ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa, Gray 1821)

ヨウシュハルタデ(Persicaria maculosa)はユーラシア温帯、マカロネシア、北アフリカ原産のタデ科の一年草です。節のある茎に披針形の葉をつけ、多くの葉には三日月形の暗色斑があります。小さな桃色の花が密な穂をつくります。19世紀に北米へ導入され、現在は湿った攪乱地の雑草として広く帰化しています。

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学名Persicaria maculosa
属Persicaria
目Caryophyllales

ヨウシュハルタデ, Lady's thumb, Redshank と Spotted lady's thumb

基本情報
毒性
既知の毒性はありませんが、葉にはシュウ酸塩が含まれます。
管理の難易度
中程度
植物タイプ
草本性 · 一年草の花
葉の性質
落葉
寿命
一年草
原産国
フランスヨーロッパアジア温帯からインドシナマカロネシアと北アフリカ
自生環境
湿った岸辺、溝、耕作地、庭、荒れ地。窒素に富む攪乱された土に生育します。
季節性
開花期
夏秋
収穫期
春夏
生育
休眠
休眠しない
生育速度
8/10
成熟までの期間
7〜9月に開花し、その後に黒い痩果が熟します。
増やし方
種子
気候と水やり
耐えられる温度
耐寒性
耐風性
種子や茎の断片は水、風、鳥によって運ばれます。
水やり
ごく少量
少なめ
普通
多め
非常に多い
耐乾性
いいえ
用土
土壌pH
土壌タイプ
湿った土, 畑土
塩類土壌
耐えられない
光と置き場所
日照条件

日なた

朝か夕方を中心に、1日数時間の直射日光に当てます。

日なたから明るい半日陰に生育します。
屋外
川岸, 畑の縁, 撹乱された土壌
形態
高さ20–100 cm株張り10–50 cm
葉
緑
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 葉 1
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 葉 2
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 葉 3
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 葉 4
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 葉 5
花
ピンク白大きさ0.2–0.4 cm
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 花 1
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 花 2
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 花 3
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 花 4
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 花 5
果実
黒
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 果実 1
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 果実 2
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 果実 3
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 果実 4
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 果実 5
樹形・草姿
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 樹形・草姿 1
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 樹形・草姿 2
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 樹形・草姿 3
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 樹形・草姿 4
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 樹形・草姿 5
樹皮
緑赤
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 樹皮 1
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 樹皮 2
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 樹皮 3
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 樹皮 4
ヨウシュハルタデ (Persicaria maculosa):原産地と利用法 — 樹皮 5

世界の分布

ユーラシア温帯からインドシナ、マカロネシア、北アフリカが自生域です。フランスでは在来種で、ほぼ全土に普通に見られます。北米では1843年に五大湖地域から導入後の記録があり、その後大陸の大半に広がりました。オーストラリアとニュージーランドにも分布します。

  • 原産4
  • 移入4
  • フランス本土
  • ヨーロッパ
  • アジア温帯からインドシナ
  • マカロネシアと北アフリカ
  • アメリカ合衆国
  • カナダ
  • オーストラリア
  • ニュージーランド

六角形:植物が見られる地域。緑の点:原産分布域。1

基本情報

ヨウシュハルタデ(Persicaria maculosa Gray, 1821)はタデ科イヌタデ属の一年草です。ヨーロッパ温帯の湿った攪乱地に生え、若い葉から見られる三日月形の暗色斑と赤みのある茎が特徴です。Plants of the World Onlineが受容する学名は、リンネの古い基礎異名をもとにGrayが 1821年 に発表したものです。 1 2

属名の Persicaria はモモを意味するラテン語persicaに由来し、披針形の葉がモモの葉に似ることを表します。maculosa は「斑点のある」という意味です。葉の暗色斑は、英名 lady’s thumb の由来にもなっています。 4

見分け方

ヨウシュハルタデの茎には節があり、周囲の空間に応じて直立したり横へ広がったりします。通常は高さ 20〜60 cm、肥沃で湿った土では 1 m に達することもあります。膨らんだ節は赤みを帯びやすく、短い毛で縁取られた膜質の鞘があり、タデ科らしい構造です。 3 4

ほぼ無柄の披針形の葉は長さ 1〜18 cm で、茎全体につきます。多くの個体では中央に 褐色から黒色の三日月形の斑 がありますが、これは絶対的な目印ではありません。斑がない個体でも各節の托葉鞘には縁毛があり、その特徴が識別の決め手になります。 4

上部の葉腋には 7〜9月、桃色から白色の小花が集まった密な直立する穂がつきます。花の大きさは 2〜4 mm で、庭で栽培される Persicaria bistorta ほど目立ちません。各花には光沢のある黒い三稜形の痩果ができ、残存する花被に包まれます。 3 4

分類のポイント

Grayの Persicaria maculosa が、Plants of the World Onlineにおける受容名です。基礎異名の Polygonum persicaria L. は1753年のリンネの記載にさかのぼります。古い植物誌や標本庫では、次の異名も見られます。 1

  • Persicaria mitis Delarbre
  • Persicaria persicaria (L.) Small, 命名規約で認められない同語反復名
  • Polygonum ruderale Salisb.
  • Peutalis persicaria (L.) Raf.

