パラミツ (Artocarpus heterophyllus, )
パラミツ(Artocarpus heterophyllus)はクワ科の熱帯性高木で、インド南西部、とくに西ガーツ山脈が原産と考えられています。樹木につく果実として最大級の大きな果実をつけます。多数の花がまとまってできる多肉質の果実は、幹生花と呼ばれる性質によって幹や太い枝に直接つきます。未熟な繊維質の果肉はアジアの料理で肉の代用品になり、熟すと甘く芳香を放ちます。葉や枝などには粘りのある白い乳液が含まれます。
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Taken Jan 1, 2020 by Dieter Albrecht (cc-by-sa)
Taken Sep 26, 2021 by Augustin Soulard (cc-by-sa)
Taken Apr 15, 2022 by Nuong Nguyen (cc-by-sa)
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世界の分布
正確な自生域には議論がありますが、インド南西部の西ガーツ山脈の湿潤林が原産と考えられます。インドで古くから栽培され、早くにミャンマー、スリランカ、中国南部へ広まり、その後、世界の熱帯各地へ伝わりました。
基本情報
パラミツ (Artocarpus heterophyllus Lam., 1789)は、イチジクやクワと同じクワ科に属するパンノキ属の樹木です。Jean-Baptiste Lamarckが、植物学者Philibert Commersonの採集した標本をもとに学名を発表しました。 1 2
フランス語名 jacquier は、ポルトガル語の Jaca に由来し、その語は栽培が盛んなケララ地方のマラヤーラム語 chakka にさかのぼります。 6 日本語でも使われる ジャックフルーツ にあたる英語 Jackfruit も同じ語の流れを受け継ぎ、16世紀には博物学者Garcia de Ortaがこの呼び名を伝えています。 2
見分け方
密な樹冠と比較的短い幹をもつ常緑樹で、高さ 9〜21 m 、幹径 30〜80 cm になり、ときに板根が幹を支えます。滑らかな赤褐色の樹皮は、傷つくと粘る白い乳液を出します。この性質は、ほかの大きな熱帯樹木との識別を助けます。 2
葉は互生し、厚く光沢があります。成木では丸みを帯びた切れ込みのない葉ですが、若木では裂片や切れ込みが見られます。種小名 heterophyllus は「異なる葉をもつ」という意味で、この変化を表しています。 4 小さな花が集まった花序は、葉腋よりも幹や太い枝に直接現れます。この 幹生花 は、枝先に花をつける果樹との明瞭な違いです。 2 3
多数の花が一体化した果実は長さ 100 cm 、直径 50 cm 、記録上の重さは 55 kg にもなり、樹木につく最も重い果実として知られています。近縁のパンノキの滑らかな果皮とは異なり、表面には小さな六角形のいぼ状突起が並びます。成熟につれて緑色から黄褐色に変わります。 2 3
分類のポイント
パラミツには、現在の受容名 Artocarpus heterophyllus が定着するまで、複数の学名が用いられてきました。主な異名は次のとおりです。
- Artocarpus integrifolius auct.(旧来の名称)
- Artocarpus philippensis Lam.(異名)
- Artocarpus maximus Blanco(異名)
- Artocarpus brasiliensis Gomes(異名)
- Saccus heterophyllus (Lam.) Kuntze(異名)
古い名称に出合ったときは、Kewが採用する Artocarpus heterophyllus を照合の基準にできます。クワ科の植物ですが、いわゆる絞め殺しの木となるイチジク属の樹木とは別種です。両属に植物学的な近縁関係があることと、同じ種であることは区別する必要があります。 1 7
生息地と分布
インド南西部の 西ガーツ山脈 の湿潤林が原産地と考えられますが、正確な起源にはなお議論があります。インドでは数千年前から栽培が知られ、早くからミャンマー、スリランカ、中国南部へ伝わりました。 2 6
現在は熱帯各地で広く栽培され、バングラデシュとスリランカの国の果実、インドのケララ州の公式の果実とされています。 9 原産域の外では、条件がよい場所に帰化することがあります。ブラジルのリオデジャネイロにあるチジュカの森では、落果を食べるマーモセットやハナグマが種子を散布し、在来樹種を圧迫しながら広がっています。 8
生活環と繁殖
雄花と雌花を別々の花序につける雌雄同株の樹木で、花序は幹に生じます。開花期は地域により12〜3月で、受粉後、果実が熟すまでさらに数か月を要します。したがって、開花した時点でただちに収穫できるわけではありません。 2
