カモミール (Matricaria chamomilla, L. 1753)

カモミール(Matricaria chamomilla)は、ヨーロッパと西アジア原産のキク科の一年草です。細かく裂けた葉をもつ香りのある株に、黄色い円錐形の中心と、古くなると下を向く白い舌状花からなる小さな頭花をつけます。中空で鱗片のない花床がローマンカモミールとの違いで、薬草としてよく栽培される種類です。

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学名Matricaria chamomilla
属Matricaria
目Asterales

カモミール, カミツレ, ジャーマンカモミール と German chamomile

基本情報
毒性
注意 : 人 · 有毒 : 猫, 犬 と 馬
管理の難易度
低い
植物タイプ
一年草の花 · 芳香性草本
葉の性質
落葉
寿命
一年草
原産国
フランスハンガリーヨーロッパの温帯地域西アジア・中央アジア
自生環境
耕作地、道端、休耕地、荒れ地。攪乱された砂質土や石灰質土に生育します。
季節性
開花期
春夏
生育
休眠
休眠しない
生育速度
8/10
成熟までの期間
播種後8〜10週間で開花がそろいます。
増やし方
種子
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
弱いです。細い茎は強風で倒れることがあります。
湿度
40–60 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
水はけのよい土, 軽い砂質土, 石灰質土
塩類土壌
耐えられる
光と置き場所
日照条件

日なた

日なたを好み、軽い半日陰にも耐えます。
屋外
日なたの花壇, 菜園の畝
鉢
コンテナ
形態
高さ20–50 cm株張り15–40 cm
葉
緑
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 葉 1
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 葉 2
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 葉 3
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 葉 4
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 葉 5
花
白黄大きさ1.5–2.5 cm
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 花 1
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 花 2
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 花 3
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 花 4
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 花 5
果実
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 果実 1
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 果実 2
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 果実 3
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 果実 4
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 樹皮 1
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 樹皮 2
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 樹皮 3
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 樹皮 4
カモミール (Matricaria chamomilla):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

ヨーロッパと西アジアに自生し、中央ヨーロッパやバルカン半島では特に多く見られます。POWOでは温帯アジアからインドシナまで、マカロネシアと北アフリカも自生域に含めています。北アメリカやオーストラリアでは農業・園芸目的の導入後に帰化しており、自生域とは区別されます。

  • 原産4
  • 移入2
  • フランス本土
  • ハンガリー
  • ヨーロッパの温帯地域
  • 西アジア・中央アジア
  • アメリカ合衆国
  • オーストラリア

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

カモミール(Matricaria chamomilla L., 1753)は、カミツレ、ジャーマンカモミールとも呼ばれるキク科Matricaria属の一年草です。属名はラテン語のmatrix(子宮)に由来し、伝統的な通経用途を伝えています。カモミールの語源はギリシャ語のkhamaímêlon(地面のリンゴ)で、もんだ葉から漂うリンゴの香りに結びつきます。 7 1

畑や庭で目に留まるのは、黄色い円錐形の中心を白い舌状花が囲む小さな頭花です。白い部分は花が古くなると下を向きます。乾燥した頭花を蒸留して得る青みのある精油のため、本種は薬草として栽培されます。香料用に利用されることの多いローマンカモミールとは、この点でも異なります。 2 3

見分け方

細い茎が直立して枝分かれし、高さ20〜50 cmの株になります。葉は羽状に2〜3回裂け、その細い糸状の裂片が、フェンネルやディルにも似た軽い羽毛状の姿をつくります。 2 4

頭花の周囲には白い舌状花が並び、中心の黄色い筒状花は盛り上がり、やがて明瞭な円錐形になります。最も確かな手がかりは花床で、中が空洞になり、小花の間に鱗片がありません。縦に切ると、鱗片のあるローマンカモミールとの違いがよく分かります。 7 4

葉や頭花をもむと、リンゴに似た芳香が立ちます。英名scented mayweedはこの香りにちなみます。無臭の類似種にはないため、花床の形と並ぶ同定の手がかりになります。 2

分類のポイント

本種は1753年にリンネがMatricaria chamomilla L.として記載しました。後にはMatricaria recutita L.の名も長く使われましたが、Kewはこれを異名として扱っています。現在も商品目録では両方の学名が見られます。主な異名・歴史的名称には次のものがあります。

  • Matricaria recutita L.(本種の異名)
  • Chamomilla recutita (L.) Rauschert(本種の異名)
  • Chrysanthemum chamomilla L.(歴史的名称)
  • Matricaria courrantiana DC.(本種の異名)
  • Matricaria suaveolens Wahlenb.(本種の異名)

同定の基準にはPOWOの受容名Matricaria chamomillaを使えます。BodegoldやZloty Lanといった品種名は園芸上の選抜系統であり、別種を表すものではありません。 1 7

