クコ (Lycium chinense, )
クコ(Lycium chinense Mill., 1768)はナス科の落葉低木で、枝はしなやかでとげは少なめです。東アジアから地中海沿岸にかけて栽培され、一部では帰化しています。ゴジベリーとして販売される赤い実や食用の若葉をつけますが、近縁のLycium barbarumとよく混同されます。
続きを読むクコ, ゴジベリー, ウルフベリー, Chinese matrimony vine, Chinese boxthorn と Gouqi



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Taken Sep 15, 2005 by Photoflora - Benoit BOCK (©)
Taken Aug 15, 2012 by Photoflora - Benoit BOCK (©)
Taken Jan 1, 1970 by Photoflora - L'Abbé COSTE (©)
Taken Jul 31, 1854 by Tela Botanica − Herbier PONTARLIER-MARICHAL (cc-by-sa)
Taken Jul 14, 2013 by Tela Botanica − George FOWLER (cc-by-sa)
世界の分布
中国、モンゴル、朝鮮半島、日本など東アジアの温帯に自生します。原産域外にも広く帰化し、地中海沿岸からヨーロッパ各地の、特に古い庭や植栽された生け垣から逸出した場所で見られます。
基本情報
クコ(Lycium chinense Mill., 1768)はナス科の低木です。英国の植物学者 Philip Miller が『Gardeners Dictionary』第8版で記載し、POWOは現在もこの名をクコ属の受容名として扱っています。 1 2
中国語の 枸杞(gouqi) はクコと近縁の Lycium barbarum の両方を指し、両種が赤い実の ゴジベリー、別名 ウルフベリー の供給源になります。一方、包装に見られる「Lycium tibeticum」は認められた種ではなく、欧米で商品の宣伝用に作られた名です。チベットの別種を意味するわけではありません。 6
見分け方
弓なりに曲がる 柔軟な枝 がよく分岐し、しばしば垂れ下がります。樹高は通常 1〜3 m で、横幅も同程度になります。0.5〜2 cm の短いとげは少数で、主に古い枝につきます。若枝が滑らかでも、その後とげが現れないとは限りません。 4 6
淡緑色の葉は 長さ1.5〜5 cm の卵形から披針形で、単独または同じ節に2〜4枚まとまってつきます。単生または少数でつく花は 紫がかった裂片 をもち、花冠筒の基部に輪状の毛があります。萼が2裂より多くなる点は、2裂の Lycium barbarum との最初の区別になります。 7 6
花後には 橙赤色 の卵形の液果をつけます。長さは通常7〜15 mmで、栽培型によっては22 mmに達し、夏から秋に熟します。まだ実をつけない若株では、弓なりの樹形と、とげの少ない枝が手がかりです。 7 3
分類のポイント
クコの下位分類としてPOWOが認めるのは、1978年記載の Lycium chinense var. potaninii (Pojark.) A.M.Lu です。枝と葉が細く、中国で Lycium barbarum の代用に栽培されることがあります。Lycium chinense var. rhombifolium (Moench) Bean や Lycium barbarum var. chinense (Mill.) Aiton は異名にまとめられています。後者は同じタイプ標本に基づく名で、両種が園芸文献で長く混同されてきたことを示します。 1
分類上の判断には萼を確認します。クコでは2枚より多い裂片があり、Lycium barbarum では明瞭な2裂です。花冠筒もクコのほうが短くなります。果実の色や大きさは両種でよく似るため、それらより 萼と花冠 の形が重要です。 7
生息地と分布
中国とモンゴル、朝鮮半島や日本を含む東アジア温帯が原産域で、平地のやぶや河岸に生育します。原産域外では地中海沿岸からイギリスまで広く帰化し、特に海岸や人家付近の生け垣に見られます。 1 4
フランスでは自生種ではないものの、古い庭から逸出し、南部、西部、中部の生け垣や道端に定着しています。種子だけでなく根から出るひこばえでも増えるため、かつて人が住んでいた場所の縁に長く残ります。 6 5
移入先の北アメリカでは、USDAが LYCH の記号で登録しています。U.S. Fish and Wildlife Serviceは湿地や海岸の林縁に生育する非在来植物として扱い、参照資料では特段の規制上の地位は示されていません。 9 8
生活環と繁殖
両性花は 5〜8月 に咲き、自家結実性があり、ハチによって受粉します。夏の間に実ができ、7〜10月に熟すため、収穫は数か月にわたります。 4 7
