Kermes oak (Quercus coccifera, L. 1753)

Quercus cocciferaは、地中海沿岸の石灰質のガリーグやマキに典型的なブナ科の常緑低木または小高木です。ヒイラギに似た硬くとげのある葉と、鱗片が立つ殻斗を持つどんぐりで、セイヨウヒイラギガシと区別できます。枝につくケルメスカイガラムシは緋色の染料用に長く採集され、種名の由来にもなりました。

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学名Quercus coccifera
属Quercus
目Fagales

Kermes oak と Coscoja

基本情報
毒性
ヒトと主な家畜には無毒です
管理の難易度
低い
植物タイプ
葉の性質
常緑
寿命
多年草
原産国
フランススペインポルトガルイタリアギリシャトルコモロッコアルジェリアチュニジアリビア
自生環境
石灰質土壌のガリーグや低いマキ、乾いた石の多い斜面。火災や放牧で常緑カシ林が退行した場所に多いです
季節性
開花期
春
生育
休眠
休眠しない
生育速度
2/10
成熟までの期間
5–15年で茂みとなり、樹木状になるまで数十年かかります
増やし方
種子
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
良好。低い樹形と緻密な材はガリーグの風に適応しています
湿度
30–55 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
石灰質土, 水はけのよい土
塩類土壌
耐えられる
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なたを好み、軽い半日陰にも耐えます
屋外
生け垣列, 日なたの花壇
形態
高さ100–800 cm株張り100–800 cm
葉
緑
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 葉 1
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 葉 2
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 葉 3
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 葉 4
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 葉 5
花
黄緑
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 花 1
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 花 2
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 花 3
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 花 4
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 花 5
果実
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 果実 1
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 果実 2
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 果実 3
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 果実 4
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
茶
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 樹皮 1
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 樹皮 2
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 樹皮 3
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 樹皮 4
Quercus coccifera:原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

Quercus cocciferaの自生域は地中海盆地全体に広がり、ポルトガル、スペインからトルコ、近東に至ります。北アフリカではモロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビアに集団があります。この範囲外では園芸利用されず、ガリーグ以外での生育例はごくわずかです。

  • 原産10
  • フランス
  • スペイン
  • ポルトガル
  • イタリア
  • ギリシャ
  • トルコ
  • モロッコ
  • アルジェリア
  • チュニジア
  • リビア

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

地中海の低くとげだらけの茂みを、カール・フォン・リンネが1753年に記載しました。ヨーロッパの大きな落葉性のナラ類とは印象の違うQuercus coccifera L.は、ブナ科コナラ属の常緑低木または小高木です。フランス語ではgarricやchêne des garriguesとも呼ばれます。 1 2

種小名cocciferaは「ケルメスをつける」という意味で、植物自体ではなく、枝に生息するカイガラムシKermes vermilioを指します。この虫は緋色の染料を得るため長く採集され、新大陸のコチニールカイガラムシが伝わる以前は、染料が地中海盆地全域へ輸出されていました。この色素にちなむ名が種全体につけられています。 4 5

見分け方

火災や放牧の影響を受けるガリーグでは、Quercus cocciferaは高さ1–3 mの低く密な茂みになります。保護された場所では数十年かけて8 mに達することもあります。 3 5

小さな葉は長さ3–5 cmで硬く光沢があり、縁の歯がとげ状になるためヒイラギを思わせます。最も多い混同相手はセイヨウヒイラギガシ(Quercus ilex)です。後者では下部や若い葉だけが刺さり、上部の葉は年齢とともに滑らかになりますが、Quercus cocciferaは若木でも成木でも茂み全体にとげのある葉を保ちます。 3

もう一つの目印はどんぐりです。殻斗の鱗片が伏せずに尖って立ち、セイヨウヒイラギガシのほぼ滑らかな殻斗と明瞭に異なります。成熟には2年かかります。ヨーロッパのコナラ属では珍しい形質で、主にセイヨウヒイラギガシ自身とも共有されるとされています。 4 3

分類のポイント

本種をブナ科のQuercus coccifera L.として受容するPlants of the World Onlineは、公表年を1753年としています。 1 2

植物学上の異名には次のような名前がありますが、独立した園芸上の位置づけはありません。

  • Quercus coccifera var. calliprinos (Webb) Boiss.(亜種として扱われることもあります)
  • Quercus coccifera var. rigida (Willd.) Boiss.(葉がより硬い型)
  • Quercus coccifera var. echinata (Trab.) Albert(殻斗の鱗片が特によく立つ型)

calliprinosの位置づけには、問題のないrigidaやechinataより議論があります。Plants of the World Onlineは異名としますが、近東の多くの研究者はパレスチナのこのカシを独立種または亜種として区別します。イスラエルやレバノンで見つかる、とげのある葉と鱗片の立つ殻斗を持つ木は、参照する分類体系により名前が変わることがあります。 1

生息地と分布

Quercus cocciferaの自然分布は地中海盆地全体に及びます。西はポルトガルとスペイン、中央部はフランス南部とイタリア、東はバルカン半島、トルコ、近東に達し、南岸のモロッコ、アルジェリア、チュニジア、リビアにも集団があります。 1 5

