アメリカハナノキ (Acer rubrum, )
アメリカハナノキ(Acer rubrum)は、北アメリカ東部と中部原産のムクロジ科の落葉高木です。葉に先立って咲く赤い花、赤みを帯びた翼果、秋に鮮紅色となる葉が特徴です。個体によっては夏の終わりから色づきます。
続きを読むアメリカハナノキ, Red maple, Swamp maple, Water maple と Soft maple






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Taken Nov 5, 2020 by Hélène ricquier (cc-by-sa)
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Taken Apr 10, 2019 by Carlos Carlos Fonseca (cc-by-sa)
Taken Oct 5, 2013 by Tela Botanica − Michou Jibo (cc-by-sa)
Taken Sep 13, 2021 by Magnus Onu (cc-by-sa)
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世界の分布
自生域は北アメリカ東部と中部で、マニトバ州南東部のウッズ湖周辺からニューファンドランド、南はフロリダ、西南はテキサス東部まで広がります。17世紀にヨーロッパへ導入され、その後は温帯各地で観賞樹や街路樹として植えられています。
基本情報
花、果実、若枝、秋の葉まで赤色が目立つアメリカハナノキ(Acer rubrum L., 1753)は、北アメリカ東部と中部原産のムクロジ科の落葉高木です。ラテン語の種小名rubrumも、この赤い色に由来します。英語名Red mapleも、季節を通じて現れる赤色を表しています。 1 8
フランス語の古い呼び名「バージニアのカエデ」は、ヨーロッパでの栽培史と結びついています。17世紀半ばにはバージニアから持ち込まれた木によって導入されたとされ、当時はその地名がこの北米の木を示す地理的な手がかりでした。ヨーロッパで早くから栽培された北米産カエデの一つです。 9
見分け方
成木の高さは一般に12〜21 m、枝張りは9〜15 mで、丸みのある樹冠から卵形の樹冠になります。ノルウェーカエデやサトウカエデより成長が速く、シルバーメープルよりは緩やかです。植栽場所を選ぶときは、樹高だけでなく横へ広がる大きさも考慮します。 3
葉は通常3裂し、ときに5裂します。縁には鋸歯があり、表面は緑色、裏面は白みを帯びた淡色です。若木の樹皮は明るい灰色で滑らかですが、老木では厚く暗灰色になり、大きな板状に割れます。 4
晩冬から早春、葉の出る前に小さな赤い花が垂れるように集まって咲きます。北米の原産域では緯度に応じておおむね1〜4月に相当します。花の後には、しばしば赤く色づく翼果ができ、数週間で成熟して散布されます。 4 3
分類と学名
かつてカエデ科に置かれた分類は、現在ではムクロジ科にまとめられています。アメリカハナノキはトチノキ類と同じトチノキ亜科に属します。受容されている学名はAcer rubrum L.で、この名をめぐる大きな分類上の論争はありません。 1
歴史的な異名には、20世紀初頭に提案された、現在は使われない属名によるRufacer rubrum (L.) Smallがあります。種内ではAcer rubrum var. drummondiiが認められ、南部やメキシコ湾岸の湿地に分布します。基本型より葉の切れ込みが深く、無毛の葉をもつとされています。 1
生育環境と分布
北米東部・中部に広がる自生域は、マニトバ州南東部のウッズ湖周辺からニューファンドランドへ、南はフロリダ、西南はテキサス東部まで続きます。北側では湿地や川岸、氾濫原に多く、南側と西側では乾いた丘陵や、やせた岩の多い土壌にも生育します。 4 3
幅広い土壌と気候に適応するため、過湿な場所にも排水のよい場所にも見られ、酸性から中性の土で育ちます。ヨーロッパへ導入された後は温帯各地に広まり、本来の自生域から離れた地域でも、観賞用や街路樹として植えられています。 7
国際自然保護連合(IUCN)は、アメリカハナノキを低懸念(LC)に評価しています。これは、広い自生域と、その範囲内で個体数が多いことに対応した保全上の評価です。 10
生活環と繁殖
秋に種子が成熟するカエデが多い中、この木の翼果は春から初夏にできます。北米では緯度により4〜7月ごろ、開花から数週間のうちに形成・散布されます。開花期以外にも、早い季節の翼果はアメリカハナノキを見分ける手がかりです。 4
