スミミザクラ (Prunus cerasus, L. 1753)

スミミザクラ(Prunus cerasus L.)はヨーロッパと西アジア原産のバラ科の小型落葉樹です。赤色から紫黒色の果実はセイヨウミザクラより明らかに酸味が強く、食べられる熟した果肉と、シアン化合物による危険のある核・葉・茎を区別する必要があります。

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学名Prunus cerasus
属Prunus
目Rosales

スミミザクラ, Sour cherry, Morello cherry と Tart cherry

基本情報
毒性
注意 : 人(子どもを含む) · 有毒 : 猫, 犬 と 馬
管理の難易度
高い
植物タイプ
樹木 · 果樹 · 落葉樹
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
コーカサス南東ヨーロッパ西アジア
自生環境
温帯の生垣、果樹園、林縁に育つ小型樹木。保水性と肥沃さのある土壌で、日なたから明るい半日陰で栽培
季節性
開花期
春
収穫期
夏
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
6/10
成熟までの期間
品種と台木により異なり、多くは3–5年目から結実
増やし方
接ぎ木, 挿し木, 取り木
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
中程度。若木と扇形に仕立てた木は風から保護します
湿度
35–70 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌タイプ
壌土, 粘土, 水はけのよい土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なたを好み、明るい半日陰にも耐えます
屋外
地植え, 日なたの花壇, 花壇
鉢
地植え, 大型コンテナ
形態
高さ400–1000 cm株張り400–800 cm
葉
緑
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 葉 1
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 葉 2
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 葉 3
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 葉 4
花
白
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 花 1
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 花 2
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 花 3
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 花 4
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 花 5
果実
赤紫
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 果実 1
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 果実 2
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 果実 3
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 果実 4
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
茶赤
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 樹皮 1
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 樹皮 2
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 樹皮 3
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 樹皮 4
スミミザクラ (Prunus cerasus):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

POWO/WCVPは起源をコーカサス周辺とし、ゲノム研究ではヨーロッパと西アジアまで広げて捉えられています。Wikipediaによると、真に野生の集団はおそらく残っておらず、亜種acidaは栽培から容易に逸出します。

  • 原産3
  • 移入2
  • コーカサス
  • 南東ヨーロッパ
  • 西アジア
  • アメリカ合衆国
  • ロシア

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

スミミザクラ(Prunus cerasus L., 1753)はバラ科Prunus属の受容種です。POWO/WCVPは起源をコーカサス周辺とし、近年のゲノム研究はその範囲をヨーロッパと西アジアまで広げています。 1 7

フランス語のグリオットは果肉と果汁が濃色の品種群を、アマレルは果汁が淡色でグリオットより酸味が弱い群を指します。英名のsour cherryは、甘い実をつけるPrunus aviumとの味の違いを表します。 7 2

「サクランボの木」という呼び方だけでは、スミミザクラ、セイヨウミザクラ、食用果実を目的としない観賞用のサクラを区別できません。苗木を注文する際も、二名法の学名Prunus cerasusが曖昧さを取り除く確かな基準になります。

見分け方

小柄な落葉樹で、自然樹形での高さはNC Stateによれば最大9 m、樹冠は横に広がる形から丸い形です。RHSは成木の高さと幅を4–8 mとします。両資料で12 mを超えることのあるセイヨウミザクラより低く、実を味わう前にも見分ける手がかりになります。 3 2

開花は晩春で、Prunus aviumより少し遅れます。RHSは純白の花が密に集まるとし、NC Stateは5枚の花弁をもつ白花が3–5個ずつまとまると記しています。 2 3

卵形から楕円形の葉は鋸歯があり、光沢のある緑色です。NC Stateによる葉の長さは5–13 cm。若い樹皮は赤褐色で滑らかに光り、水平の皮目が樹齢とともに目立ってきます。 3 2

果実は赤色から紫黒色の核果で、NC Stateによる直径は2.5 cm未満です。両種の果実の色が似ていても、明らかに強い酸味がセイヨウミザクラとの違いになります。 3 7

分類のポイント

1753年にリンネが発表したPrunus cerasusを、POWOは受容名としています。セイヨウミザクラと同じCerasus亜属に属しますが、染色体数は多く、スミミザクラは四倍体、Prunus aviumは二倍体です。 1 7

最近のゲノム解析によれば、本種はセイヨウミザクラ(Prunus avium)とステップのサクラ(Prunus fruticosa)の古い交雑で生じた異質四倍体です。栽培品種‘Montmorency’で調べられたゲノムには、両起源の痕跡が三つのゲノムに由来する構成として残っています。 6 7

この二重の起源に関連して、苗木で混同されやすいのがデュークチェリー(Prunus × gondouinii)です。スミミザクラとセイヨウミザクラの交雑種で、樹高、味、開花は両親の中間になります。デュークは独自の名前で扱われるため、どちらかの単なる異名と考えず、購入前に品種表示を確認します。

生息地と分布

コーカサス周辺を起源とするのがPOWO/WCVPの扱いです。Wikipediaは自生域をヨーロッパと西アジアの広い範囲とする一方、真に野生の集団はおそらく現在残っていないとしています。亜種acidaが容易に栽培から逸出するため、地域ごとの自生と帰化の境界は曖昧です。 1 7

栽培土壌には、RHSは適度に湿り、排水のよい粘土質か壌土を勧め、日なたから明るい半日陰が適します。酸性、中性、アルカリ性のいずれも受け入れ、有機物の豊富な土壌は成長を速めるとNC Stateは記しています。 2 3

