European crab apple (Malus sylvestris, (L.) Mill. 1768)

Malus sylvestris((L.) Mill., 1768)は、ヨーロッパの広い範囲からトルコに自生するバラ科の落葉小高木です。枝に刺が多く低木状になることがあり、石灰質の土の林縁、生け垣、明るい萌芽林に生育します。長く栽培リンゴの直接の祖先と考えられましたが、実際には数世紀にわたる果樹園との交雑を通じて二次的に遺伝的寄与をしたことが明らかになっています。

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学名Malus sylvestris
属Malus
目Rosales

European crab apple, Crab apple, Wild crab と Holzapfel

基本情報
毒性
注意 : 人(子どもを含む), 猫, 犬 と 馬
管理の難易度
低い
植物タイプ
小高木 · 果樹 · 生け垣列
葉の性質
落葉
寿命
多年草
原産国
西ヨーロッパとスカンジナビアフランス南ヨーロッパトルコイギリス
自生環境
明るい林、林縁、萌芽林、農村の生け垣。中性から石灰質の土のナラ林に多く見られます
季節性
開花期
春
収穫期
秋
生育
休眠
冬季休眠
生育速度
5/10
成熟までの期間
5〜8年ほどで初開花し、結実は他家受粉に左右されます
増やし方
種子, 接ぎ木
気候と水やり
温度
耐寒性
耐風性
中程度。枝が密に茂り、古い枝は折れやすくなります
湿度
40–75 %
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌タイプ
壌土, 粘土, 白亜質土, 水はけのよい土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なたで、半日陰より結実が良好です
屋外
地植え, 日なたの花壇, 生け垣列
鉢
地植え, 大型コンテナ
形態
高さ600–1000 cm株張り400–800 cm
葉
緑
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 葉 1
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 葉 2
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 葉 3
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 葉 4
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 葉 5
花
白ピンク大きさ3–4 cm
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 花 1
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 花 2
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 花 3
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 花 4
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 花 5
果実
緑黄赤大きさ2–4 cm
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 果実 1
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 果実 2
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 果実 3
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 果実 4
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
茶
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 樹皮 1
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 樹皮 2
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 樹皮 3
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 樹皮 4
Malus sylvestris:原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

POWO/WCVPは自生域を、スカンジナビアやイギリス諸島からスペイン、ギリシャ、トルコに至る温帯のヨーロッパとしています。フランスでも在来ですが、優占する樹木ではなく、石灰質の土の林や生け垣に局地的に見られます。

  • 原産5
  • 西ヨーロッパとスカンジナビア
  • フランス
  • 南ヨーロッパ
  • トルコ
  • イギリスとアイルランド

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

Malus sylvestris((L.) Mill., 1768)はバラ科の落葉小高木で、英語ではEuropean crab appleなどと呼ばれます。POWOが受容するこの種の自生域は、西ヨーロッパからトルコに広がります。リンネの基礎異名をもとに、Philip Millerが1768年に現在の組み合わせを発表しました。 1

成葉と萼片上面には毛がないことが重要な特徴です。同じ部位に明瞭な毛があるセイヨウリンゴ(Malus domestica)との区別に使えます。 6

種小名sylvestrisはラテン語silvestris(森林の、林の)に由来し、生育環境を表します。果樹園に植えられた栽培リンゴに対し、林縁や農村の生け垣にある木は、野生の個体である可能性が高くなります。

見分け方

刺の多い枝と低木状の姿を示し、小高木または大型の低木になります。高さは6〜10 mで、中央ヨーロッパの森林ではさらに高くなる場合もあります。葉は卵形からほぼ円形で、細かい鋸歯があり、長さは3〜11 cmです。 6 2

葉の毛による識別は、十分に成長した葉で行います。若い枝には薄い毛がありますが、成長とともに消失します。季節の早い時期に若葉だけを見ると、栽培リンゴと取り違える原因になります。 6

4〜5月には白色から淡紅色の花が小さな散形状の集まりとなって咲きます。花径は3〜4 cmです。その後にできる果実は直径2〜4 cmの小さな球形の仁果で、黄緑色、ときに赤みを帯びます。生の果肉は硬く、非常に渋いのが特徴です。 2 4

分類のポイント

リンネが1753年にPyrus malus var. sylvestrisを発表し、Millerが1768年にリンゴ属の独立種へ引き上げました。この経緯を示すのが著者表記「(L.) Mill.」です。 1

古い植物誌には、異名としてMalus acerba Mérat、Malus communis var. sylvestris (L.) Beck、Pyrus sylvestris (L.) Grayがよく現れます。栽培リンゴMalus domesticaも長くこの野生種の一変種とされましたが、遺伝学の進展によって両者の関係が整理されました。 1

生息地と分布

スカンジナビアとイギリス諸島からスペイン、ギリシャ、トルコへ、ヨーロッパの広い範囲に自生するとPOWOは示しています。温帯の明るい林、林縁、萌芽林に生え、中性から石灰質の土を好みます。 1 3