イヌタデ属は長い間、タデ属(Polygonum)の一節として扱われました。節を包む膜質の 托葉鞘 が特徴で、穂状に花を集めるほかの草本からタデ科を区別する手がかりになります。 7

生息地と分布

ユーラシア温帯からインドシナ、マカロネシア、北アフリカにかけてが本来の分布域です。フランスでは在来種としてほぼ全土に普通で、川岸から耕作地まで広く見られます。 1

北米での記録は五大湖地域の 1843年 にさかのぼります。導入後、大陸の大部分へ広がり、USDA PLANTS Databaseでは帰化した雑草として扱われます。オーストラリアとニュージーランドでも自生域外に生育しています。 6 4

攪乱され、適度に湿った土から湿潤な土を好み、岸辺、溝、畑、除草の少ない庭、道沿いの荒れ地に広がります。乾燥した水はけのよい土では生育が大きく鈍ります。季節に応じた温度の許容幅は −15〜35 °C と広いものの、定着には湿った土が必要です。 3

生活環と繁殖

一度の生育期に、発芽から次の種子までの 一年の生活環 を終えます。春に発芽して速く生長し、7〜9月に開花した後、秋の初霜で枯れます。地温が上がれば 1〜2週間 で発芽し、耕したばかりの土地へすばやく広がります。 3

自家受精できる花から黒い痩果ができ、熟すとはじけ飛ばずに地面へ落ちます。その後は水、風、秋から冬に種子を食べる鳥に運ばれます。この散布方法は、水路の周辺に本種が多いこととも結びついています。 4

何十年も休眠する種子をもつ雑草とは異なり、本種の繁殖は極端に長命な土壌種子よりも 毎年の多量の種子生産 に依存します。そのため、花穂ができる前に除去すると、翌年の自然な実生の発生を効果的に抑えられます。 3

利用と注意点

食用になる若葉や若い芽は、生でも加熱しても 穏やかな味 で、近縁のヤナギタデのような辛味がありません。種子も食べられますが、実用的な収量が得にくいため、利用は限られます。 5

葉には少量のシュウ酸のほか、収れん性のタンニンが含まれます。伝統的には炎症への対処や湿布に使われました。人や家畜・ペットへの急性毒性は記録されていませんが、痛風、関節炎、腎結石のある方には日常的な摂取はすすめられません。 5

チェロキーの人々は、ウルシによるかゆみを和らげるため、もんだ葉を皮膚に外用してきました。これは北米の民族植物学に記録されている伝統的な利用です。 4

品種・類似種・近縁種

ヨウシュハルタデには認められた観賞用品種がありません。Persicaria bistorta や Persicaria amplexicaulis のような園芸利用される近縁種と異なり、自然に生える草で、庭向けに選抜されていません。 3

よく似たヤナギタデ(Persicaria hydropiper)の葉には、もむとわかる明瞭な 辛味 があります。本種の穏やかな味との違いに加え、托葉鞘と花穂の密度も両種を見分ける手がかりです。 5

オオイヌタデ(Persicaria lapathifolia)や Persicaria pensylvanica も直立する姿や、ときに斑のある葉が似ています。確認したいのは葉の付け根にある膜質の托葉鞘です。長さや縁毛の有無、毛の長さが種によって異なるため、離れて眺めるだけでなく近くで観察します。 4

主な参考文献

よくある質問

ヨウシュハルタデには毒性がありますか?

人や家畜・ペットへの急性毒性は記録されていません。葉には少量のシュウ酸があるため、痛風、関節炎、腎結石のある方は注意が必要です。

葉に暗い斑点があるのはなぜですか?

多くの個体に見られる三日月形の模様で、英名lady’s thumbや種小名maculosaの由来です。すべての個体にあるわけではなく、斑点がないだけで別種とは判断できません。

ヨウシュハルタデは食べられますか?

若葉や若い芽は生または加熱して食べられ、ヤナギタデのような辛味はありません。種子も食用にはなりますが、実際の利用は多くありません。

ヤナギタデとはどう違いますか?

わかりやすい違いは味で、ヤナギタデのもんだ葉は強く辛く、ヨウシュハルタデは穏やかです。托葉鞘の縁毛や花穂の密度も見分ける手がかりです。

フランスでは侵略的な外来植物ですか?

フランスでは在来の一般的な雑草で、規制対象ではありません。一方、1843年から導入の記録がある北米では、大陸に広く帰化しています。

ヨウシュハルタデはどこに生えますか?

湿った岸辺や溝、耕作地、除草が少ない庭など、適度な湿り気から湿潤さを保つ窒素に富む土に生えます。

観賞用の園芸品種はありますか?

認められた観賞用品種はありません。自然に生える植物で、Persicaria bistortaやPersicaria amplexicaulisのような近縁種と違い、庭向けの選抜はされていません。

植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。