チャボタイゲキ (Euphorbia peplus, L. 1753)

チャボタイゲキ(Euphorbia peplus L.)は、地中海沿岸、ヨーロッパ、北アフリカ原産のトウダイグサ科の小型一年草です。現在は世界各地の庭や畑に広がり、耕された土にすばやく定着します。白い刺激性の乳液と、三日月形で二本の角をもつ花の蜜腺が特徴です。乳液から医薬品Picatoの成分が得られましたが、この薬はその後市場から撤退しました。

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学名Euphorbia peplus
属Euphorbia
目Malpighiales

チャボタイゲキ, Petty spurge, Radium weed, Esula redonda と Cancer weed

基本情報
毒性
接触・摂取で有毒。刺激性の乳液とジテルペンエステルを含む
管理の難易度
高い
植物タイプ
一年生草本 · 雑草
葉の性質
落葉
寿命
一年草
原産国
フランススペインイタリアモロッコパキスタン
自生環境
庭、菜園、耕地、がれき地などの攪乱された土。湿り気のある半日陰に多い
季節性
開花期
春夏秋
生育
休眠
休眠しない
生育速度
8/10
成熟までの期間
条件がよければ6〜8週間で生活環を完了する
増やし方
種子
気候と水やり
耐えられる温度
耐風性
風よりも果実の裂開によって種子を飛ばす
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌pH
土壌タイプ
肥沃な土, 湿った土, 撹乱された土壌
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

間接光の当たる場所か、日陰になる部屋に置きます。

半日陰から明るい日陰。土が湿っていれば日なたにも耐える
屋外
菜園の畝, 花壇, 未利用地
形態
高さ5–40 cm株張り5–20 cm
葉
緑
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 葉 1
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 葉 2
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 葉 3
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 葉 4
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 葉 5
花
緑黄大きさ0.1–0.3 cm
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 花 1
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 花 2
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 花 3
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 花 4
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 花 5
果実
緑
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 果実 1
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 果実 2
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 果実 3
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 果実 4
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 樹皮 1
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 樹皮 2
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 樹皮 3
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 樹皮 4
チャボタイゲキ (Euphorbia peplus):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

原産地は地中海沿岸、ヨーロッパ、北アフリカからソマリアまでで、東は西ヒマラヤに及びます。農業・園芸に伴って多くの大陸に導入され、世界的な雑草となりました。ヨーロッパでは規制対象種に含まれていません。フランス本土ではコルシカ島を含め、各地に普通に自生します。

  • 原産5
  • 移入5
  • フランス本土
  • スペイン
  • イタリア
  • モロッコ
  • パキスタン
  • アメリカ合衆国
  • オーストラリア
  • ニュージーランド
  • 南アフリカ
  • 日本

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

チャボタイゲキ(Euphorbia peplus L.)は、リンネが1753年に記載したトウダイグサ科トウダイグサ属の小型一年草です。フランス語や英語には多くの呼び名があるため、種を確かめる際にはこの学名が安定した手がかりになります。 1 2

フランス語名のésuleは、草本性のトウダイグサ類を指すラテン語esulaに由来し、rondeは丸みのある葉とまとまった草姿を表します。英名のpetty spurge、cancer weed、radium weedも同じ種を指し、後二者には皮膚病変に乳液を塗った昔の民間利用が反映されています。 4 3

わずかな傷から出る白い刺激性の乳液は、全草に含まれます。多くのトウダイグサ科植物に共通する性質で、花を見る前にもトウダイグサ属を疑うきっかけになります。 5

見分け方

草丈は5〜40 cmで、茎は直立して緑色、ときに赤みを帯び、毛がありません。葉は互生し、長さ1〜3 cmの倒卵形で短い葉柄をもち、縁には鋸歯がありません。高さは土や湿り気によって変わります。 4 6

識別の要は杯状花序です。約2 mmの小さな杯状の構造に四つの三日月形の蜜腺があり、それぞれの先に細く開いた二本の角があります。角のない円盤形の蜜腺をもつヨーロッパのほかの一年生トウダイグサ類と比較すると、この角が重要な目印になります。 6

受精後には、花の外へ突き出した、滑らかで毛のない三裂ぎみの蒴果ができます。灰色の種子には小さなくぼみが多数あり、先端に白い種枕があります。成熟した蒴果は裂け、親株から数十cm離れた場所まで種子を飛ばします。単に真下へ落とす場合より広がりやすく、一季で裸地を占める助けになります。 6

分類のポイント

本種の受容名はEuphorbia peplus L.で、POWOとWCVPは二つの種内分類群を認めています。広く分布する基本変種Euphorbia peplus var. peplusと、より小型の地中海型Euphorbia peplus var. minima DC.です。 1

古い植物誌には、Euphorbia peplus subsp. peploides (Gouan) Ball、Euphorbia peplus var. maritima Boiss.、Euphorbia peplus var. minor Willd.などの異名も残ります。これらを別種と考える必要はなく、通常は受容名を基準に整理できます。 1