フランスでは在来ですが局地的で、主に明るいナラ林、生け垣、小林の縁に見られ、密な群落になることはまれです。果樹園の近くでは栽培リンゴと頻繁に交雑するため、西ヨーロッパの一部では「純粋な」個体群を見た目だけで特定しにくくなっています。 4

生活環と繁殖

4〜5月に開く両性花は昆虫によって受粉し、他家受粉が結実を促します。ほかのリンゴから離れた単独の木では、外から届く花粉が不足するため、混合した生け垣の近くの木より果実が少なくなります。 3

果実内の種子は9〜10月に熟します。胚の休眠を破る3か月の湿潤低温処理なしでは発芽が不ぞろいになります。種をまくと野生型に近い木が育ちますが、優れた親木の性質をそのまま複製することはできません。 3

2012年のPLoS Genetics掲載研究は、栽培化の従来像を大きく変えました。栽培リンゴの主な祖先はヨーロッパの本種ではなく、中央アジアのMalus sieversiiです。ただし本種も、果樹園の拡大と数世紀にわたる交雑によって二次的ながら大きく寄与し、現代品種は遺伝的に当初のアジアの祖先より本種に近くなっています。 7

利用と注意点

農村の自由な生け垣、小林の縁、ほかのリンゴの耐寒性台木として利用されます。生の果実は渋すぎることが多いものの、加熱してゼリーや果汁にしたり、霜で酸味が和らいでから使ったりします。ペクチンを多く含むことも伝統的な利用価値です。 3 2

果肉には毒性の問題はありません。一方ASPCAは「Apple(Malus sylvestris)」の項目で、犬・猫・馬に注意が必要な植物としています。青酸配糖体は種子、茎、特にしおれた葉に含まれ、大量にかみ砕いて食べると危険です。症状には粘膜のれんが赤色化、瞳孔散大、呼吸困難があります。 5

品種・類似種・近縁種

栽培リンゴのような本格的な園芸選抜は行われておらず、刺の多い樹形と小さく渋い果実が野生型の基準です。果樹としては選抜されなかった特徴です。野外で特に変異が多いのは、果樹園近くによく生じるMalus domesticaとの中間的な交雑個体で、遺伝子解析なしでは判断できない場合があります。 6

見た目が似る次の植物との違いも確認します。

  • 野生化した若いセイヨウリンゴ(Malus domestica)は、葉の毛に栽培系統の特徴が残ります。
  • 野生のナシ類Pyrus pyrasterは樹形が似ていますが、果実がより細長く、果肉にざらつきがあります。
  • スピノサスモモ(Prunus spinosa)も刺があり同じ生け垣に生えますが、実は小さく丸い青黒色で、本種の仁果とは異なります。

野外での素早い確認には、刺や樹形を見る前に成葉と萼片の毛を調べる方法があります。両部位に毛がない本種と、同じ部位に明瞭な毛がある栽培リンゴの違いが手がかりになります。

主な参考文献

よくある質問

栽培リンゴの祖先ですか?

厳密には直接の主な祖先ではありません。栽培リンゴの主要な祖先は中央アジアのMalus sieversiiです。2012年の研究では、ヨーロッパのMalus sylvestrisは果樹園との長年の二次交雑により大きく寄与し、現代品種は遺伝的にアジアの祖先より本種に近くなったと示されました。

犬や猫に毒性はありますか?

果肉には問題ありませんが、ASPCAは植物全体を犬・猫・馬で注意すべきものに挙げています。種子としおれた葉は青酸配糖体を含み、特に大量にかみ砕いて食べた場合に危険です。

栽培リンゴとはどう見分けますか?

成葉と萼片上面の毛が重要です。本種では毛がなく、栽培リンゴでは明瞭な毛が見られます。刺が多い低木状の樹形や、小さく渋い果実も識別を助けます。

果実は食べられますか?

生では小さく硬く、強い渋みがあります。ゼリーや果汁に加熱加工したり、霜に当たって酸味が和らいでから利用したりします。ジャム作りに役立つペクチンの多さから、伝統的に収穫されてきました。

フランスではどこに生えますか?

中性から石灰質の土の明るい林、林縁、農村の生け垣、特にナラ林に自生します。優占するより局地的に見られ、サンザシ類やスピノサスモモなどの生け垣低木に交じります。

枝には刺がありますか?

枝には刺があることが多く、特に若い枝や接ぎ木していない個体で目立ちます。栽培リンゴの園芸品種では、ほぼ見られない特徴です。

果樹園の近くで見かけるのはなぜですか?

本種と栽培リンゴが接する場所では、交雑がよく起こります。生じた中間的な個体は見た目だけでの識別が難しく、遺伝子解析が必要になることもあります。

似ている植物

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。