Mahaleb cherry (Prunus mahaleb, L. 1753)

Prunus mahaleb(L., 1753)はバラ科の落葉低木から小高木で、ヨーロッパ南部・中部から中央アジア、パキスタン北部、モロッコまで分布します。春に強く香る白花、独特な木の香り、石灰質土壌を好む性質が特徴です。古くからサクランボの台木に使われ、果実の核は香辛料マハレブの原料にもなります。

続きを読む
学名Prunus mahaleb
属Prunus
目Rosales

Mahaleb cherry と St Lucie cherry

基本情報
毒性
青酸配糖体により動物に有毒です。
管理の難易度
低い
植物タイプ
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
フランスイタリアスペイントルコモロッコ中央アジア
自生環境
乾いた丘陵、低木林、明るい林、ガリーグに生育し、ほぼ常に石灰質土壌に見られます。
季節性
開花期
春
収穫期
夏
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
5/10
成熟までの期間
成木の樹形になるまで10–20年。3–4年で開花することもあります。
増やし方
種子, 接ぎ木
気候と水やり
耐えられる温度
耐寒性
耐風性
強いです。柔軟な材と低木状の樹形で枝が折れにくいです。
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
石灰質土, 非常に水はけのよい土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なたから明るい半日陰。
屋外
生け垣列, 果樹園
形態
高さ300–1200 cm株張り300–800 cm
葉
緑黄
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 葉 1
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 葉 2
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 葉 3
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 葉 4
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 葉 5
花
白大きさ1–2 cm
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 花 1
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 花 2
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 花 3
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 花 4
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 花 5
果実
赤黒大きさ0.6–1 cm
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 果実 1
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 果実 2
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 果実 3
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 果実 4
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
茶
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 樹皮 1
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 樹皮 2
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 樹皮 3
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 樹皮 4
Prunus mahaleb:原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

POWOによる自生域はヨーロッパから中央アジア、パキスタン北部に及び、モロッコにも広がります。サクランボの台木として広く域外に導入され、北米などで帰化しました。米国北東部・中部の複数州では侵略的な状態も報告されています。

  • 原産6
  • 移入1
  • 侵略的1
  • フランス
  • イタリア
  • スペイン
  • トルコ
  • モロッコ
  • 中央アジア
  • カナダ
  • 米国(北東部・中部)

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

Prunus mahaleb(L., 1753)はバラ科の落葉低木から小高木です。英語ではMahaleb cherryやSt Lucie cherryとも呼ばれます。リンネが1753年の『Species Plantarum』で記載した二名法による学名を、POWOは現在も受容名として採用しています。 1 8

種小名mahalebは、この木の古いアラビア語名に由来します。フランス語では16世紀にmaguelet、次いでmacalepの形が記録され、mahalebに定着しました。フランス名bois de Sainte-Lucieは、本種が多かったムーズ地方の修道院にちなみます。そこで芳香のある材から、パイプの軸などの小物が作られていました。 8

見分け方

樹高は通常3–12 m、枝張りは3–8 mで、よく株立ち状になりますが、一本の幹を持つ小高木にも仕立てられます。葉は先端の短い卵形で細かな鋸歯があり、秋には鮮やかな黄色に変わります。葉が大きく先が長くとがるセイヨウミザクラ(Prunus avium)との違いになります。 2 5

強く香る白花は春、3–10花からなる短い房に咲きます。続く果実は6–10 mmの小さなサクランボで、緑から赤、成熟すると黒へ変わりますが、食用のセイヨウミザクラとは異なり、はっきりした苦味が残ります。切るか乾かした材はクマリンに似た特有の芳香を放ちます。この香りは、果色や葉形以上に識別の決め手になります。 2 6

分類のポイント

サクランボ、スモモ、アンズ、アーモンドとともに、POWOはPrunus mahalebをバラ科のAmygdaloideae亜科に分類しています。シチリア北部には独立した亜種Prunus mahaleb subsp. cupaniana (Guss.) Arcang.が認められています。 1

歴史的な変種名や型の名も多く、枝垂れ型にはPrunus mahaleb var. pendula (Dippel) Bean、黄色い果実にはPrunus mahaleb var. xanthocarpa (M.Roem.) Rehderがあります。こうした異名が並ぶ場合も、苗木の購入や識別の安定した基準は受容名Prunus mahaleb L.です。 1

生息地と分布

南部・中部ヨーロッパから中央アジア、パキスタン北部に自生し、モロッコにも分布します。乾いた丘陵や低木林、明るい林に生育し、ほぼ常に石灰質土壌に見られます。多くのほかのPrunusより石灰質によく耐えます。 1 3