耐えられる温度は−20–35 °C、耐寒性区分はRHSによればUSDA 3–8です。東欧の大陸性気候から大西洋岸の温帯海洋性気候まで、栽培できる背景になります。 2

現在はフランス、ドイツ、イギリス、東欧の複数国、ロシアで広く栽培されていますが、これらの地域について特別な侵略的外来種の位置づけは公表されていません。 1

生活環・開花・果実

晩春の白い花から目に見える一年の営みが始まり、結実を経て夏に成熟します。通常、成熟はセイヨウミザクラより遅めです。赤色から紫黒色の核果をつけ、果肉と果汁の色合いは品種群によって異なります。 3 7

果樹生産は二つの品種群に大別されます。果肉と果汁が濃色のグリオット群では‘Morello’がヨーロッパの代表で、果汁が淡色のアマレル群では‘Montmorency’が北米の商業生産を支えます。 7

種まきでは果樹品種を忠実に再現できず、得られる若木が‘Montmorency’や‘Morello’と同じになる保証はありません。本種はひこばえを出しやすく、幹の周りの芽を採って台木を増やせる一方、毎年株元で刈り取る手間にもなります。 4 2

栽培と利用

収穫した実は主にジャム、菓子、保存食、飲料に利用されます。ベルギーのクリークやポルトガルのジンジーニャなどの発酵飲料、トルコのヴィシュネ・スユも例に挙がります。セイヨウミザクラより生食に向きにくい、強い酸味が生かされます。 7 4

PFAFは副次的な歴史的利用も挙げています。収れん・解熱のため樹皮を浸出して用い、幹から採れる樹脂状のガムをかんだとされます。現在の果実生産に比べれば、これらはささやかな利用例です。 4

果実を生産するには、RHSは日なたと肥沃で適度に湿る土壌を勧めます。剪定区分1に従う夏の剪定は、銀葉病と細菌性かいよう病の危険を抑えます。冷涼地の‘English Morello’では、壁面に誘引する扇形仕立てが古典的な栽培法です。 2

毒性・動物・食用上の注意

食用の判断では、ほかのサクラ類と同様に、熟した果肉が食べられても、植物全体が安全とは限りません。NC StateとPFAFは生または調理した果実を食用としていますが、それ以外の部位にはシアン化合物による危険も指摘しています。 3 4

原因は核、葉、茎に含まれる青酸配糖体で、特にアミグダリンとプルナシンです。NC Stateは犬、馬、猫への危険を挙げ、ASPCAもPrunus属のサクラ類をこれらの動物に有毒としています。しおれた葉ではシアン化合物が増えるため、特に注意が必要です。 3 5

核を除いたジャムが安全だからといって、核、葉、茎まで犬、猫、馬、子どもに安全とは判断できません。粉砕や機械的な加工をする前に核を取り除きます。硬い殻を割ると内部の種子が露出するためです。 5

栽培品種・台木・混同しやすい植物

RHSと参照された園芸カタログには、普及する品種として‘Montmorency’、‘Morello’、‘English Morello’などが挙がります。これらは接ぎ木で増やす果樹の選抜品種であり、独立した種や植物分類上の変種ではありません。 2 7

最もよく混同されるのはPrunus cerasusとセイヨウミザクラPrunus aviumです。前者は小型でひこばえが多く、酸味が強いのに対し、後者は大型で甘い実をつけることが多い植物です。両者の中間的な雑種であるデュークチェリー(Prunus × gondouinii)や、果実より花を楽しむ観賞用のサクラもあります。

苗木選びでは学名、品種、グリオットかアマレルかという群、台木、生食か加工かという目的が役立ちます。果樹園の外に生えた木を見分けるなら、10 m未満の樹高、幹を囲むひこばえ、光沢のある赤褐色の樹皮、最初の実から分かる明瞭な酸味が有力な手がかりです。 2 3

主な参考文献

よくある質問

スミミザクラの実は食べられますか?

はい。NC StateとPFAFによると、熟した果肉は生でも加熱しても食べられ、ジャム、菓子、保存食に広く利用されます。ただし核や葉まで食べられるという意味ではありません。

スミミザクラは犬や猫に有毒ですか?

はい。ASPCAはPrunus属のサクラ類を犬、猫、馬に有毒とし、主に茎、葉、砕いた核を問題としています。熟した果肉が食べられても、植物全体の安全性は保証されません。

Prunus cerasusとPrunus aviumは同じ植物ですか?

異なります。Prunus aviumは甘い実をつけることが多い大型のセイヨウミザクラです。Prunus cerasusはより小型で、実の酸味が明らかに強いスミミザクラです。

スミミザクラが交雑由来とされるのはなぜですか?

近年のゲノム解析は、Prunus cerasusがPrunus aviumとステップのサクラPrunus fruticosaとの古い交雑から生じた異質四倍体であることを示しています。栽培個体のゲノムにも両者の起源が残っています。

グリオット群とアマレル群はどう違いますか?

Prunus cerasusの主要な二つの品種群です。Morelloに代表されるグリオット群は果肉と果汁が濃色で酸味が強く、Montmorencyに代表されるアマレル群は果汁が淡色で、北米の商業生産の主流です。

スミミザクラの核をまいて育てられますか?

若いPrunusの木は得られますが、品種を忠実には再現できません。名のある果樹品種を育てるなら、台木の分かる接ぎ木苗を選ぶのが堅実です。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。