ゴボウ (Arctium lappa, )
ゴボウ(Arctium lappa L., 1753)は、温帯のヨーロッパとアジア原産のキク科の二年草です。裏に綿毛のある大きな心形の葉と、散房状に集まる紫の頭花が目印です。成熟した頭花は鉤で物に付着します。肉質の根は日本などで野菜として栽培され、鉤の仕組みは面ファスナーの発明にもつながりました。
続きを読むゴボウ, Gobo, Great burdock と Beggar's buttons






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Taken May 16, 2022 by yvon s (cc-by-sa)
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世界の分布
自生域は温帯のヨーロッパとアジアです。窒素分に富む荒れ地、瓦礫地、道端に生育します。北アメリカと南アメリカにも広く導入され、目立たず帰化する場合から、畑の周辺で増殖が監視される場合まであります。
基本情報
ゴボウ(Arctium lappa L., 1753)は、キク科ゴボウ属の二年草です。属名はギリシャ語のarktos(熊)に由来し、毛深く乱れた姿を表します。種小名lappaは「つかむ」を意味するlambanôに由来し、果実の鉤を指します。 8 1
フランス語の「bardane」は、中世ラテン語bardana、後期ラテン語dardanaを経て、「矢」や「投げ矢」を指すゲルマン語にさかのぼります。果実の刺々しさを表す名前です。国際的にはGobo、Great burdock、Beggar's buttonsという名も使われます。 8
野外では根生葉の葉柄が確かな目印になります。近縁のArctium minusは葉柄が中空ですが、ゴボウの葉柄は全長にわたり中実で溝があります。 4
見分け方
大きく育ったゴボウは高さ1.5〜3 m、幅1〜1.5 mほどになります。肉質の直根は深さ50 cmに達することがあり、外側は褐色、内側は白色です。 2 8
地際から出る葉は幅広い心形で、長さが15 cmを超えることも多くあります。表はくすんだ緑色、裏は白っぽい綿毛で覆われます。葉柄は中実で上面に溝があるため、中空のArctium minusと区別できます。 4
紫の頭花は直径2.5〜4 cmで、溝のある分枝した茎の上部に平らな散房状に集まります。原産地の北半球では7〜9月に咲き、花後は総苞片が鉤となった付着性の頭花になります。内部の痩果は灰色から褐色で5〜6 mm、先端に短い黄色がかった冠毛があります。 4 8
分類のポイント
キク科のArctium lappa L.は、1753年発表の受容名としてPlants of the World Onlineに掲載されています。原産地は温帯ユーラシアとされます。 1 6
種子の購入や野外での同定では、かつて使われた以下の異名にも注意が必要です。
- Arctium lappa var. tomentosum A.Gray(異名)
- Arctium lappa var. purpurascens Fernald & Wiegand(異名)
- Arctium lappa subsp. nemorosum (Lej.) P.D.Sell(異名)
- Arctium lappa subsp. pubens (Bab.) P.D.Sell(異名)
ゴボウ属にはArctium minusやArctium tomentosumなどの近縁種があります。フランス語ではこれらも広く「bardane」と呼ばれますが、同一種ではありません。種を確認するには学名が最も確かな基準になります。 1
生息地と分布
温帯のヨーロッパとアジアがゴボウの自生域です。窒素分の多い土を好み、荒れ地、瓦礫地、道端、土手に生育します。 1 8
フランスでは全国に普通に見られます。手つかずの自然環境よりも、攪乱された土地や人家周辺との結びつきが強い植物です。 8
北アメリカや南アメリカにも広く導入されています。カナダ、アメリカ合衆国の北東部と中部の一部、ブラジルでは、道路や耕地の周辺に生育します。 4
生活環と繁殖
最初の年をロゼットで過ごす二年草です。春に発芽すると、花茎をつくらず葉を地際に広げ、その間に地下の直根が太ります。 4
ロゼットで冬を越し、低温による春化を経ると、翌春に分枝した花茎が伸びます。高さが2 mを超えることもあり、原産地の北半球では7〜9月に散房状の頭花を咲かせます。 4 2