同じ集団の中、あるいは同じ木に、雄花、雌花、その両方が現れることがあります。この柔軟な生殖のあり方は、受粉の多様性と遺伝的な混合につながります。翼果は落下後ほとんど間を置かずに発芽し、多くの温帯樹木のような長期間の低温湿潤処理を必要としません。 3 7
利用と注意点
街路や公園に秋の彩りと木陰をつくる用途が中心です。成長が比較的速く、個体や土壌に応じて黄、橙、鮮紅色へ変わる紅葉が親しまれます。樹液を煮詰めてシロップにすることもできますが、サトウカエデに比べて収量はおよそ半分とされ、商業利用は多くありません。 4 7
文献で特に注意が必要とされるのは馬です。嵐などで早く落ちた葉がしおれたり乾燥したりすると、葉のタンニンと没食子酸が腸内でピロガロールへ変化します。赤血球が損傷して溶血性貧血を起こし、命にかかわる場合があります。報告された未治療例では死亡率60〜65%とされています。一方、ASPCAでは猫と犬に対して非有毒に分類しています。 6 5
品種と似た植物
街路への植栽にも使われる選抜品種では、October Gloryが遅い時期に赤紫色へ、Red Sunsetが早めに色づきます。後者は耐寒性も評価されます。細い円柱状のArmstrongは、横幅が制限される場所で使われます。Autumn Blazeは本種として売られることがありますが、実際はシルバーメープルとの交雑種Acer × freemaniiの園芸品種です。 2 3
よく似たカエデとの違いは、次の形質を組み合わせると整理できます。
- シルバーメープル(Acer saccharinum)は葉の切れ込みが深く、葉裏が明らかに銀白色で、樹皮が長い帯状にはがれます。
- サトウカエデ(Acer saccharum)は裂片の鋸歯が少なく、樹液は伝統的なシロップの原料として知られます。
- ネグンドカエデ(Acer negundo)は単葉ではなく複葉をもつため、葉全体を見ると区別できます。
花も果実もない若木では、名前を確かめにくいことがあります。その場合は葉だけに頼らず、樹皮と若枝の色も一緒に観察すると、季節を通じた同定の助けになります。 4
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Acer rubrum L.
- Royal Horticultural Society, Acer rubrum
- Missouri Botanical Garden, Acer rubrum
- NC State Extension, Acer rubrum (Red Maple, Swamp Maple)
- ASPCA, アメリカハナノキの毒性
- Cornell University College of Veterinary Medicine, アメリカハナノキ中毒
- Plants For A Future, Acer rubrum
- Tela Botanica, Acer rubrum L.
- INPN / MNHN, Acer rubrum L., 1753 (cd_nom 610731)
- IUCN Red List of Threatened Species, Acer rubrumの評価
よくある質問
アメリカハナノキに毒性はありますか?
特に馬で、早く落ちてしおれたり乾燥したりした葉が危険です。ASPCAは猫と犬には非有毒としていますが、馬の摂食は致死的な溶血性貧血につながる場合があります。
シルバーメープルとの違いは?
シルバーメープルは葉の切れ込みが深く、裏面が明瞭に銀白色で、樹皮は長い帯状にはがれます。本種は切れ込みが浅く、樹皮は大きな板状に割れます。
いつ花が咲きますか?
晩冬からごく早春の、葉が出る前です。原産域では緯度により1〜4月ごろに、小さな赤い花が枝に集まって咲きます。
樹液からシロップをつくれますか?
樹液を蒸発させて濃縮できます。ただしサトウカエデに比べて収量は約半分とされ、商業生産での利用は多くありません。
侵略的な種ですか?
世界全体で侵略的と評価される種ではありません。IUCNの保全評価は低懸念で、広い自生域と個体数の多さを反映しています。
Autumn Blazeはアメリカハナノキですか?
厳密には異なります。本種とシルバーメープルの交雑種Acer × freemaniiの園芸品種ですが、アメリカハナノキとして流通し、受け取られることがあります。
歩道の近くで根が問題になるのはなぜですか?
根が浅く広がる性質は湿った土壌への適応ですが、舗装のすぐ近くに植えると、歩道や園路を持ち上げることがあります。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。







