カラミント (Clinopodium nepeta, (L.) Kuntze 1891)

カラミント(Clinopodium nepeta)はシソ科の芳香性多年草。淡紫色の小花とミント・オレガノに似た香りが特徴です。

続きを読む
学名Clinopodium nepeta
属Clinopodium
目Lamiales

カラミント

基本情報
毒性
通常の料理利用では重大な毒性の記録なし。妊娠中は精油に注意
管理の難易度
低い
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
フランスイタリアスペインギリシャスイスオーストリアイラン
自生環境
標高1500 mまでの石灰質の乾燥草地、荒れ地、石垣、岩屑地、暖かい林縁
季節性
開花期
夏秋
収穫期
夏
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
6/10
成熟までの期間
播種初年から開花し、2年目には株が充実
増やし方
種子, 株分け, 挿し木
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
良好。低く茂るため風を受けにくい
湿度
30–55 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
はい
用土
土壌pH
土壌タイプ
水はけのよい土, 石灰質土, 岩礫質土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なた。軽い半日陰にも耐える
屋外
ロックガーデン, 日なたのボーダー, 花壇
鉢
テラコッタ鉢, 底穴のあるプラスチック鉢
形態
高さ20–80 cm株張り30–50 cm
葉
緑
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 葉 1
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 葉 2
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 葉 3
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 葉 4
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 葉 5
花
紫ピンク大きさ1–1.5 cm
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 花 1
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 花 2
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 花 3
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 花 4
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 花 5
果実
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 果実 1
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 果実 2
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 果実 3
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 果実 4
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑茶
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 樹皮 1
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 樹皮 2
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 樹皮 3
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 樹皮 4
カラミント(Clinopodium nepeta):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

WCVPに示される自生域は、ヨーロッパ北西部・中部から地中海沿岸、イラン北部に及びます。地中海の山地性植物という分布の性格を持ち、乾いた海岸近くの丘陵にも、石灰岩質のアルプス山地にも見られます。

  • 原産7
  • 移入1
  • フランス本土
  • イタリア
  • スペイン
  • ギリシャ
  • スイス
  • オーストリア
  • イラン
  • 英国

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

カラミント(Clinopodium nepeta (L.) Kuntze, 1891)は、シソ科ネペトイデアエ亜科の芳香性多年草です。 POWOではトウバナ属に置かれていますが、分類史ではメリッサ属、カラミンタ属、タイム属、キダチハッカ属を経てきました。 1 2

1753年、リンネはこの植物をMelissa nepetaとして記載しました。 ドイツの植物学者Otto Kuntzeが1891年のRevisio Generum Plantarumで現在の組み合わせを発表しています。Clinopodiumはギリシャ語のklinoとpodosに由来し、ディオスコリデスが花序の形を表すために用いた名です。nepetaは、大プリニウスがエトルリアの町Nepiにちなむ芳香草を呼んだ名にさかのぼります。 5 3

コルシカではnepitaと呼ばれ、古くから郷土料理の香りづけに使われます。 英名lesser calamintは他のカラミント類との区別を示し、フランス語の「偽マジョラム」は料理上の用途の近さを表します。マジョラムと同じ植物という意味ではありません。 3

見分け方

高さ20〜80 cm、通常20〜40 cmほどの低い亜低木になります。 斜上する茎の基部は木質化し、傾いた毛が密に生えます。どの部分も揉むとミントとオレガノを合わせたような香りを放ち、似た姿のシソ科植物との区別に役立ちます。 5

対生する葉は卵形で、縁が裏側へ巻き、浅い鋸歯があります。 花序は疎らな集散花序で、対生する2枚の葉に支えられた各輪に、有柄の花が5〜20個つきます。丸く密集した花の塊ではなく、空間のある花の並びが特徴です。 5

唇形の花は長さ約1〜1.5 cm、筒部は8〜10 mmです。 淡い藤色から紫がかった白色で、下唇中央に紫色の斑点が2つあります。原産地域での花期は7〜10月と長く、多くの地中海性ハーブより遅くまで花が続きます。 5 6

果実は乾いた分離果で、褐色の小さな分果4個からなり、果肉や液果にはなりません。 開花株でも茎の基部が木質化していなかったり、花序が丸く密集していたりする場合は、別種の可能性があります。 5

分類のポイント

POWOの受容学名はClinopodium nepeta (L.) Kuntzeです。 シソ科に属し、分布域はヨーロッパ北西部・中部から地中海周辺、イラン北部までとされています。 1

異名が多いのは、属の扱いが長く変化してきたためです。Calamintha nepeta (L.) Savi、Satureja nepeta (L.) Scheele、Melissa nepeta L.、Thymus nepeta (L.) Sm.はいずれも同じ植物を指す組み合わせです。特に最初の名は植物誌や園芸流通で今も見られます。 1 4

認められる亜種は3つです。Clinopodium nepeta subsp. nepetaはヨーロッパ中南部・南部からイラン北部、subsp. spruneri (Boiss.) Bartolucci & F.Contiは地中海からコーカサス、subsp. subisodontum (Borbás) Govaertsはヨーロッパ中東部・南東部に分布します。 1 4

