 cm株張り20–60 cm
葉
緑紫
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 葉 1
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 葉 2
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 葉 3
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 葉 4
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 葉 5
花
白ピンク
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 花 1
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 花 2
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 花 3
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 花 4
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 花 5
果実
茶
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 果実 1
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 果実 2
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 果実 3
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 果実 4
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑紫
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 樹皮 1
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 樹皮 2
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 樹皮 3
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 樹皮 4
ゼニバアオイ (Malva neglecta):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

POWOではカナリア諸島、モロッコ、ヨーロッパから中央アジアと西ヒマラヤまでを自生域とします。別の資料は、サハラ以南を除く旧世界の温帯、マグレブから中国までと、より広く捉えています。南北アメリカには広く導入され、現在は一部の地域で侵略的な雑草とされます。

  • 原産5
  • 移入1
  • 侵略的1
  • フランス
  • モロッコ
  • スペイン
  • イギリス
  • ドイツ
  • カナダ
  • アメリカ合衆国

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

ゼニバアオイ(Malva neglecta Wallr.、1824年)は、ウスベニアオイと同じアオイ属に属するアオイ科の草本です。属名Malvaは、古代ギリシャ語で「柔らかい」を意味するmalakosに由来し、近縁種と共通する粘液質の軟化作用を示します。 4 1

種小名neglectaはラテン語で「見過ごされた」の意味です。小花のアオイ類と長く混同され、Malva rotundifoliaなどの古い名前に埋もれていた分類上の経緯を表します。Wallrothが正式に区別し、1824年に発表しました。 7

見分け方

茎は基部から枝分かれして地をはうか斜めに立ち上がり、長さは15〜60 cmになります。この低い姿は、花を見る前にも、より高く直立するウスベニアオイとの違いを示します。葉柄は長く、溝と毛があり、円形から腎臓形の葉には浅い5〜9裂が見られます。葉の幅は2〜6 cmです。 5 6

葉腋には花が2〜5個ずつつきます。白から淡いライラック色の花弁は5枚で、長さはわずか8〜12 mmです。同じ土手に生えることの多いMalva sylvestrisの鮮桃色の花弁と比べ、2分の1〜3分の1の長さです。 5

果実は直径約5 mmの環状の円盤になります。10〜15個ほどの小さな心皮が集まり、表面は滑らかか弱い稜があり、縁は丸みを帯びます。ウスベニアオイの果実ほど稜が目立ちません。 4

分類のポイント

本種の受容名はMalva neglecta Wallr.で、1824年に発表されました。アオイ属のほかの種と同様にアオイ科に属します。 1

古い植物誌には複数の異名が登場します。Malva rotundifolia var. crispa Wimm. & Grab.は受容名と同じタイプに基づく名で、Malva vulgaris Fr.、Malva orbiculata Pomel、Malva prostrata Gilib.もPOWOでは異名とされます。 1

古い植物誌や標本では、ゼニバアオイにMalva rotundifoliaの名が使われていることがあります。しかしPOWOは、リンネが1753年に発表したこの二名法名を別種のMalva pusilla Sm.に結びつけています。この歴史的な混同を避けるには、Malva neglectaという名前を確認することが大切です。 1 7

生息地と分布

ゼニバアオイの自生域としてPOWOが挙げるのは、温帯のカナリア諸島、モロッコ、ヨーロッパから中央アジアと西ヒマラヤです。別の資料では、サハラ以南を除く旧世界の温帯のほぼ全域、マグレブから中国やインド亜大陸までと広く記載されます。 1 3

生育地の特徴は窒素が多く、攪乱された土です。道端、土手、農家の庭、瓦礫地、厩肥や堆肥の周囲に生えます。とくに厩肥の近くでは、ほかの雑草がこれほど密に生えない場所にも定着します。フランスでは各地の荒地や人為的な攪乱地で見られます。 5