花後の頭花は鉤で動物の毛や衣服に付き、風に頼らず痩果を遠くへ運びます。この仕組みは、スイスの技師ジョルジュ・デ・メストラルによる面ファスナーの発明につながりました。1941年、アルプスを歩いた後に犬の毛に付いた鉤を観察し、14年後に特許を取得した仕組みへと発展させました。 8 7
利用と注意点
根を食べる場合は、花茎が伸びる前の1年目の秋に収穫し、野菜として加熱します。サルシファイに似た使い方ができ、消化されにくい貯蔵炭水化物のイヌリンを約45%含みます。 3 8
日本では根を食べる野菜として商業栽培されます。細い棒状に切って醤油で炒め煮にする「きんぴらごぼう」は、その代表的な利用例です。 8
NC State Extensionは、人や家畜の摂取による毒性を報告していません。一方で鉤や剛毛による物理的な危険があり、人、犬、馬などの目・皮膚・気道に強い刺激を与えることがあります。頭花が羽毛に絡み、小鳥やコウモリが死んだ例も報告されています。 4
根や葉の成分も研究されています。アルクチゲニン、クロロゲン酸、フラボノイドには、試験管内および動物実験で抗酸化・抗炎症作用が報告されています。 5
品種・類似種・近縁種
観賞用の普及品種はほぼありませんが、根の長さや柔らかさを選抜した野菜品種があります。Takinogawaは江戸時代から続く日本の長根系統、Watanabe Earlyはより早生で根が短い系統です。 3
同属のArctium minusは小型で葉柄が中空、Arctium tomentosumは頭花の総苞片に綿状の毛があります。Arctium lappaにはその綿毛がありません。同じ荒れ地に生えるSilybum marianumは別属で、葉の白い斑と鉤のない果実から区別できます。
背丈や頭花の色は生育条件によって変わります。野外でArctium lappaを確認するには、これらよりも中実で溝のある葉柄を確かめる方が頼りになります。 4
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Arctium lappa L.
- Royal Horticultural Society, Arctium lappa(ゴボウ)
- Plants For A Future, Arctium lappa(ゴボウ)
- NC State Extension Gardener Plant Toolbox, Arctium lappa
- PMC, Arctium lappaの根の植物化学・薬理学に関する総説
- Integrated Taxonomic Information System, Arctium lappa L.
- National Inventors Hall of Fame, 森の散歩から生まれた面ファスナー
- Wikipedia フランス語版、ゴボウ
よくある質問
ゴボウは猫や犬に有毒ですか?
摂取による毒性は記録されていません。実際の危険は成熟した頭花の鉤です。皮膚、目、気道への刺激や、被毛のひどいもつれを引き起こすことがあります。
果実が毛や服に付くのはなぜですか?
成熟した頭花は先が鉤状に曲がる総苞片に囲まれます。1941年、スイスの技師ジョルジュ・デ・メストラルが犬の毛に付いた鉤を観察し、面ファスナーの発明に結びつけました。
ゴボウの根は食べられますか?
はい。花茎が伸びる前、1年目の秋に収穫し、サルシファイのように加熱して食べられます。日本では野菜として商業栽培されています。
Arctium lappaを近縁種から見分けるには?
根生葉の葉柄が中実で溝をもつことが最も確かな目印です。Arctium minusは中空です。背丈と頭花が一般に大きいことも確認材料になります。
1年目に花が咲かないのはなぜですか?
二年草だからです。1年目は花茎をつくらずロゼットを広げ、根が太ります。冬の低温による春化を経て、2年目に開花します。
庭で増えすぎるのを防ぐには?
頭花が褐色になり始めたら、鉤が開いて動物の毛に果実を運ばせる前に切り取ります。これだけでこぼれ種による増殖を抑えられます。
ゴボウは鳥にも危険ですか?
NC State Extensionには、頭花が羽毛に絡んで小鳥やコウモリが死んだ報告があります。摂取による毒性とは異なる、物理的な危険です。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。