この分類の変遷により、同じ植物の販売ラベルにCalamintha nepetaとClinopodium nepetaの両方が使われます。属名が違うだけで、必ずしも別種の取り違えを意味するわけではありません。 6

生息地と分布

WCVPに示される自生域は、ヨーロッパ北西部・中部から地中海沿岸、イラン北部に及びます。地中海の山地性植物という分布の性格を持ち、乾いた海岸近くの丘陵にも、石灰岩質のアルプス山地にも見られます。 1 5

乾いた草地や荒れ地、石垣の際、岩屑地、暖かい林縁に生えます。栄養分の少ないアルカリ性の石灰質土壌を好み、丘陵帯から山地帯まで、標高1500 mほどまで分布します。 5

フランスではアルプス各県と、ジュラ、中央山塊、ピレネーなどの主要な石灰岩山地に分布し、ヨーロッパではバルカン山地にも見られます。絶滅危惧とはされず、IUCNでは低懸念に分類されています。 3 7

生活環と繁殖

原産地域の7〜10月の開花には、主にハナバチが訪れ、一部のハエ目や他のハチ目も受粉を助けます。早く咲く地中海性のシソ科植物の花が終わった後も蜜源を提供します。 6 5

受精後、各花には4個の分果からなる分離果ができます。種子はまず風で運ばれ、地面に落ちた後は、脂肪・タンパク質・糖に富むエライオソームに引き寄せられたアリが運びます。この二段階の散布によって、法面や岩屑地へゆっくりと定着します。 5

栽培では春の種まき、充実した株の株分け、花のついていない若い茎の挿し木で増やします。最も早いのは株分けです。種まきは発芽を待ち、挿し木は発根を経てから新しい株になるため、時間がかかります。 9

利用と注意点

料理用ハーブとしての利用はイタリアとコルシカに根づき、nepita、mentuccia、nipitella、nepitellaなどの名があります。ローマ風アーティチョーク、トスカーナのキノコ料理、シチリアの食用オリーブの塩水漬け、イルピニアのリコッタ料理zenziferoに香りを添えます。 4 3

伝統的には浸出液を発汗、去痰、健胃の目的で用い、鼓腸、不眠、月経痛にも使ってきました。ただし妊娠中の大量摂取は避ける必要があります。大量では通経作用があると伝えられ、子宮収縮を刺激するおそれがあります。 5

通常の料理での使用について、人やペットへの重大な毒性は記録されていません。特に注意すべきなのは濃縮精油です。実験室では抗真菌作用、殺虫作用、忌避作用が確認されていますが、料理で使う葉と同じようには扱えません。 4

2024年の研究では、一部の栽培系統にネペタラクトンが含まれることが示されました。これはイヌハッカが猫に陶酔反応を起こさせる成分と同じです。ただし含有量は集団間で大きく異なり、購入したすべての株が猫を引きつけるとは限りません。 8

品種・類似種・近縁種

安定して広く流通する園芸品種は挙げられていません。野外で見られる変異は、園芸選抜よりも主に3つの植物学的亜種の違いに対応します。 1

混同されやすいMentha pulegiumは、同じような乾いた荒れ地や法面に生えます。ただし花が丸く密集した球状の塊をつくり、香りも非常に強い点が異なります。カラミントは疎らな集散花序と、より穏やかな香りを持ちます。 5

同属のClinopodium menthifoliumも似ており、その亜種の一部は分布域と花の姿が重なります。遠くからの印象で決めず、花序と萼の細部を種ごとに比べることが確実です。 5

過去に所属したCalamintha、Satureja、Thymus、Melissaという属名は、今もラベル上の混乱につながります。Calamintha nepetaとして売られる株とClinopodium nepetaの株は、多くの場合、同じ植物です。 1

主な参考文献

よくある質問

カラミントに毒性はありますか?

重大な毒性は記録されていません。ただし伝統的に通経に利用されたため、妊娠中は濃縮精油の過剰使用を避けてください。

ペニーロイヤルミントと同じ植物ですか?

別種です。相手は丸く密集した花序と強い香りを持ちます。カラミントは疎らな集散花序で、ミントとオレガノに似た穏やかな香りです。

カラミントは猫を引きつけますか?

2024年の研究で一部の系統からネペタラクトンが確認されました。ただし含有量は変動し、すべての株に効果があるとは限りません。

カラミントは食べられますか?

はい。生葉や乾燥葉をイタリアとコルシカの料理に用い、ローマ風アーティチョークやキノコ料理に香りを添えます。

カラミントの原産地は?

ヨーロッパ北西部・中部から地中海周辺、イラン北部までです。石灰岩質のアルプスでは標高1500 mまで見られます。

亜種はありますか?

3亜種が認められ、ヨーロッパ南部からコーカサスなどに分布します。園芸の場では見分ける大きな違いがない場合もあります。

庭での見分け方は?

低く茂る株姿、疎らにつく淡紫色の花、原産地域の7〜10月の花期、葉を揉んだときのミントとオレガノに似た香りが目印です。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。