アメリカハナズオウ (Cercis canadensis, L. 1753)

アメリカハナズオウ(Cercis canadensis)は、オンタリオ州南部からメキシコ北東部に至る北米東部・中部原産のマメ科の落葉低木または小高木です。心形の葉が出る前に、葉のない枝や幹から桃色から淡紫色の花が直接咲きます。

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学名Cercis canadensis
属Cercis
目Fabales

アメリカハナズオウ と Eastern redbud

基本情報
毒性
既知の毒性はありませんが、生の種子の大量摂取には注意が必要です。
管理の難易度
低い
植物タイプ
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
アメリカ合衆国カナダメキシコ
自生環境
明るい林内や林縁、やぶ、石灰岩の斜面、岩の多い川岸や峡谷
季節性
開花期
春
収穫期
夏秋
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
5/10
成熟までの期間
初開花は早ければ4–6年、成木の樹形には10–20年かかります。
増やし方
種子, 挿し木
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
中程度。枝の分岐部が折れやすく、暴風に弱い性質です。
湿度
40–70 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
水はけのよい土, 石灰質土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なたから半日陰
屋外
日なたの花壇, 地植え, 生け垣列
鉢
大型コンテナ
形態
高さ300–900 cm株張り600–1000 cm
葉
緑黄
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 葉 1
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 葉 2
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 葉 3
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 葉 4
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 葉 5
花
ピンク紫大きさ1–2 cm
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 花 1
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 花 2
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 花 3
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 花 4
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 花 5
果実
緑茶
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 果実 1
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 果実 2
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 果実 3
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 果実 4
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
茶黒
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 樹皮 1
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 樹皮 2
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 樹皮 3
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 樹皮 4
アメリカハナズオウ (Cercis canadensis):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

北米の東部・中部に自生し、オンタリオ州とミシガン州の南部からメキシコ北東部・中部まで広がります。西限はニューメキシコ州やテキサス州付近です。原産地外でも広く観賞樹として栽培されていますが、北米以外で侵略的に帰化した記録はありません。

  • 原産3
  • アメリカ合衆国
  • カナダ
  • メキシコ

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

アメリカハナズオウ(Cercis canadensis L.、1753)は、マメ科ハナズオウ亜科の落葉低木または小高木です。英語ではEastern redbudと呼ばれ、フランス語には「カナダのガイニエ」「赤いガイニエ」「東部のレッドバッド」に相当する呼び名があります。 1 8

属名Cercisは、織機の杼を意味するギリシャ語kerkisに由来し、平たい莢の形を表しています。フランス語のgainierも、種子を包む細長い鞘を連想させる呼び名です。この特徴は欧州の近縁種セイヨウハナズオウ(Cercis siliquastrum)にも共通します。 3

種小名canadensisから想像されるよりも分布は広く、オンタリオ州南部からメキシコ北東部までの北米に自生します。カナダだけに限られる樹木ではありません。 1

見分け方

春に葉を出してから咲く多くの樹木に対し、この木の目印は葉に先立つ幹生花です。長さ約1.5 cmの桃色から淡紫色の花が4–10個ずつ集まり、葉のない枝や幹から直接開きます。 3

通常の樹高は6–9 m、枝張りは7.5–10.5 mで、幹は短く曲がり、低い位置で枝分かれします。暗色で滑らかな樹皮は成長とともに鱗片状になり、若木と成木を見分ける手がかりになります。一方、若い枝は木全体の樹齢にかかわらず細く、ジグザグで、ほぼ黒色です。 3 4

互生する心形の葉は、長さ・幅とも7–12 cmで縁に鋸歯がありません。秋は淡黄色に変わり、ほかの落葉樹に比べると穏やかな色合いです。 3

赤褐色で平たい莢は長さ5–10 cmです。8–10月に熟した後も冬の間しばらく枝に残ることが多く、落葉後の同定にも役立ちます。 3

分類のポイント

受容される種名はマメ科のCercis canadensis L.です。地理的な分布に応じて、次の3亜種が認められています。 1 8

  • Cercis canadensis subsp. canadensisは基亜種で、カナダ南東部から米国中部・東部に分布します。
  • Cercis canadensis subsp. mexicana (Rose) A.E.Murrayはメキシコ北東部とテキサス州南西部に分布し、塩分のある土により強い亜種です。
  • Cercis canadensis subsp. texensis (S.Watson) A.E.Murrayはオクラホマ州とテキサス州東部に分布し、葉の光沢が強い亜種です。

亜種mexicanaの耐塩性により、基亜種が避けるような場所にも生育できます。これは園芸選抜にも利用される種内変異の一例です。 8

古い植物名のCercis canadensis var. pubescens PurshやCercis canadensis f. alba Rehderなどは、現在は基本種の異名として扱われます。確実な基準となるのは受容名Cercis canadensisです。 1