原産地を越えて導入された結果、南北アメリカで広く帰化しています。アメリカ合衆国の複数の州では侵略的な雑草に分類されています。 6 8

生活環と繁殖

多くの個体群は秋などに発芽して越冬する越年草として生育します。土が柔らかく凍らなければ、二年草や短命な多年草として残ることもあります。湿り気のある暖まった土では1〜2週間で発芽し、新たに攪乱された荒地へ速やかに広がります。 3 2

開花期は地域により5〜9月です。花弁の濃い脈に誘われる昆虫が花の受粉を担います。若い芽にはアブラムシAcyrthosiphon malvaeがよくつき、ヒメアカタテハVanessa carduiの幼虫は葉を食べます。 4

繁殖方法として記録されるのは、ウスベニアオイと同様に種まきです。定着後は丈夫で木質化する直根をもつため、手で抜き取りにくく、毎年こぼれ種でも増えます。 6

利用と注意点

食用の記録はゼニバアオイの全部位にあります。若葉は生のサラダやホウレンソウのような加熱料理に使われ、オクラに似た粘りがあります。種子は たんぱく質21%、脂肪15.2% を含み、ヘーゼルナッツに似た風味です。食糧不足の時代には代用の粉にも加工されました。 3 2

モロッコの野草採集では、葉をバクーラやホビザといった伝統的な煮込みに使う習慣が記録されています。甘みのある根は、煎じてから泡立てることで、メレンゲを作る卵白の代用品にもなりました。 9 5

人・猫・犬に対する毒性成分の記録はありません。ただし窒素過多の土では組織に硝酸塩が蓄積し、大量に食べる家畜に危険な濃度となることがあります。 5

品種・類似種・近縁種

ゼニバアオイには、形質の安定した園芸選抜品種はありません。自然に生える雑草で、観賞用として本格的に栽培化された植物ではありません。 2

野外では、次の近縁種との混同が起こります。

  • Malva sylvestrisはウスベニアオイで、より直立し、大きく色の濃い花をつけます。
  • Malva pusillaは同じような攪乱地に生えますが別種です。Malva rotundifoliaの名で誤って呼ばれることがあります。
  • Malva parvifloraは小花の近縁種で、成熟した心皮の網目がより明瞭です。

同定には、地をはう姿、小さく淡い花、縁の丸い環状の果実の3点を合わせて確認します。一つだけでは、近縁種の中からMalva neglectaを確実に区別しにくいためです。 4

主な参考文献

よくある質問

ゼニバアオイは猫や犬に有毒ですか?

いいえ。主要な資料では、人・猫・犬への毒性成分は記録されていません。ただし、窒素過多の土では家畜に危険な硝酸塩を蓄積する場合があります。

ゼニバアオイは食べられますか?

葉、種子、根は食用として記録されています。種子は約21%のたんぱく質と15.2%の脂肪を含み、ヘーゼルナッツに似た風味があります。

ウスベニアオイとはどう見分けますか?

ゼニバアオイは茎が地をはうか斜めに立ち上がり、ウスベニアオイは直立します。花も淡く小さく、花弁は8〜12 mmほどで、近縁種の約2 cmと異なります。

種小名neglectaはなぜ「見過ごされた」という意味なのですか?

古い意味でのMalva rotundifoliaなど、小花のアオイ類と長く混同されたためです。Wallrothが1824年に区別して正式に発表しました。

ゼニバアオイは侵略的な植物ですか?

自生域のヨーロッパと北アフリカでは普通の雑草で、特に問題にはされません。一方、導入先の南北アメリカでは一部の地域で侵略的とされます。

ゼニバアオイはどこに生えますか?

窒素の多い攪乱された土を好み、道端、土手、農家の庭、瓦礫地、堆肥や厩肥の周囲などに生えます。

ゼニバアオイには伝統的な利用がありますか?

モロッコでは葉をバクーラやホビザなどの煮込みに使います。根を煎じて泡立て、メレンゲ用の卵白の代用品にした記録もあります。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。