成木1本の収穫量は平均して 年200個 ほどで、古木では 500個以上 になることもあります。1果には 100〜500個の種子 が入り、薄くろう質の種皮と食用の果肉に包まれます。貧しい農村地域で長く栄養源とされてきたのは、果肉だけでなく、この豊富な種子にも理由があります。 2
増殖には実生と接ぎ木が使われます。種子はすぐに発芽力を失うため、保存性が低い点に留意します。特定の品種の性質を維持する場合には接ぎ木が選ばれ、結実開始は 3〜4年 です。実生では 4〜8年 かかります。 2
利用と注意点
未熟果と熟果では、料理での役割が大きく変わります。未熟な果肉は味が淡く繊維質で、加熱するとほぐした肉に似た食感になるため、菜食料理で肉の代わりに使われます。完熟すると甘く芳香が増し、パイナップル、バナナ、マンゴーを思わせる風味で、生食やデザートに向きます。 2 4
種子もゆでたり、いったりして食べられ、クリに近い風味があります。付け合わせにするほか、粉に加工します。木の各部には粘る白い乳液がありますが、参照資料では人・猫・犬への毒性は報告されていません。一方、馬への影響は十分に記録されておらず、同じ安全性を断定できません。 5 4
黄金色の木材は緻密でシロアリに強く、家具や扉に利用されます。インドでは太鼓の mridangam や弦楽器の vînâ など、楽器の材料にもなります。果樹としてだけでなく、木材を得る樹木としても使われています。 2 4
品種・類似種・近縁種
熟果の食感を目安に、生産者は伝統的に2つの群を分けています。 varikka は硬く歯切れがよく、 koozha は柔らかく非常に甘いタイプです。どちらも園芸上の区分であり、独立した分類群を意味しません。 2
見分けるときは、次の植物や生育段階との違いを確認します。
- Artocarpus altilis(パンノキ)は葉が深く切れ込み、果実は滑らかで目立つうろこ状突起がありません。
- Artocarpus integer(チェンペダック)は果実が小さめで、香りはより強く、表面の突起は少なくなります。
- パラミツの若木は葉に切れ込みがあり、切れ込みのない成葉が出る前には、ほかのクワ科植物と混同されることがあります。
学名の確認、幹に直接つく花や実、傷口ににじむ白い乳液を組み合わせると、熟果がない場合でも判断しやすくなります。一つの特徴だけでなく、これらを合わせて見ることが識別の助けになります。
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Artocarpus heterophyllus Lam.
- Morton, J.F. 1987, Jackfruit, in Fruits of Warm Climates, Purdue University NewCROP
- California Rare Fruit Growers, Jackfruit Fruit Facts
- Plants For A Future, Artocarpus heterophyllus (Jackfruit)
- ASPCA, Jackfruit 毒性情報
- INPN / MNHN, Artocarpus heterophyllus Lam., 1789(パラミツ)
- USDA ARS GRIN, Artocarpus heterophyllus 分類情報
- ABC News, ブラジルの巨大なパラミツをめぐる危険と恩恵
- The Daily Star, 貧しい人々の果実から奇跡の食料へ
よくある質問
パラミツとパンノキは同じ植物ですか?
別の種です。パンノキ(Artocarpus altilis)もパンノキ属ですが、葉の切れ込みがより深く、果実の表面は滑らかで目立つうろこ状の突起がありません。
パラミツは猫や犬に有毒ですか?
参照した獣医学資料では、猫・犬・人に既知の毒性は報告されていません。一方、馬に対する影響は十分に記録されていません。
なぜ果実が幹につくのですか?
パラミツは幹生花という性質をもち、枝先ではなく幹や太い枝に直接花と実をつけます。カカオにも共通する特徴で、より丈夫な部分が重い果実を支えられると考えられています。
初めて実がなるまで何年かかりますか?
一般に接ぎ木苗は3〜4年、実生苗は4〜8年で結実します。成木の姿になるのは15〜20年ほどです。
パラミツの実は生で食べられますか?
十分に熟した果実は甘く香りがよく、生食できます。味の淡い繊維質の未熟果は必ず加熱し、カレーなどに利用します。
果肉が硬いタイプと柔らかいタイプは別種ですか?
別種ではなく、varikkaとkoozhaとも呼ばれる園芸上の品種群です。熟果の果肉が硬く歯切れのよいものと、柔らかく甘みの強いものに分かれます。
フランス本土でもパラミツを育てられますか?
若木を鉢で加温温室に置く場合を除き、栽培は困難です。一年中暖かい熱帯気候を必要とし、霜には耐えず、0 °Cを下回ると枯れます。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。