二千種を超えるトウダイグサ属には、サボテンのような多肉植物から庭の一年草まで多様な姿があります。チャボタイゲキでは、無毛の茎、全縁の葉、特に二本の角をもつ蜜腺の組み合わせが、よく似た種類を絞り込む手がかりです。 2

生息地と分布

地中海沿岸からヨーロッパ、北アフリカを経てソマリア、西ヒマラヤまでが原産域です。フランス本土ではコルシカ島を含め普通に自生し、耕された庭土にも定着します。 1 3

農業や園芸に伴う移動で各大陸へ広がり、現在は世界的な雑草となっています。北米では、Go Botanyがユーラシアから導入され帰化した植物として扱っています。原産地での雑草という位置づけと、導入先での帰化植物という位置づけは区別されます。 6 7

カリフォルニア大学のIPM資料は、沿岸部や南部の、涼しく湿った日陰の庭や菜園に多いとしています。がれき地、耕地、縁取り、除草の少ない花壇にも生育します。 5

生活環と繁殖

一年生の生活環は、条件がよければ6〜8週間で完了します。耕起や除草のあと、攪乱された湿った土に光が届くと発芽しやすくなります。 5

開花は春から秋にかけてで、フランスでは4〜9月、カリフォルニア沿岸の温暖な場所では2月から見られます。一年に数世代が続くため、庭ではほぼ途切れず生えているように見えることがあります。 4 5

三室からなる蒴果は、成熟すると急に裂ける爆発的裂開によって種子を散らします。親株から離れた場所へ種子を送る仕組みが、裸地への速い定着を支えます。 6

利用と注意点

皮膚や粘膜を刺激する乳液が、本種の主要な危険です。ASPCAはトウダイグサ属を猫や犬に有毒とし、口、目、皮膚の炎症のほか、摂取時には流涎や嘔吐が起こり得るとしています。 8

医薬研究では、オーストラリアの研究班が乳液の有効成分インゲノールメブテートを調べ、表在性の非黒色腫皮膚がんに対する臨床試験を2011年に発表しました。その後、この成分は日光角化症の薬Picatoとして2012年から承認されました。 9

欧州医薬品庁は2020年の再評価で、Picatoの治療群では比較治療群より皮膚がん、特に扁平上皮がんが多いと判断しました。利益と危険の釣り合いが見直され、同年に販売承認が取り消されました。 10

庭で抜き取るときは手袋を着け、生の乳液を傷や皮膚病変に塗らないでください。目に誤って入った場合には、多量の水ですすぐことが基本です。 5 8

品種・類似種・近縁種

園芸品種は知られていません。var. peplusとvar. minimaは植物学的な分類群で、観賞用や商業用に選抜された品種ではありません。 1

似た一年生のトウダイグサ類は、葉と蜜腺を比べると区別しやすくなります。

  • Euphorbia helioscopiaは葉が卵形で細かな鋸歯があり、蜜腺は褐色の円盤形で角がありません。
  • Euphorbia exiguaは葉が線形で、チャボタイゲキよりはるかに細くなります。
  • Euphorbia lathyrisははるかに背の高い二年草で、葉が十字対生します。
  • Euphorbia maculataは地面をはい、葉に赤い斑が出ることが多い導入雑草です。

草姿だけで迷う場合にも、三日月形で二本の角がある蜜腺が決め手になります。この構造を確かめることが、上記の類似種との識別に役立ちます。 6

主な参考文献

よくある質問

猫や犬に有毒ですか?

はい。刺激性の乳液が口、目、皮膚に炎症を起こし、摂取すると嘔吐することがあります。ASPCAはトウダイグサ属を猫や犬に有毒な植物としています。

庭ではどう見分けますか?

高さ5〜40 cmの毛のない一年草で、葉は倒卵形、縁に鋸歯がありません。茎を傷つけると白い乳液が出ます。最も確実な目印は、二本の細い角をもつ三日月形の花の蜜腺です。

皮膚がんの薬の原料になったのですか?

乳液から得られたインゲノールメブテートは、2012年からPicatoとして前がん性の皮膚病変に使われました。しかし欧州医薬品庁は、治療患者で皮膚がんの危険が増えたとして、2020年に承認を取り消しました。

乳液を皮膚の病変に塗ってもよいですか?

いいえ。民間療法やPicatoの開発に使われた歴史があっても、生の乳液は正常な皮膚まで傷めます。派生した薬の撤退もあり、専門的管理のない使用は利益に対して危険が大きすぎます。

よく似たトウダイグサはありますか?

Euphorbia helioscopiaは葉に鋸歯があり、花の蜜腺は角のない円盤形です。Euphorbia exiguaは細い線形の葉をもちます。チャボタイゲキの三日月形で二本の角がある蜜腺が識別点です。

フランスでは侵略的外来種ですか?

いいえ。フランス本土全域に自生し、侵略的外来種の一覧には含まれません。庭や菜園によく生える雑草です。これはフランスでの位置づけです。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。