サクランボの台木として自生域外に広く持ち出され、一部では帰化が進みました。米国北東部・中部の複数州では侵略的外来種として報告され、鳥が果実を運ぶことで実生が広がっています。一方、フランスでは石灰質の丘陵やガリーグに自生する在来種で、侵略的な地位はありません。 4 9

生活環と繁殖

葉が完全に展開する前の春、開花は数週間続き、香りに引き寄せられたハチが主に花を受粉させます。その後、鳥が黒い果実を食べ、苦い果肉を消化して核をそのまま排出します。このため成木の周りでは実生がよく見られます。 2 4

自然には種子で増えますが、発芽は遅く不ぞろいです。2–3か月の低温湿層処理が必要で、芽が出るまで18か月に及ぶこともあります。果樹栽培では直接の播種より接ぎ木が好まれ、すでに根付いたPrunus mahalebの台木に目的のサクランボ品種をすぐ導入できます。 3 5

利用と注意点

最もよく記録された果樹栽培上の用途は、観賞やパイプ材よりも台木です。やせた乾いた石灰質土壌に耐えるため、こうした土地の甘果・酸果のサクランボ用として長く重視されました。ただし遅れて生じる接ぎ木不親和の例により、ほかの台木に比べ利用が減っています。果実の核の殻を取り、挽いた香辛料マハレブは、ビターアーモンドとサクランボに似た香りを持ち、中東や南東ヨーロッパの菓子やパンに何世紀も使われてきました。 5 6

多くのPrunusと同様、葉・樹皮・核には青酸配糖体が含まれます。ASPCAはサクランボの仲間を犬・猫に有毒とし、特にしおれた葉では危険が高まるとしています。一方、マハレブに加工した核では、近年の分析でビターアーモンドに特徴的なアミグダリン型の青酸配糖体は検出されませんでした。この点が、少量の料理での利用と、植物のほかの部分との違いです。 7 6

品種・類似種・近縁種

観賞用品種の 'Kursar'という品種はPrunus incisaとの交雑から生まれ、早咲きの淡いピンクの花が特徴です。枝垂れ型の 'Pendula'という型は、直立する野生型より苗木の流通が少なめです。シチリアの亜種cupanianaは、単なる園芸選抜とは分類上の位置付けが異なります。 1

似ているセイヨウミザクラ(Prunus avium)は、より大きな葉と食用の果実を持ちますが、Prunus mahalebの果実は熟しても苦いままです。スピノサスモモ(Prunus spinosa)は、より低く、とげの多い密な低木となり、果実は粉白を帯びた青黒色です。切った材のクマリンに似た香りは、これら三者を分けるうえで、葉や果実だけを見るより確かな目印になります。 5

主な参考文献

よくある質問

Prunus mahalebはサクランボの仲間ですか?

はい。セイヨウミザクラ(Prunus avium)と同じ属ですが、非常に苦い果実には、セイヨウミザクラと違って直接の食用用途がありません。

なぜサクランボの台木に使うのですか?

やせた乾燥地や石灰質土壌への耐性が高く、こうした土地で栽培するサクランボの伝統的な台木です。ただし接ぎ木後の遅発性不親和が問題となり、利用は減っています。

香辛料マハレブとは何ですか?

Prunus mahalebの核の殻を取り、挽いて作る香辛料です。ビターアーモンドとサクランボを思わせる香りで、中東やヨーロッパ南東部の伝統的な菓子やパンに使います。

Prunus mahalebには毒がありますか?

多くのPrunusと同様、葉・樹皮・核に青酸配糖体を含み、犬・猫・家畜への毒性が記録されています。一方、マハレブに加工した核からは、ビターアーモンドに特徴的なアミグダリン型の青酸配糖体は検出されていません。

フランス名bois de Sainte-Lucieの由来は何ですか?

この木が多く生えていたムーズ地方の修道院に由来します。クマリンに似た独特な香りの材から、パイプの軸などの小物が作られました。

侵略的に広がる植物ですか?

フランスで認められた侵略的な地位はありません。一方、台木として盛んに植えられた米国では、北東部・中部の複数州で侵略的外来種として報告されています。

セイヨウミザクラとはどう見分けますか?

葉はセイヨウミザクラ(Prunus avium)より小さく薄く、果実は熟しても苦味が残ります。切った木の香りも特徴です。セイヨウミザクラの果実は食べられます。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。