ペパーミント (Mentha × piperita, L. 1753)

ペパーミント(Mentha × piperita)はウォーターミントとスペアミントの自然交雑で生まれたシソ科の多年草です。イングランドでは17世紀から栽培されました。原則として不稔で生存可能な種子をつくらず、栄養繁殖で増えます。両親より強いメントールの香りが特徴です。

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学名Mentha × piperita
属Mentha
目Lamiales

ペパーミント, コショウハッカ, セイヨウハッカ, Peppermint と Pfefferminze

基本情報
毒性
無毒 : 人 · 注意 : 子ども · 有毒 : 猫, 犬, 馬 と 動物
管理の難易度
中程度
植物タイプ
宿根草 · 料理用ハーブ
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
イギリスフランス
自生環境
温帯ヨーロッパの湿り気のある肥沃な土、溝、川岸、湿った草地。精油生産のため露地でも広く栽培されます。
季節性
開花期
夏
収穫期
夏
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
9/10
成熟までの期間
生育再開から6〜8週間で葉を収穫できます。
増やし方
株分け, 挿し木, 根挿し
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
中程度。強風にさらされる大きな花壇などを除きます。
湿度
40–75 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌タイプ
適度に湿った土から湿潤な土, 肥沃で通気性のよい土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

葉に直射日光が当たらない、明るい場所に置きます。

室内
明るい窓台
屋外
菜園の畝, コンテナ, 花壇
鉢
底穴のある鉢, 深鉢
形態
高さ30–90 cm株張り30–60 cm
葉
緑
花
ピンク紫
樹形・草姿
ペパーミント (Mentha × piperita):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
樹皮
緑赤

世界の分布

ウォーターミントとスペアミントが交雑する中央ヨーロッパからトルコにかけて自然に生じます。その後、商業生産の中心はイングランド、さらに他大陸へと移りました。ある場所に生育していても、必ずしもそこが厳密な原産地とは限りません。

  • 原産2
  • 移入1
  • 英国
  • フランス
  • 米国

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

ペパーミント(Mentha × piperita L., 1753)はシソ科ハッカ属の多年草です。学名の×という記号は交雑由来であることを示し、ウォーターミント(Mentha aquatica)とスペアミント(Mentha spicata)の自然交雑で生まれたことを表しています。 5 1

イングランドで選抜され、17世紀から栽培されていた植物で、リンネによる正式な記載は1753年です。多くの庭の植物と違い、安定した野生系統から直接続くものではありません。現在の栽培株は、英国の園芸史の中で選抜された個体を挿し木や株分けで受け継いだものです。 4 5

見分け方

角張った四角い茎に注目すると見分けやすくなります。茎はしばしば赤色や濃紫色を帯び、より緑色の強い親の種と区別する手掛かりになります。濃緑色で鋸歯のある葉は対生し、日なたでは葉にも赤みが出ます。 4 6

2つのミントを分ける最も確かな手掛かりは香りです。葉をもむと、ペパーミントは強く刺激的なメントール香を放ちます。メントール含量は栽培条件により7〜48%の範囲で変わります。一方、スペアミントはカルボンが主体で、菓子よりも生の草を思わせる香りです。 5 4

草丈は通常30〜90 cm、広がりは30〜60 cmで、地下の走出枝が密な網をつくります。桃色から淡紫色の穂状花序は夏の終わりに現れますが、識別上の重要性は高くありません。冷涼地や日陰ではあまり開花しなくても、茎の色と香りは生育期を通して判断に使えます。 6

分類のポイント

ウォーターミントとスペアミントに由来する本雑種は、六倍体で不稔です。生存可能な種子はほとんどつくらず、地下茎の株分けや茎の挿し木が確実な繁殖方法になります。 5 1

文献や園芸流通では、次のような型や異名が使われています。

  • Mentha × piperita subsp. citrata (Ehrh.) Briq.(文献上の異名)
  • Mentha × piperita var. officinalis W.D.J.Koch(文献上の異名)
  • Mentha aquatica f. piperita (L.) G.Mey.(文献上の異名)
  • Mentha glomerata var. piperita (L.) Gray(文献上の異名)

Mentha citrataやEau de Cologneという名で売られるものは、実際には同じ雑種の柑橘香をもつ化学型です。こうした販売名や異名を照合する際には、POWOが採用する受容名のMentha × piperitaが基準になります。 1 2