生息地と分布

分布の中心となるのはヨーロッパと西アジアで、とりわけ中央ヨーロッパとバルカン半島に多く見られます。POWOはさらに、温帯アジアからインドシナ、マカロネシア、北アフリカも自生域に含めています。 1 6

生育場所は耕作地の雑草群落、道端、休耕地、攪乱地などです。やせた砂質土や石灰質土にも耐え、ヨーロッパの一部地域では塩分を含むステップにも生育します。 3 7

北アメリカとオーストラリアの個体群は、農業や園芸のための導入後に帰化したものです。精油生産のための商業栽培は、ハンガリー、エジプト、アルゼンチンでも行われています。 6 7

生活環と繁殖

一つの生育期で生活環を終える一年草です。種は発芽に光を必要とするため表面にまき、1〜3週間で発芽します。播種から8〜10週間で花が咲き始めることもあります。 2 3

温帯での花期は、気候によって5〜9月にわたります。受粉した頭花には小さな痩果ができ、こぼれ種でよく増えます。まき直さなくても、翌季には花壇の縁へ広がることがあります。 4 2

満開の頭花を収穫して乾燥させると、120種以上の成分を含む精油が得られます。主なものはα-ビサボロール(5〜11%)と青いカマズレン(2〜11%)で、後者は蒸留中にマトリシンから生成します。精油10 mlを得るには乾燥植物体3〜5 kgが必要です。 7

利用と注意点

主な用途は薬草と食品です。乾燥頭花はカモミールティーに用いられ、古代から抗炎症、鎮痙、穏やかな鎮静のために利用されてきました。精油は肌を整える化粧品や皮膚用製剤にも配合されます。 7 3

人に対して頭花は有毒とされていませんが、妊娠末期の使用は勧められません。キク科に敏感な人では、まれに皮膚のアレルギー反応が報告されています。一方、ASPCAはカモミールを猫・犬・馬に有毒と分類しています。揮発性油、ビサボロール、カマズレン、アンテミン酸は、多量摂取時に皮膚刺激、嘔吐、下痢を起こす可能性があります。 7 5

栽培で気をつけたいのは過湿です。水浸しの土では苗の立枯れや、育った株の地際の腐敗が起きやすくなります。窒素が多すぎる土では茎が伸びすぎ、倒れやすくなります。 4 2

品種・類似種・近縁種

市販の選抜品種は、独立した種ではありません。ドイツのBodegoldは大きな頭花が特徴です。ポーランドの四倍体Zloty Lanは株が旺盛で、ビサボロールとカマズレンの含量も高く、ハンガリーのBudakalaziはそれに近い選抜系統です。 7

混同されやすい植物には、次の種類があります。

  • Chamaemelum nobile(ローマンカモミール)は多年草で、花床に鱗片があり、味がより苦くなります。
  • Tanacetum parthenium(ナツシロギク)は葉がより幅広い多年草で、主な活性成分はカマズレンではなくパルテノリドです。
  • Tripleurospermum inodorumは、特徴的なリンゴの香りをもたない類似種です。

これらの類似種と区別するには、中空で鱗片のない花床と、もんだときのリンゴの香りを併せて確かめます。ローマンカモミール、ナツシロギク、無臭の類似種に対し、この組み合わせが本種を確認する最も確かな目印です。 4 7

主な参考文献

よくある質問

カモミールには毒性がありますか?

頭花は人には有毒とされず、ハーブティーに利用されます。ただしASPCAはカモミールを猫・犬・馬に有毒と分類しており、多量に摂取すると皮膚刺激や消化器症状を起こすおそれがあります。

ローマンカモミールとは何が違いますか?

カモミール(Matricaria chamomilla)は一年草で、花床が中空で鱗片をもちません。ローマンカモミール(Chamaemelum nobile)は多年草で、花床に鱗片があり、味もより苦い種類です。

カモミールがリンゴのように香るのはなぜですか?

カマズレンやビサボロールを含む精油により、葉や花をもむと果実のように香ります。この香りが英名scented mayweedの由来で、無臭の類似種と区別する手がかりです。

カモミールの頭花はどう見分けますか?

頭花を縦に二つに切ってみます。小花を支える花床が中空の円錐形で、小花の間に小さな鱗片がなければ本種の特徴に合います。中が詰まっていたり、鱗片があったりすれば別の種類です。

ナツシロギクと同じ植物ですか?

別の植物です。ナツシロギク(Tanacetum parthenium)は葉が幅広く、切れ込みが浅い多年草です。主な活性成分も、カモミールのカマズレンではなくパルテノリドです。

種まきと収穫はいつ行いますか?

気候に応じて春か秋にまきます。発芽には光が必要なので、種は土の表面にまきます。頭花は満開時に収穫し、ハーブティー用には日陰で乾燥させます。

庭で広がりすぎることはありますか?

こぼれ種で増え、一季ごとに花壇の縁へ広がることがあります。ただしフランスでは侵略的植物に分類されていません。種が散る前に頭花を収穫すれば広がりを抑えられます。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。