乾いた石の多い石灰質土壌を好み、日の当たる斜面、とりわけ火災や繰り返す放牧によって常緑カシ林が退行した場所に生育します。まだ深い根を張っていない若い実生は、乾いた夏が数年続くと生き残りにくくなります。一方、根づいた個体は、長引く夏の干ばつにも水やりなしで耐えます。 6 5

保全状況を世界全体で見ると、国際自然保護連合はQuercus cocciferaを低懸念に分類しています。沿岸の都市化や農業的土地利用の変化による局地的な脅威はあるものの、広い分布域がそれを補っています。 7

生活環と繁殖

3–5月には、黄緑色の尾状花序が目立たずに咲きます。その後の結実周期は温帯のコナラ属としては珍しく、どんぐりは2年かけて熟します。ヨーロッパの多くの落葉性のナラ類では1季で熟します。 3 4

2年かけて成熟するため、同じ枝に、まだ未熟な緑色の若いどんぐりと、前年に成熟した褐色のどんぐりが同時につくことがあります。夏の終わりに拾うだけでは、発芽できる種子とは限りません。晩秋から冬に、熟したどんぐりが自然に落ちるのを待つ方がよいでしょう。 5

栽培で確実に増やせる方法は実生だけです。どんぐりは乾燥すると急速に発芽力を失うため、落ちて間もない新鮮なものをまきます。最初の数か月から発達する直根を傷めないよう、植え場所に直接まくか、深い育苗容器を使います。 5

利用と注意点

防護用の生け垣や現在のどんぐり食よりも、歴史的な染料利用がよく記録されています。若枝につくKermes vermilioは、何世紀にもわたり地中海全域へ輸出される緋色の染料を供給しましたが、16世紀から新大陸のコチニールカイガラムシに置き換わっていきました。 4

庭では主に低い防護用の生け垣に使われ、とげのある葉が通り抜けを妨げます。他のコナラ属よりタンニンが少ないどんぐりは、水で軽くあく抜きした後、焼いたり粉にしたりして食べることがあります。ヒト、ネコ、イヌへの毒性は報告されていません。 5

品種・類似種・近縁種

厳密な意味での園芸品種はありません。var. rigidaやvar. echinataなどの変異型は、庭向けの選抜品種ではなく、異名の中に含まれる植物学的な型です。 1

特に混同しやすい近縁種は次のとおりです。

  • Quercus ilex(セイヨウヒイラギガシ)は、上部の葉と殻斗がほぼ滑らかで、Quercus cocciferaがとげのある葉を保つのと異なります。
  • Quercus calliprinos(パレスチナのカシ)は、近東の一部の研究者により独立種とされますが、Plants of the World Onlineでは異名です。
  • Quercus pseudococciferaは、紛らわしい名前ながら、北アフリカと地中海盆地西部の独立種として認められています。

セイヨウヒイラギガシと区別する際は、鱗片が立つ殻斗と、全体にとげのある葉が最も安定した目印になります。葉の色や光沢は、日当たりや枝の年齢により変わりすぎるためです。 3

主な参考文献

よくある質問

セイヨウヒイラギガシとの見分け方は?

Quercus cocciferaは成木でも茂み全体にとげのある葉を保ちますが、セイヨウヒイラギガシは上部の葉からとげがなくなります。どんぐりの殻斗の鱗片が尖って立つことも、確かな目印です。

Quercus cocciferaはイヌやネコに有毒ですか?

いいえ。ヒトと家畜には無毒とされます。他のコナラ属よりタンニンの少ないどんぐりは、危険性が低い一方、食欲をそそるものでもありません。

英名Kermes oakのkermesは何に由来しますか?

若い枝につくカイガラムシKermes vermilioに由来します。この虫を乾燥して粉砕すると緋色の染料が得られ、長く使われていましたが、のちに新大陸のコチニールカイガラムシに取って代わられました。

Quercus cocciferaの成長が遅いのはなぜですか?

ガリーグの痩せて乾いた石灰質土壌に適応しており、地上部より先に深い直根の発達へ資源を振り向けます。繰り返す火災や放牧も、低木状のままにとどまる原因になります。

地中海性気候以外でも栽培できますか?

Royal Horticultural Societyによれば約−15 °Cまで耐寒性がありますが、水はけのよい石灰質土壌と夏の日なたが必要です。冬に湿りすぎる気候や酸性土壌にはあまり適しません。

ガリーグという言葉はこの木に由来するのですか?

はい。garrigueは、Quercus cocciferaのオック語の呼び名garricに由来します。この低木は、石灰質土壌に成立する地中海のガリーグ植生でしばしば優占します。

ガリーグで拾ったどんぐりをまけますか?

はい。乾燥させず、秋に新鮮なうちにまきます。成熟に2年かかるため、夏の終わりに拾ったものには発達途中のどんぐりもあります。十分に熟して自然に落ちたものを待つのがよいでしょう。

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植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。