生息地と分布

オーストリアからトルコにかけて、両親のミントが交雑する場所に自然に生じます。湿り気のある土、溝、川岸などが生育場所です。商業品種の選抜が進んだのはイングランドのMitcham周辺で、17世紀以降の栽培にさかのぼります。 8 4

精油の生産地は、その後ヨーロッパ以外へ大きく移りました。2023年にはモロッコとアルゼンチンが世界の商業生産の大半を供給し、米国オレゴン州とワシントン州の栽培が続いていました。インドの高地で生産されるものには、メントール含量が64%に達する例もあります。 5 4

肥沃で湿り気のある土では、地下茎が見えている株の外側へ遠く伸び、素早く広がります。容器、埋め込んだ鉢、地下茎を遮る仕切りなどで拡大を抑えられます。地表だけの縁取りでは、地下を通る走出枝を止められません。 6

生活環と繁殖

冬に枯れるのは地上部で、地下茎は生き残り、翌春に再び株を茂らせます。多年草として典型的な生活環ですが、挿し木に失敗した場合に種まきで補うことは難しい植物です。 6

繁殖を考える際には、不稔の雑種である点が決め手になります。採取した種子から親と同じ性質の株が育つことはほとんどありません。非雑種の同属植物とはこの点で異なり、品種の性質を確実に保つには、走出枝を分けるか、開花していない茎を挿し木にします。 5 8

利用と注意点

葉や精油は主に香料や薬用として利用されます。生葉と乾燥葉はハーブティーに、精油は菓子、歯磨き粉、ガム、飲料などに使われます。腸溶性カプセル入りの精油は、臨床試験でプラセボより過敏性腸症候群の症状を改善しました。ただし、胸やけが副作用として起こる場合があります。 9

ASPCAはハッカ属について、大量摂取した場合にネコ、イヌ、ウマに有毒としています。原因は生葉そのものよりも濃縮された精油成分で、大量に摂取した動物では嘔吐と下痢が報告されています。 7

ヒトが純粋な精油を使う場合にも注意が必要です。メントールを吸い込むと呼吸障害が起こるおそれがあるため、乳児の顔には決して塗布しないでください。また、大量に内服すると胸やけを起こすことがあります。 9

品種・類似種・近縁種

精油の商業生産では、濃紫色の茎と強い香りをもつBlack Mitchamが主力です。White Mitchamは茎が淡く、香りも穏やかです。Eau de Cologneとして流通するcitrataや、カカオのような香りのChocolate Mintも、別種ではなく同じ雑種の異なる香りの型を指します。 8

よく似ていて混同される植物には、次のものがあります。

  • Mentha spicata(スペアミント)は親の一方で、香りが穏やかで種子でも増えます。
  • Mentha aquatica(ウォーターミント)はもう一方の親で、葉がより丸く、香りはそれほど鋭くありません。
  • Mentha suaveolensは葉に柔らかな毛があり、似た園芸名で販売されることがあります。

近縁種との判別には、紫がかった茎、もんだときの明らかに刺激的な香り、種まきでは親と同じ株を再現できないこと、という3点が役立ちます。最後の性質は、この不稔の雑種に固有の手掛かりです。 5 2

主な参考文献

よくある質問

ペパーミントはネコやイヌに有毒ですか?

ASPCAはペパーミントを含むハッカ属について、精油成分のため大量摂取時にはネコ、イヌ、ウマに有毒としています。ヒトが料理に用いる葉は、通常の利用では安全です。

ペパーミントがこぼれ種で増えないのはなぜですか?

ウォーターミントとスペアミントの交雑による不稔の雑種で、生存可能な種子はほとんどできません。そのため、主に走出枝や地下茎を分けて増やします。

スペアミントとは何が違いますか?

ペパーミントは茎が赤みを帯びることが多く、メントールの香りも鋭く刺激的です。親にあたるMentha spicataは香りが穏やかで、地下茎だけでなく種子でも増えます。

精油は過敏性腸症候群に役立ちますか?

腸溶性カプセルに入れた精油は、臨床試験でプラセボより過敏性腸症候群の症状を改善しました。ただし胸やけなどの副作用が生じる場合があり、医療者への相談に代わるものではありません。

庭に広がりすぎるのを防ぐには?

容器、土に埋めた鉢、地下茎を遮る仕切りなどを使うと、隣の区画への侵入を抑えながら、株分けしやすい状態を保てます。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。