増殖には発芽の速い 春の種まき、7〜8月の 半木質化した枝の挿し木、冬の終わりの ひこばえの株分け が使えます。実生は2年目から開花・結実することが多く、同程度の木本低木と比べて比較的短い期間で実を楽しめます。 4 3
利用と注意点
食用の中心は熟した果実で、生食、乾燥、ハーブティーに使われ、アニスを思わせる甘みがあります。若葉や若い芽にはペパーミントに似た風味があり、生のサラダや加熱した野菜として食べられます。ビタミンAやたんぱく質にも富みます。 4 5
伝統中国医学では、紀元初めごろに編纂された『神農本草経』に、枸杞が筋や骨を強める強壮用の植物として記されています。16世紀の 李時珍 も『本草綱目』で腎臓、肺、全身の活力に関する伝統利用を取り上げました。現在の中国の公定薬局方に収載されるのは Lycium barbarum のみで、クコは主に代用品や補助的な野菜です。 6
犬や猫への毒性は報告されていません。ただし、生葉の大量摂取は避けます。クコ属は多くのナス科植物と同様にアルカロイドを含み、過剰に摂取すると頭痛、消化器症状、瞳孔の拡大を起こすおそれがあります。 5 4
品種・類似種・近縁種
細葉の変種 potaninii は、中国の原産域外ではあまり見かけない植物です。一方「Lycium tibeticum」はゴジベリーの包装で広く使われますが、科学的に有効な名ではありません。実際に育てる植物の確認には、完全な二名法の学名が役立ちます。 1
特に混同しやすい植物には、次のものがあります。
- Lycium barbarum は花と実がよく似ていますが、主に萼が2裂する点で区別します。
- Solanum dulcamara も生け垣に生えるナス科で赤い実をつけますが、葉の基部に裂片があることが多く、とげはありません。
- Rosa canina の赤い偽果はクコの実に似るものの、とげのある茎に複葉をつけるため、明確に異なります。
野外でこれらの植物を見分けるには、萼、枝の形、葉のつき方を組み合わせるのが最も確かな方法です。 7
主な参考文献
- Plants of the World Online / Kew, Lycium chinense Mill.
- International Plant Names Index, Lycium chinense Mill.
- Missouri Botanical Garden Plant Finder, Lycium chinense
- Plants For A Future, Lycium chinense 植物データ
- NC State Extension, Lycium (Box Thorn, Matrimony Vine, Goji Berry)
- Wikipédia (FR), Lycium chinense
- Wikipedia (EN), Lycium chinense
- U.S. Fish and Wildlife Service, Chinese Desert-thorn (Lycium chinense) 種情報
- USDA PLANTS Database, Lycium chinense Mill.(記号 LYCH)
よくある質問
クコは犬や猫に有毒ですか?
犬や猫への毒性は報告されておらず、熟果や若葉は人の食用にもなります。ただしナス科の多くの植物と同様、生葉を大量に食べるのは避けてください。
クコの実はLycium barbarumのゴジベリーと同じですか?
中国では両種の赤い実がゴジベリーとして販売されます。現在の中国の公定薬局方に収載されるのはLycium barbarumで、Lycium chinenseは主に代用品や補助的な野菜として用いられます。
Lycium chinenseとLycium barbarumはどう見分けますか?
最も確かな目安は萼です。Lycium chinenseでは裂片が2枚より多く、Lycium barbarumでは明瞭な2裂になります。Lycium chinenseの花冠筒は相対的に短い点も手がかりです。
ゴジベリーの包装にある「Lycium tibeticum」とは何ですか?
植物学上認められた名ではありません。欧米でゴジベリーを宣伝するために作られた名称で、チベット原産の独立種を指すものではありません。
クコの葉は食べられますか?
若葉はサラダとして生食したり、野菜として加熱したりでき、ペパーミントに似た風味があります。ビタミンAとたんぱく質を含みますが、適量にとどめます。
クコはフランスでも野生化していますか?
自生種ではありませんが、庭から逸出してフランス南部、西部、中部の生け垣や道端などに局地的に帰化しています。
クコはいつから伝統医療に使われていますか?
紀元初めごろに編纂された『神農本草経』には、枸杞が筋や骨を強めるものとして記されています。16世紀には李時珍が『本草綱目』でその利用を取り上げています。
似ている植物
植物の毒性について不明な点がある場合は、植物学または獣医学の専門家にご相談ください。





