ヨウシュハッカ (Mentha arvensis, )
ヨウシュハッカ (Mentha arvensis) は、ヨーロッパとアジアの温帯域に自生するシソ科の多年草です。茎先の穂ではなく、葉腋に輪状に集まる花が特徴です。湿地や耕地の縁に育ち、メントール生産用に栽培される別の近縁種と、長く混同されてきました。
続きを読むヨウシュハッカ, Corn mint, Field mint と Wild mint
葉に直射日光が当たらない、明るい場所に置きます。






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Irene Saltini · cc0
Brandon McCracken · CC BY-NC
Taken Aug 25, 2013 by Tela Botanica − Paul FABRE (cc-by-sa)
Taken Aug 24, 2014 by Tela Botanica − Gérard LEVESLIN (cc-by-sa)
Taken Sep 28, 2016 by Tela Botanica − Barbara MAI (cc-by-sa)
Taken Aug 7, 2021 by Samantha Salmond (cc-by-sa)
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世界の分布
自生域は温帯ヨーロッパと西・中央アジアからヒマラヤ、カムチャツカに及びます。一方、インドや中国でメントール用に栽培されるのは別種のMentha canadensisで、シベリア、東アジア、北アメリカを原産とします。両種は長く同じ名で混同されてきました。
基本情報
ヨウシュハッカ(Mentha arvensis L.、1753)は、シソ科ハッカ属の多年草で、リンネがSpecies Plantarumで記載しました。種小名arvensisは「耕地の」を意味し、林内や観賞庭園よりも、農地の縁や攪乱された湿地に育つ性質を表しています。 4 1
英語ではcorn mint、field mint、wild mintと呼ばれます。フランス語には「野生のミント」や「ウナギの草」に相当する別名があり、後者は魚との植物学的な関係ではなく、溝や水辺に育つことを表します。 5
開花するとほかのミントとの違いが明確になります。高さ15〜60 cmの茎全体にわたり、葉腋に密な花の輪をつけます。ペパーミントやスペアミントのような茎先の穂は作りません。
見分け方
直立または半ば倒れる四角い茎が伸び、普通は高さ15〜60 cm、非常に湿った土ではまれに1 mに達します。対生葉は卵形から披針形で、長さ2〜6.5 cm、幅1〜2 cmです。裏面に毛があり、縁には明瞭な鋸歯があります。 4 3
メントール香よりも確実な識別点は、花序のつき方です。淡紫色、ときに白や桃色の花が、茎全体の葉腋に密な輪を作り、茎先には穂をつけません。花が茎の頂端の穂に集中する、多くの栽培ミントとの違いです。 4 5
葉をもんだときの香りは集団によって変わり、強いメントール香から、より穏やかなリナロールの香りまであります。この変異も、メントール生産用の近縁種ほど工業的な価値をもたない理由の一つです。 5
分類のポイント
葉の似かよい方以上に大切なのが、古い分類上の混同です。インドや中国で天然メントールの結晶を作るため大規模栽培されるミントは、長くMentha arvensis var. piperascensと呼ばれました。現在、POWOはシベリア、東アジア、北アメリカ原産の別種、 Mentha canadensis L. としています。この混同は流通や一般向け文献にも残っています。 2 6
Kewが扱う狭義のMentha arvensisはヨーロッパ側に分布の重心があり、温帯ヨーロッパからヒマラヤ、カムチャツカに及びます。世界の商業用メントールの大部分を産するJapanese mintよりも、精油はリナロールに富みます。 1 5
同定に迷う場合、染色体数の検査は香りや葉形より確かな区別を与えます。ヨウシュハッカは2n = 72、Mentha canadensisは2n = 96とされ、これは実験室で確認する特徴です。 5
同じ名の周辺では、次の異名や歴史的な名前も見られます。
- Mentha arvensis var. piperascens Malinv. ex Holmes(歴史的名称)
- Mentha arvensis subsp. piperascens (Malinv. ex Holmes) H.Hara(歴史的名称)