生息地と分布

オンタリオ州とミシガン州の南部から、メキシコ北東部・中部へと自生域が続きます。西側の限界はニューメキシコ州やテキサス州付近です。 1

林の明るい下層、林縁、やぶ、石灰岩の斜面、岩の多い川岸や峡谷に生育します。混交林の下層木として見られることも多い樹木です。 3 5

粘土・シルト・砂を含む幅広い土に適応し、クロクルミが分泌するジュグロンにも耐えます。このため、ほかの多くの観賞樹が影響を受ける場所でもクロクルミと組み合わせられます。ただし常時水浸しの土は根腐れを招き、過度に乾燥して風の強い場所では、もともと弱い枝の分岐部が折れやすくなります。 4

原産地から遠く離れた地域でも観賞樹として植えられています。北米以外で侵略的に帰化した記録はなく、導入先では主に栽培樹として扱われます。 6

生活環と繁殖

葉の出る前の早春に咲く花は、送粉者からすぐに見つかります。蜜腺は花の奥深くにあり、クマバチなど舌の長いハチだけが蜜に届き、舌の短いハチは蜜を得られません。 4

花の後には平たい莢ができ、8–10月に熟します。中には長さ約6 mmの楕円形の褐色種子が入っています。自然状態では発芽が遅いものの、栽培ではぬるま湯に24時間浸した後、3か月の低温処理を行うと発芽が大きく改善します。 5

栄養繁殖には、7–8月に採る半熟枝の挿し木を用います。紫葉や枝垂れ樹形の品種の特徴を保つ方法で、形質がばらつく実生とは区別されます。 5 2

利用と注意点

春の花を観賞するため、一本植え、林の下層の小群植、都市の並木などに利用されます。枝を室内に取り込めば、屋外での自然開花より早く咲かせることもできます。 3

少し酸味のある花は生や漬物で食べられ、緑色の若い莢はサヤエンドウのように調理できます。種子に含まれるサポニンは吸収されにくく、調理で大部分が壊れます。食用としておおむね安全とされる一方、大量に常食される利用の記録はありません。 5

猫・犬・馬への毒性は報告されていません。生の種子を大量に食べた場合には、消化器の刺激が起こる可能性があります。 4

古木では暴風時に枝が分岐部から折れるおそれがあります。また深い直根をもつため、年数を経た木の移植は難しくなります。 2

品種・類似種・近縁種

紫葉の園芸品種として広く流通するForest PansyはRoyal Horticultural SocietyのAward of Garden Meritを受賞し、赤紫色の葉が秋に橙色やブロンズ色へ変わります。同色の枝垂れ型Ruby Fallsも2017年に同賞を受けました。ほかに白花のAlba、亜種texensis由来で濃紫色の花をもつOklahomaなどがあります。 2

欧州のセイヨウハナズオウ(Cercis siliquastrum)は葉がより丸く、花の房も密です。アジアではハナズオウ(Cercis chinensis)が同様の観賞用途に使われます。ラベルのない木では、まず葉の形を確認します。アメリカハナズオウは心形で先が尖り、セイヨウハナズオウはより丸い葉です。疑問が残る場合は学名で両種を区別します。 1

主な参考文献

よくある質問

アメリカハナズオウはセイヨウハナズオウと同じですか?

いいえ。よく似ていますが別種です。Cercis canadensisとセイヨウハナズオウ(Cercis siliquastrum)は同じハナズオウ属で、幹に花をつける性質を共有しますが、原産地が異なります。

アメリカハナズオウに毒性はありますか?

猫・犬・人への毒性は報告されていません。生の種子にはサポニンが含まれますが、吸収されにくく加熱で大部分が壊れるため、問題は主に生の種子の大量摂取です。

なぜ幹から直接花が咲くのですか?

幹生花と呼ばれる性質です。葉が出る前に花が開くため、舌の長いハナバチなど、早春に活動する送粉者から見つけやすくなります。

アメリカハナズオウの花は食べられますか?

はい。やや酸味のある花は生や漬物で食べられ、緑色の若い莢はサヤエンドウのように調理できます。

紫葉の代表的な品種は何ですか?

Forest Pansyと、その枝垂れ型のRuby Fallsが広く流通しています。どちらも赤紫色の葉をもち、Royal Horticultural SocietyのAward of Garden Meritを受賞しています。

成木を移植できますか?

危険を伴います。深く伸びて分枝の少ない直根は、数年定着した後では移植に弱いため、若木を最終的な植え場所に植えるのが適切です。

アメリカハナズオウの原産地はどこですか?

北米の東部・中部で、オンタリオ州南部からメキシコ北東部まで自生します。種小名が連想させるカナダだけに限られません。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。