ヌマハッカ (Mentha aquatica, )
ヌマハッカ (Mentha aquatica) は、ヨーロッパ、北アフリカから近東、コーカサス原産のシソ科の多年草です。川岸や溝、浅い水中に育ち、四角い直立茎の先に桃色やライラック色の丸い花序をつけます。ペパーミントの自然交雑の親となった植物でもあります。
続きを読むヌマハッカ, ウォーターミント, Water mint, Wasserminze, Menta de agua と Watermunt






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Taken Jul 28, 2021 by cscoq (cc-by-sa)
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Taken Sep 1, 2020 by Giode Tonpino (cc-by-sa)
Taken Aug 11, 2019 by Lawrence Jones-Walters (cc-by-sa)
Taken Sep 17, 2022 by Tristan Jaton-Maria (cc-by-sa)
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世界の分布
ヨーロッパ、北アフリカ、近東からコーカサス、西アジアの温帯域に自生します。広く栽培され、逸出した株がニュージーランド、アイスランド、米国の一部の州にも帰化していますが、これらの地域では問題となる雑草とはされていません。
基本情報
ヌマハッカ(Mentha aquatica L.、1753)は、シソ科ハッカ属の多年草で、ウォーターミント、英語でwater mint、ドイツ語でWasserminzeとも呼ばれます。スペアミントやペパーミントとは異なり、水中や水浸しの岸辺に直接根を張り、水深15〜25 cmにも育ちます。野外では香りより生育環境が確かな手がかりになります。 1 2
水辺の芳香植物というだけでなく、ペパーミントの自然交雑の親でもあります。Mentha × piperitaは本種とスペアミント(Mentha spicata)の自然交雑から生まれました。多くの園芸ミントには、この湿地植物の遺伝的な背景が受け継がれています。 3
見分け方
丈夫で毛のある茎が直立または斜上し、断面は四角形で、しばしば紫色を帯びます。株の高さは普通20〜75 cmほどですが、浅い水中で旺盛に育つと90 cmに達する例もあります。 2 3
卵形から披針形の葉が対生し、縁には鋸歯があり、もむと強いメントール香を放ちます。夏から初秋の花は桃色かライラック色で、茎先に密な球状の花序を作ります。上部の葉腋にも1〜4段の花の輪がつくことがあります。茎先の丸い花序が、茎に離れた花の輪をつける多くの野生ミントとの違いです。 2
分類のポイント
ハッカ属は形態変異が大きく交雑しやすいため、分類が長く混乱してきました。ヌマハッカにも改訂のたびにさまざまな名がつけられ、現在では次のような異名に整理されています。
- Mentha hirsuta Huds.(異名)
- Mentha palustris Mill.(異名)
- Mentha citrata Ehrh.(異名)
- Mentha hybrida Aresch.(異名)
- Mentha stagnalis Topitz(異名)
Mentha citrataという名は園芸では今も実用上の意味があります。ベルガモットに似たレモン香をもつeau de Cologne mintと呼ばれる栽培品種を指します。分類を確認する基準は受容名Mentha aquaticaです。 1 5
生息地と分布
ヌマハッカの原産地はヨーロッパ、北アフリカ、近東で、コーカサスと西アジアの温帯域まで広がります。フランスでは広く分布し、湿地に自生する植物として記録されています。 1 6
川岸や溝、沼沢地に生え、浅い水中ではおよそ水深15〜25 cmまで入り込みます。多くの園芸ミントと違い、根が常時水没しても耐えられます。ローズマリーやラベンダーなら根腐れするような土にも、先駆的に定着する植物です。 3 2
観賞・芳香植物としての栽培を通じ、原産地外の温帯地域にも帰化しました。ニュージーランド、アイスランド、米国の一部の州などで、問題となる雑草とは報告されていません。英国とアイルランドではスコットランド最北部を除くほぼ全域に広く見られ、川岸、泥炭湿地、排水溝にも育ちます。 5 7
生活環と繁殖
夏の桃色やライラック色の丸い花序には、ミツバチなど多くの送粉昆虫が集まります。花は昆虫によって受粉し、その後、四つの小さな分果に分かれる分離果を作ります。 2
増やすときは、春に株または発根した根茎を分け、湿った岸辺や水中に沈めた植栽かごへ直接植え付ける方法がよく使われます。茎の挿し穂も、水中で容易に発根します。 3
横に伸びる根茎は、水浸しの土で空いた場所を速く覆います。池の岸辺を1〜2生育期で覆える一方、庭では広がりを制限しないと、隣の湿った花壇にまで入り込みます。 5
利用と注意点
乾燥葉や精油には伝統的な用途があり、消化器の不調に対するハーブティーや、一部の昆虫を遠ざけるために用いられてきました。 3
ほかの多くのミントと同じく、猫、犬、馬に有毒とされています。精油を大量に摂取すると嘔吐や下痢を起こす可能性があります。ヨーロッパの化学型にはメントフランが多く、高用量では肝毒性と関連するため、精油は外用に限り、濃縮したまま摂取しません。 4 3
品種・類似種・近縁種
安定した園芸品種は多くありません。Citrataはeau de Cologne mintとして流通し、形態よりベルガモットに似たレモン香に特色があります。CrispaとMandeliensisは、それぞれ縮れ葉やコンパクトな姿の園芸選抜で、池の栽培用に販売されます。 2
野外では、次の植物と混同されやすくなります。
- Mentha spicata, スペアミント。茎先の花序はヌマハッカのように丸くなく、長い穂になります。
- Mentha × piperita, ペパーミント。ヌマハッカとスペアミントの交雑種で、茎はより紫色を帯びがちです。
- Mentha arvensis, ヨウシュハッカ。ヌマハッカと違い、茎先に丸い花序をつけません。 7
花穂の形や茎色だけでなく、生育場所も確認すると識別しやすくなります。根が常時水に浸かり、茎先に丸い花序をつけるミントは、岸辺に逸出した園芸ミントより、ヌマハッカである場合がほとんどです。 6
主な参考文献
よくある質問
ヌマハッカには毒性がありますか?
多くのミント類と同様、精油のため猫、犬、馬に有毒とされ、大量摂取で嘔吐や下痢が起こる可能性があります。ヨーロッパの化学型はメントフランも多く、精油は外用に限られます。
ペパーミントと同じ植物ですか?
別の植物ですが、ヌマハッカはその親です。Mentha × piperitaはヌマハッカとスペアミントの自然交雑から生じ、三つは植物学的に区別されます。
どのような場所に育ちますか?
川岸、溝、沼沢地、水深15〜25 cmほどまでの浅い水中に生育します。水中に直接根を張れる、シソ科では数少ない植物の一つです。
水のない場所でも栽培できますか?
適度に湿った土でも育ちますが、水浸しの岸辺や沈めた植栽かごほどには開花せず、広がりも弱まります。表土が繰り返し乾く用土では、やがて株が弱ります。
ほかの野生ミントとの見分け方は?
ほぼ常に水辺に育つことと、茎に間隔をあけて花の輪をつけるだけでなく、茎先に丸く密な花序をつけることが有力な手がかりです。
侵略的な植物ですか?
ニュージーランド、アイスランド、米国の一部の州など原産地外に帰化していますが、そこで問題となる雑草とはされていません。自生するフランスでも侵略的外来種とは扱われません。
Citrataやeau de Cologne mintとは何ですか?
Citrataはヌマハッカの園芸品種で、ベルガモットに似たレモン香からeau de Cologne mintの名で販売されます。別種ではありません。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。