- Mentha arvensis subsp. agrestis (Sole) Hartm.(異名)
- Mentha arvensis f. glabrata (Benth.) S.R.Stewart(異名)
苗のラベルや種袋では、POWOの受容名Mentha arvensis L.を基準にし、Mentha canadensisと明確に区別することが大切です。歴史的な名前だけでは、どちらを指すか曖昧になることがあります。 1 2
生息地と分布
湿った草地、溝、川岸のほか、種小名が示すように耕地の縁にも育ちます。フランスではほぼ全域に見られますが、乾燥が強すぎる地中海沿岸にはほとんど分布しません。 5 3
自然分布の広がりは、温帯ヨーロッパから西・中央アジアを経て、ヒマラヤとカムチャツカに達します。ユーラシア大陸でも分布の広いミントの一つです。 1 4
広がりを遮るものがなければ、横走する根茎が水浸しの土や重い土を速く占めます。多くのミントに共通する性質ですが、湿潤で競合植物が少ない場所では、とくに強く現れます。 3
生活環と繁殖
不稔の交雑種であるMentha × piperitaとは異なり、発芽能力のある種子を多く作り、根茎による栄養繁殖に加えてこぼれ種でも容易に増えます。気候によりますが、花期は7〜10月です。 3 5
元株と同じ性質の苗を早く得るには、株分けや花のない茎の挿し木が向きます。春の種まきでも新しい集団を育てられますが、親株の化学型がそのまま再現されるとは限りません。 3
利用と注意点
伝統的には料理と薬草の両方に利用され、生葉をサラダに加えたり、消化器の不調に対する浸出茶にしたりしてきました。ポーランドの一部のイラクサのスープや、バルカン地域の料理の香味料として使われる例もあります。 5 3
精油量は生葉重量の約0.2 %で、菓子や飲料の香りづけに用いられます。ただし大量では流産を引き起こす作用が報告されており、妊娠中の使用は勧められません。 3
動物に対して、ASPCAはハッカ属を猫、犬、馬に有毒としています。濃縮精油を大量に摂取した場合、嘔吐や下痢を起こします。 7
品種・類似種・近縁種
subsp. agrestisなどの地域型は、安定した商業品種ではありません。主にヨーロッパの植物相における細葉の集団を表し、別個の園芸的な地位をもつものではありません。 5
比較しておきたい近縁の植物には、次のものがあります。
- Mentha canadensis, メントール用に栽培されるJapanese mint。長く同じ名で混同されました。
- Mentha aquatica, ヌマハッカ。葉がより丸く、葉腋の花の輪に加えて茎先にも花序をつけます。
- Mentha × verticillata, Mentha arvensisとMentha aquaticaの自然交雑種で、中間的な特徴をもちます。
最も手早い識別点は、花がすべて葉腋の密な輪になり、茎先に穂が見えないことです。スペアミントやペパーミントにはない特徴で、7〜10月の満開時に確認すれば、収穫や苗の購入前にこれらの植物を区別できます。 4
主な参考文献
よくある質問
猫や犬に有毒ですか?
ASPCAはヨウシュハッカを含むハッカ属を猫、犬、馬に有毒としています。濃縮精油の大量摂取が問題となり、少量の生葉ではリスクがより低くなります。
メントール生産用のミントと同じ植物ですか?
別種です。インドや中国で大規模栽培されるJapanese mintやcornmintは、現在はMentha canadensisとされます。古い名Mentha arvensis var. piperascensは、文献や流通に今も残っています。
ルーペなしで見分けるには?
茎全体の葉腋に密な花の輪をつけ、茎先に穂を作らない点が最も確かです。この点でスペアミントやペパーミントと区別できます。
なぜ畑の縁に生えるのですか?
種小名arvensisは「耕地の」という意味です。林内や乾いた庭よりも、耕地の縁や湿った草地にある、湿り気を保った攪乱土壌へ定着します。
庭では広がりを抑える必要がありますか?
仕切りがなければ横走する根茎が湿った土に速く広がります。水辺近くの容器や地中に埋めた鉢で育てると、隣の植栽に入り込むのを防げます。
どのような香りがありますか?
集団により、ペパーミントに近い強いメントール香から、より穏やかなリナロールの香りまで変わります。この違いも、精油がMentha canadensisと同じ商業価値をもたない理由です。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。






